訪問看護の指定基準とは?

近年では、社会の高齢化に伴い、医療を必要とする高齢者も増えています。そして、病院からの在宅復帰が進められ、また、末期ガンなどの患者の「最後は自宅で過ごしたい」という希望を叶えるための在宅での看取りも推進されています。
『訪問看護』は、このような在宅で医療を必要とする方の生活を支えるサービスとして、重要な役割を担っています。また、医療機関側からは、退院後の適切なサポートを確保することでベッド回転率の維持・向上の観点から、訪問看護が必要とされています。
このように、ニーズがあることに加え、訪問看護は、開業資金や看護師等の従業員の人数が少ない状況で起業できることから、開業を考える看護師の方も多いでしょう。
訪問看護を開業し、介護報酬や診療報酬を請求するためには、都道府県知事等や地方厚生局長等から事業所の『指定』を受ける必要があります。
この記事では、訪問看護を開業する際、また開業後の営業でも引き続き満たすべき基準である『指定基準』についてご紹介しています。
ぜひ、最後までお読みください。

訪問看護師

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目次

訪問看護の指定基準とは?

訪問看護の指定の種類、みなし指定とは?

訪問看護を開業する際、都道府県知事等や地方厚生局長等から事業所の『指定』を受ける必要があることをお伝えしました。
この『指定』には、介護保険法に基づく『訪問看護(居宅サービス事業者)』と『介護予防訪問看護(介護予防サービス事業者)』、健康保険法に基づく『訪問看護事業者』という種類があります。
ただし、訪問看護と介護予防訪問看護は一体的に指定を受けることができ、また、介護保険の指定を受けることで健康保険法の指定を受けたとみなされ事業を行うことができます。ですから、特別な事情がない場合は、訪問看護事業所の開設のために介護保険の指定を受けることになります。
また、すでに保険医療機関として病院や診療所を運営している場合は、保険医療機関として受けた指定により、介護保険の『訪問看護』の指定を受けたとみなされる『みなし指定』があります。

訪問看護の指定基準とは?

介護保険法に基づく指定を受けるためには、満たすべき基準が定められています。それが『指定基準』であり、その内訳として『人員に関する基準』、『設備に関する基準』、『運営に関する基準』などが定められています。
訪問看護事業所には、訪問看護ステーションと病院又は診療所が実施する訪問看護があり、『人員に関する基準』や『設備に関する基準』において、基準に異なる点がありますので分けて説明します。

訪問看護の人員に関する基準とは?

訪問看護ステーションの場合

  • 保健師、看護師又は准看護師を常勤換算方法(※)にて2.5名以上配置していること。
  • 上記で配置する看護職員のうち1名は常勤であること。
  • 保健師又は看護師である管理者を1名配置していること。(他の職務との兼務可。)
  • 理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を実情に応じた適当数配置していること。
    (配置は必須ではないため、配置しない事業所もある。)

※常勤換算方法とは、常勤職員は1名と数え、非常勤職員は勤務延べ時間数を当該事業所の常勤職員の所定労働時間で割ることで計算した人数で数えます。例えば、常勤職員の所定労働時間が週に40時間の場合、週に20時間(1日4時間週5日)の非常勤職員は、「0.5名」として数えます。

病院又は診療所の場合

  • 訪問看護の提供にあたる保健師、看護師又は准看護師を適当数配置していること。

訪問看護の設備に関する基準とは?

訪問看護ステーションの場合

  • 事業の運営に必要な広さ(利用申込みの受付、相談等に対応できるスペースがある)の事務室を設けること。
  • 訪問看護の提供に必要な設備・備品を備えていること。

ただし、同一の敷地内に他の事業所や施設等がある場合は、必要な広さの専用の区画を設けることで満たします。また、設備・備品についても、他の事業所や施設等に備え付けられたものを使用することができます。

病院又は診療所の場合

  • 事業の運営に必要な広さ(利用申込みの受付、相談等に対応できるスペースがある)を有する専用の区画を確保していること。
  • 訪問看護の提供に必要な設備・備品を備えていること。

設備・備品は、医療機関に備え付けられたものを使用することができます。

訪問看護の運営に関する基準とは?

訪問看護の運営に関する基準には、事業所の運営において遵守すべき以下の項目について、要件が定められています。

  • 内容及び手続きの説明及び同意
  • 提供拒否の禁止
  • サービス提供困難時の対応
  • 受給資格等の確認
  • 要介護認定の申請に係る援助
  • 心身の状況等の把握
  • 居宅介護支援事業者等との連携
  • 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
  • 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供
  • 居宅サービス計画等の変更の援助
  • 身分を証する書類の携行
  • サービスの提供の記録
  • 利用料等の受領
  • 保険給付の請求のための証明書の交付
  • 指定訪問看護の基本取扱方針
  • 指定訪問看護の具体的取扱方針
  • 主治の医師との関係
  • 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成
  • 同居家族に対する訪問看護の禁止
  • 利用者に関する市町村への通知
  • 緊急時等の対応
  • 管理者の責務
  • 運営規程
  • 勤務体制の確保等
  • 業務継続計画の策定等
  • 衛生管理等
  • 掲示
  • 秘密保持等
  • 広告
  • 居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
  • 苦情処理
  • 地域との連携等
  • 事故発生時の対応
  • 虐待の防止
  • 会計の区分
  • 記録の整備

運営に関する基準では、実際に運営が始まった後に遵守すべき事項が多いですが、運営規程など指定申請に必要な項目も含まれています。

出張所(サテライト事業所)の設置の要件とは?

訪問看護は、原則として事業所ごとに指定を受けることになっていますが、地域におけるサービス提供体制を整備し、効率的な事業実施の観点から、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所(サテライト事業所)を設置して、本体の事業所に含めて運営することが認められています。出張所(サテライト事業所)を設置するための要件として、以下の項目が定められています。

  • 利用申込みの調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術教育等が一体的に行われること。
  • 職員の勤務体制、職務内容等が一元的に管理されていること。必要な場合に随時、本体事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制であること。
  • 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。
  • 事業の目的や運営方針、営業日、営業時間、利用料等が同一の運営規定に定められていること。
  • 人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。

また、人員の配置や運営の留意点等について各都道府県等において要件が定められていますので、管轄する都道府県等の要件を確認しましょう。

東京都の訪問看護ステーションの出張所の取扱いについて

東京都を例にすると、上記の要件以外にも以下のような要件が定められています。

【人員の配置】

  • 主たる事業所及びその出張所全体で看護職員(保健師、看護師又は准看護師)の常勤換算の合計が、2.5以上の人員配置すること。

【設備基準】

  • 事務室は、事業の運営に必要な広さを有する専有のものであること。
  • 設備、備品として、感染症予防に必要な設備(手指洗浄の場所、手指消毒備品等)と個人情報に関する文書等を管理するための鍵付書庫等を設置すること。

【留意点】

  • 管理者は、定期的に出張所を訪問し、上記の要件を満たすように管理を徹底すること。
  • 管理者は、出張所従業者と訪問看護計画の内容について情報を共有し、必要があれば見直しをするなど適切な対応をすること。
  • 管理者は、出張所従業者からサービス実施状況を報告させ把握するとともに、適切な指導をすること。

訪問看護を開業するまでの流れ~指定基準を満たして新規指定申請を行う~

新たに訪問看護ステーションを開業する場合、以下のような流れで申請を行い、開業することになります。

訪問看護を開業するまでの手順・流れ

①申請・問い合わせ窓口の確認・事前協議

  • 開業する都道府県・指定都市・中核市の窓口を調べる。
  • 申請について相談する。

②指定基準を満たすための準備

  • 法人設立
  • 事業所(事務室)の賃貸契約
  • 設備・備品の調達
  • スタッフの採用
  • 各種規程・マニュアル等の作成
  • 新規指定前研修の受講

③指定申請書の作成・提出

  • 指定居宅サービス事業所・指定介護予防サービス事業所指定申請書
  • 訪問看護・介護予防訪問看護事業所の指定に係る記載事項
  • 申請者の登記簿謄本又は条例等
  • 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  • 就業規則の写し、資格証の写し、雇用契約書の写し又は誓約文
  • 管理者の免許証の写し
  • 事業所の平面図、外観及び内部の様子がわかる写真
  • 運営規程(料金表含む)
  • 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
  • 衛生管理上の処置について
  • 介護保険法第70条第2項各号の規定に該当しない旨の誓約書
  • 介護保険法第115条第2項各号の規定に該当しない旨の誓約書
  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
  • 緊急時訪問看護加算・特別管理体制・ターミナルケア体制に係る届出書(加算を算定する場合)

④所轄官庁による審査・実地調査

  • 書類審査を受ける。
  • 必要に応じて実地調査が実施されるので対応する。

⑤指定通知書の到着

⑥開業

訪問看護の指定申請における留意点

ここでは、訪問看護の指定申請における留意点についてご紹介します。

「開業するまでには準備期間が必要。」

東京都を例に挙げると、事前相談を行い、「新規指定前研修」を申し込むことになります。
この新規指定前研修は、指定を受ける『4ヵ月前の末日』までに申込をして、3ヵ月前に研修の受講、指定申請書の提出等を行うことになります。

「開業の準備は忙しい。」

上記のスケジュールに合わせて、法人の設立や主たる事務所の不動産の賃貸契約、備品等の調達、スタッフの採用活動、各種規程・マニュアルの作成、研修の受講、申請書の作成等を行うことになりますので、とても忙しくなってしまうでしょう。

「スタッフの採用が難しい。」

保健師・看護師・准看護師といった医療の専門職の採用・確保は、とても難しい状況となっています。もちろん他の求人よりも条件を良くすることで応募が集まるケースもありますが、スタッフの採用にあたり、収入と人件費のバランスを考えなくては事業所の健全な経営ができません。
就業規則や給与規程、働きやすい職場環境、福利厚生、求人情報の条件、求人情報を掲載する媒体の選定など、スタッフを採用するためには様々な取り組みが必要になるでしょう。

訪問看護の指定申請の書類

指定申請をする際、都道府県や指定都市・中核市のホームページに申請に必要な書類が掲載されていますので、それらをダウンロードし、記載することになります。そして、その他の添付書類と合わせて提出します。
それでは、いくつかの書類をピックアップして記載する内容を見ていきましょう。

指定居宅サービス事業所・指定介護予防サービス事業所指定申請書

『指定申請書』の記載内容は以下の項目になります。

  • 申請(開設)者の名称
  • 主たる事務所の所在地
  • 申請者の連絡先
  • 法人の種別
  • 代表者の職・氏名・生年月日
  • 代表者の住所
  • 指定を受けようとする事業所の名称
  • 事業所の所在地
  • 事業所の連絡先
  • 指定(許可)申請をする事業等の事業開始予定年月日
  • 同一所在地において行う事業等の種類
  • (既に指定等を受けている場合)指定年月日
  • (既に指定等を受けている場合)介護保険事業者番号
  • (障害福祉サービスで指定を受けている場合)障害福祉サービス等の事業者番号
  • (保険医療機関として指定を受けている場合)医療機関コード等

訪問看護・介護予防訪問看護事業所の指定に係る記載事項

『訪問看護・介護予防訪問看護事業所の指定に係る記載事項』の記載内容は以下の項目になります。

  • 事業所の名称
  • 事業所の所在地
  • 事業所の連絡先
  • 管理者の氏名
  • 管理者の住所
  • 管理者の生年月日
  • 管理者の職種
  • 管理者の登録番号
  • 管理者の兼務の状況
  • 利用者の推定数
  • 従業者人数(常勤・非常勤、看護師・保健師・准看護師・理学療法士等、専従・兼務)
  • 従業者の常勤換算後の人数
  • 営業日
  • その他の年間の休日
  • 営業時間
  • 利用料
  • その他の費用
  • 通常の事業実施地域

従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表

『従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表』の記載内容は以下の項目になります。

  • 常勤の従業者が当該月勤務すべき時間数(合計)
  • 従業者ごとに職種、勤務形態、氏名、当該月の勤務すべき時間数、常勤換算後の人数

勤務形態に記載する区分は(A:常勤で専従、B:常勤で兼務、C:非常勤で専従、D:非常勤で兼務)で記載します。
常勤換算後の人数の算出にあたって小数点以下第二位を切り捨てします。

介護給付費算定に係る体制等に関する届出書

訪問看護を運営するにあたり、様々な加算を算定することになるでしょう。加算の種類によっては、事前に加算を算定する旨や加算の算定要件を満たしていることを届出する必要があります。
それでは、『介護給付費算定に係る体制等に関する届出書』の記載内容を見ていきましょう。

  • 事業所の基本情報に関すること
  • 加算の異動情報に関すること
  • 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表に関すること(特別地域加算、緊急時訪問看護加算、特別管理体制、ターミナルケア体制、看護体制強化加算、サービス提供体制強化加算、LIFEへの登録)

訪問看護の指定を受けた後の注意点

介護サービス事業所・施設では、指定を受けた後、『6年ごと』に指定の更新を受けることで、事業所を継続して運営することができます。
また、指定を受けている期間において、適正な事業運営が行われているかどうかを確認するために、所轄官庁により『実地指導』や『監査』などが行われます。
それでは、指定の更新と実地指導・監査について見ていきましょう。

指定基準の更新

平成18年度から、サービスの質の向上と悪質な事業者の排除を目的として、介護サービス事業者の責務を法律上位置づけられ、指定の欠格事由・取消要件が定められ、事業者の指定の効力に6年の有効期限が設けられています。
介護サービス事業者は、要介護者・要支援者の人格を尊重するとともに、介護保険法等を遵守し、要介護者や要支援者へのサービス提供・事業運営が求められています。
指定基準は、各サービスの事業がその目的を達成するために必要な最低限度のサービス内容・提供方法を定められていますので、この基準を満たすことができない場合、指定の更新を受けられないケースもあり得ますので注意しましょう。

実地指導、監査

介護保険法等に基づく健全で適正な運営が行われているか所轄官庁によって定期的に指導(集団指導・実地指導)や監査が実施されます。
実地指導等では、所轄官庁の担当職員が事業所に訪問し、事業所の運営や請求について書類等の確認、従業者等へのヒアリング、事業所の見学等が行われます。
実地指導で違反等が判明した場合、口頭での指導や、改善等を行うように記載された文書による指導が行われますが、著しい運営基準違反や不正かつ悪質な報酬請求があった場合には、その場で監査等に移行する場合があります。
また、監査等で著しい運営基準違反や不正かつ悪質な報酬請求が確認された場合は、介護報酬の返還や指定の効力の停止や指定の取消などの行政処分が行われ、事業の継続が難しくなることもあります。

【実地指導の通知】

実地指導は、所轄官庁から実施日の約1ヵ月前に通知されるのが一般的です。約1ヵ月前に事業所に下記の内容が記載された実地指導を行う旨の通知が届くことになります。

  • 実地指導の根拠規定及び目的
  • 実地指導の日時及び場所
  • 担当職員の人数
  • 事前提出資料
  • 当日会場に準備すべき書類 など

【実地指導の流れ】

実地指導の一般的な流れは以下のようになっています。

  1. 挨拶・名刺交換等
  2. 実地指導担当職員から当日の流れの説明
  3. 事業所の見学
  4. 書類の確認
  5. 実地指導担当職員による指導内容のすり合わせ
  6. 事業所担当者への講評

まとめ

訪問看護の開設・運営に必要な『指定基準』について説明してきましたがいかがでしたか?
指定基準は、開設において満たすべき基準であるとともに、運営を開始後も継続して満たすべき基準となっています。
そのため、経営者や管理者が指定基準をしっかりと理解していないと、実地指導や監査で指摘を受けることになり、管理者、従業員の負担が増え、その後の事業運営に影響が出てしまうことにもなりかねません。
しかし、訪問看護を開業する上で、経営者・管理者の方は資金調達やスタッフの採用、備品の購入、各種規程の作成などやることがたくさんあります。
もし、開業に不安を感じていたり、開業に係る業務が大変だと感じている方は、ぜひ『カイポケ』の開業支援サービスまでご相談ください。専任のスタッフが皆様の開業をサポートさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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