訪問リハビリテーションの人員基準とは?指定基準やみなし指定の条件も合わせてご紹介
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訪問リハビリテーションの開業を検討している皆様の中には、「訪問リハビリテーションの人員基準はどうなってる?」や「訪問リハビリテーションのみなし指定を受けることはできる?」などといった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、訪問リハビリテーションの人員基準とみなし指定の条件、人員基準を満たせない場合の対応方法などについてご紹介していきます。
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目次
- 訪問リハビリテーションとは
- 訪問リハビリテーションの人員基準とは
- 訪問リハビリテーションのみなし指定とは
- 訪問リハビリテーションの指定基準とは
- 訪問リハビリテーションの人員基準を満たせない場合の対応
- まとめ
訪問リハビリテーションとは
訪問リハビリテーションとは、要介護者が居宅において心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために、理学療法・作業療法・その他必要なリハビリテーションを行うサービス種別です。
訪問リハビリテーションの実施主体は、
- 病院または診療所
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
の3つに分けられます。このうち、病院または診療所が全体の『76.8%』、次に介護老人保健施設が『23.1%』、介護医療院が『0.001%』と、病院または診療所が運営する事業所が大半を占めるサービス種別となっています。
(出典:令和5年7月24日厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会資料4)
訪問リハビリテーションの人員基準とは
訪問リハビリテーションの人員基準とは、サービスを提供するために必要な職員の員数や資格等が定められている厚生労働省令です。訪問リハビリテーションの人員基準には、専任の常勤医師が1人以上、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士を適当数置かなければならないとされています。
訪問リハビリテーションの人員配置基準①医師
訪問リハビリテーションの医師の人員配置基準は以下の通りです。
配置基準 | 兼務 |
---|---|
常勤・専従で1人 | 病院または診療所、介護老人保健施設、介護医療院では、当該病院等の常勤医師との兼務で差し支えない。 |
訪問リハビリテーションの人員配置基準②理学療法士、作業療法士または言語聴覚士
訪問リハビリテーションの理学療法士、作業療法士または言語聴覚士の人員配置基準は以下の通りです。
配置基準 | 兼務 |
---|---|
適当数を配置 | 病院または診療所、介護老人保健施設、介護医療院の理学療法士、作業療法士または言語聴覚士との兼務も可能。 |
理学療法士、作業療法士または言語聴覚士については「適当数を配置しなければならない」とされています。
訪問リハビリテーションのみなし指定とは
みなし指定とは、健康保険法の保険医療機関・保険薬局に指定された医療機関・薬局が、介護保険法による医療系サービスの事業者として、指定をされたものとみなされることをいいます。
通常、訪問リハビリテーション事業を始めるためには、指定権者に「指定申請」を行う必要がありますが、病院または診療所の場合は指定申請を行わなくても、「みなし指定」を受けた事業所として訪問リハビリテーションのサービス提供を行うことができます。
訪問リハビリテーションの指定基準とは
訪問リハビリテーションの指定基準とは、事業所を運営するために必ず守らなければならないルールのことで、人員基準のほかに運営基準、設備基準があります。介護老人保健施設や介護医療院等が訪問リハビリテーションを開業する前に行う指定申請時には、人員基準と設備基準の内容を満たしていなければなりません。
訪問リハビリテーションの運営基準とは
訪問リハビリテーションの運営基準には、事業所が適切なサービスを提供するために、提供するサービスの内容や提供方法、必要な書類や記録、研修・マニュアルといった行わなければならない取り組みなどが規定されています。
【訪問リハビリテーションの運営基準の項目例】
- 内容および手続きの説明と同意
- 提供拒否の禁止
- サービス提供困難時の対応
- 受給資格等の確認
- 要介護認定の申請を援助
- 心身の状況等の把握
- 居宅介護支援事業者等との連携
- 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助
- 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供
- 居宅サービス計画等の変更の援助
- 身分を証する書類の携行
- サービス提供の記録
- 利用料等の受領
- 訪問リハビリテーションの基本取扱方針
- 訪問リハビリテーションの具体的取扱方針
- 訪問リハビリテーション計画の作成
- 利用者に関する市町村への通知
- 勤務体制の確保等
- 業務継続計画の策定等
- 衛生管理等
- 掲示
- 秘密保持等
- 広告
- 居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止
- 苦情処理
- 地域との連携等
- 事故発生時の対応
- 虐待の防止
- 会計の区分
- 記録の整備
など
訪問リハビリテーションの設備基準とは
訪問リハビリテーションの設備基準には、訪問リハビリテーションの事業の運営を行うための専用の区画など、最低限設置しなくてはならない設備や備品などについて定められています。
【訪問リハビリテーションの設備基準の例】
- 病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院に、訪問リハビリテーションの事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設けること
- 訪問リハビリテーションの提供に必要な設備および備品等を備えていること
設備および備品については、病院、診療所、介護老人保健施設または介護医療院における医療用に備え付けられたものを使用することができる
など
訪問リハビリテーションの人員基準を満たせない場合の対応
訪問リハビリテーションでは、人員基準を満たさないと指定を受けることができず、開業することができません(みなし指定の場合を除く)。
また、開業後も人員基準を遵守し続ける必要があります。人員基準を満たしていない状況で事業所運営を行い、運営指導(実地指導)等で人員基準違反が明らかになった場合、報酬返還や指定取消等を受けてしまう可能性があります。
そのため、職員の退職等で一時的に人員基準を満たせない状態となった場合は、必ず行政に報告・相談を行いましょう。
まとめ
ここまで、訪問リハビリテーションの人員基準、運営基準や設備基準といった指定基準についてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
訪問リハビリテーションは、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院の職員を兼務させて運営するケースが多く、訪問リハビリテーションの人員基準を満たしつつ、本体である医療機関や施設の人員基準、加算取得のための人員配置も確認しながら、配置や採用を進めるのが良いでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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