通所リハビリテーション(デイケア)のアセスメントシートとは?書き方や記入例を紹介

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通所リハビリテーション事業所(デイケア)におけるアセスメントシートとは、利用者の健康状態や心身機能、活動の状況といった基本情報をわかりやすくまとめた書類です。 適切なリハビリテーション計画を立てるために作成します。

この記事では、通所リハビリテーション事業所のアセスメントシートの作成手順や注意点などをご紹介していきます。

目次

1.通所リハ(デイケア)のアセスメントシートとは?

通所リハビリテーションのアセスメントシートとは、従事者が実施したアセスメントの結果を記載する書類です。

通所リハビリテーションでは、医師や理学療法士らの従事者が通所リハビリテーション計画を作成する必要があります。通所リハビリテーション計画を作成するには、利用者が解決すべき課題を把握するための「アセスメント」を実施します。

通所リハビリテーションのアセスメントシートは、国が定める様式はありませんので、それぞれの事業所で様式を用意することになります。

2.通所リハ(デイケア)におけるアセスメントシートの項目例

通所リハビリテーションのアセスメントでは、運動機能・作業能力の検査やヒアリングを実施するほか、事業所の医師の診察結果や居宅サービス計画に記載されたケアマネジメントの方針も踏まえ、利用者の状態を総合的に評価します。

また、近年ではリハビリテーションを栄養管理や口腔管理と一体的に運用することが推進されていて、アセスメントの段階から管理栄養士との連携や口腔スクリーニングの実施が推奨されています。

通所リハのアセスメントシートの項目例

3.通所リハ(デイケア)のアセスメントシートの作成手順と注意点

ここからは、アセスメントシートに記録する際の手順や注意点について項目ごとに紹介します。

利用者の健康状態

障害等の原因となる疾患名のほか、受傷(発症)日や直近の入院日と退院日、手術をしている場合は手術日と術式等の治療経過、合併疾患の有無やコントロールの状況について把握し、記載します。

例えば、脳梗塞による麻痺を抱えながらも自立した生活を送っていた利用者が、誤嚥性肺炎を発症し、その結果として介助が必要となった場合は、リハビリテーションが必要となった原因疾病を「誤嚥性肺炎」、合併症は「脳血管疾患」と記載します。

このとき、これまでのリハビリテーションの実施状況(プログラムの実施内容、頻度、量等)も確認して記載します。

利用者本人・家族の希望

効果的な通所リハビリテーション計画を作成するために利用者本人から、「したいこと」や「できるようになりたい生活の希望」などを聞きとり、記載します。ヒアリングの際は、利用者が「こういうことをしてみたい」という目標を意識できるように働きかけ、意欲の向上を図ります。

また、利用者の希望を叶えるために、家族が支援できることも引き出せると良いでしょう。

アセスメントの際は、本人や家族から希望そのものを聞くだけでなく、その希望の根拠や心理状況も把握するよう心掛けます。

生活行為に関するアセスメントを実施する際の補助ツールとして、厚生労働省は、「興味・関心チェックシート」を提供しています。

心身機能

心身機能について、機能障害の有無を確認し、アセスメントシートに記載します。機能障害がある場合、活動への影響も確認しましょう。

通所リハビリテーション計画の様式にある、「心身機能・構造」欄は、筋力低下、麻痺、感覚機能障害、関節可動域制限、摂食嚥下障害、失語症・構音障害、見当識障害、記憶障害、高次脳機能障害、栄養障害、疼痛、精神行動障害(BPSD)、移動能力、服薬管理、認知機能、コミュニケーションの状況について記載する形式になっています。

アセスメントの際は、このような心身機能の障害の有無について「現在の状況」と「活動への支障」を区別して把握します。項目に無い障害を把握した場合は、特記事項として記載しましょう。

心身機能のうち、「移動能力」については、採用した検査(6分間歩行試験またはTimed up & Go Test(TUG)のいずれか)を選択し、客観的な測定値を記載します。また、「認知機能」は、MMSE(Mini Mental State Examination)かHD_R(改定長谷川式簡易知能評価スケール)の得点を記載します。

服薬管理とコミュニケーションの状況については、現在の状況を確認して記載します。

日常生活・社会活動

日常生活の動作は、Barthel Index(※下の表を参照)を活用してADLを評価します。

ADL(Activities of daily living/日常生活活動度)とは、生活を送るために行う活動の能力を指します。

動作 選択肢
食事 10. 自立 5. 一部介助 0. 全介助
椅子とベッドの移動 15. 自立 10. 監視下 5. 一部介助 0. 全介助
整容 5. 自立 0. 一部介助または全介助
トイレ動作 10. 自立 5. 一部介助 0. 全介助
入浴 5. 自立 0. 一部介助または全介助
平地歩行 15. 自立 10. 歩行器等 5. 車椅子操作が可能 0. その他
階段昇降 10. 自立 5. 一部介助 0. 全介助
更衣 10. 自立 5. 一部介助 0. 全介助
排便コントロール 10. 自立 5. 一部介助 0. 全介助
排尿コントロール 10. 自立 5. 一部介助 0. 全介助

活動の状況については、Frenchay Activity Index(下の表を参照)を活用してIADLを評価します。

項目 選択肢
食事の用意(買い物は含まれない) 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1~2回)

3. 週に3回以上している

食事の片づけ 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1~2回)

3. 週に3回以上している

洗濯 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1回未満)

3. 週に1回以上している

掃除や整頓(箒や掃除機 使った清掃や身の回りの整理整頓など) 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1回未満)

3. 週に1回以上している

力仕事(布団の上げ下げ、 雑巾で床を拭く、家具の 移動や荷物の運搬など 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1回未満)

3. 週に1回以上している

買物(自分で運んだり、購入すること) 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1回未満)

3. 週に1回以上している

外出(映画、観劇、食事、 酒飲み、会合などに出かけること) 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1回未満)

3. 週に1回以上している

屋外歩行(散歩、買物、外出等のために少なくとも15 分以上歩くこと) 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1回未満)

3. 週に1回以上している

趣味(テレビは含めない) 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1回未満)

3. 週に1回以上している

交通手段の利用(タクシー含む) 0. していない

1. まれにしている

2. 時々(週に1回未満)

3. 週に1回以上している

旅行 0. していない

1. まれにしている

2. 時々している(週に1回未満)

3. 週に1回以上している

庭仕事(草曳き、水撒き、 庭掃除)

※ベランダ等の作業も含む

0. していない

1. 時々している

2. 定期的にしている

3. 定期的にしている。必要があれば掘り起し、植え替え等の作業もしている

家や車の手入れ 0. していない

1. 電球の取替・ねじ止めなど

2. ペンキ塗り・模様替え・洗車

3. 2の他、家の修理や車の整備

読書(新聞・週刊誌・パン フレット類は含めない) 0. 読んでいない

1.まれに

2. 月に1回程度

3. 月に2回以上

仕事(収入のあるもの、ボランティアは含まない 0. していない

1. 週に1~9時間

2. 週に10~29時間

3. 週に30時間以上

起居動作

居宅の状況を想定して「寝返り」「起き上がり」「座位の保持」「立ち上がり」「立位の保持」といった基本動作の状況を評価します。

参加についての状況

利用者の家庭内での役割、余暇活動、社会活動や地域活動などへの参加の状況を把握します。

通所リハビリテーション計画を見直すタイミングで再度アセスメントをする場合は、その状況がどのように変化したのかを把握します。

環境因子

環境因子は、利用者の活動・参加の能力向上を行うために必要に応じて幅広く取得します。

例えば、家族や介護者の有無、住環境、自宅周辺の環境(階段や坂の多さなど)、利用可能な外出手段(公共交通機関や自家用車など)、福祉用具の利用状況、そのほか地域の社会資源の有無や利用状況などについて確認します。

4.まとめ

この記事では、通所リハビリテーションで使うアセスメントシートに記載する項目や注意点について紹介してきました。

アセスメントは、リハビリテーションマネジメントの起点となる重要なプロセスであり、そこで得た情報を記載するアセスメントシートは、利用者一人ひとりに合わせた適切な目標設定や通所リハビリテーション計画の作成を進めるために使う大切な書類です。

こちらの記事でご紹介した内容が、皆様のアセスメントシート作成の参考になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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