通所リハ(デイケア)のサービス提供の記録とは?書き方のポイントを解説
1.通所リハ(デイケア)で作成が必要な「サービス提供の記録」とは
通所リハビリテーション(デイケア)の「サービス提供の記録」とは、提供したサービスの内容や提供日時などを記載する書類です。
記録の作成義務と根拠法令
通所リハビリテーションの運営基準では、提供したサービスの内容を記録することが義務付けられています。
※準用による読み替え後の文章を記載
(サービスの提供の記録)
第十九条
2 指定通所リハビリテーション事業者は、指定通所リハビリテーションを提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない。
記録の交付義務
サービスの内容等の記録は、利用者から申出があった場合、文書などで交付しなければならないことも定められています。
※準用による読み替え後の文章を記載
(サービスの提供の記録)
第十九条
2 指定通所リハビリテーションは、指定通所リハビリテーションを提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録するとともに、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならない。
記録の保存期間
運営基準に定められる書類の保存義務は2年間ですが、事業所の所在する都道府県等によって独自の保存期間を定めている場合もありますので、詳細は所轄官庁のウェブサイトをご確認ください。
(記録の整備)
第百十八条の二
指定通所リハビリテーション事業者は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
2 指定通所リハビリテーション事業者は、利用者に対する指定通所リハビリテーションの提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から二年間保存しなければならない。 一 通所リハビリテーション計画
二 次条において準用する第十九条第二項の規定による提供した具体的なサービスの内容等の記録
三 第百十四条第四号の規定による身体的拘束等の態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録
四 次条において準用する第二十六条の規定による市町村への通知に係る記録
五 次条において準用する第三十六条第二項の規定による苦情の内容等の記録
六 次条において準用する第三十七条第二項の規定による事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
記録に記載する内容
このサービス提供記録には、リハビリテーションの実施時間や訓練内容、担当者、その他提供したサービスの内容や費用を記載します。記録に使う様式は特に決められておらず、医療保険の診療録に記載することもできます。
ただし、診療録に記載する場合は通所リハビリテーション計画書に基づいて提供した具体的なサービス内容や指導に要した時間の部分に、下線を引いたり枠で囲う等してほかの記載と区別できるようにしておく必要があります。
(33)記録の整備について
① 医師は、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士に対して行った指示内容の要点を診療録に記入する。
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士は、通所リハビリテーション計画書に基づき提供した具体的なサービスの内容等及び指導に要した時間を記録にとどめておく。なお、当該記載については、医療保険の診療録に記載することとしてもよいが、下線又は枠で囲う等により、他の記載と区別できるようにすることとする。
② リハビリテーションに関する記録(実施時間、訓練内容、担当者、加算の算定に当たって根拠となった書類等)は利用者ごとに保管され、常に当該事業所のリハビリテーション従事者により閲覧が可能であるようにすること。
2.サービス提供の記録を作成する目的
サービス実施記録は、以下のような目的で活用されます。
①介護報酬の請求根拠としての役割(運営指導の確認文書)
②リハビリテーション計画やサービスの方針の見直し
③利用者と家族や担当の介護支援専門員との情報共有
①介護報酬の請求根拠としての役割(運営指導の確認文書)
介護保険サービスを提供する事業所が介護報酬を受け取るには、法令や運営基準に則り、適切なサービスを提供している必要があります。
サービス実施記録は、その証拠として作成しなければいけない書類です。
運営指導においても、記録の有無や記載内容(必要項目の有無・内容の妥当性など)が確認されます。
②リハビリテーション計画やサービスの方針の見直し
サービス提供記録には、利用者の反応や状態の変化を時系列で記入するため、リハビリテーション計画が適切だったかどうかを振り返ったり、今後のサービス方針を検討したりする際のエビデンスとしての役割もあります。
③利用者と家族や担当の介護支援専門員との情報共有
サービス提供記録は、利用者やその家族、担当のケアマネジャーなど、他の関係者とも共有されることがあります。
ケアマネジャーは、この記録を通じて、どのようなサービスがどのように提供され、利用者の心身状態にどのような変化があったかを把握し、必要に応じてケアプランの見直しを行います。
また、利用者の家族に対し、サービスの内容を説明する際にも役立ちます。
3.デイケア(通所リハ)で記録を書く時のポイント
では、実際にデイケアでサービス提供記録を書く際には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
適切で、他者にも伝わる記録を作成するためのポイントをご紹介します。
利用者の状態やサービス内容の正確性を確保する
記録は単なるメモではなく、事実を正確に伝えるための書類なので次の点を意識しましょう。
- 主観と客観を切り分け、事実に基づいて記載する。
例えば、「今日は元気がなかったように見えた」よりも「昼食時に表情が乏しく、職員が声をかけても反応が薄かった」方が適切。 - いつ・誰が・何を・どうしたか、が明確になるように記載する。
「14時にPTの○○が、平行棒での歩行訓練(10分)を実施。利用者は軽い補助で自立歩行可能」等。 - サービス提供中に起きた出来事や利用者の様子を忘れてしまわないようにメモを取る。
誰が読んでも分かりやすいように書く
サービス実施記録は他職種やご家族、外部事業者も閲覧する可能性があります。読み手が理解できるように簡潔で丁寧な文章を心がけましょう。
- 専門用語や略語は必要に応じて説明を添える。
例えば、「ADL(日常生活動作)」「ROM(関節可動域)」等。 - 関係者間でのみ通じる隠語などは使用しない。
- 長文にならないようにしたり、改行を挟んだりして、読みやすいレイアウトを意識する。
4.デイケア(通所リハ)で効率的に記録を効率よく作成するために
次に、サービス提供記録を適切に、かつ効率的に記入する方法をいくつかご紹介します。
定型文や例文を活用して入力時間を短縮する
毎日の記録には、似たような内容や表現が頻出します。
よく使う文章を「定型文」や「例文」としてあらかじめ登録しておくことで、入力作業の効率化が図れます。
「昼食後に口腔ケアを実施。本人は自立してブラッシングを行った」、「理学療法士の指導のもと、下肢筋力トレーニングを15分実施」など、事業所で相談・統一した表現を検討しましょう。
音声入力機能を活用する
介護ソフトには、スマートフォンやタブレットの音声入力に対応しているものもあり、タイピングが苦手な職員は活用しましょう。
たとえば、「14時、歩行訓練を実施。本人は杖使用で安定して歩行」と話せば、その通りの文章が入力されるので、タイピングで入力するよりも早く入力が終わることもあります。
使用する語句のルールブック(マニュアル)を作成する
記録の表現に不適切な表現はNGワードとして設定し、ルールブックを作成しておくのも有効です。
具体的にどのような言葉を使ってはいけないのか、どのような言い換えをするべきなのかというルールをまとめておくと、記録の入力を効率化・標準化できるでしょう。
まとめ
ここまで、通所リハビリテーションのサービス提供記録の目的や書き方について解説してきました。
サービス提供記録は、通所リハビリテーションを運営する上で必ず作成しなければならない重要な書類です。ここでご紹介した内容を参考にしていただき、サービス提供記録の作成業務を効率化できる体制を目指しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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