定年退職後、60代での開業を介護・障害福祉の法人設立経験豊富な行政書士が後押し

#居宅介護支援 #開業支援
ケアプランセンターたかしばmountain viewの看板の横のお二人

ケアプランセンターたかしばmountain view

茨城県と福島県の県境にある大子町(だいごまち)の地域包括支援センターで10年間にわたる勤務を終え定年退職を迎えた鈴木恵子さんが、夫の幸男さんと山間にある高柴・生瀬地域にご開業。

  •  開業年月 2023年4月
  •  茨城県久慈郡大子町
  •  居宅介護支援
  •  2名(2024年1月時点)

目次

PC操作をする笑顔の女性の写真

PCを使いこなして仕事をする鈴木さん

 

地域包括支援センターへの出向が独立を意識するきっかけに

ご開業までの経緯やそれまでのご経験について聞かせてください。

私は介護職員としての経験を経て、2000年にケアマネジャー一期生として資格を取り、特養に併設されている居宅介護支援事業所で仕事をしてきました。

転機は、管理者として働いていた2012年に「大子町役場の地域包括支援センターにいる主任ケアマネジャーが退職してしまうので、来年度から出向して欲しい」と頼まれたことでした。しかし、当初示されていた出向期間の2年を経過しても、次の人材は見つかりませんでした。そこで、地域包括支援センターに残るか元の法人に戻るか悩んだ末に包括に残ることを決め、町役場の職員採用試験を改めて受けました。結果として出向職員として2年、その後8年の間、町役場の地域包括支援センターの職員として働きました。

当時は慣れない公務員としての仕事を大変に思うこともありましたが、振り返ると、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターそれぞれの視点を身につけることができて良い経験になりました。それから町の会計の仕組みをこの10年間で学べたことも、具体的な選択肢として起業をイメージするきっかけになったと思います。

定年後には再任用という選択肢もありましたが、研修で独立されたケアマネジャーの先輩の話を伺う機会があり、「私も何か地域に貢献して爪痕を残したい」という気持ちがどんどん膨らんでいきました。

地域に根付いた居宅介護支援事業所を目指して開業されたのですね。

はい、私たちの事業所兼自宅がある場所は、(茨城県久慈郡大子町高柴の)生瀬地域と呼ばれています。私が結婚した当時は、「生瀬は不便だから嫁に行ったら大変だよ」と言われていたような場所でした。当時は道路も舗装されていないうえに狭くて。そんなところに嫁いできてしまったんです(笑)

ここに生きている人達は、とても人がいいのだけれど、「どうせ生瀬だから」といろいろなことを諦めている人もいるんです。長年仕事をしている中で、そんな気持ちで生活している人の存在を感じとってきたから、「生瀬にだって福祉のことを相談できる窓口があるんだよ」、「安心してこれからのことを一緒に考えていきましょう」と寄り添える存在になりたくて事業所を開設しました。

開業したことで地域に初の介護保険事業所が誕生

ご開業時の状況について教えてください。

生瀬地域には高齢者福祉や介護保険の事業所はありませんでした。それどころか、保育所や学校の統合を検討する話が出ているくらいです。 私達が事業所を開設するまで地域の皆さんは、何かお困りごとがあれば町の中心部にある事業所へ相談に行ったり、役所に電話をしたりしていました。開業してからは、「生瀬の事業所から来ました」と積極的にお伝えすることで、利用者さんもより身近な存在として感じてくださっている気がします。

事務所で笑顔で話すお二人の写真

二人三脚でお仕事している様子

 

事業所開設と同時に30人の利用者を引継ぎ

開業時の不安や、開業直後に大変だったことはありましたか。

ちょうど私の開業時に近隣のケアマネジャーの退職が重なったため、開業と同時に利用者さんを30人ほど引き継ぐことになりました。 私は居宅介護支援事業所のケアマネジャーをしていたこともあるのですが、10年ほどブランクがありましたし、包括で担当していた要支援の方は20人ほどでしたので、ケアマネジメントや請求業務に対する不安は大きかったです。

また、カイポケに前任者から引き継いだ利用者情報やサービス事業所の算定加算など、基本的な情報を全て打ち込む必要があったので、その時期は夜10時頃まで作業が続きました。

1カ月あった引き継ぎ期間では、前任のケアマネジャーと半月ほどで30件のお宅にご挨拶に訪問し、残りの半月で、当月と翌月の利用票を持参しながらのモニタリングとなり、これも大変なことでした。

ただ、やってみてわかったことですが、開業してすぐの段階で30件分の収入が補償されていたということは、事業を続けるうえで大きなアドバンテージでした。 これが、1から利用者さんを集めなければならず、まして、知らない地域で事業を始める状況だとしたら本当に大変だったと思います。私の場合は、”包括にいた恵子さん”と、事業所の方が私のことを知ってくれていたこともあり、安心感がありました。

介護・福祉業界の実績ある専門家が味方に―安心の法人設立サービス

鈴木様には、カイポケ開業支援の法人設立サービスをご利用いただいています。当サービスはどのようにお知りになりましたか。

当初、法人設立に関する手続きの相談は地元の士業の先生にお願いしようと考えていて、実際に司法書士会に相談しました。でも、そのときは一般的な会社設立の手続きに関する情報は得られたのですが、福祉事業への理解が少し浅くて。「居宅介護支援事業所とは」から説明しなければならない状況になり、不安になりました。

そこで、水戸市で居宅介護支援事業所を開業している知り合いに相談したところ、カイポケの開業支援サービスを薦めてもらいました。話を聞くと、業務支援ソフト自体も使いやすいし、タブレットもついてくる。さらに複合機やスマートフォンの手配もできるという。 自分でも調べてみると、カイポケは行政書士や会計の専門家とも提携していてオールマイティーですよね。「何も心配することないや」と思い、働きながらの情報収集には1年くらいかけましたが、最終的には「開業のお手伝いはカイポケにしてもらおう」と決めていました。

繋いでいただいた行政書士の先生とは、法人登記の方法や定款に記載すべき内容などをチャットでやり取りして教わりました。介護や福祉事業者の開業支援を豊富に手掛けていることがやり取りの中で伝わってきて心強かったです。

リフォーム費用が社会情勢を受けて倍増

ありがとうございます。今度は資金面のお話について聞かせてください。開業前にはどのような準備をされましたか?

事業所の開設には400万円ほどかかり、その分の自己資金は準備していました。建物は元々、牛小屋や荷物置きに使っていた建物をリフォームしています。当初の見積もりは200万円ほどでしたが、コロナ禍に加えてウクライナ情勢の影響でコストは倍増してしまいました。 この点に関して開業を検討する方に伝えたいのは、地域の役所に行って「こういう事業をしたいのだけれど、補助金はありますか」と訊ねるべきだということです。
大子町の場合は、創業支援補助金があり、これを使いました。相談先の課が跨がったりもしましたが、今は行政が起業する人を助けてくれる風潮になってますので、開業を検討される方にはぜひ、自治体の制度を調べて欲しいと思います。

運営コストに関しては、事前の収支シミュレーションなどはしておらず、正直、見切り発車でした。近隣のケアマネジャーの退職に伴う引き継ぎの話が出たのは起業の2~3カ月前で、利用者獲得のために働きかけたのではなく、「困ってるのなら助けになりたい」という気持ちで引き受けましたが、結果的に助かっています。

開業して間もなく1年。地域に事業所が浸透している実感

ありがとうございました。最後に、開業して良かったと思うエピソードなどを聞かせてください。

開業時は、地域や役所のみなさんが事業所に訪問や見学にお越しくださって、とてもにぎわいました。今も、ご近所からの新規相談や契約が増えてきて、少しずつこの地域に事業所の存在が浸透しているのを実感しています。

開業してから契約を結んだ新規の利用者さんにも、引き継いで間もなく1年が経つ利用者さんにも一人ひとりに思い入れがあり、毎朝起きると、「今日は○○さんのうちに行くぞ!」と嬉しくなります。

それぞれの利用者さんと丁寧に関わるためには、状態が安定している利用者さんのところへは月半ばにモニタリングに行ったり、事前にしっかりアポイントをとるなど、カイポケのタブレットを使ってスケジュールをしっかりコントロールしています。これは、専用の携帯電話やタブレットを持ち合わせていなかったこれまでの職場では難しかった部分です。 事務所に来てくれたお客さんにもゆっくりしていってほしくて、外付けのトイレを作って地域の皆さんに「使っていってよ」なんて呼び掛けもしています。

今のところ、事業所は10年を目途に終わりにしようかなと考えているので、次にバトンタッチできるよう、ほかのケアマネジャーとも関係をつくり、事業者・サービス提供に関わる人たち側のネットワークも活性化していきたいです。

事務所の看板と建物の外観

きれいな山景色を見ることができる事務所

 

運営法人:合同会社たかしば

事業所名:ケアプランセンターたかしばmountain view

所在地:茨城県久慈郡大子町

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