生活機能向上連携加算とは?【2021年度改定対応】
生活機能向上連携加算とは、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーション、医療提供施設等の医師やリハビリ専門職と連携し、自立支援・重度化防止に資する介護を推進するために設けられた加算です。
令和3年度の介護報酬改定では、通所系サービス、短期入所系サービス、居住系サービス、施設サービスにおいて、ICTの活用等により、外部のリハビリテーション専門職等がサービス事業所を訪問せずに、利用者の状態を適切に把握し助言した場合について評価する区分が新設されました。また、訪問系サービス、多機能系サービスの(Ⅱ)の区分について、サービス担当者会議の前後に時間を明確に区分した上で、カンファレンスを実施することで要件を満たすことが明確化されました。
この記事では、生活機能向上連携加算の単位数や算定要件についてまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。
生活機能向上連携加算の該当する介護サービス種別
- 訪問介護
- 通所介護
- 短期入所生活介護
- 特定施設入居者生活介護
- 介護老人福祉施設
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 地域密着型通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
生活機能向上連携加算の種類と単位数
介護サービス種別 | 単位数 |
---|---|
訪問介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月 |
通所介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月(個別機能訓練加算を算定している場合100単位/月) |
短期入所生活介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月(個別機能訓練加算を算定している場合100単位/月) |
特定施設入居者生活介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月(個別機能訓練加算を算定している場合100単位/月) |
介護老人福祉施設 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月(個別機能訓練加算を算定している場合100単位/月) |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月 |
地域密着型通所介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月(個別機能訓練加算を算定している場合100単位/月) |
認知症対応型通所介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月(個別機能訓練加算を算定している場合100単位/月) |
小規模多機能型居宅介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月 |
認知症対応型共同生活介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月 |
地域密着型特定施設入居者生活介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月(個別機能訓練加算を算定している場合100単位/月) |
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 |
(Ⅰ)100単位/月
(Ⅱ)200単位/月(個別機能訓練加算を算定している場合100単位/月) |
生活機能向上連携加算の算定要件
ここでは、訪問介護と通所介護における生活機能向上連携加算の算定要件をご紹介します。
訪問介護の生活機能向上連携加算(Ⅰ)の算定要件
- 外部のリハビリテーション専門職等(※)が、利用者のADL及びIADLに関する状況について、所属する事業所等のサービス提供時またはサービス提供責任者と連携してICTを活用した動画やテレビ電話装置等を用いて、利用者の状態を把握し、助言を行っていること。
- 外部のリハビリテーション専門職等の助言に基づき、サービス提供責任者が生活機能アセスメントを行い、生活機能向上を目的とした訪問介護計画を作成していること。
- 訪問介護計画書に、助言の内容を記載していること。
- 訪問介護計画に基づき、訪問介護サービスを提供していること。
- 計画作成から3月経過後、目標の達成度合いについて、利用者及び外部のリハビリ専門職等に報告していること。
訪問介護の生活機能向上連携加算(Ⅱ)の算定要件
- 外部のリハビリテーション専門職等が利用者宅を訪問する際にサービス提供責任者が同行する、または外部のリハビリテーション専門職等とサービス提供責任者が利用者の居宅を訪問した後に共同してカンファレンスを行い、生活機能アセスメントを行っていること。
- 生活機能向上を目的とした訪問介護計画を作成していること。
- 訪問介護計画書に、生活機能アセスメントの結果、その他日々の暮らしの中で必要な機能の向上に資する内容を記載していること。
- 外部のリハビリテーション専門職等と連携し、訪問介護計画に基づき、訪問介護サービスを提供していること。
- 各月における目標の達成度合いを外部のリハビリテーション専門職等に報告し、必要に応じて利用者の意向を確認し、外部のリハビリテーション専門職等から助言を得た上で、適切な対応を行うこと。
通所介護の生活機能向上連携加算(Ⅰ)の算定要件
- 外部のリハビリテーション専門職等が、利用者のADL及びIADLに関する状況について、所属する事業所等のサービス提供時または機能訓練指導員等と連携してICTを活用した動画やテレビ電話装置等を用いて、利用者の状態を把握し、助言を行っていること。
- 外部のリハビリテーション専門職等の助言に基づき、機能訓練指導員等(機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種)が共同して、利用者の身体状況等の評価、個別機能訓練計画の作成を行っていること。
- 個別機能訓練計画に、利用者ごとの目標、実施時間、実施方法等の内容を記載していること。
- 個別機能訓練計画に基づき、利用者の身体機能または生活機能の向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供していること。
- 身体状況等の評価に基づき、個別機能訓練計画の進捗状況等を3月ごとに1回以上評価し、利用者・家族へ説明し、必要に応じて訓練内容の見直しを行っていること。
通所介護の生活機能向上連携加算(Ⅱ)の算定要件
- 外部のリハビリテーション専門職等が、通所介護事業所を訪問し、機能訓練指導員等が共同して、利用者の身体状況等の評価、個別機能訓練計画の作成を行っていること。
- 個別機能訓練計画に、利用者ごとの目標、実施時間、実施方法等の内容を記載していること。
- 個別機能訓練計画に基づき、利用者の身体機能または生活機能の向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供していること。
- 身体状況等の評価に基づき、個別機能訓練計画の進捗状況等を3月ごとに1回以上評価し、利用者・家族へ説明し、必要に応じて訓練内容の見直しを行っていること。
外部のリハビリテーション専門職等とは?
外部のリハビリテーション専門職等とは、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションまたはリハビリテーションを提供している医療提供施設(病院の場合、許可病床数が200床未満のものまたは当該病院を中心とした半径4km以内に診療所が存在しないもの)の医師、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士を指します。
生活機能向上連携加算の留意点
- 算定要件の「カンファレンス」や「利用者等への説明」はテレビ電話装置等を活用して実施することができます。テレビ電話装置を用いて行う場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守する必要があります。
生活機能向上連携加算のQ&A
令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4)令和3年3月29日 問6 |
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Q.
生活機能向上連携加算(Ⅰ)について、留意事項通知において、理学療法士等が訪問介護事業所のサービス提供責任者へ訪問介護計画の作成に助言をするに当たって「指定訪問リハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設の理学療法士等は、当該利用者のADL及びIADLに関する状況について、指定訪問リハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設の場において把握」した上で行うとあるが、具体的にはどのようなものか。 |
A.
・例えば、訪問介護と通所リハビリテーションを併用する利用者について、訪問介護事業所のサービス提供責任者が訪問介護計画を作成するに当たって、理学療法士等が通所リハビリテーションを提供する中で把握した利用者のADL及びIADLに関する状況を、電話、文書、メール等を活用して助言することが挙げられる。 ・なお、利用者のADL及びIADLの状況を把握する方法としては、上記のほか、ICTを活用した動画やテレビ電話装置等を活用する方法もあるが、いずれかの方法で把握すればよい。 |
平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4) 平成30年5月29日 問1 |
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Q.
「ICTを活用した動画やテレビ電話を用いる場合においては、理学療法士等がADL及びIADLに関する利用者の状況について適切に把握することができるよう、理学療法士等とサービス提供責任者で事前に方法等を調整するものとする」とあるが、具体的にはどのような方法があるのか。 |
A.
(訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護共通) 利用者のADL(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)及びIADL(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)に関する利用者の状況及びその改善可能性の評価(以下「生活機能アセスメント」という。)を行った上で、訪問介護計画には、生活機能アセスメントの結果のほか、次に掲げるその他の日々の暮らしの中で必要な機能の向上に資する内容を記載しなければならないことから、外部の理学療法士等は、生活機能アセスメントに留意した助言を行うことが求められる。 ①利用者が日々の暮らしの中で可能な限り自立して行おうとする行為の内容 ②生活機能アセスメントの結果に基づき、①の内容について定めた3月を目途とする達成目標 ③②の目標を達成するために経過的に達成すべき各月の目標 ④②及び③の目標を達成するために訪問介護員等が行う介助等の内容 ICTを活用した動画やテレビ電話を用いる場合については、具体的には次のような方法が考えられる。 ①訪問介護事業所のサービス提供責任者と外部の理学療法士等が、リアルタイムでのコミュニケーション(ビデオ通話)が可能な情報通信機器を用いて、外部の理学療法士等が利用者のADL及びIADLの状況を把握すること。なお、通信時間等の調整を行い、当該利用者の自宅(生活の場・介護現場)にてビデオ通話を行うこと。 ②訪問介護事業所のサービス提供責任者と外部の理学療法士等が、あらかじめ、動画によって利用者のADL及びIADLの状況について適切に把握することができるよう、動画の撮影方法及び撮影内容を調整した上で、訪問介護事業所のサービス提供責任者が利用者宅で動画撮影を行い、当該動画データを外部の理学療法士等に提供することにより、外部の理学療法士等が利用者のADL及びIADLの状況を把握すること。なお、当該利用者のADL及びIADLの動画内容は、当該利用者の自宅(生活の場・介護現場)の環境状況、動作の一連の動き等がわかるように撮影すること。 また、実施に当たっては、利用者の同意を取るとともに、個人情報の適切な取扱いに留意することが必要である。SNS(Social Networking Service)の利用については、セキュリティが十分に確保されていないサービスもあることから、一般社団法人保健医療福祉情報安全管理適合性評価協会(HISPRO)が公表している「医療情報連携において、SNSを利用する際に気を付けるべき事項」を参考に、適切な対策を講じることが適当である。なお、外部の理学療法士等が、保険医療機関の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末を利用して行う場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第5版)」(平成29年5月)に対応していることが必要である。 |
平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1) 平成30年3月23日 問3 |
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Q.
生活機能向上連携加算(Ⅱ)について、告示上、「訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション等の一環として当該利用者の居宅を訪問する際にサービス提供責任者が同行する等により」とされているが、「一環」とは具体的にはどのようなものか。 |
A.
(訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護共通) 具体的には、訪問リハビリテーションであれば、訪問リハビリテーションで訪問する際に訪問介護事業所のサービス提供責任者が同行することであるが、リハビリテーションを実施している医療提供施設の医師については、訪問診療を行う際等に訪問介護事業所のサービス提供責任者が同行することが考えられる |
平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1) 平成30年3月23日 問35 |
---|
Q.
指定通所介護事業所は、生活機能向上連携加算に係る業務について指定訪問リハビリテーション事業所、指定通所リハビリテーション事業所又は医療提供施設と委託契約を締結し、業務に必要な費用を指定訪問リハビリテーション事業所等に支払うことになると考えてよいか。 |
A.
貴見のとおりである。なお、委託料についてはそれぞれの合議により適切に設定する必要がある。 |
平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1) 平成30年3月23日 問36 |
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Q.
生活機能向上連携加算は、同一法人の指定訪問リハビリテーション事業所若しくは指定通所リハビリテーション事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数200床未満のものに限る。)と連携する場合も算定できるものと考えてよいか。 |
A.
貴見のとおりである。なお、連携先について、地域包括ケアシステムの推進に向けた在宅医療の主たる担い手として想定されている200床未満の医療提供施設に原則として限っている趣旨や、リハビリテーション専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)の有効活用、地域との連携の促進の観点から、別法人からの連携の求めがあった場合には、積極的に応じるべきである。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問22 |
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Q.
生活機能向上連携加算について、訪問リハビリテーション事業所又は通所リハビリテーション事業所の理学療法士等とサービス提供責任者が同行して居宅を訪問する場合に限り算定要件を満たすのか。 |
A.
生活機能向上連携加算の算定は、訪問介護計画の作成にあたり、訪問リハビリテーション事業所又は通所リハビリテーション事業所の理学療法士等が利用者の居宅を訪問する際にサービス提供責任者が同行する、又は、当該理学療法士等及びサービス提供責任者が、利用者の居宅をそれぞれ訪問した上で、協働してカンファレンス(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第13条第9号に規定するサービス担当者会議として開催されるものを除く。)を行った場合に算定要件を満たすものである。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問95 |
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Q.
生活機能向上連携加算で通所リハビリテーションの専門職が利用者の居宅を訪問する際、サービス提供責任者が同行した場合とあるが、この際の通所リハビリテーションの専門職は通所リハビリテーションでの勤務時間、専従要件外となるのか。 |
A.
通所リハビリテーションの理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訪問した時間は、勤務時間に含まれるが、従業者の員数には含めない。 |
最後に
この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。
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