訪問介護及び訪問入浴介護の2018年度介護報酬改定

2018年度介護報酬の改定は、団塊世代が後期高齢者になる2025年に照準を合わせた内容になります。その内容は、大きく分けて4つ。

「地域包括ケアシステムの推進」「自立支援・重度化防止のための質の良い介護サービスの実現」「多様な人材確保と生産性の向上」「介護サービスの適正化と重点化を通じた制度の安定化・持続可能性の確保」です。

この記事では訪問介護事業所、訪問入浴介護事業所にどのような変更があったのか説明します。

生活機能向上連携加算の見直し

生活機能とは、日常生活において必要となる機能を指します。具体的には「日常生活動作(ADL)」(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排せつ等)、「手段的日常生活動作(IADL)」(調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等)の機能となります。この生活機能を維持、向上させることは、重度化の防止につながります。
2018年度の改定では、訪問介護の生活機能向上連携加算について変更がありました。以前までは生活機能向上連携加算は100単位の1種類でしたが、改定後は、生活機能向上連携加算(Ⅰ)100単位と生活機能向上連携加算(Ⅱ)200単位の2種類になり、算定できる条件が広がっています。具体的には、現行の加算要件を満たすことで、算定できる加算が生活機能向上連携加算(Ⅱ)として算定条件の若干の変更と単位数に変更があり、算定要件が緩和された生活機能向上連携加算(Ⅰ)が新設されました。

「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化

訪問介護で提供する介護サービスには、身体介護と生活援助というサービスがあります。身体介護とは、ご利用者の身体に直接触れるようなサービスであり、生活援助とは生活に必要な掃除、洗濯、調理などを行うサービスです。どちらのサービスを提供していても、ご利用者の自立支援のために見守り的援助を行う時間があります。以前までは、この見守り的援助が身体介護と生活援助のどちらのサービスに分類されるかが明確にされていないケースがありました。
そこで今回の介護報酬改定では、この見守り的援助の範囲をより明確にするため、「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」に、自立支援、ADL・IADL・QOL向上の観点から、安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等に該当する項目が追加されています。

身体介護と生活援助の報酬

自立支援や重度化予防に向けた訪問介護サービスを評価するため、身体介護の基本報酬の単位数は上がり、生活援助の単位数は下がっています。
具体的に変更となっている単位数は下記のとおりです。


身体介護中心型 現行(単位) 改正後(単位)
20分未満 165 165
20分以上30分未満 245 248
30分以上1時間未満 388 394
1時間以上1時間30分未満 564 575
以降30分増すごとに算定 80 83
生活援助中心型  現行(単位) 改正後(単位)
20分以上45分未満 183 181
45分以上 225 223
通院等乗降介助中心型 現行(単位) 改正後(単位)
1回あたり 97 98

この他に身体介護から引き続き生活援助を提供した時は、生活援助加算が算定できます。
引き続き生活援助を行った時間が、20分~45分までは66単位、45分~70分までは132単位となります。

生活援助中心型の担い手の拡大

介護職の不足は深刻な社会問題として取り上げられています。その中でも、在宅での生活を支援する訪問介護事業所では、訪問介護員として従事するために資格が必要となるため、人材確保が厳しい状況です。
今回の改定で、訪問介護事業所の業務のうち、生活援助中心型のサービスに従事する人材のすそ野を広げるため、生活援助従事者研修という新たな研修が創設されました。
生活援助従事者研修を修了した方は、業務として生活援助に従事することができ、訪問介護事業所の人員基準で配置が定められている訪問介護員2.5人以上の人数に含めることができます。

同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬

以前まで、事業所と同一敷地内の有料老人ホーム等に居住している方、同一敷地内等ではない同一の有料老人ホーム等に居住する方(20人以上)へサービスを提供した場合が減算の対象でした。今回の改定では建物の要件が見直され、また、ご利用者の人数による減算の率についても変更があり、下記の条件に該当すると減算となります。

  • 事業所と同一敷地内・または隣接する敷地内で居住しているご利用者へ提供したサービス
  • (事業所と同一敷地内ではない)同一建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上の場合、その方々へ提供したサービス
10%減算
  • 事業所と同一敷地内・または隣接する敷地内で居住しているご利用者の人数が一月あたり50人以上の場合、その方々へ提供したサービス
15%減算

この減算の対象のご利用者と、対象者以外のご利用者の公平性を測るため、減算の対象者の区分支給限度基準額は、減算前の単位数を使用して計算します。

訪問回数の多いご利用者への対応

訪問介護の生活援助サービスでは、掃除、洗濯、調理等のサービスを提供します。この生活援助サービスは利用回数に個人差があり、あまりに回数の多い生活援助サービスの提供は、訪問介護の目的である自立した日常生活を送るための支援という趣旨に反しているのではないか、他の地域資源を利用したサービスでの代替が可能ではないか、という議論がありました。
厚生労働省は、「厚生労働省告示第二百十八号」にて基準となる回数を定め、平成30年10月1日以降は基準回数以上のケアプランを作成したケアマネジャーは、市町村等への届け出ることとしています。届出を受けた市町村等は、地域ケア会議を開催し、ケアプランの検証を行います。そして検証の結果、必要に応じてケアマネジャーに対し、ケアプランの是正を促すことになります。

サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化

サービス提供責任者とは、訪問介護事業所においてご利用者及び関係者とのパイプ役となる職種です。今回の改定では、サービス提供責任者の任用要件、役割について明確化されています。
サービス提供責任者の任用要件として以前まで認められていた、介護職員初任者研修等の修了者のうち、現在サービス提供責任者として従事している者は平成31年度以降はサービス提供責任者の任用要件を満たさないことになりました。
また、サービス提供責任者の責務として、訪問介護のご利用者の口腔機能や服薬状況、その他の心身に関わる情報を、ケアマネジャー等と共有すること。サービス提供責任者(訪問介護事業者)は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに対して、必要のないサービスの位置づけ等の不当な働きかけを行ってはならないことが基準に追加されています。
この他に、訪問介護の所要時間について、ケアプラン上の標準時間と実際の提供時間が著しく乖離している場合には、ケアマネジャーに連絡することが明確化されました。

共生型訪問介護

今回の改正では、新しく共生型訪問介護についての基準が定められています。これは障害福祉サービスの事業所が介護保険における訪問介護サービスを提供するための基準となります。
障害福祉サービスを利用中のご利用者が65歳を迎えると、障害福祉サービスから介護保険サービスへと移行することになり、自己負担やサービス内容等に変更が生じることになります。この問題を解決するために、障害福祉事業所において介護保険の訪問介護を提供するための基準が定められました。

訪問入浴介護の基本報酬変更点

訪問入浴介護とは、自宅での入浴が困難な方へ、浴槽を積んだ入浴車等で看護職員や介護職員が自宅を訪問し、入浴介助を行うサービスです。今回の改定では、訪問入浴介護の基本報酬と同一建物に関する減算に変更がありました。
基本報酬は、以下のように変更されています。


現行(単位) 改正後(単位)
訪問入浴介護 1,234 1,250

同一敷地内等の減算については、訪問介護と同様の変更内容となりますので、上記「5.同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬」をご覧下さい。

まとめ

いかがだったでしょうか?冒頭でも述べた通り、今回の改定は「地域包括ケアシステムの推進」「自立支援・重度化防止のための質の良い介護サービスの実現」「多様な人材確保と生産性の向上」「介護サービスの適正化と重点化を通じた制度の安定化・持続可能性の確保」という4つの柱に基づいた内容となっています。
訪問介護、訪問入浴介護は在宅での生活を支える重要な介護サービスです。人材確保とサービスの適正化に向けた今回の改定内容を、しっかりと理解し、今後の事業所運営に活かしていただければ幸いです。
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