居宅介護支援の特定事業所集中減算とは?【2021年度改定対応】
特定事業所集中減算とは、居宅介護支援事業所のケアマネジメントについて、公正中立なプランの作成のために、同一の事業者によるサービス提供の偏りを防止するための減算です。
この記事では、特定事業所集中減算の単位数や要件についてまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。
特定事業所集中減算の該当する介護サービス種別
- 居宅介護支援
特定事業所集中減算の単位数
- ー200単位/月
特定事業所集中減算の要件
- 正当な理由がなく、前6月間に作成した居宅サービス計画に位置付けられた訪問介護サービス等の提供総数のうち、同一のサービス事業者によって提供された数が80%を超えている場合、減算の対象となります。
特定事業所集中減算の計算方法とは?
特定事業所集中減算の判定期間は、毎年度、「前期(3月1日~8月末日)」と「後期(9月1日~2月末日)」となっています。この期間に減算の対象となると、前期の減算適用期間は「10月1日~3月31日」、後期の減算適用期間は「4月1日~9月30日」となります。
特定事業所集中減算の計算方法は、判定期間に作成された居宅サービス計画のうち、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与、地域密着型通所介護が位置付けられた居宅サービス計画の数を算出し、それぞれのサービスについて最も紹介件数の多い法人を位置付けた居宅サービス計画の数の割合を計算します。そして、この割合が80%を超えているかどうかで判定します。
特定事業所集中減算に係る届出書の作成・計算の流れ
- 判定期間における各月の居宅サービス計画の総数を入力
- 各月の訪問介護を位置付けた居宅サービス計画数を入力
- 紹介率最高法人を位置付けた居宅サービス計画数を入力
- 紹介率最高法人の住所、代表者名、事業所名(事業所番号)を入力
- 80%を超えている場合の理由を選択し、入力
- 通所介護の2.~5.について同様に入力
- 福祉用具貸与の2.~5.について同様に入力
- 地域密着型通所介護の2.~5.について同様に入力
特定事業所集中減算に係る届出書は、前期の場合9月15日までに、後期の場合3月15日までに作成し、算定の結果80%を超えた場合は市町村長に届出を提出しなくてはいけません。
また、80%を超えていない場合は、事業所において2年間保存しなくてはいけません。
特定事業所集中減算に該当しない正当な理由とは?
紹介率最高法人への計画数が80%を超えていた場合でも、市町村長が正当な理由があると判断した場合には、減算の対象となりません。
正当な理由には以下のような例が示されています。
- 居宅介護支援事業所の通常の事業の実施地域において、サービス種別ごとに5事業所未満である場合など、サービス事業所が少数である場合
- 特別地域居宅介護支援加算を受けている事業者である場合
- 判定期間の1月あたりの平均居宅サービス計画件数が20件以下であるなど事業所が小規模である場合
- 判定期間の1月あたりの居宅サービス計画のうち、それぞれのサービスが位置付けられた居宅サービス計画の件数が1月あたり平均10件以下であるなどサービスの利用が少数である場合
- サービスの質が高いこといよる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認められる場合
- その他正当な理由と市町村長が認めた場合
特定事業所集中減算のQ&A
平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)平成30年3月23日 問135 |
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Q.
平成28年5月30日事務連絡「居宅介護支援における特定事業所集中減算(通所介護・地域密着型通所介護)の取扱いについて」(介護保険最新情報Vol.553)において、特定事業所集中減算における通所介護及び地域密着型通所介護の紹介率の計算方法が示されているが、平成30年度以降もこの取扱いは同様か。 |
A.
貴見のとおりである。 |
居宅介護支援における特定事業所集中減算(通所介護・地域密着型通所介護)の取扱いについて 平成28年5月30日 |
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Q.
平成28年4月1日から特定事業所集中減算の対象サービスとして地域密着型通所介護が加わったところであるが、平成28年4月1日前から継続して通所介護を利用している者も多く、通所介護と地域密着型通所介護とを分けて計算することで居宅介護支援業務にも支障が生じると考えるが、減算の適用有無の判断に際して柔軟な取扱いは可能か。 |
A.
平成28年4月1日以降平成30年3月31日までの間に作成される居宅サービス計画について特定事業所集中減算の適用を判定するに当たっては、通所介護及び地域密着型通所介護(以下「通所介護等」という。)のそれぞれについて計算するのではなく、通所介護等のいずれか又は双方を位置付けた居宅サービス計画数を算出し、通所介護等について最もその紹介件数の多い法人を位置づけた居宅サービス計画の数の占める割合を計算することとして差し支えない。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問182 |
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Q.
特定事業所集中減算についての新しい基準は、平成27年9月1日から適用とあるが、現在80%を超えている事業所が、減算適用されることになるのは、平成27年度前期(平成27年3月から8月末まで)の実績で判断するのではなく、平成27年度後期(平成27年9月から2月末まで)の実績で判断するということでよいか。 |
A.
貴見のとおりである。平成27年度後期の実績を元に判断し、減算適用期間は、平成28年4月1日から9月30日までとなる。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A 平成27年4月1日 問183 |
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Q.
今般の改正で、体制等状況一覧表に特定事業所集中減算の項目が追加となったが、判定の結果、特定事業所集中減算の適用となった場合又は減算の適用が終了する場合は、体制等状況一覧表の提出はいつになるか。 |
A.
体制等状況一覧表に特定事業所集中減算の項目が追加となったため、平成27年4月サービス分からの適用の有無の届出が必要となる。また、新たに減算の適用になった場合は、特定事業所集中減算の判定に係る必要書類の提出と同日の9月15日又は3月15日までの提出が必要となる。また、減算の適用が終了する場合は、直ちに提出が必要となる。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問26 |
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Q.
訪問看護の場合、ケアプランに位置付けようとする時点で主治医と利用者との間で既に事業所が選択されていることが多く、これにより紹介率が80%を超えることについては正当な理由に該当すると考えてよいか。 |
A.
特定事業所集中減算の正当な理由の範囲は「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日厚生省老人保健福祉局企画課長通知)(以下、「留意事項通知」という。)に示しているところであり、正当な理由の範囲として、サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認められる場合(※)等が含まれている。 (※)利用者から質が高いことを理由に当該サービスを利用したい旨の理由書の提出を受けている場合であって、地域ケア会議等に当該利用者の居宅サービス計画を提出し、支援内容についての意見・助言を受けている場合等を想定している。なお、利用者から提出を受ける理由書は、当該利用者にとってサービスの質が高いことが確認できるものとし、その様式は任意のものとして差し支えない。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問27 |
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Q.
今般の改正で訪問看護等のみなし指定のあるサービスが対象となっているが、正当な理由としてサービス事業所が少数であることをもって判断する場合に、みなし事業所は通常の実施地域内の事業所としてカウントするのかお聞きしたい。 |
A.
みなし指定の事業所について、介護給付費の請求がないなど介護保険事業の実態を踏まえ、カウントから外して差し支えない。 (注)介護給付費の請求事業所の確認については、国民健康保険団体連合会から都道府県や保険者に提供される適正化情報の「事業所別サービス状況一覧表」が活用可能である。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問28 |
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Q.
留意事項通知の第三の10の(4)の⑤の(例)について、意見・助言を受けている事例が1件でもあれば正当な理由として集中減算の適用除外となるか。(下記事例の場合に①・②のどちらになるか) (例) 居宅サービス計画数:102件 A訪問介護事業所への位置付け:82件(意見・助言を受けている事例が1件あり) ①助言を受けているため正当な理由ありとしてA事業所に関する減算不要。 82102100≒80.3%…正当な理由として減算なし ②助言を受けている1件分について除外。 81101100≒80.1%…減算あり |
A.
居宅サービス計画に位置づけるサービスについては、個々の利用者の状況等に応じて個別具体的に判断されるものであることから、②で取り扱うこととする。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問29 |
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Q.
居宅介護支援事業者が作成し、都道府県知事に提出する書類について、判定期間における居宅サービス計画の総数等を記載するように定められているが、サービスの限定が外れることに伴い、事業所の事務量の負担が増大することを踏まえ、訪問介護サービス等のそれぞれの紹介率最高法人の名称、住所、事業所名及び代表者名等について、80%を超えたサービスのみ記載する等、都道府県の判断で適宜省略させても差し支えないか。 |
A.
各サービスの利用状況を適切に把握することが必要であることから、従前のとおり取扱うこととする。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問30 |
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Q.
正当な理由の例示のうち、「サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認められる場合」の例示について、「地域ケア会議等」とあるが、「等」には具体的に何を含むのか。 |
A.
名称の如何にかかわらず地域包括支援センターが実施する事例検討会等を想定している。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問31 |
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Q.
居宅介護支援事業所の実施地域が複数自治体にまたがり、そのうちの1自治体(A自治体とする)には地域密着型サービス事業所が1事業所しかなく、A自治体は、他の自治体の地域密着型サービス事業所と契約していない状況である。この場合、A自治体の利用者はA自治体の地域密着型サービスしか利用できないが、正当な理由の範囲としてどのように判断したらよいか。 |
A.
指摘のケースについては、A自治体の利用者は、A自治体の地域密着型サービスの事業所しか利用できないことから、サービス事業所が少数である場合として正当な理由とみなして差し支えない。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問32 |
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Q.
医療の「機能強化型訪問看護療養費」の要件の一つとして「指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画又は介護予防サービス計画の作成が必要な利用者のうち、例えば、特に医療的な管理が必要な利用者1割程度について、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画又は介護予防サービス計画を作成していること」とあり、この趣旨は、ステーション内で医療介護の連携・調整の推進がされることについての評価である。「機能強化型訪問看護療養費」を算定している訪問看護ステーション等の場合は特定事業所集中減算の正当な理由として考えてよいか。 また、「機能強化型訪問看護療養費」を算定していない医療機関に併設された居宅介護支援事業所について、同事業所を運営する法人内に訪問看護事業所があり、連携の観点から医療(主治医)・居宅介護支援・訪問看護を同法人内で利用することが利用者にとってはメリットとなると考える。こうした偏りは正当な理由として認められるか。 |
A.
特定事業所集中減算の正当な理由の範囲は留意事項通知に示しているところであり、正当な理由の範囲として例えば、サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認められる場合等が含まれている。具体的には、利用者から質が高いことを理由に当該サービスを利用したい旨の理由書の提出を受けている場合であって、地域ケア会議等に当該利用者の居宅サービス計画を提出し、支援内容についての意見・助言を受けている場合などが考えられる。 機能強化型訪問看護ステーションについては、「指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること」とされており、その割合は1割程度とされているため、基本的には正当な理由なく高い集中度合で判定する特定事業所集中減算の趣旨とは異なるものと考えている。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問33 |
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Q.
留意事項通知の第三の10の(4)の①の「通常の事業の実施地域」について、例えば、町内の一部(市町村合併前の旧町)などのエリアに変更することは可能か? |
A.
指定居宅介護支援事業者は、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚生省令第38号)第18条において運営規程に通常の事業の実施地域について定めることになっており、これに基づき適切に対応いただきたい。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問34 |
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Q.
訪問介護の特定事業所加算は、サービス提供の責任体制やヘルパーの活動環境・雇用環境の整備、介護福祉士の配置など質の高いサービス提供体制が整った事業所について評価を行うものであるから、特定事業所加算を算定している訪問介護事業所の場合については、特定事業所集中減算の正当な理由として考えてよいか。 |
A.
特定事業所集中減算の正当な理由の範囲は留意事項通知に示しているところであり、正当な理由の範囲として例えば、サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認められる場合等が含まれている。具体的には、利用者から質が高いことを理由に当該サービスを利用したい旨の理由書の提出を受けている場合であって、地域ケア会議等に当該利用者の居宅サービス計画を提出し、支援内容についての意見・助言を受けている場合などが考えられる。 |
平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)平成27年4月30日 問35 |
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Q.
今般の改定により特定事業所集中減算の対象サービスの範囲について限定が外れたが、1つのサービスにおいて正当な理由がなく80%を越えた場合は全利用者について半年間減算と考えてよいか。 |
A.
ご指摘のケースについて、当該サービスについて正当な理由がなく80%を超えた場合は、従前のとおり減算適用期間のすべての居宅介護支援費について減算の適用となる。 |
平成18年4月改定関係Q&A(Vol.2)平成18年3月27日 問34 |
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Q.
特定事業所集中減算の算定に当たって、対象となる「特定事業所」の範囲は、同一法人単位で判断するのか、あるいは、系列法人まで含めるのか。 |
A.
同一法人格を有する法人単位で判断されたい。 |
最後に
この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。
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