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開業マニュアル

事業計画の策定

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※事業計画は融資をご希望の方以外も作成が必要です。

開業に向けて必ず一番初めに行わなければならないのが事業計画の策定です。

事業計画とは、事業を経営することで成し遂げたい目的(例:要介護状態になっても住み慣れた街で暮らし続けることが出来る街を作る)を明確にし、その目的達成への道筋として、収支計画などの目標を可視化するための計画です。

なぜ事業計画の策定が必要?

介護・障害福祉の事業所を開業される方の中には、「理想のサービス提供さえ出来れば、儲けはそこまで出なくてもよいので事業計画は不要だ」と考えられる方もいらっしゃいます。

ですが、いくら理想的な事業目的を掲げても、そこに到達するためには、ある程度事業を継続させなければなりません。その為には、資金繰りを含む収支計画などの事業計画が必要となります。もしこの計画がなければ目的に近づくことは出来ず、むしろその前に経営困難に陥ってしまい最悪の場合、倒産という事態を招いてしまう恐れがあります。

だからこそ、開業をする全ての方がまずはじめに事業計画を作ることが欠かせません。 以下にて、さらに詳しい事業計画の内容と策定時のポイントについて見ていきましょう。

具体的な事業計画の内容は?

先ほど、事業計画は「事業を経営することで成し遂げたい目的(例:要介護状態になっても住み慣れた街で暮らし続けることが出来る街を作る)を明確にし、その目的達成への道筋として、収支計画などの目標を可視化するための計画」と述べましたが、具体的に検討すべき要素は以下のようなものが挙げられます。

  1. 事業理念や事業概要
  2. ターゲット層などの市場調査
  3. 競合環境とその中での戦い方
  4. その他想定リスクと対策
  5. 収支計画 など

そして、これらの要素を具体的に資料に落とす際に作成するのが「事業計画書」と「現金収支計画書」になります。事業計画書はこれまで挙げた要素を全て含み、現金収支計画書は事業計画書の中でも「収支計画」についてより詳細にまとめた書類という位置付けです。

※青字をクリックいただくと、ファイルがダウンロード出来ます。
※ExcelやPowerPointのため、パソコンでご確認ください。

▼ひな形

  • 事業計画書
    サービス内容や現金収支計画表を実現するためのビジネスモデルの計画書類
  • 現金収支計画書
    毎月の売上・費用・手元資金などの収支計画をまとめた書類
補足:日本政策金融公庫に融資を申請する場合の追加書類

なお、日本政策金融公庫で融資の申請を希望される場合は、上記書類に加えて創業計画書などの書類も作成する必要があります。

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具体的には、過去に2期以上介護・障害福祉の事業所経営の実績がない場合は創業計画書を、2期以上介護・障害福祉の事業所経営の実績がある場合は企業概要書と設備投資計画書の作成が必須です。

特に開業経験がある場合、事業の状況により必要書類は異なることがあるため、詳細については日本政策金融公庫の担当者へご確認ください。

※青字をクリックいただくと、ファイルがダウンロード出来ます。
※ExcelやPowerPointのため、パソコンでご確認ください。



▼ひな形



▼創業計画書の記載例



▼設備投資計画書の記載例

収支計画書の作成ポイントは?

事業計画の中でも、収支計画書は毎月の経営について金銭的な計画を立てなければならず、非常に難易度の高いものになります。細々とした項目が並ぶ収支計画書ですが、最終的に重要なのは以下の問いに明確に答えられるようになることです。

  • ①事業を継続するために毎月の利益はいくらを目標とすべきか?
  • ②その目標の利益はどのように実現するか?
  • ③毎月の利益も踏まえ、開業前にどれだけの資金を準備しておくべきか?

以下、上記の重要ポイントについてそれぞれ深掘りしていきましょう。

①事業を継続するために毎月の利益はいくらを目標とすべきか?

ご存じの通り、利益とは売上と費用の差分を指し、あまりに売上が少なく費用を下回る(=赤字)と事業は継続出来ません。また、ややこしいことに介護・障害福祉事業は売上の約7~9割を占める保険料は売上が立ってから現金回収が出来るまでに約2か月間かかるため、黒字であっても一定以上の利益を確保出来ないと手元に資金がなくなり倒産してしまいます。

収支計画では、この毎月の必要な利益を算出するために、そもそも事業運営に必要な費用はいくらか、そしてそれを支える売上はいくらを見込むかというように細かく計画を立てていきます。

利益の構造

利益=売上ー費用

②その目標の利益はどのように実現するか?

先に述べた「実現可能な売上」に通ずることですが、利益目標は全てその根拠を示せなければなりません。

例えば、売上に関してはどのようにそれを実現出来るのか、売上構造をきちんと理解したうえで作成しなければなりません。売上構造はサービス種類により下記のように異なります。

居宅介護支援:利用者数×平均単価/人.

その他のサービス種類:利用者数×平均利用回数/人×1利用あたり平均単価
※具体的には訪問介護・訪問看護・通所介護・障害児通所支援が含まれます。

そのうえで、なぜその利用者数や平均単価などが見込めるかという点は根拠を持って説明出来る必要があります。利用者数であれば新規の利用者はどのように獲得するか、具体的な営業計画まで深掘り説明する必要があるでしょう。その際に、そもそも開業地域に利用者となりうる人がどのくらいいるのか、競合との競争やその他リスクに打ち勝つためにどのような戦略をとるかといった点も考慮しましょう。また、単価については実際に提供するサービス内容や利用者像により異なります。

同様に、費用についてもざっくりと何となくの数字を出すのではなく、開業に必要な費目を洗い出したうえでそれぞれ実際の相場や見積もりを踏まえた妥当な金額を計上しなければなりません。主な費目は下記の通りです。
※融資希望の方は下記に加え、支払利子や元金返済なども必要となります

  • 人件費:職員に支払う給与(法定福利費を含む)など
  • 採用費:職員の追加求人を行うための広告費など
  • 家賃:事業所にかかる家賃など
  • 駐車場代:事務所車両の駐車場代など
  • リース料:車両や大型設備などのリース料金など
  • 水道光熱費:事業所の水道光熱費
  • 通信費:事業所の通信費、職員の法人用携帯電話料金、インターネット費用など
  • 旅費交通費:職員の交通費や車両のガソリン代など
  • 消耗品費:サービス提供に必要な消耗品費など(一般に10万円未満の備品を指す)
③毎月の利益も踏まえ、開業前にどれだけの資金を準備しておくべきか?

事業計画というと売上・費用・利益の話ばかりに気をとられてしまいがちですが、実は同じくらい重要になるのが「いくら資金準備が必要か」という資金繰りです。

大前提として、介護・障害福祉の事業所は開業後すぐに黒字化に必要なだけの利用者数を確保出来ることは(既存の事業所から数十名以上の利用者を全員そのまま引き継ぐといった例外を除き)ほぼありません。ということは、開業後しばらくは赤字を覚悟で経営することになります。また前述のように、売上の約7~9割はサービス提供から実際に手元に入るまでに約2か月間の時差があり、売上はあってもしばらくはそれを費用に充てることが出来ません。

そのため、軌道に乗るまでに必要な資金は事前に調達しておかないと、開業後すぐに潰れてしまいます。また、開業後に赤字になったり資金繰りが苦しくなってから融資を希望しても、金融機関側は貸し倒れリスクを懸念し、なかなか希望通りの融資はおりません。

これらのことから、介護・障害福祉事業の開業にあたり、いかに開業前に必要な資金額を理解し準備しておくかは非常に重要です。事業計画の策定では、利益目標をベースに毎月手元の現金がいくらかという収支計画もきちんと策定したうえで、その現金がマイナスになってしまわないよう開業前に準備しておくべき資金額を算出しましょう。

事業計画策定に困った場合は?

初めて開業される多くのお客様にとって、事業計画の作成は初めての経験かと思います。これまでに述べてきたような完璧な事業計画を作るのは様々な観点から深く検討する必要があり、なかなか難しい作業です。

そのため、作成方法に自信がない方や、作成はしてみたが妥当な計画書となっているか不安な方は事業計画作成支援コンサルのご活用をおすすめしています。

事業計画作成支援コンサルでは、介護事業所専門のコンサルタントがお客様のご状況をヒアリングしたうえで、開業へ向けて必要となる事業計画書や収支計画書、また創業計画書の作成支援を行います。融資をご希望の方については、納品物は日本政策金融公庫への提出書類としてご利用いただくことが可能になります。また、プランによっては開業地域周辺のマーケット調査や営業先リストのお渡しが可能です。詳細はカイポケ開業支援担当者にお問い合わせください。
※事業計画作成支援コンサルは訪問介護・訪問看護・通所介護(1回転)のみの対応です。

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