訪問看護の賠償責任保険とは?

訪問看護の現場において、サービスを提供している時にスタッフが利用者に怪我を負わせてしまったり、利用者の所有物を破損してしまったりする可能性はあります。
このような場合に、『賠償責任保険』に入っていると、保険が適用されるのでとても安心できます。
ここでは、訪問看護ステーション等が加入する損害責任保険についてご紹介していますので、ぜひこの機会に万が一の事態に備え、賠償責任保険の内容等をしっかりと把握しておきましょう。

目次

訪問看護の賠償責任保険とは?

賠償責任保険とは、業務の遂行にあたり、対人・対物事故が起きてしまった場合に、その賠償責任を補償する保険です。
訪問看護においては、従業員のサービス提供にあたって次のようなことが起きた場合、保険が適用されます。

  • 業務中に誤って利用者にケガを負わせてしまった。
  • 消毒が不十分な備品を使用したことを原因として、感染症が起きた。
  • 誤って利用者宅の物を破損してしまった。

このような事故等が起きてしまった場合に、損害賠償請求に対して保険による対応ができることは、事業者と従業員にとって、安心して働く環境を構築するために必要なことだと言えます。
それでは実際の賠償責任保険の例として、『日本訪問看護財団』と『訪問看護事業共済会』の保険について見ていきましょう。

日本訪問看護財団の賠償責任保険について

日本看護財団では、賠償責任保険として『ステーション賠償責任保険(ベーシックプラン)』、『ステーション賠償責任保険(ワイドプラン)』を提供しています。
『ステーション賠償責任保険(ベーシックプラン)』とは、事業者や従業員がサービスを提供する際、万が一利用者・家族にケガをさせてしまったり、財物を損壊させてしまった場合、または利用者に対する不当な身体の拘束による自由の侵害・名誉き損、もしくは口頭、文書、図画等の表示行為による名誉き損・プライバシーの侵害が発生した場合に、法律上の損害賠償責任について補償する保険です。
『ステーション賠償責任保険(ワイドプラン)』とは、上記ベーシックプランの内容に、事業者が、第三者から過度なクレーム⾏為を受けた場合に、そのクレームへ対応するために要した弁護⼠費⽤を補償する弁護士費用補償特約と、法律・税務・人事労務などの経営に関する相談に対応する経営者向けサービス(経営セカンドオピニオン)が追加された保険です。

加入対象者

保険に加入できる対象者は、日本訪問看護財団の団体会員であり、訪問看護ステーションとして都道府県知事の指定を受けた事業者、あるいは指定を受ける予定の事業者です。
また、サテライト事業所は主たる事務所の補償に含まれます。

被保険者

『ステーション賠償責任保険(ベーシックプラン)』は、訪問看護事業者およびその業務に従事する使用人(医師を除く。)が被保険者となります。
『ステーション賠償責任保険(ワイドプラン)』では、訪問看護事業者(法人)が被保険者となります。

補償内容

保険の種類 補償内容 支払限度額
ベーシックプラン 対人賠償 1名・1事故1.5億円
対物賠償 1事故1,000万円(管理受託物含む)
人格権侵害 1名・1事故・保険期間中1.5億円
初期対応費用
(うち見舞金・見舞品)
1事故・保険期間中500万円
(1事故ごとに1名10万円)
ワイドプラン 弁護士費用補償特約 1事故50万円
期間中150万円

掛金

この記事作成時点での掛金は以下のようになっています。
ステーション賠償責任保険(ベーシックプラン)は、年間保険料が1ステーションあたり『10,500円』。
ステーション賠償責任保険(ワイドプラン)は、年間保険料が1ステーションあたり『46,500円』(ベーシックプラン10,500円+弁護士費用年間保険料36,000円)。

訪問看護事業共済会の訪問看護事業者総合補償制度について

訪問看護事業共済会では、訪問看護事業者や従業員が業務の遂行において損害賠償責任を負った場合の補償を行う保険として、『訪問看護事業者賠償責任保険』を提供しています。
訪問看護事業者賠償責任保険は、訪問看護業務中、万一利用者やその家族等の第三者にケガをさせてしまったり、他人の財物を損壊させてしまった場合に、事業者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する保険です。
また、事業者が直面するリスクに幅広く対応するため、クレームのサポートや従業員の業務中のケガや感染症への補償などの多様なオプションを選択することができます。

加入対象者

保険に加入できる対象者は、一般社団法人全国訪問看護事業協会会員であり、訪問看護ステーション等として都道府県知事の指定を受けた、または指定を受ける旨の申出を行った事業者となっています。

被保険者

訪問看護事業者およびその業務に従事する使用人(医師を除く。)が被保険者となります。

補償内容

補償内容 支払限度額
身体障害 1事故1.5億円
保険期間中4.5億円
財物損壊 1事故1,000万円
人格権侵害 1名・1事故1.5億円
管理受託物
うち、現金・有価証券・貴金属等(ただし紛失は補償対象外)
1事故・保険期間中100万円
1事故10万円
初期対応費用 1事故・保険期間中500万円
被害者治療費等 1事故・保険期間中500万円
1回の事故につき被害者1名について10万円

掛金

保険の種類 損害率(%) (1事業所あたり)保険料
賠償責任保険(損害率別保険料) 新規または0 ~ 59 10,000円
60 ~ 99 11,000円
100 ~ 119 15,000円
120 ~ 139 18,000円
140 ~ 159 21,000円
160 ~ 179 24,000円
180 ~ 199 27,000円
200 ~ 249 31,000円
250 ~ 299 35,000円
300 ~ 399 39,000円
400 ~ 1999 48,000円
2000 ~ 4999 60,000円
5000 ~ 72,000円
事業拡張補償特約(療養通所介護事業) 1事業所あたり追加保険料 7,800円

損害率の計算方法・条件は以下のようになっています。
損害率=損害率集計期間における支払保険金損害率集計期間における保険料
損害率集計期間:2017年4月1日~2020年3月31日
支払保険金には、医療調査等の事故対応費用等を含みます。

訪問看護の賠償責任保険を選ぶ際の注意点

補償内容の確認

訪問看護の現場は想定外の事故が起こりうる可能性が多々あります。賠償責任保険の補償の範囲をしっかりと把握して、特約・オプションを含めて検討しましょう。
また、損害賠償の対象とならないケースについても把握しておくことが重要になります。

保険料

支払う保険料は、その訪問看護ステーションの経営状況に影響を与えます。特に複数の事業所を経営している場合やサテライト事業所を設置している場合、他の介護サービス事業所も経営している場合など、保険料の内訳やオプション等の追加料金、割引により保険料の金額に大きな差がでることがありますので、複数の保険を比較することをおススメします。

まとめ

訪問看護の業務では、利用者にケガをさせてしまうなど事故が起きてしまう可能性があります。この記事では、そのような時に備えて加入する賠償責任保険についてご紹介してきました。
訪問看護事業では、損害賠償を速やかに行うことが運営基準に定められているため、多くの訪問看護ステーションは何かしらの賠償責任保険に加入しているようです。
事故は思わぬ時に起きるものです。起きてしまってから「あの保険に加入しておけば良かった。」ということにならないように気をつけましょう。
ここでご紹介した内容が、皆様の賠償責任保険加入のきっかけや、賠償責任保険の見直しのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

関連記事