居宅療養管理指導の2021年度介護報酬改定
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2021年(令和3年)度の介護報酬改定では、『感染症や災害への対応力強化』、『地域包括ケアシステムの推進』、『自立支援・重度化防止の取組の推進』、『介護人材の確保・介護現場の革新』、『制度の安定性・持続可能性の確保』から改定率『+0.70%』のプラス改定となりました。
ここでは、居宅療養管理指導の介護報酬改定の内容についてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
介護事業の運営に役立つ情報を
定期的にお届けします。
居宅療養管理指導の基本報酬の改定
居宅療養管理指導費の基本報酬について以下のように改定が行われました。
基本報酬 | 単一建物居住者の人数 | 現行 | 改定後 | 増減 | |
---|---|---|---|---|---|
医師が行う場合 | 居宅療養管理指導(Ⅰ) | 1人 | 509 | 514 | +5 |
2~9人 | 485 | 486 | +1 | ||
10人以上 | 444 | 445 | +1 | ||
居宅療養管理指導(Ⅱ) | 1人 | 295 | 298 | +3 | |
2~9人 | 285 | 286 | +1 | ||
10人以上 | 261 | 259 | -2 | ||
歯科医師が行う場合 | 1人 | 509 | 516 | +7 | |
2~9人 | 485 | 486 | +1 | ||
10人以上 | 444 | 440 | -4 | ||
薬剤師が行う場合 | 病院又は診療所の薬剤師 | 1人 | 560 | 565 | +5 |
2~9人 | 415 | 416 | +1 | ||
10人以上 | 379 | 379 | 0 | ||
薬局の薬剤師 | 1人 | 509 | 517 | +8 | |
2~9人 | 377 | 378 | +1 | ||
10人以上 | 345 | 341 | -4 | ||
情報通信機器を用いて行う場合 | なし | 45 | - | ||
管理栄養士が行う場合 | 当該事業所の管理栄養士 | 1人 | 539 | 544 | +5 |
2~9人 | 485 | 486 | +1 | ||
10人以上 | 444 | 443 | -1 | ||
当該事業所以外の管理栄養士 | 1人 | なし | 524 | - | |
2~9人 | なし | 466 | - | ||
10人以上 | なし | 423 | - | ||
歯科衛生士が行う場合 | 1人 | 356 | 361 | +5 | |
2~9人 | 324 | 325 | +1 | ||
10人以上 | 296 | 294 | -2 |
※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の千分の千一に相当する単位数を算定します。
居宅療養管理指導の介護報酬に係るその他の改定
外部の管理栄養士による居宅療養管理指導
診療報酬の例も参考に、当該事業所以外の他の医療機関、介護保険施設、日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」と連携して、当該事業所以外の管理栄養士が居宅療養管理指導を実施した場合の基本報酬の区分が新設されました。
薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導
薬剤師による居宅療養管理指導について、診療報酬の例も踏まえて、情報通信機器を用いた服薬指導の基本報酬の区分が新設されました。
居宅療養管理指導の人員、設備、運営の基準、その他の改定
多職種との連携
利用者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、より適切なサービスを提供していく観点、多職種間での情報共有促進の観点から、以下の内容について通知、運営基準が見直されました。
- 医師・歯科医師による居宅療養管理指導の提供に当たり、利用者の社会生活面の課題にも目を向け、利用者の多様なニーズについて地域における多様な社会資源につながるよう留意し、必要に応じて指導、助言等を行うこと
- 薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士による居宅療養管理指導の提供に当たり、上記の医師・歯科医師の指導、助言等につながる情報の把握に努め、必要な情報を医師又は歯科医師に提供すること
- 薬剤師による居宅療養管理指導において、療養上適切な居宅サービスが提供されるために必要があると認める場合や、居宅介護支援事業者等から求めがあった場合は、居宅サービス計画の作成、居宅サービスの提供等に必要な情報提供又は助言を行うこと
医師・歯科医師から介護支援専門員への情報提供の様式
医師・歯科医師から介護支援専門員に適時に必要な情報が提供され、ケアマネジメントに活用されるようにする観点から、情報提供の様式について、主治医意見書や歯科疾患在宅療養管理料の様式を踏まえた新たな様式が設けられることになりました。
歯科衛生士等による居宅療養管理指導の記録等の様式
歯科衛生士等による居宅療養管理指導を行った場合の記録等の様式について、診療報酬における訪問歯科衛生指導料や歯科衛生実地指導料の記載内容を参考に新たな様式が設けられました。
居宅療養管理指導の対象者(通院が困難)
適切なサービスの提供を進める観点から、「居宅療養管理指導は、定期的に訪問して管理・指導を行った場合の評価であり、継続的な管理・指導の必要のない者や通院が可能な者に対して安易に算定してはならず、例えば、少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、通院は容易であると考られるため、居宅療養管理指導費は算定できないこと」が通知により明確化されます。
事業所と同一の建物に居住する利用者に対するサービス提供
事業所と同一の建物に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対してもサービス提供を行うように努めることが求められます。
最後に
本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開されますので、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。