ケアハウスの指定基準について



介護事業で、開業・新規事業の⽴ち上げを考えている経営者の皆さま。
最も⼤変なことは⼈員・設備的要件を確認し、指定申請(及びその事前協議)に向けて体制を整えることでしょう。⽬標までに開業できなければ⼤変なロスになりますし、開業後、指定基準を満たさないようであれば⼤問題です。

今回は、ケアハウスの⼈員基準・設備基準・運営基準に関して、国が定めている基準、地⽅⾃治体が条例で定めているもの等に区分して、具体的に説明します。
ご⼀読し、ぜひ今後の経営にお役⽴てください。

ケアハウス 指定基準

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目次

ケアハウスの指定基準とは

ケアハウスは「軽費⽼⼈ホームC型」と呼ばれることもある施設です。軽費⽼⼈ホームは、家庭環境や住宅事情、経済状況などの理由から、居宅において⽣活することが困難な⾼齢者が、⾃⽴した⽣活を送れるように制度化した低所得者向けの施設です。

経費老人ホームは、従来はA型・B型と二つの類型がありました。軽費⽼⼈ホームA型・B型は、介護保険法施⾏のはるか以前に、社会福祉法に基づき建設された古いものがほとんどで、近年はケアハウスの建設や⼊居者が伸びています。国も軽費⽼⼈ホームをケアハウスに⼀本化する⽅針です。背景には、介護度が⾼い⾼齢者が増加していることがあげられます。

軽費⽼⼈ホームA型は⾷事提供、⽣活⽀援サービスを提供しますが、B型は提供せず、⾃⽴した⽣活を送れる⼈向けの住居としての意義が⼤きい施設です。また、A型・B型ともに基本的な役割は「⽣活」のサポートであり、常時介護が必要な状態になった場合、退去しなければならない可能性もあります。

⼀⽅、C型つまりケアハウスには「⼀般型」と「介護型」があります。介護型ケアハウスは24 時間介護が可能な「特定施設⼊居者⽣活介護」の指定を受けたもので、要介護者等が対象の軽費⽼⼈ホームとも⾔えます。介護型であれば、要介護度が⾼くなっても住み続けることができる可能性が⾼いので、⼊居者にとっては安⼼な施設です。

ケアハウスの指定基準には、⼈員基準・設備基準・運営基準があります。
指定基準は、従来、老人福祉法により厚⽣労働省令(国の基準)で定められていましたが、2011 年の法改正で、指定権者(都道府県知事⼜は市町村⻑)が条例で定めています。
本記事では、介護型ケアハウスとして介護保険法で特定施設⼊居者⽣活介護事業者の指定を受けることを前提に、国及び指定権者が定める指定基準を後半で紹介します。

ケアハウスの指定基準を守らなかった場合どうなる?

ケアハウスの指定基準を守らなかった場合、⾏政処分の対象となります。すべての介護事業者は、⾏政から以下の指導を受けます。

① 集団指導

年に1回の実地指導前に、指定・指導権者が介護事業者を会場に集めて、遵守すべき法令の内容、各種サービス提供の取り扱い、介護報酬請求に関する事項等を伝達します。「実地指導に備えて、きちんと事業を⾏なっているか確認しなさい」ということです。

② 実地指導

集団指導の後に、数年に1回の実地指導があります。⾏政職員は、書類等のチェックや⼝頭でのヒアリングを⾏います。あくまでも、この段階では「指導」です。ですから、実地指導で虐待などの著しい運営基準違反があった場合、また不正が発覚した場合や、不正を⾏なっている可能性が極めて⾼いと判断された場合は、監査を実施されることになります。

③ 監査

監査は、実地指導の結果(あるいは利⽤者や家族、その他関係者などから寄せられた苦情など)、基準違反や不正請求の疑いがある際に、実施されるものです。
実地指導後の数週間以内に「実地指導結果報告書」が指定権者から送付されます。

「指導項⽬」、「改善項⽬」及びその理由について記載されています。1 カ⽉以内に改善結果を「実地指導に基づく改善結果報告書」としてまとめ、指定権者に提出しなければなりません。事業所から実地指導に対する改善結果報告が⾏われない場合、数週間以内に監査が⾏われます。

つまり、実地指導の際に「怪しい」と判断され、改善されていないと判断されて監査となるのは、よほどのことなのです。

④ ⾏政処分

⾏政処分には、「指定取消」、「全部停⽌」、「⼀部停⽌」(いずれも⼀定期間の営業停⽌に相当)があります。指定取消はもちろんのこと、「全部停⽌」、「⼀部停⽌」も経営にとっては⼤きな打撃になります。

処分理由では、介護保険の不正請求が約3割超と最も多いのですが、運営基準違反と⼈員基準違反が次に多く、合わせて約3割弱になります。つまり、指定基準の違反は重い⾏政処分になる可能性が⾼いのです。⼈員基準違反は、スタッフの離職などでおこりやすいので、常に注意しておくべきです。

ケアハウスの指定基準【人員基準】

ケアハウスの指定基準のうち⼈員基準(資格要件含む)について述べます。
「常勤」とは、当該ケアハウスで定めている常勤(雇用形態は問いません)の職員が勤務しなければいけない時間数(少なくとも32 時間以上)に達していることです。また、兼務が認められる場合であっても、⼊居者へ直接サービスを提供する⽣活相談員や介護職員は兼務を認めるべきではないとされています(厚⽣労働省局⻑通知)。

① 施設⻑(管理者)

老人福祉法の規定で、施設⻑(1⼈)は、社会福祉⼠などの有資格者あるいは社会福祉事業に2年以上従事した者でなければなりません。有資格でない、あるいは経験がない場合は、社会福祉施設⻑資格認定講習会(通信授業6カ⽉・⾯接授業5⽇間)を受講する必要があります。
兼務も認められていますが、同⼀施設内の社会福祉施設に限られています。

② ⽣活相談員

⼊居者(要⽀援者と要介護者の合計)100⼈ごとに1⼈配置が必要です。有資格者であることが必要で、国が定める社会福祉主事任⽤資格者、社会福祉⼠、精神保健福祉⼠などです。自治体によっては、条例で介護⽀援専⾨員(ケアマネージャー)、介護福祉⼠、⽼⼈福祉施設の施設⻑経験者、⼀定期間以上の介護職経験のある⼈などを定めている場合があります。

③ 看護職員・介護職員

要⽀援者10⼈につき1⼈、要介護者3⼈につき1⼈配置が必要です。このうち看護職員は30⼈までは1⼈、30⼈を超える場合は50⼈ごとに1⼈配置が必要です。介護職員のうち1⼈以上は、常勤でなければなりません。

④ 機能訓練指導員

1⼈以上の配置が必要で、兼務も認められています。柔道整復師、作業療法⼠・理学療法⼠、⾔語聴覚⼠、あんまマッサージ指圧師、看護師、准看護師の資格が必要です。

⑤ 計画作成担当者

つまりケアマネージャーです。⼊居者(要⽀援者と要介護者の合計)100⼈ごとに1⼈配置が必要です。介護⽀援専⾨員の資格が必要で、兼務も可能です。
上記の他にも、条例で事務員、栄養⼠、調理員、その他の職員の配置を求めている場合があります。

ケアハウスの指定基準【設備基準】

ケアハウスの設備基準は、次のとおりです。

① 介護居室

1⼈⽤の居室の床⾯積は21.6 ㎡以上(居室内に設けるべき洗⾯所、便所、収納設備及び簡易な調理設備を除いた⾯積は14.85 ㎡以上)、2⼈⽤の居室とする場合は31.9 ㎡以上です。
居室は地下に設けてはならないこと、緊急の連絡のためのブザー⼜はこれに代わる設備を設けることが定められています。

ただし、10程度数の居室に近接して設けられる共同⽣活室(当該居室の⼊所者が談話室、娯楽室⼜は集会室及び⾷堂として使⽤することが可能な部屋をいう。以下この項において同じ。)がある区画の居室は、1⼈⽤15.63 ㎡以上、2⼈⽤23.45 ㎡以上となっており、共同⽣活室ごとに便所及び調理設備を適当数設ける場合にあっては、居室ごとの便所及び簡易な調理設備を設けないことができます。

② ⼀時介護室

介護を⾏なうために適当な広さがあること。

③ 浴室

⾝体が不⾃由な⼊居者が⼊浴するのに適したものであること。

④ 便所

居室のある階ごとに設置し、⾮常⽤設備を備えること。

⑤ ⾷堂・機能訓練室

機能を⼗分に発揮できる適当な広さがあること。

⑥ 施設全体

利⽤者が⾞いすで円滑に利⽤できる空間と構造であること。施設内に⼀⻫に放送できる設備を設置すること。居室が2 階以上にある場合は、エレベーターを設けること。


以上のように、居室以外にはあまり具体的な基準が定められていません。「適したもの」であるかどうかは、指定権者の「裁量」に任されているのです。
条例では、この部分について細かな定めがあったり、職員の裁量に任されていたりします。各地域により異なりますので、指定権者への確認が必要です。

ケアハウスの指定基準【運営基準】

特定施設⼊居者⽣活介護を⾏う介護型ケアハウスでは、特定施設の介護支援専門員がケアプランを作成し、特定施設の職員が介護サービス提供を⾏なうことが多くありますが、外部のサービス事業所を利用することもあります。それ以外のサービスは現物給付が基本になります(基準価格との差額を利⽤者から徴収できます)。

介護型ケアハウスの介護保険の運営については単純で、介護サービスの提供についての運営基準は⼀般的な介護サービスに準じ、国が定めているものは次のとおりになります。

① 運営規程を定める

施設の運営についての重要事項に関する規程(運営規程)を定めておく必要があります。
一  事業の目的及び運営の方針
二  特定施設従業者の職種、員数及び職務内容
三  入居定員及び居室数
四  指定特定施設入居者生活介護の内容及び利用料その他の費用の額
五  利用者が介護居室又は一時介護室に移る場合の条件及び手続
六  施設の利用に当たっての留意事項
七  緊急時等における対応方法
八  非常災害対策
九  その他運営に関する重要事項

② ⾮常災害対策

消⽕設備やその他の⾮常災害に際して必要な設備を設けるとともに、⾮常災害に対する具体的計画を⽴て、⾮常災害時における関係機関への連絡、また連携体制を整備し、それらを定期的に職員に周知しなければなりません。また、⾮常災害に備えるため、定期的に避難、救出その他、必要な訓練を⾏なわなければなりません。

③ 記録の整備

設備や職員及び会計に関する諸記録を整備しなければなりません。また、⼊所者に提供するサービスの状況に関する記録等を整備し、その完結の⽇から2年間保存しなければなりません。

一 特定施設サービス計画
二 第百八十一条第二項に規定する提供した具体的なサービスの内容等の記録
三 第百八十三条第五項に規定する身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
四 第百九十条第三項に規定する結果等の記録
五 次条において準用する第二十六条に規定する市町村への通知に係る記録
六 次条において準用する第三十六条第二項に規定する苦情の内容等の記録
七 次条において準用する第三十七条第二項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
(条項等は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」によるもの)

留意点

特定施設⼊居者⽣活介護の指定基準をクリアし指定を受けても、6年ごとにその更新を受けなければ効⼒が失われてしまいます。つまり6 年に1 回は指定申請の更新が必要です。更新時には、基準に適しているかどうかや改善命令を受けた履歴などが確認されます。基準に従って適正な事業の運営をすることができないと認められると、たとえ監査で指定取消等にならなくても、指定の更新を拒否されることもあります。

また、上記の指定基準は介護型のケアハウスを前提として取り上げましたが、⾃⽴型ケアハウスの場合、もちろん施設職員による介護サービスは提供できません。また、介護型ケアハウスではないケアハウスが「介護(ケア)付き」、「介護(ケア)有り」といった表⽰を⾏なと景品表示法律違反で措置命令などの対象となります。とはいえ、特定施設⼊居者⽣活介護の指定を受けるためには、都道府県や市町村の総量規制が壁になる場合も想定されます。事業検討の段階から、指定権者との事前の相談や協議が必要です。

まとめ

軽費⽼⼈ホームは、もともと低所得の⾼齢者のための福祉施設として運営・運⽤されてきました。⾏政による⼊居者への⽀援あるいは事業主への⽀援もそれなりに⼿厚かったのです。⾼齢化が進み、なおかつ経済格差が拡⼤する中で、介護型ケアハウスの需要はますます⾼まると思われます。
この社会問題に臨まれる事業主の皆さまの参考になればと記しました。参考になられた方は、ぜひシェアをお願いします。

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