通所リハビリテーション(デイケア)の赤字はなぜ起こる?理由と対策を解説!
通所リハビリテーションの経営者・管理者様の中には、ご自身の事業所が赤字経営にならないか不安に思われている方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、通所リハビリテーションの近年の経営状況や、赤字になる理由や赤字にならないための対策を解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
目次
通所リハビリテーション(デイケア)の経営状況
通所リハビリテーションの平均収支差率
厚生労働省の『令和5年度介護事業経営実態調査結果の概要』によると、令和4年度における通所リハビリテーションの平均収支差率は1.8%でした。
令和3年度の-0.3%と比較すると、2.1ポイント上昇しています。
通所リハビリテーションの事業所数の推移
通所リハビリテーションの請求事業所数の推移は、令和2年度の8,188件をピークに、減少傾向にあります。
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介護給付費等実態統計 各年4月の請求事業所数から作成
通所リハビリテーションの赤字事業所の分布
厚生労働省の『令和5年介護事業経営実態調査結果』では、下記のように収支差率分布のグラフが示されており、赤字となっている事業所の収支差率は「0%~△5%」、「△5%~△10%」、「△10%~△15%」の範囲が多いようです。
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通所リハビリテーション(デイケア)が赤字になる理由
ここからは、通所リハビリテーションが赤字になる理由をご紹介します。
収入が不足している
通所リハビリテーションが赤字になる理由として、収入が不足していることが挙げられます。
通所リハビリテーションは、稼働率が低いと収入が少なくなります。
例えば、近隣に通所リハビリテーションや通所介護の事業所が多く、競争が激化している地域では、利用者数を確保できず、予定していた稼働率に達しないことがあります。
また、稼働率が低いこと以外にも、予定していた加算を取得できない場合なども収入に影響します。
支出が多い・増えている
支出が多いことも通所リハビリテーションが赤字になる理由のひとつです。
通所リハビリテーションには、医師やリハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)、看護職員、介護職員等の職員を配置しなくてはいけません。
介護業界では、人材不足から「職員の給与を上げなくては採用できない」や「人材紹介の手数料が高い」といったことが起きています。
また、物価高の影響により、食材、消耗品、ガソリン代、電気料金などが高騰しているので、想定していたよりも支出が増えてしまうということが起きます。
介護報酬改定による影響
通所リハビリテーションが赤字になる理由の一つに、介護報酬改定の影響があります。
介護報酬は3年に1度見直し(介護報酬改定)があり、改定内容によっては「これまで算定していた加算を算定できなくなる」や「これまでと同様の加算を算定するために職員を採用したり、やらなければならない業務が増える」といったことが起きることがあります。
通所リハビリテーション(デイケア)が赤字にならないための対策
赤字にならないためには次のような対策があります。
売上を増やす
赤字を防ぐためには、「売上を増やす取り組み」が重要です。
売上を増やす方法のひとつが、「稼働率を上げること」です。
稼働率を上げるためには、本体である介護老人保健施設や医療機関だけでなく、近隣の医療機関や居宅介護支援事業所との連携強化に取り組む必要があります。
また、今まで算定していない加算を算定したり、現在算定している加算の上位区分を算定できるように体制や取り組み等を見直すことで、収入を安定的に増やすことができます。
支出を減らす
赤字を防ぐためには、支出を減らすことも大切です。
例えば、職場環境を整備し、定着率を上げることで、採用にかかるコストや新人教育にかかるコストを抑えることができます。
職場環境を整備するには、有給休暇の取得促進、処遇改善加算の適切な活用(賃金アップ)などの取り組みが効果のある取り組みとされています。
また、経費を抑えるため、使用しているサービスや消耗品、購入先などの見直しをすることも有効です。
インターネット回線や電話のプラン、介護ソフト、電気の契約、節電・節水器具の導入、消耗品の変更、購入先の変更などを検討し、経費の支出を抑えましょう。
赤字が続いている場合は?
赤字経営が続くと、手元の運転資金が不足するようになります。
この場合、「売上を増やし、支出を減らす取り組み」と並行して、「資金繰りの対策」も必要になります。
ここでは、運転資金の資金調達の方法として、「ファクタリングサービス」と「金融機関からの借入」をご紹介します。
ファクタリングサービス
ファクタリングサービスは、介護報酬債権をファクタリング会社に売却することで早期に資金化できるサービスです。
つまり、通常であればサービスを提供した月の翌々月に国保連から支払われる介護報酬を早期に受け取ることができます。
入金のタイミングや手数料はファクタリング会社によって異なるので、導入前には確認が必要です。
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金融機関からの借入
運転資金が苦しくなった場合、銀行や日本政策金融公庫の融資、事業用カードローンなど、短期的な資金確保手段として「金融機関からの借入」を活用する方法もあります。
ただし、返済能力についての審査があるので、「資金が不足している理由」や「改善するための計画」などを根拠を提示して説明できないと審査に通らないことがあります。
まとめ
ここまで、通所リハビリテーションの近年の経営状況や、赤字になる理由や赤字にならないための対策などを解説してきました。
通所リハビリテーションの平均収支差率は『1.8%』となっていることから、利益を出すことができる事業ですが、赤字経営となってしまう事業所もあります。
赤字にならないためには、適切な事業計画・予算を作成し、『売上アップ』や『コストダウン』の取り組みを継続して実施していくことが重要です。
この記事でご紹介した内容が皆様の事業所運営のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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