訪問リハビリテーションの2021年度介護報酬改定
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2021年(令和3年)度の介護報酬改定では、『感染症や災害への対応力強化』、『地域包括ケアシステムの推進』、『自立支援・重度化防止の取組の推進』、『介護人材の確保・介護現場の革新』、『制度の安定性・持続可能性の確保』から改定率『+0.70%』のプラス改定となりました。
ここでは、訪問リハビリテーションの介護報酬改定の内容についてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
介護事業の運営に役立つ情報を
定期的にお届けします。
訪問リハビリテーションの基本報酬の改定
訪問リハビリテーション費・介護予防訪問リハビリテーション費の基本報酬について以下のように改定が行われました。
基本報酬 | 現行 | 改定後 | 増減 |
---|---|---|---|
訪問リハビリテーション費 | 292 | 307 | +15 |
介護予防訪問リハビリテーション費 | 292 | 307 | +15 |
※令和3年9月30日までの間は、基本報酬について、所定単位数の千分の千一に相当する単位数を算定します。
訪問リハビリテーションの加算・減算等の改定
加算・減算等については、以下のように加算や区分の新設、算定要件の変更等の改定が行われています。
リハビリテーションマネジメント加算
自立支援・重度化防止に向けた更なる質の高い取組を促す観点から、区分の廃止、区分の新設、算定要件の見直し、評価の見直しが行われました。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 |
---|---|
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)
230単位/月 |
なし |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)
280単位/月 |
リハビリテーションマネジメント加算(A)イ
180単位/月 |
なし |
リハビリテーションマネジメント加算(A)ロ
213単位/月 |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅲ)
320単位/月 |
リハビリテーションマネジメント加算(B)イ
450単位/月 |
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)
420単位/月 |
リハビリテーションマネジメント加算(B)ロ
483単位/月 |
リハビリテーションマネジメント加算(A)イの算定要件
- 現行のリハビリテーション加算(Ⅱ)と同要件
リハビリテーションマネジメント加算(A)ロの算定要件
- 現行のリハビリテーション加算(Ⅱ)と同要件
- 利用者毎のリハビリテーション計画書等の内容等の情報を厚生労働省に提出し、リハビリテーションの提供に当たって、当該情報その他リハビリテーションの適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること
リハビリテーションマネジメント加算(B)イの算定要件
- 現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅲ)と同要件を設定
リハビリテーションマネジメント加算(B)ロの算定要件
- 現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅳ)と同要件を設定
リハビリテーションマネジメント加算共通の算定要件の変更
リハビリテーション計画書の項目について、データ提出する場合の必須項目と任意項目が設定されました。
また、リハビリテーションマネジメント加算の算定要件の一つである「定期的な会議の開催」について、利用者の了解を得た上で、テレビ会議等の対面を伴わない方法により開催することが可能となりました。
事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合
リハビリテーション計画の作成にあたって事業所医師が診療せずに適切な研修の修了等をした事業所外の医師が診療等をした場合の診療未実施減算について、事業所の医師の関与を進める観点から、見直しが行われました。
事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合の減算:(現行)-20単位/回 ⇒ (改定後)-50単位/回
社会参加支援加算、移行支援加算
加算の趣旨や内容を踏まえて、加算の名称が社会参加支援加算から「移行支援加算」となりました。
(現行)社会参加支援加算:17単位/日 ⇒ (改定後)移行支援加算:17単位/日
移行支援加算の算定要件
- 評価対象期間においてリハビリテーション終了者のうち、指定通所介護等を実施した者の割合が、100分の5を超えていること
- リハビリテーションの利用の回転率が「12月平均利用延月数≧25%」であること
- 評価対象期間中にリハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、リハビリテーション終了者に対して、電話等により、指定通所介護等の実施状況を確認し、記録すること
- リハビリテーション終了者が指定通所介護等の事業所へ移行するにあたり、当該利用者のリハビリテーション計画書を移行先の事業所へ提供すること
サービス提供体制強化加算
サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点から見直され、区分の新設、変更がありました。
現行の区分・単位数 | 改定後の区分・単位数 |
---|---|
なし | サービス提供体制強化加算(Ⅰ):6単位/回 |
サービス提供体制強化加算:6単位/回 | サービス提供体制強化加算(Ⅱ):3単位/回 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件
- 勤続7年以上の者が30%以上
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)の算定要件のうち、資格・勤続年数要件
- 勤続3年以上の者が30%以上
介護予防訪問リハビリテーションの長期提供による減算
介護予防訪問リハビリテーションにおいて、適切なサービスを提供する観点から、サービス利用開始日の属する月から12月超の利用者に介護予防訪問リハビリテーションを行った場合の減算が新設されました。
利用を開始した日の属する月から起算して12月を超えた期間に介護予防訪問リハビリテーションを行った場合の減算:-5/回
訪問リハビリテーションの介護報酬に係るその他の改定
退院・退所直後の訪問回数
訪問リハビリテーション費について、現行では、「1週に6回を限度」として算定できますが、退院・退所直後のリハビリテーションの充実を図る観点から、退院・退所の日から起算して3月以内の利用者に対し医師の指示に基づき継続してリハビリテーションを行う
場合は、「1週に12回を限度」まで算定できることになりました。
訪問リハビリテーションの人員、設備、運営の基準、その他の改定
事業所と同一の建物に居住する利用者に対するサービス提供
事業所と同一の建物に居住する利用者に対してサービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対してもサービス提供を行うように努めることが求められます。
情報公表制度における変更
介護サービス情報公表制度において、従業者の認知症介護実践者研修の受講状況などの認知症に係る事業者の取組状況を公表する項目が設けられました。
リハビリテーション計画書の様式の見直し
業務効率化の観点から、リハビリテーション計画書と個別機能訓練計画書の項目の共通化を行うとともに、リハビリテーション計画書の固有の項目について、整理して簡素化されることになっています。
最後に
本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開されますので、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。