介護保険制度2015年の改正【さまざまな加算減算の見直し】
はじめに
日本が直面する問題の中でも、ひときわ深刻だと言われるものの一つとして、人口の高齢化が進む中で介護ニーズも急速に高まっている点があげられます。
特に、医療などとの連携が必須となる重度者や認知症の利用者も増え、そうしたニーズに見合った介護・看護職員の確保なども大きな課題となっています。
そうした中、2015年度の介護報酬改定では、先のような課題に対応するべく幅広い加算減算要件の見直しが行なわれました。
2000年の介護保険制度開始以降、3年ごとに見直されてきた介護報酬ですが、2015年度の改定は日本の介護業界にどのような影響を与えるのでしょうか。
今回は特に、「各加算減算の状況」に着目して考えてみましょう。
2015年度の介護報酬改定の狙いとは
2015年度介護報酬改定における加算減算の見直しでは、「介護人材の確保」と「中重度者・認知症者への対応」が大きな軸となっています。
なかでも介護人材の不足は、日本の介護業界が慢性的に抱えている問題の一つです。
介護職は無くてはならない職業ですが、利用者の重度化等で業務負担が高まる一方で、従事者の給与が他の産業に比べて著しく低いことなどにより、人員の確保がますます難しい状況となっています。
団塊の世代が75歳以上を迎える2025年には、約38万人もの人員不足に陥るとも言われており、介護人材の処遇や職場環境の改善が急務となっています。そこで、2012年度の介護報酬改定で誕生した「介護職員処遇改善加算」を手厚くし、介護職員の待遇を改善しようとするのが、今改定の加算で大きなポイントの一つです。
なお、2017年度には異例となる「期中改定」が行なわれ、この処遇改善加算に、さらに加算率をアップした区分が誕生します。
具体的に、どのように変わったのか?
さて、介護職員処遇改善加算ですが、これは先に述べたように、介護職員の待遇の改善を図るために、2012年度の介護報酬改正時に新たに設けられたものです(それまでは介護職員処遇改善交付金制度として「介護報酬外の交付金」として実施されていました)。
2015年度の報酬改定では、それまでの加算区分に、より加算率の高い区分(新Ⅰ)が設けられました。これによって、介護職員の月給与を約1.2万円程度引き上げることが目されました。
その他、サービス提供体制強化加算の拡大が図られたことも、大きな加算改定点の一つです。サービス提供体制強化加算とは、介護職員のキャリアや勤続年数、専門性などによる職員評価方法の一つで、職員のモチベーションアップやサービスの質の向上などにつながると考えられています。
一方で、業務負担への評価を適正化するための減算も見られます。主なものとしては、訪問系サービスにおける「事務所と同一の建物に住む利用者へサービスを行う場合の減算要件」を、隣接する敷地内の建物にまで広げたことなどが挙げられます。ほかにも通所系サービスにおいて、送迎を伴わない場合は片道47単位の減算とすることになっています。
なお、2015年度の報酬改定では、こうした加算・減算の見直しという以前に、基本報酬の引き下げが業界に大きな影響をもたらしているという指摘もあります。
基本報酬の引き下げは、介護サービス母体の経営体力を奪って現場のマネジメントの自由度を狭めている可能性があるからです。そうした経営母体の疲弊が、ひいては介護職員の待遇を悪化させ、結果として雇用減につながるのではという見方もあります。
この点を足がかりに、2018年度の介護報酬改定に向けた視野を広げてみてください。介護保険や介護業界の持つ多くの問題を考えるきっかけになれば幸いです。
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