児童発達支援の2021年度障害福祉サービス報酬改定

2021年(令和3年)度の障害福祉サービス報酬改定では、『障害者の重度化・高齢化を踏まえた地域移行・地域生活の支援、質の高い相談支援を提供するための報酬体系の見直し』、『効果的な就労支援や障害児者のニーズを踏まえたきめ細かな対応』、『医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進』、『精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進』、『感染症や災害への対応力の強化』、『障害福祉サービス等の持続可能性の確保と適切なサービス提供を行うための報酬等の見直し』といった観点から改定が行われ、障害福祉サービス全体では改定率『+0.56%』のプラス改定となりました。

ここでは、児童発達支援の報酬改定の内容についてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

児童発達支援の基本報酬の改定

放課後等デイサービスの基本報酬では、前回改定で導入した医療的ケア児に係る判定基準について見直しが行われ、この新しい判定基準のスコアの点数に応じた段階的な評価を行う基本報酬区分が創設されました。

児童発達支援センターで行う児童発達支援の基本報酬

児童発達支援センターが障害児(重症心身障害児を除く)に行う場合の基本報酬

定員 医療的ケア児
(32点以上)
医療的ケア児
(16点以上)
医療的ケア児
(3点以上)
左記以外
~30人 3,086単位 2,086単位 1,753単位 1,086単位
31人~40人 3,005単位 2,005単位 1,672単位 1,005単位
41人~50人 2,930単位 1,930単位 1,597単位 930単位
51人~60人 2,859単位 1,859単位 1,526単位 859単位
61人~70人 2,830単位 1,830単位 1,497単位 830単位
71人~80人 2,804単位 1,804単位 1,471単位 804単位
81人~ 2,778単位 1,778単位 1,445単位 778単位

※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の1001/1000に相当する単位数を算定します。

児童発達支援センターが難聴児に行う場合の基本報酬

定員 医療的ケア児
(32点以上)
医療的ケア児
(16点以上)
医療的ケア児
(3点以上)
左記以外
~20人 3,384単位 2,384単位 2,051単位 1,384単位
21人~30人 3,191単位 2,191単位 1,858単位 1,191単位
31人~40人 3,075単位 2,075単位 1,742単位 1,075単位
41人 2,975単位 1,975単位 1,642単位 975単位

※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の1001/1000に相当する単位数を算定します。

定員 単位数
~15人 1,331単位
16人~20人 1,040単位
21人~ 924単位

児童発達支援センター以外で行う児童発達支援の基本報酬

児童発達支援センター以外が障害児(重症心身障害児を除く)に行う場合の基本報酬

対象 定員 医療的ケア児
(32点以上)
医療的ケア児
(16点以上)
医療的ケア児
(3点以上)
左記以外
未就学児 ~10人 2,885単位 1,885単位 1,552単位 885単位
11人~20人 2,613単位 1,613単位 1,280単位 613単位
21人~ 2,486単位 1,486単位 1,153単位 486単位
未就学児以外 ~10人 2,754単位 1,754単位 1,421単位 754単位
11人~20人 2,513単位 1,513単位 1,180単位 513単位
21人~ 2,404単位 1,404単位 1,071単位 404単位

児童発達支援センター以外が重症心身障害児に行う場合の基本報酬

定員 単位数
5人 2,098単位
6人 1,757単位
7人 1,511単位
8人 1,326単位
9人 1,184単位
10人 1,069単位
11人~ 837単位

放課後等デイサービスの加算・減算等の改定

加算・減算等については、以下のように加算や区分の新設、算定要件の変更等の改定が行われています。

児童指導員等加配加算

児童指導員等加配加算について、児童指導員等加配加算(Ⅰ)の報酬単価の見直し、児童指導員等加配加算(Ⅱ)の廃止が行われました。

児童指導員等加配加算の単位数

ここでは児童発達支援センターが障害児(重症心身障害児を除く)に行う場合の単位数を記載します。

定員 現行 改定後
~30人 専門職員:70単位
児童指導員等:52単位
その他の従業者:30単位
専門職員:62単位
児童指導員等:41単位
その他の従業者:30単位
31人~40人 専門職員:60単位
児童指導員等:44単位
その他の従業者:26単位
専門職員:53単位
児童指導員等:35単位
その他の従業者:26単位
41人~50人 専門職員:46単位
児童指導員等:34単位
その他の従業者:20単位
専門職員:42単位
児童指導員等:27単位
その他の従業者:20単位
51人~60人 専門職員:38単位
児童指導員等:28単位
その他の従業者:17単位
専門職員:34単位
児童指導員等:22単位
その他の従業者:16単位
61人~70人 専門職員:32単位
児童指導員等:24単位
その他の従業者:14単位
専門職員:29単位
児童指導員等:19単位
その他の従業者:14単位
71人~80人 専門職員:28単位
児童指導員等:21単位
その他の従業者:12単位
専門職員:25単位
児童指導員等:16単位
その他の従業者:12単位
81人~ 専門職員:25単位
児童指導員等:18単位
その他の従業者:11単位
専門職員:22単位
児童指導員等:15単位
その他の従業者:11単位

専門的支援加算

理学療法士等による支援が必要な児童への支援や児童の保護者に対する支援方法の指導などの専門的な支援の強化を図り、支援の質を向上させる観点から、専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理指導担当職員・国立障害者リハビリテーションセンター視覚障害学科履修者、又は児童福祉事業について5年以上経験のある保育士・児童指導員)を1名以上加配して行う支援を評価する専門的支援加算が新設されました。

専門的支援加算の単位数

ここでは児童発達支援センターが障害児(重症心身障害児を除く)に行う場合の単位数を記載します。

定員 単位数
~30人 理学療法士等:62単位
児童指導員:41単位
31人~40人 理学療法士等:53単位
児童指導員:35単位
41人~50人 理学療法士等:42単位
児童指導員:27単位
51人~60人 理学療法士等:34単位
児童指導員:22単位
61人~70人 理学療法士等:29単位
児童指導員:19単位
71人~80人 理学療法士等:25単位
児童指導員:16単位
81人~ 理学療法士等:22単位
児童指導員:15単位

専門的支援加算の算定要件

  • 児童発達支援給付費の算定に必要とする員数に加え、理学療法士等(保育士にあっては、5年以上児童福祉事業に従事した者に限る。)又は5年以上児童福祉事業に従事した児童指導員を常勤換算により1以上配置していること
  • 通所支援計画を作成していること

看護職員加配加算

「主として重症心身障害児を通わせる事業所以外の事業所」において、医療的ケアを行うために必要な看護職員の配置の費用を含んだ医療的ケア児の基本報酬区分ができたことから、看護職員加配加算が廃止されました。

「主として重症心身障害児を通わせる事業所」では、医療的ケア児の判定基準のスコアが新しくなったことにより、(Ⅰ)と(Ⅱ)のそれぞれの区分の算定要件に変更がありました。

重症心身障害児に行う場合の看護職員加配加算の単位数

基本報酬の区分 定員 単位数
児童発達支援センターで行う場合 ~15人 (Ⅰ):100単位
(Ⅱ):200単位
16人~20人 (Ⅰ):100単位
(Ⅱ):200単位
21人以上 (Ⅰ):80単位
(Ⅱ):160単位
児童発達支援センター以外で行う場合 5人 (Ⅰ):400単位
(Ⅱ):800単位
6人 (Ⅰ):333単位
(Ⅱ):666単位
7人 (Ⅰ):286単位
(Ⅱ):572単位
8人 (Ⅰ):250単位
(Ⅱ):500単位
9人 (Ⅰ):222単位
(Ⅱ):444単位
10人 (Ⅰ):200単位
(Ⅱ):400単位
11人以上 (Ⅰ):133単位
(Ⅱ):266単位

看護職員加配加算(Ⅰ)の算定要件

  • 指定通所基準に定める員数に加え、看護職員を常勤換算により1以上配置していること
  • 医療的ケア児の新判定基準のスコアに前年度の出席率(利用日数/開所日数)を掛けた点数の医療的ケア児全員の合計点数が40点以上になること
  • 医療的ケア児に対して支援を提供することができる旨を公表していること

看護職員加配加算(Ⅱ)の算定要件

  • 指定通所基準に定める員数に加え、看護職員を常勤換算により2以上配置していること
  • 医療的ケア児の新判定基準のスコアに前年度の出席率(利用日数/開所日数)を掛けた点数の医療的ケア児全員の合計点数が72点以上になること
  • 医療的ケア児に対して支援を提供することができる旨を公表していること

家庭連携加算、訪問支援特別加算

家族支援の充実を図るため、訪問支援特別加算が家庭連携加算に統合され、算定回数の見直しが行われました。

現行 改定後
家庭連携加算(月2回を限度)
イ(1時間未満):187単位
ロ(1時間以上):280単位
訪問支援特別加算(月2回を限度)
イ(1時間未満):187単位
ロ(1時間以上):280単位
家庭連携加算(月4回を限度)
イ(1時間未満):187単位
ロ(1時間以上):280単位
※単位数に変更なし

食事提供加算

令和2年度末までの経過措置とされていた食事提供体制加算について、栄養面など障害児者の特性に応じた配慮や食育的な観点など別の評価軸で評価することも考えられるかという点も含め、他制度とのバランス、在宅で生活する障害者との公平性等の観点も踏まえ、更に検討を深める必要があることから、経過措置が延長されることになりました。

事業所内相談支援加算

事業所内相談支援加算について、家族支援の充実から単位数の見直しが行われ、また個別の相談援助だけではなく、グループでの面談等でも算定できる区分が新設されました。

現行 改定後
事業所内相談支援加算:35単位/回 事業所内相談支援加算(Ⅰ):100単位/回
なし 事業所内相談支援加算(Ⅱ):80単位/回

個別サポート加算

著しく重度及び行動上の課題のあるケアニーズの高い障害児、虐待等の要保護・要支援児童への支援を充実させる観点から、これらに該当する障害児を受け入れたことを評価する個別サポート加算が新設されました。

個別サポート加算(Ⅰ):100単位/月

個別サポート加算(Ⅱ):125単位/月

個別サポート加算(Ⅰ)の算定要件

就学児サポート調査表のうち、以下のいずれかに該当すると市町村が認めた障害児であること

  • 4歳未満であって、食事、排せつ、入浴及び移動の項目のうち、2以上の項目について全介助を必要とする又は一部介助を必要とするの区分に該当すること
  • 3歳以上であって、食事、排せつ、入浴及び移動の項目のうち、1以上の項目について全介助を必要とする又は一部介助を必要とするの区分に該当し、かつ、同表の食事、排せつ、入浴及び移動以外の項目のうち、1以上の項目についてほぼ毎日支援が必要又は週に1回以上支援が必要の区分に該当すること

個別サポート加算(Ⅱ)の算定要件

  • 児童相談所や母子健康包括支援センター等の公的機関、要保護児童対策地域協議会又は医師と、障害児が要保護児童又は要支援児童であるとの認識や、障害児への支援の状況等を共有しつつ支援を行うこと
  • 連携先機関等との共有は、年に1回以上行うこととし、その記録を文書で保管すること
  • 連携先機関等と障害児への支援の状況等について共有しながら支援をしていくことについて、児童発達支援計画に位置づけ、通所給付決定保護者の同意を得ること
  • 市町村から、連携先機関等との連携や、障害児への支援の状況等について確認があったときは、当該状況等について回答すること

医療連携体制加算

医療連携体制加算については、医療的ケアの単価を充実させ、健康観察等の非医療的ケアの単価を適正化し、また、複数の利用者を対象とする健康観察等について短時間の区分が新設されました。

区分 単位数 詳細
医療連携体制加算(Ⅰ) 32単位 医療的ケアを必要としない利用者
看護の提供時間が1時間未満
医療連携体制加算(Ⅱ) 63単位 医療的ケアを必要としない利用者
看護の提供時間が1時間以上2時間未満
医療連携体制加算(Ⅲ) 125単位 医療的ケアを必要としない利用者
看護の提供時間が2時間以上
医療連携体制加算(Ⅳ) 利用者が1人:800単位
利用者が2人:500単位
利用者が3人以上8人以下:400単位
医療的ケアを必要とする利用者
看護の提供時間が4時間未満
医療連携体制加算(Ⅴ) 利用者が1人:1,600単位
利用者が2人:960単位
利用者が3人以上8人以下:800単位
医療的ケアを必要とする利用者
看護の提供時間が4時間以上
医療連携体制加算(Ⅵ) 500単位 看護職員が認定特定行為業務従事者に喀痰吸引等に係る指導を行った場合
医療連携体制加算(Ⅶ) 100単位 喀痰吸引等が必要な者に対して、認定特定行為業務従事者が、
医療機関等との連携により、喀痰吸引等を行った場合

福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算

福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算について、加算率の見直しが行われました。

そして、福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである職場環境等要件について、『取組の見直し』と『当該年度における取組の実施』の変更があり、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の配分ルールについて見直しが行われました。

また、福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)と(Ⅴ)の区分について、上位区分の算定が進んでいることを踏まえて、1年の経過措置期間を設けて廃止することになりました。

福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の加算率

区分 現行 改定後
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ) 76/1000 81/1000
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅱ) 56/1000 59/1000
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ) 31/1000 33/1000
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ) (Ⅲ)90/1000 (Ⅲ)90/1000
福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅴ) (Ⅲ)80/1000 (Ⅲ)80/1000
福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ) 25/1000 13/1000
福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ) 22/1000 10/1000

職場環境等要件の見直しの方向性

  • 職員の新規採用や定着促進に資する取組
  • 職員のキャリアアップに資する取組
  • 両立支援・多様な働き方の推進に資する取組
  • 腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組
  • 生産性の向上につながる取組
  • 仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取組

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の配分ルールの変更

平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の障害福祉人材」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で以下の改定が行われました。

【現行】「経験・技能のある障害福祉人材」は「その他の障害福祉人材」の「2倍以上とすること」

【改定後】「経験・技能のある障害福祉人材」は「その他の障害福祉人材」より「高くすること」

※厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」より引用

児童発達支援の介護報酬に係るその他の改定

障害福祉現場の業務効率化を図るためのICTの活用

障害福祉現場の業務効率化を図るため、運営基準や報酬算定上必要となる委員会等、身体的接触を伴わない又は必ずしも対面で提供する必要のない支援について、テレビ電話装置等を用いた支援が可能であることが明確化されました。

【対象となる会議の例】

  • 感染症・食中毒の予防のための対策検討委員会
  • 身体拘束等の適正化のための対策検討委員会
  • 虐待防止のための対策検討委員会
  • 個別支援計画作成等に係る担当者等会議
  • 関係機関連携加算の算定に要する会議

児童発達支援の人員、設備、運営の基準、その他の改定

非常災害対策

運営基準に非常災害対策の訓練の実施にあたって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めることが求められることになりました。

看護職員の基準人員の取扱い

医療的ケアを行う必要がある場合に配置する看護職員については、現行の機能訓練担当職員の配置要件と同様に、配置基準上必要となる従業者の員数に看護職員を含めてよいことになりました。ただし、「医療的ケア児」の基本報酬、医療連携体制加算、看護職員加配加算により配置する看護職員は除きます。

また、児童発達支援センター(主として難聴児・重症心身障害児を通わせる場合を除く。)は、機能訓練担当職員及び看護職員を児童指導員等の員数に含める場合、その半数は児童指導員又は保育士でなければならないとされています。

障害福祉サービス経験者の人員基準

専門性及び質の向上に向けて、現行の障害福祉サービス経験者が廃止され、「児童指導員又は保育士の合計数が、障害児の数の区分に応じ、それぞれ定める数以上となるよう配置」に見直されました。(令和3年3月31日時点で、指定を受けている事業所については2年間の経過措置あり)

最後に

本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開されますので、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。

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放課後等デイサービスの2021年度障害福祉サービス報酬改定

児童発達支援の2021年度障害福祉サービス報酬改定

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