【2024年(令和6年)度】通所リハビリテーションの介護報酬改定情報まとめ
SMS CO.,LTD
この記事は、厚生労働省の以下の公表されている資料に基づき、通所リハビリテーションの2024年度介護報酬改定に関する情報をまとめています。
- 「第239回社会保障審議会介護給付費分科会資料」
議論・審議が進み、最新の情報が公表される可能性がありますので、ご了承の上、お読みください。
(作成日:2024年(令和6年)2月15日)
関連記事:全体の2024年度介護報酬改定に関する情報は、【2024年(令和6年)度】介護報酬改定情報まとめをご覧ください。
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目次
- 通所リハビリテーションの2024年度介護報酬改定の施行日
- 介護報酬改定のポイント①基本報酬
- 介護報酬改定のポイント②人員配置基準における両立支援への配慮
- 介護報酬改定のポイント③管理者の責務及び兼務範囲の明確化等
- 介護報酬改定のポイント④いわゆるローカルルールについて
- 介護報酬改定のポイント⑤「書面掲示」規制の見直し
- 介護報酬改定のポイント⑥豪雪地帯等において急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱いの明確化
- 介護報酬改定のポイント⑦通所リハビリテーションにおける機能訓練事業所の共生型サービス、基準該当サービスの提供の拡充
- 介護報酬改定のポイント⑧医療機関のリハビリテーション計画書の受け取りの義務化
- 介護報酬改定のポイント⑨退院後早期のリハビリテーション実施に向けた退院時情報連携の推進
- 介護報酬改定のポイント⑩業務継続計画未策定減算の創設
- 介護報酬改定のポイント⑪高齢者虐待防止措置未実施減算の創設
- 介護報酬改定のポイント⑫身体的拘束等の適正化の推進
- 介護報酬改定のポイント⑬訪問・通所リハビリテーションにおけるリハビリテーション、口腔、栄養の一体的取組の推進
- 介護報酬改定のポイント⑭リハビリテーション・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し
- 介護報酬改定のポイント⑮訪問及び通所リハビリテーションのみなし指定の見直し
- 介護報酬改定のポイント⑯介護予防サービスにおけるリハビリテーションの質の向上に向けた評価
- 介護報酬改定のポイント⑰ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化
- 介護報酬改定のポイント⑱入浴介助加算(Ⅱ)の見直し
- 介護報酬改定のポイント⑲科学的介護推進体制加算の見直し
- 介護報酬改定のポイント⑳介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化(介護職員等処遇改善加算の創設)
- 介護報酬改定のポイント㉑テレワークの取扱い
- 介護報酬改定のポイント㉒外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し
- 介護報酬改定のポイント㉓運動器機能向上加算の基本報酬への包括化、選択的サービス複数実施加算の見直し(一体的サービス提供加算)
- 介護報酬改定のポイント㉔特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
- 介護報酬改定のポイント㉕通所系サービスにおける送迎に係る取扱いの明確化
- 最後に
2024年度介護報酬改定の施行日
通所リハビリテーションの介護報酬改定は、『2024年6月1日』に施行される予定となっています。
厚生労働省の実施した「第236回介護給付費分科会」において、介護報酬改定の施行日がサービス種別によって、2024年4月と2024年6月に別れることが示されました。
診療報酬改定の施行に合わせる形で、2024年6月に施行されるのは、「訪問看護」、「訪問リハビリテーション」、「通所リハビリテーション」、「居宅療養管理指導」の4つのサービス種別となり、それ以外のサービス種別は、2024年4月に施行されることになります。
介護報酬改定のポイント①基本報酬
リハビリテーションマネジメントを実施する体制等が充実している事業所を評価する観点から、事業所規模別の基本報酬について、以下の見直しを行う。
- 通常規模型、大規模型(Ⅰ)、大規模型(Ⅱ)の3段階になっている事業所規模別の基本報酬を、通常規模型、大規模型の2段階に変更する。
- 大規模型事業所のうち、以下の要件を全て満たす事業所については、通常規模型と同等の評価を行う。
- リハビリテーションマネジメント加算の算定率が利用者全体で一定数を超えていること。
- リハビリテーション専門職の配置が一定数を超えていること。
改定後の通常規模型の基本報酬
サービス提供時間 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
---|---|---|---|---|---|
1時間以上2時間未満 | 369単位 | 398単位 | 429単位 | 458単位 | 491単位 |
2時間以上3時間未満 | 383単位 | 439単位 | 498単位 | 555単位 | 612単位 |
3時間以上4時間未満 | 486単位 | 565単位 | 643単位 | 743単位 | 842単位 |
4時間以上5時間未満 | 553単位 | 642単位 | 730単位 | 844単位 | 957単位 |
5時間以上6時間未満 | 622単位 | 738単位 | 852単位 | 987単位 | 1,120単位 |
6時間以上7時間未満 | 715単位 | 850単位 | 981単位 | 1,137単位 | 1,290単位 |
7時間以上8時間未満 | 762単位 | 903単位 | 1,046単位 | 1,215単位 | 1,379単位 |
改定後の大規模型の基本報酬
サービス提供時間 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
---|---|---|---|---|---|
1時間以上2時間未満 | 357単位 | 388単位 | 415単位 | 445単位 | 475単位 |
2時間以上3時間未満 | 372単位 | 427単位 | 482単位 | 536単位 | 591単位 |
3時間以上4時間未満 | 470単位 | 547単位 | 623単位 | 719単位 | 816単位 |
4時間以上5時間未満 | 525単位 | 611単位 | 696単位 | 805単位 | 912単位 |
5時間以上6時間未満 | 584単位 | 692単位 | 800単位 | 929単位 | 1,053単位 |
6時間以上7時間未満 | 675単位 | 802単位 | 926単位 | 1,077単位 | 1,224単位 |
7時間以上8時間未満 | 714単位 | 847単位 | 983単位 | 1,140単位 | 1,300単位 |
改定後の大規模型(一定の要件を満たした場合)の基本報酬
サービス提供時間 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
---|---|---|---|---|---|
1時間以上2時間未満 | 369単位 | 398単位 | 429単位 | 458単位 | 491単位 |
2時間以上3時間未満 | 383単位 | 439単位 | 498単位 | 555単位 | 612単位 |
3時間以上4時間未満 | 486単位 | 565単位 | 643単位 | 743単位 | 842単位 |
4時間以上5時間未満 | 553単位 | 642単位 | 730単位 | 844単位 | 957単位 |
5時間以上6時間未満 | 622単位 | 738単位 | 852単位 | 987単位 | 1,120単位 |
6時間以上7時間未満 | 715単位 | 850単位 | 981単位 | 1,137単位 | 1,290単位 |
7時間以上8時間未満 | 762単位 | 903単位 | 1,046単位 | 1,215単位 | 1,379単位 |
改定後の介護予防通所リハビリテーションの基本報酬
要支援1 | 要支援2 | |
---|---|---|
介護予防通所リハビリテーション費(1月につき) | 2,268単位 | 4,228単位 |
介護報酬改定のポイント②人員配置基準における両立支援への配慮
介護現場において、治療と仕事の両立が可能となる環境整備を進め、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、各サービスの人員配置基準や報酬算定について、以下の見直しを行う。
- 「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
- 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。
介護報酬改定のポイント③管理者の責務及び兼務範囲の明確化等
提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、管理者の責務について、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化した上で、管理者が兼務できる事業所の範囲について、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化する。
介護報酬改定のポイント④いわゆるローカルルールについて
都道府県及び市町村に対して、人員配置基準に係るいわゆるローカルルールについて、あくまでも厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容とする必要があること、事業者から説明を求められた場合には当該地域における当該ルールの必要性を説明できるようにすること等を求める。
介護報酬改定のポイント⑤「書面掲示」規制の見直し
運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項等(※)については、原則として事業所内での「書面掲示」を求めている一方、備え付けの書面(紙ファイル等)又は電磁的記録の供覧により、書面による壁面等への掲示を代替できる規定になっているところ、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、介護サービス事業者は、原則として重要事項等の情報をウェブサイト(法人のホームページ等又は情報公表システム上)に掲載・公表しなければならないこととする。(令和7年度から義務付け)
※事業所の運営規程の概要等の重要事項、居室及び食堂の広さ、届出事項、特別な食事の提供に係る情報(内容及び料金等)、移動用リフト使用時の留意事項等
介護報酬改定のポイント⑥豪雪地帯等において急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱いの明確化
豪雪地帯等において、積雪等のやむを得ない事情の中でも継続的なサービス提供を行う観点から、通所介護費等の所要時間について、利用者の心身の状況(急な体調不良等)に限らず、積雪等をはじめとする急な気象状況の悪化等によるやむを得ない事情についても考慮することとする。
介護報酬改定のポイント⑦通所リハビリテーションにおける機能訓練事業所の共生型サービス、基準該当サービスの提供の拡充
障害福祉サービスとの連携を強化し、障害者の身体機能・生活能力の維持・向上等に関する自立訓練(機能訓練)を拡充する観点から、通所リハビリテーション事業所において、共生型自立訓練(機能訓練)又は基準該当自立訓練(機能訓練)の提供が可能となることを踏まえ、自立訓練(機能訓練)を提供する際の人員及び設備の共有を可能とする。
介護報酬改定のポイント⑧医療機関のリハビリテーション計画書の受け取りの義務化
退院時の情報連携を促進し、退院後早期に連続的で質の高いリハビリテーションを実施する観点から、医師等の従業者が、入院中にリハビリテーションを受けていた利用者に対し退院後のリハビリテーションを提供する際に、リハビリテーション計画を作成するに当たっては、入院中に医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書を入手し、内容を把握することを義務付ける。
介護報酬改定のポイント⑨退院時共同指導加算の創設
退院時共同指導加算:600単位
病院又は診療所に入院中の者が退院するに当たり、指定通所リハビリテーション事業所の医師又は理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が、退院前カンファレンスに参加し、退院時共同指導(病院又は診療所の主治の医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の従業者との間で当該者の状況等に関する情報を相互に共有した上で、当該者又はその家族に対して、在宅でのリハビリテーションに必要な指導を共同して行い、その内容を在宅での通所リハビリテーション計画に反映させることをいう。)を行った後に、当該者に対する初回の指定通所リハビリテーションを行った場合に、当該退院につき1回に限り、所定単位数を加算する。
介護報酬改定のポイント⑩業務継続計画未策定減算の創設
業務継続計画未策定減算:▲(所定単位数×1/100)
感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する。
その際、一定の経過措置を設ける観点から、令和7年3月31日までの間、感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算を適用しないこととする。
介護報酬改定のポイント⑪高齢者虐待防止措置未実施減算の創設
高齢者虐待防止措置未実施減算:▲(所定単位数×1/100)
利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、全ての介護サービス事業者(居宅療養管理指導及び特定福祉用具販売を除く。)について、虐待の発生又はその再発を防止するための措置(虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合に、基本報酬を減算する。その際、福祉用具貸与については、そのサービス提供の態様が他サービスと異なること等を踏まえ、3年間の経過措置期間を設けることとする。
また、施設におけるストレス対策を含む高齢者虐待防止に向けた取組例を収集し、周知を図るほか、国の補助により都道府県が実施している事業において、ハラスメント等のストレス対策に関する研修を実施できることや、同事業による相談窓口について、高齢者本人とその家族だけでなく介護職員等も利用できることを明確化するなど、高齢者虐待防止に向けた施策の充実を図る。
介護報酬改定のポイント⑫身体的拘束等の適正化の推進
身体的拘束等の更なる適正化を図る観点から、以下の見直しを行う。
- 短期入所系サービス及び多機能系サービスについて、身体的拘束等の適正化のための措置(委員会の開催等、指針の整備、研修の定期的な実施)を義務付ける。また、身体的拘束等の適正化のための措置が講じられていない場合は、基本報酬を減算する。その際、1年間の経過措置期間を設けることとする。
- 訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与、特定福祉用具販売及び居宅介護支援について、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととし、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録することを義務付ける。
介護報酬改定のポイント⑬リハビリテーションマネジメント加算の見直し
【改定後のリハビリテーションマネジメント加算の区分と単位数】
区分 | 単位数 | |
---|---|---|
リハビリテーションマネジメント加算(イ) | 同意日の属する月から6月以内 | 1月につき+560単位 |
同意日の属する月から6月超 | 1月につき+240単位 | |
リハビリテーションマネジメント加算(ロ) | 同意日の属する月から6月以内 | 1月につき+593単位 |
同意日の属する月から6月超 | 1月につき+273単位 | |
リハビリテーションマネジメント加算(ハ) | 同意日の属する月から6月以内 | 1月につき+793単位 |
同意日の属する月から6月超 | 1月につき+473単位 | |
事業所の医師が利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得た場合 | 1月につき+270単位 |
リハビリテーション・口腔・栄養を一体的に推進し、自立支援・重度化防止を効果的に進める観点から、通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算について、以下の要件を満たす場合を評価する新たな区分を設ける。
- 口腔アセスメント及び栄養アセスメントを行っていること。
- リハビリテーション計画等の内容について、リハビリテーション・口腔・栄養の情報を関係職種の間で一体的に共有すること。その際、必要に応じてLIFEに提出した情報を活用していること。
- 共有した情報を踏まえ、リハビリテーション計画について必要な見直しを行い、見直しの内容について関係職種に対し共有していること。
また、報酬体系の簡素化の観点から、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算(B)の要件について新規区分とし、加算区分を整理する。
介護報酬改定のポイント⑭リハビリテーション・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し
リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養を一体的に推進する観点から、リハビリテーション・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直しを行う。
介護報酬改定のポイント⑮訪問及び通所リハビリテーションのみなし指定の見直し
訪問リハビリテーション事業所を更に拡充する観点から、介護老人保健施設及び介護医療院の開設許可があったときは、訪問リハビリテーション事業所の指定があったものとみなす。 また、介護保険法第72条第1項による通所リハビリテーション事業所及び訪問リハビリテーション事業所に係るみなし指定を受けている介護老人保健施設及び介護医療院については、当該事業所の医師の配置基準について、当該施設の医師の配置基準を満たすことをもって基準を満たしているものとみなすこととする。
介護報酬改定のポイント⑯介護予防サービスにおけるリハビリテーションの質の向上に向けた評価
介護予防サービスにおけるリハビリテーションの質を評価し、適切なサービス提供とする観点から、以下の見直しを行う。
- 利用開始から12月が経過した後の減算について、拡大を行う。ただし、定期的なリハビリテーション会議によるリハビリテーション計画の見直しを行い、LIFEへリハビリテーションのデータを提出しフィードバックを受けてPDCAサイクルを推進する場合は減算を行わないこととする。
- 要介護認定制度の見直しに伴い、より適切なアウトカム評価に資するようLIFEへリハビリテーションのデータ提出を推進するとともに、事業所評価加算の廃止を行う。
介護報酬改定のポイント⑰ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化
退院後早期に介護保険のリハビリテーションを開始することを可能とする観点から、介護支援専門員が居宅サービス計画に通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションを位置付ける際に意見を求めることとされている「主治の医師等」に、入院中の医療機関の医師を含むことを明確化する。
介護報酬改定のポイント⑱入浴介助加算(Ⅱ)の見直し
入浴介助加算(Ⅱ):1日につき+60単位(単位数に変更なし)
通所リハビリテーションにおける入浴介助加算(Ⅱ)について、利用者の居宅における入浴の自立への取組を促進する観点から、入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件である、「医師等による、利用者宅浴室の環境評価・助言」について、人材の有効活用を図る観点から、医師等に代わり介護職員が訪問し、医師等の指示の下、ICT機器を活用して状況把握を行い、医師等が評価・助言する場合も算定することを可能とする。
加えて、利用者の居宅における自立した入浴への取組を促進する観点から、入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件に係る現行のQ&Aや留意事項通知で示している内容を告示に明記し、要件を明確化する。
介護報酬改定のポイント⑲科学的介護推進体制加算の見直し
科学的介護推進体制加算:1月につき40単位(単位数に変更なし)
科学的介護推進体制加算について、質の高い情報の収集・分析を可能とし、入力負担を軽減し科学的介護を推進する観点から、以下の見直しを行う。
- 加算の様式について入力項目の定義の明確化や他の加算と共通している項目の見直し等を実施。
- LIFEへのデータ提出頻度について、少なくとも「6月に1回」から「3月に1回」に見直す。
- 初回のデータ提出時期について、他のLIFE関連加算と揃えることを可能とする。
介護報酬改定のポイント⑳介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化(介護職員等処遇改善加算の創設)
介護職員等の確保に向けて、介護職員の処遇改善のための措置をできるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算について、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」に一本化を行う。その際、1年間の経過措置期間を設けることとする。
また、以下の見直しを行う。
- 職種間の賃金配分について、引き続き介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとしつつ、職種に着目した配分ルールは設けず、一本化後の新加算全体について、事業所内で柔軟な配分を認める。
- 新加算の配分方法について、新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、一番下の区分の加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てることを要件とする。その際、それまでベースアップ等支援加算を取得していない事業所が、一本化後の新加算を新たに取得する場合には、収入として新たに増加するベースアップ等支援加算相当分の加算額について、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分することを求める。
- 職場環境等要件について、生産性向上及び経営の協働化に係る項目を中心に、人材確保に向け、より効果的な要件とする観点で見直しを行う。
介護職員等処遇改善加算の単位数
- 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ):(所定単位数×86/1000)
- 介護職員等処遇改善加算(Ⅱ):(所定単位数×83/1000)
- 介護職員等処遇改善加算(Ⅲ):(所定単位数×66/1000)
- 介護職員等処遇改善加算(Ⅳ):(所定単位数×53/1000)
- 介護職員等処遇改善加算(Ⅴ):(所定単位数×76~28/1000)
※介護職員等処遇改善加算(Ⅴ)は令和7年3月31日まで算定可能。
介護報酬改定のポイント㉑テレワークの取扱い
人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種のテレワークに関して、個人情報を適切に管理していること、利用者の処遇に支障が生じないこと等を前提に、取扱いの明確化を行い、職種や業務ごとに具体的な考え方を示す。
介護報酬改定のポイント㉒外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し
就労開始から6月未満のEPA介護福祉士候補者及び技能実習生(以下「外国人介護職員」という。)については、日本語能力試験N1又はN2に合格した者を除き、両制度の目的を考慮し、人員配置基準への算入が認められていないが、就労開始から6月未満であってもケアの習熟度が一定に達している外国人介護職員がいる実態なども踏まえ、人員配置基準に係る取扱いについて見直しを行う。
具体的には、外国人介護職員の日本語能力やケアの習熟度に個人差があることを踏まえ、事業者が、外国人介護職員の日本語能力や指導の実施状況、管理者や指導職員等の意見等を勘案し、当該外国人介護職員を人員配置基準に算入することについて意思決定を行った場合には、就労開始直後から人員配置基準に算入して差し支えないこととする。その際、適切な指導及び支援を行う観点、安全体制の整備の観点から、以下の要件を設ける。
- 一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制とすること。
- 安全対策担当者の配置、指針の整備や研修の実施など、組織的に安全対策を実施する体制を整備していること。
併せて、両制度の趣旨を踏まえ、人員配置基準への算入の有無にかかわらず、研修又は実習のための指導職員の配置や、計画に基づく技能等の修得や学習への配慮など、法令等に基づき、受入れ施設において適切な指導及び支援体制の確保が必要であることを改めて周知する。
介護報酬改定のポイント㉓運動器機能向上加算の基本報酬への包括化、選択的サービス複数実施加算の見直し(一体的サービス提供加算)
一体的サービス提供加算:1月につき480単位
予防通所リハビリテーションにおける身体機能評価を更に推進するとともに、報酬体系の簡素化を行う観点から、以下の見直しを行う。
- 運動器機能向上加算を廃止し、基本報酬への包括化を行う。
- 運動器機能向上加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算のうち、複数の加算を組み合わせて算定していることを評価する選択的サービス複数実施加算について見直しを行う。
介護報酬改定のポイント㉔特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法において、「過疎地域」とみなして同法の規定を適用することとされている地域等が、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれることを明確化する。
介護報酬改定のポイント㉕通所系サービスにおける送迎に係る取扱いの明確化
通所系サービスにおける送迎について、利便性の向上や運転専任職の人材不足等に対応する観点から、送迎先について利用者の居住実態のある場所を含めるとともに、他の介護事業所や障害福祉サービス事業所の利用者との同乗を可能とする。
最後に
本記事は、2024年(令和6年)2月15日時点の最新資料を基に作成しています。
今後、厚生労働省より通知や資料などが公開されますので、詳細につきましては、最新情報をご確認いただきますようにお願い致します。