訪問入浴介護の2021年度介護報酬改定
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2021年(令和3年)度の介護報酬改定では、『感染症や災害への対応力強化』、『地域包括ケアシステムの推進』、『自立支援・重度化防止の取組の推進』、『介護人材の確保・介護現場の革新』、『制度の安定性・持続可能性の確保』から改定率『+0.70%』のプラス改定となりました。
ここでは、訪問入浴介護の介護報酬改定の内容についてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
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訪問入浴介護の基本報酬の改定
訪問入浴介護費・介護予防訪問入浴介護の基本報酬について以下のように改定が行われました。
基本報酬 | 現行 | 改定後 | 増減 |
---|---|---|---|
訪問入浴介護費 | 1,256 | 1,260 | +4 |
介護予防訪問入浴介護費t | 849 | 852 | +3 |
※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の千分の千一に相当する単位数を算定します。
訪問入浴介護の加算・減算等の改定
加算・減算等については、以下のように加算や区分の新設、算定要件の変更等の改定が行われています。
初回加算
新規利用者に対して、初回のサービス提供を行う前に居宅を訪問して訪問入浴介護の利用に関する調整(浴槽の設置場所や給排水の方法の確認等)を行うことを評価する初回加算が新設されました。
初回加算:+200単位/月
全身入浴が困難で、清拭又は部分浴を実施した場合
全身入浴が困難で、清拭又は部分浴を実施した場合の減算について、サービス提供の実態を踏まえて減算幅が見直されました。
清拭又は部分浴を実施した場合の減算:(現行)-30%/回 ⇒ (改定後)-10%/回
認知症専門ケア加算
認知症対応力を向上させる観点から、訪問入浴介護においても認知症専門ケア加算が新設されました。
認知症専門ケア加算(Ⅰ):1日につき+3単位
認知症専門ケア加算(Ⅱ):1日につき+4単位
認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件
- 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が利用者の100分の50以上
- 認知症介護実践リーダー研修修了者を認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が20名未満の場合は1名以上、20名以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10又は端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置し、専門的な認知症ケアを実施
- 当該事業所の従業員に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催
認知症専門ケア加算(Ⅱ)の算定要件
- 認知症専門ケア加算(Ⅰ)の要件を満たし、かつ、認知症介護指導者養成研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施
- 介護、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、実施又は実施を予定
サービス提供体制強化加算
サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点から見直され、新たな上位区分が新設、従来の区分の要件の変更がありました。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 |
---|---|
なし | サービス提供体制強化加算(Ⅰ):44単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ):36単位/回 | サービス提供体制強化加算(Ⅱ):36単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ):24単位/回 | サービス提供体制強化加算(Ⅲ):12単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件
以下のいずれかに該当すること
- 介護福祉士60%以上
- 勤続10年以上介護福祉士25%以上
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件
- 介護福祉士40%以上又は介護福祉士、実務者研修修了者、基礎研修修了者の合計が60%以上
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件
以下のいずれかに該当すること
- 介護福祉士30%以上又は介護福祉士、実務者研修修了者、基礎研修修了者の合計が50%以上
- 勤続7年以上の者が30%以上
介護職員処遇改善加算
介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである職場環境等要件について、『取組の見直し』と『当該年度における取組の実施』の変更がありました。
また、介護職員処遇改善加算(Ⅳ)と(Ⅴ)の区分について、上位区分の算定が進んでいることを踏まえて、1年の経過措置期間を設けて廃止することになりました。
職場環境等要件の見直しの方向性
- 職員の新規採用や定着促進に資する取組
- 職員のキャリアアップに資する取組
- 両立支援・多様な働き方の推進に資する取組
- 腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組
- 生産性の向上につながる取組
- 仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取組
介護職員等特定処遇改善加算
平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で以下の改定が行われました。
【現行】「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とすること」
【改定後】「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「より高くすること」
※第199回社会保障審議会介護給付費分科会 参考資料1より引用
訪問入浴介護の人員、設備、運営の基準、その他の改定
認知症介護基礎研修の義務化
介護に直接携わる職員の認知症対応力を向上させていくため、介護サービス事業者に、無資格の職員について、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることが義務づけられました。これには3年の経過措置、新入職員には1年の猶予期間があります。
事業所と同一の建物に居住する利用者に対するサービス提供
事業所と同一の建物に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対してもサービス提供を行うように努めることが求められます。
情報公表制度における変更
介護サービス情報公表制度において、従業者の認知症介護実践者研修の受講状況などの認知症に係る事業者の取組状況を公表する項目が設けられました。
最後に
本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開されますので、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。