介護保険制度2015年の改正【予防サービス給付の一部が地域支援事業に】
はじめに
2014年6月に成立・交付された「医療介護総合確保推進法」(改正介護保険法を含む)で、もっとも大きなしくみ変更の一つが、要支援1・2の利用者にかかるサービスについてです。
これらの方々については、介護保険の予防給付によるサービスが給付されます。
今回の改正では、そのうちの予防訪問介護、予防通所介護の2つのサービス(※)について、保険による給付サービスから、市区町村が手掛ける地域支援事業に移行することになりました。
※なお、この2つのみを使う場合(他の予防給付サービスを使わない場合)は、それらをマネジメントする「介護予防マネジメント」も地域支援事業に移ります。
「地域支援事業への移行」とはどういうこと?
改正法施行の前までは、予防訪問介護、予防通所介護ともに「介護予防給付」のサービスとして提供されていました。
つまり、原則として全国一律の基準と報酬によって、介護保険の給付でカバーされていたわけです。
この2つが、2015年4月より随時、市町村が運営する地域支援事業のうち「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」へと移ることになった次第です(猶予期間を経て2017年4月からはすべての市区町村で実施されます)。
それぞれに、訪問型サービス、通所型サービスと呼びます。
地域支援事業のうちの総合事業については、財源構成は予防給付と変わりません。
ただし、基準や報酬について(国が示すものを基本にするとはしていますが)、各市区町村が独自で決めることができます。
また、現行の予防給付に相当するサービスのほか、より基準を緩和したサービスや住民主体(つまり、ボランティア主体)のサービスなど多様な形態で運営することができるようになっています。
サービスの「多様な形態」について
現行の予防給付相当のサービス以外では、訪問型で4つ、通所型で3つとなっています。共通するのはA、B、Cの3つ。
Aは「雇用労働者とボランティアの組み合わせ」を想定し、人員基準などを現行相当サービスよりも緩和することが可能です。
Bは、「住民(ボランティア)主体」で、個人情報保護などの最低限の基準をクリアしていればOKです。
Cは、保健・医療の専門職(保健師やリハビリ専門職など)が手掛けるもので、生活機能を改善するための運動器の機能向上や栄養改善等のプログラムを3~6か月の短期間で集中して行なうというものです。
実施方法としては、Aが給付サービスと同様に事業者指定を行なうほか、委託で実施。
Bは、サービス提供主体への補助・助成で実施。
Cは、委託のほか市区町村が直接実施するというスタイルです。
なお、訪問型については、上記の3つに加え、利用者の「移動支援(移送前後の生活支援)」を手掛けます。基準や実施スタイルはBに準じるとされています。
2017年4月の完全実施に向けて
2016年7月1日段階での調査では、総合事業を「すでにスタート」あるいは「2016年度中にスタート予定」の保険者(市区町村)は626となっています。
これは全体の39.6%。
逆に言えば、6割以上の保険者が残り1年での駆け込みスタートとなるわけです。
果たして訪問型・通所型にかかる事業はきちんと整うのでしょうか。
そこで国は、今回の総合事業のスタートとともに、とどこおりなくサービス資源の整備を進めるための生活支援体制整備事業を市区町村に義務づけました。
これは、多様な生活支援サービス資源の開発などを手掛ける「生活支援コーディネーター(地域支えあい推進員)」を配置することと、多様な主体間の情報共有や連携・協働を進めるための「協議体」の設置です。これについては、2018年4月から全市区町村でスタートすることになっています。
サービス現場にはどのような影響が?
要支援1・2で介護予防給付サービスを利用する人のうち、予防訪問介護・予防通所介護を使っている人は4~5割にのぼります(総合事業スタート前の2016年度調査より)。
それだけの人のサービスが新しい枠組みに移るわけですから、要支援の人に与える影響をしっかり見極める必要があります。
サービスにかかる財源構成は総合事業になっても変わりませんが、市区町村によって基準が緩和されたり、報酬が下げられる可能性もあります。
ただでさえ、2015年度の介護報酬改定では、予防訪問・通所介護の基本報酬も大きく引き下げられました。
総合事業での報酬は、市区町村によってそこからさらに引き下げられる可能性もあるわけで、事業者としては現場運営や経営面でのマネジメントをしっかり進めなければなりません。
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