訪問リハビリテーションで必要なマニュアルの一覧【開業・立ち上げ準備】



訪問リハビリテーション事業所の立ち上げを考えている皆様の中には、「訪問リハビリテーションではどんなマニュアルを用意すればいいの?」、「マニュアルはどうやって作ればいいの?」といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。 この記事では、訪問リハビリテーション事業所で準備するマニュアルの種類や、マニュアルを作成する際のポイントなどについてご紹介していきます。

訪問リハビリテーションマニュアル

目次

訪問リハビリテーションのマニュアルの一覧

マニュアルとは、業務の全体像や仕事に対する考え方と共に、仕事の進め方や必要な準備などを、誰が見ても分かるよう具体的に示したものです。
訪問リハビリテーション事業所が作成するマニュアルには、緊急時対応マニュアルやハラスメント防止マニュアルなどの作成しなければならないものと、請求業務マニュアルや訪問リハビリテーション業務マニュアルなどの作成義務はないが業務を効率化するために作成しておいた方が良いものに大きく分けることができます。

訪問リハビリテーション事業所で必要なマニュアルの一覧
作成しなければならないマニュアル 1. ハラスメント防止マニュアル
2. 苦情対応マニュアル
3. 事故対応マニュアル
4. 衛生管理マニュアル
5. 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
6. 虐待の発生・再発防止のための指針
作成しておいた方が良いマニュアル 1. 訪問リハビリテーションの業務マニュアル
2. 新人研修マニュアル
3. マナー・接遇マニュアル
4. プライバシー保護の取組みに関するマニュアル
5. 認知症対応マニュアル
6. 緊急時対応マニュアル
7. 請求業務・介護ソフトのマニュアル
8. お問い合わせ対応マニュアル
など

訪問リハビリテーションで作成しなければならないマニュアルの一覧

訪問リハビリテーション事業所で作成しなければならないマニュアルをご紹介していきます。
運営基準で作成が義務付けられているマニュアルは、運営指導(実地指導)でチェックされることになり、適切に作成していない場合、行政から指摘を受けることになります。

【運営指導でチェックされるマニュアル・指針の一覧】
1. ハラスメント防止マニュアル
2. 苦情対応マニュアル
3. 事故対応マニュアル
4. 衛生管理マニュアル
5. 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
6. 虐待の発生・再発防止のための指針
ここからは、それぞれのマニュアルに記載する項目などについて見ていきます。

訪問リハで必要なマニュアル①ハラスメント防止マニュアル

ハラスメント防止マニュアルは、職場におけるセクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどを防止するために、ハラスメント対策への基本方針や具体的な取組みなどについて記載するマニュアルです。
訪問リハビリテーションでは、ハラスメントの防止について運営基準に以下のように定められており(「勤務体制の確保等」より一部抜粋)、運営指導の標準確認項目にも「性的言動、優越的な関係を背景とした言動による就業環境が害されることの防止に向けた方針の明確化等の措置を講じているか 」という項目がありますので、ハラスメント防止マニュアルを作成する必要があります。

(勤務体制の確保等)
第三十条
4 指定訪問リハビリテーション事業者は、適切な指定訪問リハビリテーションの提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより訪問リハビリテーション従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。
(引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

厚生労働省老人保健健康増進等事業「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル (株式会社三菱総合研究所)」によると、ハラスメント防止マニュアルに記載する項目は以下のようになります。

【ハラスメント防止マニュアルに記載する項目】

訪問リハで必要なマニュアル②苦情対応マニュアル

苦情対応マニュアルには、利用者様やご家族からの苦情に適切に対応するために、事業所における苦情処理の体制や手順を記載します。
訪問リハビリテーションでは、運営基準に以下のように苦情に対応しなければならないことが定められていますから、苦情が発生した際に運営基準を適切に遵守した対応ができるようなマニュアルを作成する必要があります。

(苦情処理)
第三十六条 指定訪問リハビリテーション事業者は、提供した指定訪問リハビリテーションに係る利用者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2 指定訪問リハビリテーション事業者は、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。
3 指定訪問リハビリテーション事業者は、提供した指定訪問リハビリテーションに関し、法第二十三条の規定により市町村が行う文書その他の物件の提出若しくは提示の求め又は当該市町村の職員からの質問若しくは照会に応じ、及び利用者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力するとともに、市町村から指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
4 指定訪問リハビリテーション事業者は、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。
5 指定訪問リハビリテーション事業者は、提供した指定訪問リハビリテーションに係る利用者からの苦情に関して国民健康保険団体連合会(国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会をいう。以下同じ。)が行う法第百七十六条第一項第三号の調査に協力するとともに、国民健康保険団体連合会から同号の指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
6 指定訪問リハビリテーション事業者は、国民健康保険団体連合会からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を国民健康保険団体連合会に報告しなければならない。
(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

苦情対応マニュアルには、以下の項目を分かりやすく記載します。

【苦情対応マニュアルに記載する項目】

訪問リハで必要なマニュアル③事故対応マニュアル

事故対応マニュアルには、利用者様が安心して訪問リハビリテーションサービスを利用できるよう、事故が発生した場合に事業者が取る措置や対応、その手順等を記載します。
訪問リハビリテーションの運営基準には、「事故発生時の対応」について以下のように定められています。

(事故発生時の対応)
第三十七条 指定訪問リハビリテーション事業者は、利用者に対する指定訪問リハビリテーションの提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
2 指定訪問リハビリテーション事業者は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。
3 指定訪問リハビリテーション事業者は、利用者に対する指定訪問リハビリテーションの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。
(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準) 事故対応マニュアルには、以下の項目を分かりやすく記載します。

【事故対応マニュアルに記載する項目】

訪問リハで必要なマニュアル④衛生管理マニュアル

衛生管理マニュアルには、設備および備品等の衛生的な管理の方法などについて記載します。
訪問リハビリテーションでは、衛生管理について、運営基準に以下のように定められています(「衛生管理等」より一部抜粋)。

(衛生管理等)
第三十一条
2 指定訪問リハビリテーション事業者は、指定訪問リハビリテーション事業所の設備及び備品等について、衛生的な管理に努めなければならない。
(引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準) 衛生管理マニュアルには、以下の項目を分かりやすく記載します。

【衛生管理マニュアルに記載する項目】

訪問リハで必要なマニュアル⑤感染症の予防及びまん延の防止のための指針

感染症の予防及びまん延の防止のための指針には、訪問リハビリテーション事業所において感染症が発生・まん延しないために、事業所が行う対策について記載します。
訪問リハビリテーションでは、感染症の予防及びまん延の防止について、運営基準に以下のように定められています(「衛生管理等」より一部抜粋)。
※2024年3月31日までは努力義務。2024年4月1日より適用。

(衛生管理等)
第三十一条
3 指定訪問リハビリテーション事業者は、当該指定訪問リハビリテーション事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 当該指定訪問リハビリテーション事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)をおおむね六月に一回以上開催するとともに、その結果について、訪問リハビリテーション員等に周知徹底を図ること。
二 当該指定訪問リハビリテーション事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。
三 当該指定訪問リハビリテーション事業所において、訪問リハビリテーション従業者に対し、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施すること。
(引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

厚生労働省の「介護現場における感染対策の手引き」によると、感染症の予防及びまん延の防止のための指針に記載する項目は以下のようになります。「介護現場における感染対策の手引き」にはそれぞれの項目の記載内容の例も示されていますので、マニュアルを作成する際に参考にしましょう。

【感染症の予防及びまん延の防止のための指針に記載する項目】

訪問リハで必要なマニュアル⑥虐待の発生・再発防止のための指針

虐待の発生・再発防止のための指針には、虐待の未然防止や早期発見、虐待等への迅速かつ適切な対応をするために、事業所が行う対策について記載します。
訪問リハビリテーションの運営基準には、「虐待の防止」について以下のように定められています。
※2024年3月31日までは努力義務。2024年4月1日より適用。

(虐待の防止)
第三十七条の二 指定訪問リハビリテーション事業者は、虐待の発生又はその再発を防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 当該指定訪問リハビリテーション事業所における虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、訪問リハビリテーション員等に周知徹底を図ること。
二 当該指定訪問リハビリテーション事業所における虐待の防止のための指針を整備すること。
三 当該指定訪問リハビリテーション事業所において、訪問リハビリテーション従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
四 前三号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
(引用元:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

訪問リハビリテーションの運営基準の解釈通知によると、虐待の発生・再発防止のための指針には以下の項目を記載します。

【虐待の発生・再発防止のための指針に記載する項目】

訪問リハビリテーションで作成した方が良いマニュアルの一覧

訪問リハビリテーション事業所で、開業時に作成が必要なマニュアル以外に作成した方が良いマニュアルは、業務マニュアルや請求業務・介護ソフトのマニュアルなどが挙げられます。
これらのマニュアルを作成することには、職員が入れ替わった際の引継ぎ・人材育成を効率よく行ったり、サービスの質を一定の水準に保ったりするメリットがあります。

【訪問リハビリテーション事業所で作成しておいた方が良いマニュアル】

  1. 訪問リハビリテーションの業務マニュアル
  2. 新人研修マニュアル
  3. マナー・接遇マニュアル
  4. プライバシー保護の取組みに関するマニュアル
  5. 認知症対応マニュアル
  6. 緊急時対応マニュアル
  7. 請求業務・介護ソフトのマニュアル
  8. お問い合わせ対応マニュアル
    など

訪問リハビリテーションで緊急時対応マニュアルは必要?

訪問介護や訪問入浴介護では、運営基準で「緊急時等の対応」が定められており、運営指導の標準確認項目にも「緊急時対応マニュアル等が整備されているか」という項目が設けられています。
一方、訪問リハビリテーションの運営基準には、「緊急時等の対応」について定めがなく、運営基準の標準確認項目にも緊急時対応マニュアルの項目がありません。したがって、訪問リハビリテーションは緊急時対応マニュアルの作成が義務付けられてはいません。
ただし、訪問リハビリテーションサービスを実施する中で、利用者様の体調が急変する可能性もあるので、緊急時対応マニュアルは作成しておいた方が良いでしょう。
緊急時に対応するためのマニュアルには、以下のような項目を記載します。

【緊急時対応マニュアルに記載する項目】

訪問リハビリテーションのマニュアル作成のポイント

マニュアルは、誰が読んでも分かる内容にすることで業務において活用されます。ここからは、分かりやすいマニュアルを作成するためのポイントをご紹介していきます。

ポイント①マニュアルの目的を明確にする

マニュアルを作成する際は、マニュアルの目的を明確にすることが大切です。
また、いつ、誰が、どのような目的で使用するためのマニュアルなのかを具体的に考え、マニュアルの冒頭に記載しましょう。

【目的を記載したマニュアルの例】 目的を記載したマニュアルの例 (出典:厚生労働省老人保健健康増進等事業「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル (株式会社三菱総合研究所)」)

ポイント②できるだけ簡単な言葉を使う

訪問リハビリテーションの手順等を説明する上で、専門用語を使用して説明することは避けられないかもしれません。ただし、訪問リハビリテーションの経験が浅い職員でも分かりやすいように、できるだけ簡単な言葉を使用し、間違いやすい専門用語を使用する際には注釈をつけるなどの工夫をしましょう。

ポイント③細かい手順の前に業務の全体像を説明する

マニュアルは、いきなり細かい説明を行うよりも、業務の大まかな流れを先に説明した方が、読んだ人に業務の手順が伝わりやすいです。
また、文章だけで記載するのではなく、フローチャートなどを用いて説明するとより伝わりやすいマニュアルになるでしょう。

【フローチャートを利用したマニュアルの例】 フローチャートを利用したマニュアルの例 (出典:徳島県・徳島県国民健康保険団体連合会「苦情・相談の対応マニュアル」)

ポイント④ひな形を参考にする

訪問リハビリテーション事業所のマニュアルを一から分かりやすく作成するのは難しいので、厚生労働省や市町村等が示しているひな形を参考に作成すると良いでしょう。

【ひな形の一覧】

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まとめ

ここまで、訪問リハビリテーション事業所で開業時に準備する必要のあるマニュアルの種類や、マニュアルを作成する際のポイントなどについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。 訪問リハビリテーションの運営基準で義務付けられているマニュアルや運営規程、業務継続計画など、開業時に準備しなければならない書類等があります。 まずは、ご自身の事業所で作成するマニュアルの種類をリストアップし、ひな形なども使用しながらマニュアル作りを進めていきましょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。

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