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開業マニュアル

サービス種類別の一般的な設備基準

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開業にあたり確認すべき設備基準には大きく、介護・障害福祉の法律に基づく基準と介護・障害福祉の法律以外の関連法規に基づく基準の2つが存在します。

介護・障害福祉の法律に基づく基準

介護・障害福祉の法律(介護保険法・障害者総合支援法・児童福祉法)に基づく基準については、開業するサービス種類により異なります。以下ではサービス種類毎の一般的な基準を記載します。

居宅介護支援の場合

※指定申請先の指定権者により具体的な基準は異なるため、必ず直接窓口へ確認ください

設備 主な指導事項
事務室
  • 事務を行うのに適した事務室
  • 介護支援専門員の人数分以上の机と椅子を備えていること
  • 鍵付き書庫、電話・FAX、パソコン、複合機を備えていること
相談室
  • プライバシーが確保出来るなど相談を受けるのに適した相談室であること
  • 車イスをご利用の相談者が来所されることも想定されるため、車イスの取り回しが可能な広さを確保すること
  • 机と椅子を備えていること
  • 相談者のプライバシーの確保の観点から、原則、個室とする
  • プライバシーの確保、話声、その他の雑音などが聞こえない、相談することに相応しい環境が整えられる場合にはパーテーションなどで囲い、他の部屋の中に設置することは可能
会議室
  • サービス担当者会議などを行うのに適した会議室を用意すること
  • 車イスをご利用の方がサービス担当者会議参加のため来所されることも想定されるため、車イスの取り回しが可能な広さを確保すること
  • 机と椅子(4脚以上)を備えていること
  • 会議室は、サービス担当者会議などの性格から、原則、個室とする
  • プライバシーの確保、話声、その他の雑音などが聞こえない、会議することに相応しい環境が整えられる場合にはパーテーションなどで囲い、他の部屋の中に設置することは可能

※横浜市介護事業指導課発行「居宅サービス事業等における設備等のガイドライン」より一部抜粋をして作成。また、サービス種類での違いに加えて、同じサービス種類でも広さや利用者のプライベートの確保方法など、細かな違いが指定権者毎にある可能性があります。


自宅を事業所とする場合は、営業時間帯は事業所の専有となり、営業時間帯は家族などが使用することは出来なくなります。具体的に専有部分となるのは事務室、相談室、会議室です。


訪問介護・訪問看護の場合

※指定申請先の指定権者により具体的な基準は異なるため、必ず直接窓口へ確認ください

設備 主な指導事項
事務室
  • 事業の運営を行うために必要な専用の区画の確保
    ○事務を行える机を1つ以上確保すること
    ○他事業と事務室が同一の場合、当該事業専用の事務机が1つ以上確保されていること
    ○個人情報を保管するための措置として、鍵のかかる書庫の配置をすること
相談スペース
  • 相談スペースの確保
    ○相談などに対応するために机や椅子の配置があること
    ○プライバシー確保のため、個室又はパーテーションなどで仕切られ、外部からの視線を遮断出来る形状・しつらえであること
手指洗浄場所
  • 専用の手指洗浄場所の確保
    ○やむをえず共用する場合は、感染症予防対策をとること

※東京都福祉保健局新規指定前研修資料「各サービスにおいて、条例等で定められた設備基準【概略】」より抜粋し、一部内容に合わせて変更して表示しています。また、サービス種類での違いに加えて、同じサービス種類でも広さや利用者のプライベートの確保方法など、細かな違いが指定権者毎にある可能性があります。



※自宅併設の場合

  • 指定事業所と混在することなく、専有の区画であること
  • 個人の住宅と事業所の動線が交わらない形状で、出入り口を別々に設けること
    (双方で使用するスペースを通過することがないこと)


※同一敷地内に複数の事業所が併設されている場合

  • 施設全体が分かる図面が添付されており、申請の事業所の位置がその中で分かるように表示すること
通所介護の場合

※指定申請先の指定権者により具体的な基準は異なるため、必ず直接窓口へ確認ください

設備 主な指導事項
事務室
  • 事務室の確保
    ○事務を行える机を1つ以上確保すること
    ○他事業と事務室が同一の場合、当該事業専用の事務机が1つ以上確保されていること
    ○個人情報を保管するための措置として、鍵のかかる書庫の配置をすること
食堂及び
機能訓練室
  • 3㎡×利用定員以上の面積の確保
    ○狭隘な部屋、スペースを合わせて面積を確保することは不可
    ○面積に算入出来ない設備の規定(静養室、事務室(事務スペース)、玄関部分、通路・廊下部分、厨房、出入口のスロープなど利用者の円滑な移動のために傾斜が付けられている部分など)
相談室
  • 遮蔽物の設置などにより相談の内容が漏洩しない環境
    ○相談などに対応するために机や椅子の配置があること
    ○プライバシー確保のため、個室又はパーテーションなどで仕切られ、外部からの視線を遮断出来る形状・しつらえであること
静養室
  • 静養室の設置
    ○個室又はカーテンなどで仕切られた形状であり、静養出来る設備
その他
  • トイレ、手洗い、浴室の確保など

※東京都福祉保健局新規指定前研修資料「各サービスにおいて、条例等で定められた設備基準【概略】」より抜粋し、一部内容に合わせて変更して表示しています。また、サービス種類での違いに加えて、同じサービス種類でも広さや利用者のプライベートの確保方法など細かな違いが指定権者毎にある可能性があります。



児童発達支援・放課後等デイサービスの場合

※指定申請先の指定権者により具体的な基準は異なるため、必ず直接窓口へ確認ください

設備 主な指導事項
事務室
4~5㎡以上
  • 児童が入らないよう工夫すること
  • 原則、部屋を用意すること・個人情報の流出がないよう配慮すること(固定パーテーションやカウンターなどで指導訓練室などと区切る場合は安全性にも配慮すること)
  • 鍵付書庫を設置すること
指導訓練室
  • 児童発達支援事業を実施する場合、児童一人当たり3㎡以上・放課後等デイサービスを実施する場合は、児童一人当たり4㎡以上※両事業とも最低定員は10名。集団活動が行えるよう、死角のない指導員の目が届く1つの空間で児童発達支援事業であれば30㎡以上、放課後等デイサービスであれば40㎡以上の広さが必要 (廊下、玄関、キッチンなどはこの面積に含めない)。
    ※主たる対象を重症心身障害児とする場合は最低定員5名
  • 指導訓練室内の蛍光灯は飛散防止措置をとり、コンセントにカバーを付けること
  • カーテンなどを設置する場合、防炎のものにすること
  • 指導訓練室内にロッカーや棚などを設置する場合は、転倒防止を行うこと
相談室
  • 相談者や相談内容などが外部に漏れないよう配慮すること
  • 原則、部屋を用意すること(固定パーテーションなどで指導訓練室などと区切る場合は安全性に配慮すること)
トイレ
  • 定員に応じた個数があり、利用児童の障害状況や程度に合わせて必要な対応をすること
  • 2か所以上ある方が好ましい
  • 外部者が出入り出来る共用のものではなく専用のものにすること
洗面設備
  • 衛生管理に配慮すること(手洗い・うがいをする設備、トイレ後の手洗いをする設備、コップなどを洗う設備を別に確保する)

※東京都福祉保健局障碍者施策推進部発行「児童発達支援事業・放課後等デイサービス事業の基準等について」より一部抜粋をして作成。また、サービス種類での違いに加えて、同じサービス種類でも広さや利用者のプライベートの確保方法など細かな違いが指定権者毎にある可能性があります。



補足:サービス種類別の必要設備・備品一覧

※指定申請先の指定権者により具体的な基準は異なるため、必ず直接窓口へ確認ください



〇:必須、△:必須ではないが設置が望ましい

必要な設備・備品一覧 居宅介護支援 訪問介護 訪問看護 通所介護 障害児通所
事務室
相談室
会議室
洗面台
トイレ
食堂・厨房
食事有
機能訓練室
静養室
入浴設備
入浴有
消火設備
感染予防設備 手指消毒設備
減菌装置 ※1
医療廃棄物の保管庫
送迎車両
鍵付き書庫、FAX、複合機など
下駄箱、利用者用収納

※横浜市 介護事業指導課発行「居宅サービス事業等における設備等のガイドライン」より一部抜粋をして作成。また、サービス種類での違いに加えて、同じサービス種類でも広さや利用者のプライベートの確保方法など細かな違いが指定権者毎にある可能性があります。

※1:滅菌装置を設置する場合は平面図への記載が必要です。詳細は指定権者にご確認ください。

介護・障害福祉の法律以外の関連法規に基づく基準

開業予定のサービス種類についての設備基準の確認に加えて、その他関連法規の条件を満たすことも忘れないようにしましょう。ここでいうその他関連法規とは、都市計画法、建築基準法、消防法の3法令です。

以下に、選定の基準となる大事な要素を提示しています。物件の情報収集する際には下記の情報についても指定権者に必ず確認をするようにしましょう。

都市計画法:建物の立地が都市計画法上の規制区域でないか

介護事業の設立・開業を検討時の確認事項として、都市計画法上の営業規制区域でないかどうかの確認が必要です。都市計画法では、次の通り区分しています。

都市計画区域 市街化地域 既に市街地または10年以内に市街化予定の地域
市街化調整区域 市街化を抑制する地域
都市計画区域外 都市計画がなされていない地域

原則として市街化調整区域または都市計画区域外では事業を営むことが出来ません。

市街化区域は既に市街地になっている、または10年以内に市街化を計画している区域のことをいいます。厳密にはそこからさらに13の用途地域に分かれており、それぞれの地域で建物の用途について制限があります。開業予定の事業所が都市計画法上、営業規制にかかっていないか指定権者となる自治体の担当部署で確認しましょう。

建築基準法:使用部分の床面積が200㎡を超えないか

建築基準法では建物の用途を変更して特殊建築物にする場合、用途変更確認申請が必要となります。通所介護や放課後等デイサービスなどの事業においては、全てが特殊建築物に該当します。ただし、変更対象部分が200㎡以下または類似用途間の変更の場合は、用途変更確認申請は不要となります。

例えば事務所使用のテナントビルのワンフロアを賃借りし、その床面積が200㎡を超える場合は「事務所」から「介護福祉施設」での用途変更確認申請が必要となります。

用途変更確認申請は建築士などの専門家に依頼する必要があるため、余分な費用が生じることを予め理解したうえで物件探しを行う必要があります。

建築基準法:建築確認済証、検査済証が備わっているか

事業所として使用する建物の建築確認済証、検査済証が提出出来るか確認しておく必要があります。

建築確認済証 建築基準法に基づく設計であることの証明
検査済証 設計通りの建築であることの証明

所有者がそれぞれの書類の写しを提供してくれる場合は問題ありませんが、次の場合には対処が必要となります。

①所有者が紛失している場合:
指定権者の建築指導課(名称は各々異なる)などに「建築計画概要書」を請求し、建築確認番号、検査済証番号が確認出来れば問題ない場合があります。

②証書が無い、または建築後建築確認を受けずに増改築をしている場合:
1、2級建築士に当該物件の耐震診断を依頼し、診断証明書を作成してもらう必要があり、そのための追加の費用が生じる場合があります。

消防法:消防法上の基準をクリアしているか

消防法上の建物基準について、現状は当該建物の消防設備に不備がなくても、介護・障害福祉の事業所がテナント入居することにより、建物全体で備えるべき消防設備が違法状態になる可能性があります。その問題を未然に防ぐため、営業許可(指定)申請前に管轄の消防署における事前相談が義務付けられています。その際、設置すべき消防設備の説明、および防火対象物使用開始届の提出タイミングについての指示を受けましょう。

また、消防設備の設置義務が課せられるのは建物の所有者となります。テナントとして借りる物件に新たに消防設備の設置が必要な場合は、その支払いをどちらが負担するかについても確認をしておきましょう。

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