夜間対応型訪問介護向けのソフトとは?導入メリットなどを紹介します
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介護保険制度が浸透した日本でも、夜間対応型訪問介護を行う事業所が少しずつ増えてきました。介護は本来24時間休みがありません。
そんなご家族の大きな負担を減らすべく登場したサービスであるため、従事するみなさまや経営者の方々の業務の負担を減らせるように、介護ソフトウエアの導入もよく考えて行いたいものです。
この記事では、夜間対応型訪問介護を行っている事業所の方にとって、扱いやすいソフトウエアの導入方法についてまとめています。
ぜひご一読いただき、みなさまの事業にお役立てください。
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目次
夜間対応型訪問介護向けのソフトとは
介護報酬等を計算するソフトウエア
夜間対応型訪問介護向けのソフトウエアとは、主に介護保険の介護報酬の計算をメインに行ってくれるソフトです。介護報酬の請求や計算は非常に複雑で、人力だとどうしても入力間違いや計算間違いが生じます。エクセル等で行うこともできるでしょうが、制度が頻繁に変化するため多大な時間がかかってしまいます。
このことから、介護保険のスタート当初から介護報酬を計算するソフトウエアが開発されています。その中でも近年創設された、夜間対応型訪問介護事業所向けに、早くもソフトウエアが登場しています。
介護報酬以外の金銭管理も可能
夜間対応型訪問介護事業所向けのソフトウエアのオプションによっては、介護報酬以外の金銭管理も可能なタイプがあります。例えば、職員の給料計算なども可能です。また、ご利用者からの自己負担金の入金や、それ以外の実費の部分のサービスの入金などを管理できるものもあります。
ご利用者情報の記入も可能
夜間対応型訪問介護事業所から、訪問にうかがっているご利用者の情報を入力しておくことができます。
介護保険の場合は、基本的には紙ベースでの書類管理が求められますが、まずはソフトウエアに入力しておくことで編集や管理が行いやすくなります。
スタッフの勤務状況の管理もできる
ソフトウエアには、事業所に勤務するスタッフの勤務日程を管理できるものもあります。
どうしても訪問介護の場合は、夜間ということもあって働くスタッフが今どのご利用者宅に行っているのか把握しにくいのが現状です。ソフトウエアを使用することで、どのスタッフが現在どのご利用者宅で仕事をしているのかが管理しやすくなります。
また、勤務日報も簡単に作成することができます。
職員の給料計算もできる
このソフトウエアの一部では、職員の給料計算等ができるものもあります。
夜間対応型訪問介護の場合、正社員よりも非正規のパート従業員が多いですが、このソフトウエアを上手に活用することで効率よく計算ができます。
経営状況を把握することもできる
上記に挙げたように、夜間対応型訪問介護事業所の金銭に関わる計算のほとんどができるわけですから、結果として事業所の経営状況の把握ができるようになります。
これは経営者にとってはありがたいです。
夜間対応型訪問介護向けのソフトの導入メリット
事務作業の効率化
夜間対応型訪問介護向けのソフトウエア導入のメリットの1つは、事務作業に関わる仕事の効率化です。
介護保険の制度は、管理と記録が非常に厳しく求められます。特に介護報酬等の計算は、定期的な介護保険の改正に伴って大きく変化しますので、このようなソフトウエアの導入なしで行うことは現状では多大な労力がかかります。
ご利用者情報の管理と共有化
導入メリットのもう一つは、ご利用者情報の管理と共有化です。
夜間対応型訪問介護事業所の場合、ご利用者宅への訪問、特に夜間の訪問が仕事のメインになります。訪問の仕事は訪問したスタッフ以外に、ご利用者の状況が把握しづらくなります。そこで、ソフトウエアに情報を入力しておくことで、事業所のスタッフ全員が事業所を利用していただいているご利用者の、身体状況や家庭環境などの情報が把握できるようになります。
モバイル端末を利用すればご利用者宅での入力も可能
夜間対応型訪問介護の仕事は、主に高齢なご利用者の夜間の身の回りのお世話です。このため、ご利用者の状況が日々変化するのが通常です。
現在はモバイル端末からソフトウエアを通じて、ご利用者状況を入力することも可能になりました。これにより事業所の管理者は、迅速に行程の変更や追加などを行うことが可能になります。
夜間対応型訪問介護向けのソフトの選定方法
それでは、夜間対応型訪問介護向けのソフトウエアの選定方法について、簡単にまとめていきます。
① 事業所で必要とされる機能を考えたソフトウエアにする
請求業務以外に必要とされる内容
基本的には介護報酬の計算ができることが求められますが、現在は様々な種類のオプションをつけることが可能です。このため、運営している夜間対応型訪問介護事業で必要とされる機能を、選ぶことが必要です。
例えば、同時に職員の行程把握も行うのか、給料計算等も行うのかなどです。通常オプションを増やすと購入金額も上がるため、選定と同時に資金も考えておきましょう。
② 購入方法を検討する
夜間対応型訪問介護だけではなく、介護事業者用ソフトウエアは下記の種類があります。
それぞれのメリットデメリットを考慮して選定しましょう。
パッケージソフト型
特徴
- 業者より購入したソフトウエアを事業所のパソコンにインストールする
- 現在はCD-ROMなどを使ってインストールする
- 使用できるのはインストールされたパソコンに限られる
メリット
- 請求業務以外のオプションがあらかじめパッケージされているものが多い
- 事業所の業務内容に合わせたカスタマイズが可能
- 使えるパソコンが限定されるためセキュリティー上有利
- オフラインでも使用可能なものが多い
デメリット
- 購入費用が高額になりやすい(数十万円~数百万円)
- 介護保険制度の改正などに伴ったソフトウエアのバージョン変更等に、逐一費用がかかることが多い
- 月々の保守サービスは別料金が多い(月々の場合と一年または半年の一括契約が多い)
ASP型
ソフトウエア会社と契約を交わし、ソフトウエア会社のサーバーを使ってインターネット回線を通じて請求業務等を行うことができます。
特徴
- パスワード等を利用してサーバーに接続する
- 月々の利用料金での使用
- オプション機能等は選択して追加で使用する
メリット
- 月々の利用料金設定が低額から行える
- 介護保険の改正に伴ったバージョン変更等に、迅速に対応できる
- メーカーで仕様変更を随時行うため使いやすさが向上
デメリット
- カスタマイズがしにくい
- 事業所のパソコンが古い場合は動作が遅く、不安定になりやすい
- セキュリティー上ハッキングの恐れがある
それぞれ、メリットとデメリットがあります。
創業間もない場合や、中小規模の法人の事業所の場合はASP型やクラウド型の使用が多いと考えられます。
ただし、事業所の業務と合わないソフトウエアの使用は、業務効率の悪化を招きますので良く考えて選択しましょう。
夜間対応型訪問介護向けのソフトの費用
それではソフトウエア導入にかかる費用を見ていきましょう。
主に購入時にかかるイニシャルコストと、使用する中で必要になってくるランニングコストがあります。
イニシャルコスト
導入にかかるコストはパーケージ型か、ASP型かによってかなり変わります。
起業したばかりの事業者や小規模の事業者であれば、まずはASP型から利用をスタートするほうが資金をおさえやすいと考えられます。
逆に複数事業を展開している規模の法人であれば、カスタマイズ可能なパッケージソフト型を考慮するのも良いと思います。
① パッケージソフト型
-
購入する際に数十万円~500万円くらいと幅広い(カスタマイズ内容、業者によって差異が大きい)
介護保険スタート時は数百万円するものがほとんどでしたが、若干下がったものも増えているようです。
② ASP型
- 購入ではなくソフトウエアをレンタル利用する形に近いため、導入にかかる費用はかからない業者が多い(設定費用を徴収する業者もあります)
ランニングコスト
ランニングコストはパッケージ型、ASP型共に、月々の保守点検費用等がかかってきます。
① パッケージソフト型
- 月々の保守契約または年間(半年)契約で約10万円前後が多い
- 保守点検費用はオプションとして契約する場合が多い
- 別途介護保険の改正などでの更新代金が必要になるケースもある
② ASP型
- 月々数千円~(オプションにより変動)
- 介護保険の改正等によるバージョンアップは基本追加料金なし
上記を見てみると、ASP型のほうが費用は抑えることはできそうです。
ただし、セキュリティーや使い勝手などの面で、パッケージソフト型を導入する企業も多いのが事実です。
特に、大規模な法人の場合は、カスタマイズなどを行ってくれるパッケージソフト型を使っていることが多いです。もちろんかなりの費用はかかってしまいます。
まとめ
ここまで夜間対応型訪問介護事業で、導入するソフトウエアについてまとめてみました。
夜間対応型訪問介護自体が、ニーズはあるもののまだまだ数の少ない介護保険サービスです。特に夜間の対応が必要なご利用者は、介護度の高い重度障害を負っている場合が多いです。
このようなご利用者宅への夜間の訪問は、ヘルパースタッフだけではなく事業所のスタッフ全員が、緊急事態等に対応できるようにしておかなくてはいけません。そのために、情報共有や業務の効率化が必須になります。
今回紹介したようなソフトウエアを上手に導入することで、この記事をお読みいただいたみなさまの、夜間対応型訪問介護事業が成功することを期待しています。
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