30年勤めた社会福祉法人から独立を決意、低コストで開業を実現

HYMケア株式会社
HYMケア株式会社様は、社会福祉法人にて培った長年の経験を活かして、2023年にゆかりがある札幌に地に開業。
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開業年月 2023年7月
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北海道札幌市
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居宅介護支援
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1名(2024年1月時点)
目次
- 長年勤めた法人を出て開業。自宅を事務所に
- 地域資源との関係性を土台にした利用者獲得
- 資金には貯蓄や退職金を活用。資本金も準備
- コストパフォーマンスと情報連携に優れたカイポケを選択
- 地域の信頼を確立し、挑戦を続けたい
長年勤めた法人を出て開業。自宅を事務所に
ご開業までの経緯について教えてください。
札幌市南区の自宅を事業所にして2023年7月に開業しました。開業を意識し始めたのは、その1年半ほど前からです。社会福祉法人に長年在籍して、経営にも関わる立場になっていたので、そのまま勤めあげることも検討しました。 しかし、リスクをとってでも地域や自身の将来のために必要だと思える選択肢があれば挑戦してみたいと考えるようになり、独立を決意しました。 独立にあたっては私自身が主任ケアマネジャーの資格を持っていたので、一人で事業所を開業することができ、現在も一人で事業所を運営しています。
賃貸物件を借りずに自宅を事業所にしたのは、自宅にスペースを確保できたのでコスト面を考慮して決めました。実際に開業してからも、自宅で開業していることで不都合なことは特にありません。
地域資源との関係性を土台にした利用者獲得
事業所を開設されて、集客面ではどのようなお取組みをされましたか?
札幌市南区は人口が14万人程度あり、高齢化率は35.3%(2020年時点)と、高齢者も比較的多い地域です。ただ、利用者の獲得という観点でお話しすると、”市場の大きさ”という面よりも、人との関係構築の方が大切だと思います。
勤めていた法人と関係が深い事業所や利用者さんをそのまま引き継ぐわけにもいきませんので、区内の利用者さんのご紹介はほとんど受けられませんでした。それでも知り合いから区外の利用者さんのご紹介を受けたり、ケアマネジャーを辞められる方から「自分が担当しているケースを引き継いでほしい」と相談を受けたりと、これまで地域で培ってきた関係性に助けられてきました。
居宅介護支援事業は、事業所を開設したからといって、顧客がやってくるわけではないので、自ら営業して紹介元を切り拓いていく必要があるのが難しい部分だと考えています。
特に居宅介護支援事業所の利用者は多くの場合、地域包括支援センターが最初の窓口になりますよね。要介護の方であっても、やはり包括さんからご紹介を受けるケースがほとんどですので、そことの関係性ができているかどうかが重要です。
資金には貯蓄や退職金を活用。資本金も準備
開業するにあたって必要になった資金について教えてください。
主に貯蓄や退職金を活用しました。また、費用を抑えるために、法人格の選択やその選択によってかかる費用などを自分で調べ、手続きもほとんど自力で進めました。市から指定を受けるための届け出については、過去の経験を活かしてスムーズに進められました。 車も元々持っていたものを使うなど節約したので、開業費用としては100万円を超えるぐらいでした。株式会社ですので、それとは別に資本金を80万円準備しました。
事業所の運営に月々かかる費用としては、ガソリン代や通信費用などが主であまり大きな負担はありません。しかし、すぐに利用者さんを確保するのが難しく、いきなり大きな収入は見込めないので、その間も事業を続けていけるだけの運転資金は必要ですね。
コストパフォーマンスと情報連携に優れたカイポケを選択
カイポケを選んでいただいたポイントはどこでしょうか。
ソフトそのものが使いやすく、タブレットを出先に持ち運んで使えるのが大きな理由です。それと、サービス事業所との情報連携のとりやすさとコスト面ですね。前職の社会福祉法人では他社のソフトを使っていましたが、導入コストが高額になってしまうため、カイポケにしてコストはかなり抑えられています。
業務支援ソフトについての情報収集では、地域のネットワークから開業経験者をご紹介いただき、どのような機能が必要なのか、どれくらいのコストがかかるのかなどを教えていただき、カイポケを選びました。
地域の信頼を確立し、挑戦を続けたい
ありがとうございます。最後に事業の展望を聞かせてください。
まずは50~60件ぐらいまで利用者さんを確保し、居宅介護支援事業を安定して続けられる状態の実現を目指しています。私は、居宅介護支援事業を「コンフィアンスケアサポート」と呼称していまして、この名称に込めている通り、地域、利用者さんとの”コンフィアンス”、つまり信頼構築が第一だと考えています。そして地域の中の信頼を確かなものにすることでこの事業を安定させ、安心して働いてもらえる環境が整ったら、人を採用して送迎事業や訪問介護事業にも取り組みたいですね。定款にもその通り定めています。
特に地域の訪問介護事業所はヘルパーさんが集合住宅に常駐しているスタイルが多く、要支援者や自宅で生活している人のニーズを賄えていません。ですから、主婦や子育て世帯が働きやすい職場環境を整備してこのニーズに応えるためのサービスが提供できればと考えています。ケアマネジャーと経営者としての能力を発揮して利用者さんと働き手のニーズが調整できれば、事業としても十分継続していけるとみています。
4月には介護予防支援の指定が受けられるよう制度も変わりますので、要支援者にも力を入れて取り組むことで営業力を発揮していきたいです。一方で、開業することで得られた自分や家族との時間も大事にしながら、前向きに取り組んでいきたいです。