【2021年度】通所リハビリテーションの介護報酬改定のまとめ



2021年(令和3年)度の介護報酬改定では、『感染症や災害への対応力強化』、『地域包括ケアシステムの推進』、『自立支援・重度化防止の取組の推進』、『介護人材の確保・介護現場の革新』、『制度の安定性・持続可能性の確保』から改定率『+0.70%』のプラス改定となりました。

ここでは、通所リハビリテーションの介護報酬改定の内容についてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

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通所リハビリテーションの基本報酬の改定

通所リハビリテーション費、介護予防通所リハビリテーション費の基本報酬について以下のように改定が行われました。

通所リハビリテーションの基本報酬

通常規模のサービス提供時間が6時間以上7時間未満の単位数を記載しています。

基本報酬 現行 改定後 増減
要介護1 670 710 +40
要介護2 801 844 +43
要介護3 929 974 +45
要介護4 1,081 1,129 +48
要介護5 1,231 1,281 +50

※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の千分の千一に相当する単位数を算定します。

介護予防通所リハビリテーションの基本報酬

基本報酬 現行 改定後 増減
要支援1 1,721 2,053 +332
要支援2 3,634 3,999 +365

※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の千分の千一に相当する単位数を算定します。

通所リハビリテーションの加算・減算等の改定

加算・減算等については、以下のように加算や区分の新設、算定要件の変更等の改定が行われています。

感染症又は災害の発生を理由とする利用者数の減少が一定以上生じている場合の加算

通所リハビリテーションにおいて、延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から5%以上減少している場合、3ヵ月間、算定できる加算が新設されました。

感染症又は災害の発生を理由とする利用者数の減少が一定以上生じている場合の加算:+基本報酬3/100

入浴介助加算

利用者の自宅での入浴の自立を図る観点から、現行の加算の評価の見直しと、個別の入浴計画作成や計画に基づいた個別の入浴介助を評価する入浴介助加算(Ⅱ)の区分の新設がありました。

入浴介助加算(Ⅰ):(現行)50単位/日 ⇒ (改定後)40単位/日

入浴介助加算(Ⅱ):(新設)60単位/日

※(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定不可

入浴介助加算(Ⅰ)の算定要件

  • 入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して、入浴介助を行うこと

入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件

  • 入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して、入浴介助を行うこと
  • 医師等が利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価していること。この際、当該居宅の浴室が、当該利用者自身又は家族等の介助により入浴を行うことが難しい環境にある場合は、訪問した医師等が、介護支援専門員・福祉用具専門相談員と連携し、福祉用具の貸与・購入・住宅改修等の浴室の環境整備に係る助言を行うこと
  • 当該事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、医師との連携の下で、当該利用者の身体の状況や訪問により把握した当該利用者の居宅の浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成すること
  • 上記の入浴計画に基づき、個浴その他の利用者の居宅の状況に近い環境にて、入浴介助を行うこと

リハビリテーションマネジメント加算

自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点から、区分の廃止、区分の新設、算定要件の見直し、評価の見直しが行われました。

現行の区分・単位数 改定後の区分・単位数
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)
330単位/月
なし
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)
同意日の属する月から6月以内 850単位/月
同意日の属する月から6月超 530単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(A)イ
同意日の属する月から6月以内 560単位/月
同意日の属する月から6月超 240単位/月
なし リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ
同意日の属する月から6月以内 593単位/月
同意日の属する月から6月超 273単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅲ)
同意日の属する月から6月以内 1,120単位/月
同意日の属する月から6月超 800単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(B)イ
同意日の属する月から6月以内 830単位/月
同意日の属する月から6月超 510単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)
同意日の属する月から6月以内 1,220単位/月
同意日の属する月から6月超 900単位/月
リハビリテーションマネジメント加算(B)ロ
同意日の属する月から6月以内 863単位/月
同意日の属する月から6月超 543単位/月
介護予防)リハビリテーションマネジメント加算 330単位/月 なし

リハビリテーションマネジメント加算(A)イの算定要件

  • 現行のリハビリテーション加算(Ⅱ)と同要件

リハビリテーションマネジメント加算(A)ロの算定要件

  • 現行のリハビリテーション加算(Ⅱ)と同要件
  • 利用者毎のリハビリテーション計画書等の内容等の情報を厚生労働省に提出し、リハビリテーションの提供に当たって、当該情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること

リハビリテーションマネジメント加算(B)イの算定要件

  • 現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅲ)と同要件を設定

リハビリテーションマネジメント加算(B)ロの算定要件

  • 現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)と同要件を設定

リハビリテーションマネジメント加算共通の算定要件の変更

リハビリテーション計画書の項目について、データ提出する場合の必須項目と任意項目が設定されました。

また、リハビリテーションマネジメント加算の算定要件の一つである「定期的な会議の開催」について、利用者の了解を得た上で、テレビ会議等の対面を伴わない方法により開催することが可能となりました。

生活行為向上リハビリテーション実施加算

廃用症候群や急性増悪等によって生活機能が低下した利用者に対する、適時適切なリハビリ

テーションの提供を促進する観点から、算定要件と算定要件について見直しが行われました。

生活行為向上リハビリテーション実施加算:1月につき+1,250単位(利用開始日の属する月から6月以内)

生活行為向上リハビリテーション実施加算の算定要件

  • 生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識や経験を有する作業療法士、生活行為の内容の充実を図るための研修を修了した理学療法士、言語聴覚士が配置されていること
  • 生活行為の内容の充実を図るための目標や、目標を踏まえたリハビリテーションの実施頻度、実施場所等が記載されたリハビリテーション実施計画を定めて、リハビリテーションを提供すること
  • 当該計画で定めたリハビリテーションの実施期間中及びリハビリテーションの提供終了日前1月以内にリハビリテーション会議を開催し、目標の達成状況を報告すること
  • リハビリテーションマネジメント加算(A)・(B)のいずれかを算定していること
  • 指定通所リハビリテーション事業所の医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が当該利用者の居宅を訪問し生活行為に関する評価をおおむね1月に1回以上実施すること

栄養アセスメント加算

管理栄養士と介護職員等の連携による栄養アセスメントの取組を評価する栄養アセスメント加算が新設されました。

栄養アセスメント加算:50単位/月

栄養アセスメント加算の算定要件

  • 当該事業所の従業者として又は外部との連携により管理栄養士を1名以上配置していること
  • 利用者ごとに、管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して栄養アセスメントを実施し、当該利用者又はその家族に対してその結果を説明し、相談等に必要に応じ対応すること
  • 利用者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、栄養管理の実施に当たって、当該情報その他栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること

栄養改善加算

栄養改善が必要な者を的確に把握し、適切なサービスにつなげていく観点から、算定要件と単位数の見直しが行われました。

栄養改善加算:(現行)150単位/回 ⇒ (改定後)200単位/回

栄養改善加算の算定要件

  • 現行の栄養改善加算と同じ
  • 栄養改善サービスの提供に当たって、必要に応じ居宅を訪問すること

口腔・栄養スクリーニング加算

利用者の口腔機能低下の重症化等の予防、維持、回復等につなげる観点から、介護職員等が実施可能な口腔スクリーニングと現行の栄養スクリーニング加算の取組を一体的に評価する「口腔・栄養スクリーニング加算」が新設されました。

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ):20単位/回

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ):5単位/回

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)の算定要件

  • 介護サービス事業所の従業者が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の口腔の健康状態及び栄養状態について確認を行い、当該情報を利用者を担当する介護支援専門員に提供していること

※栄養アセスメント加算、栄養改善加算、口腔機能向上加算との併算定不可

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)の算定要件

  • 利用者が、栄養改善加算や口腔機能向上加算を算定している場合に、口腔の健康状態と栄養状態のいずれかの確認を行い、当該情報を利用者を担当する介護支援専門員に提供していること

口腔機能向上加算

CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用による更なるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを評価する口腔機能向上加算(Ⅱ)の区分が新設されました。

口腔機能向上加算(Ⅰ):150単位/回

口腔機能向上加算(Ⅱ):160単位/回

口腔機能向上加算(Ⅰ)の算定要件

  • 現行の口腔機能向上加算と同じ

口腔機能向上加算(Ⅱ)の算定要件

  • 現行の口腔機能向上加算と同じ
  • 口腔機能改善管理指導計画等の情報を厚生労働省に提出し、口腔機能向上サービスの実施にあたって当該情報その他口腔衛生の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること

科学的介護推進体制加算

介護サービスの質の評価と科学的介護の取組を推進し、介護サービスの質の向上を図る観点から、利用者のデータの提出、フィードバックに基づくケアプランや計画への反映などを評価する科学的介護推進体制加算が新設されました。

科学的介護推進体制加算:40単位/月

科学的介護推進体制加算の算定要件

  • 利用者ごとの、ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の利用者の心身の状況等に係る基本的な情報を、厚生労働省に提出していること
  • 必要に応じてサービス計画を見直すなど、サービスの提供に当たって、上記の情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること

社会参加支援加算、移行支援加算

加算の趣旨や内容を踏まえて、加算の名称が社会参加支援加算から「移行支援加算」となりました。

(現行)社会参加支援加算:12単位/日 ⇒ (改定後)移行支援加算:12単位/日

移行支援加算の算定要件

  • 評価対象期間においてリハビリテーション終了者のうち、指定通所介護等を実施した者の割合が、100分の3を超えていること
  • リハビリテーションの利用の回転率が「12月平均利用延月数≧27%」であること
  • 評価対象期間中にリハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、リハビリテーション終了者に対して、電話等により、指定通所介護等の実施状況を確認し、記録すること
  • リハビリテーション終了者が指定通所介護等の事業所へ移行するにあたり、当該利用者のリハビリテーション計画書を移行先の事業所へ提供すること

サービス提供体制強化加算

サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点から見直され、新たな上位区分が新設、従来の区分の要件の変更がありました。

【通所リハビリテーション】

現行の区分・単位数 改定後の区分・単位数
なし サービス提供体制強化加算(Ⅰ):22単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ:18単位/回 サービス提供体制強化加算(Ⅱ):18単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロ:12単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅱ):6単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅲ):6単位/回

【介護予防通所リハビリテーション】

現行の区分・単位数 改定後の区分・単位数
なし サービス提供体制強化加算(Ⅰ)
要支援1:88単位/月
要支援2:176単位/月
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)イ
要支援1:72単位/月
要支援2:144単位/月
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)
要支援1:72単位/月
要支援2:144単位/月
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)ロ
要支援1:48単位/月
要支援2:96単位/月
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)
要支援1:24単位/月
要支援2:48単位/月
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)
要支援1:24単位/月
要支援2:48単位/月

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件

以下のいずれかに該当すること

  • 介護福祉士70%以上
  • 勤続10年以上介護福祉士25%以上

サービス提供体制強化加算(Ⅱ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件

  • 介護福祉士50%以上

サービス提供体制強化加算(Ⅲ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件

以下のいずれかに該当すること

  • 介護福祉士40%以上
  • 勤続7年以上の者が30%以上

介護職員処遇改善加算

介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである職場環境等要件について、『取組の見直し』と『当該年度における取組の実施』の変更がありました。

また、介護職員処遇改善加算(Ⅳ)と(Ⅴ)の区分について、上位区分の算定が進んでいることを踏まえて、1年の経過措置期間を設けて廃止することになりました。

職場環境等要件の見直しの方向性

  • 職員の新規採用や定着促進に資する取組%以上
  • 職員のキャリアアップに資する取組
  • 両立支援・多様な働き方の推進に資する取組
  • 腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組
  • 生産性の向上につながる取組
  • 仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取組

介護職員等特定処遇改善加算

平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で以下の改定が行われました。

【現行】「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」

【改定後】「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「より高くすること」

賃金改善額の配分ルール改定

※第199回社会保障審議会介護給付費分科会 参考資料1より引用

介護予防通所リハビリテーションの長期提供による減算

介護予防通所リハビリテーションにおいて、適切なサービスを提供する観点から、サービス利用開始日の属する月から12月超の利用者に介護予防通所リハビリテーションを行った場合の減算が新設されました。

利用を開始した日の属する月から起算して12月を超えた期間に介護予防通所リハビリテーションを行った場合の減算

要支援1:-20単位/月

要支援2:-40単位/月

通所リハビリテーションの介護報酬に係るその他の改定

事業所規模別の報酬区分の決定

感染症や災害の影響により利用者数が減少した場合、より小さい規模区分がある大規模型について、事業所規模別の報酬区分を、前年度の平均延べ利用者数ではなく、延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることができるようになりました。

区分支給限度基準額の計算方法

同一建物減算等の適用を受ける利用者の区分支給限度基準額は、減算の適用前(同一建物に居住する者以外の者に対して行う場合)の単位数を用いて計算することになりました。

また、大規模型の通所介護を利用する者の区分支給限度基準額は、通常規模型の単位数を用いて計算することになりました。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の計画

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養に関する各種計画書(リハビリテーション計画書、栄養ケア計画書、口腔機能向上サービスの管理指導計画・実施記録)について、重複する記載項目を整理し、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式が設けられます。

通所リハビリテーションの人員、設備、運営の基準、その他の改定

非常災害対策

非常災害対策の訓練の実施にあたって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めることが求められることになりました。

認知症介護基礎研修の義務化

介護に直接携わる職員の認知症対応力を向上させていくため、介護サービス事業者に、無資格の職員について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることが義務づけられました。これには3年の経過措置、新入職員には1年の猶予期間があります。

事業所と同一の建物に居住する利用者に対するサービス提供

事業所と同一の建物に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対してもサービス提供を行うように努めることが求められます。

情報公表制度における変更

介護サービス情報公表制度において、従業者の認知症介護実践者研修の受講状況などの認知症に係る事業者の取組状況を公表する項目が設けられました。

最後に

本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開されますので、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。

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