多角的なサービス展開のなか訪問介護と居宅介護支援でカイポケを導入。「時間と気持ちにゆとりができた」

社会福祉法人 上ノ郷福祉会
昭和54年12月に保育園からスタートし、その後高齢者部門として特別養護老人ホーム、ケアハウス、デイサービス、ヘルパーステーション、ショートステイ、居宅介護支援などのサービスを展開。平成28年には障がい福祉サービスにも参入。現在は法人全体で167名のスタッフが在籍。「まんなかに人、みんなが笑顔、かみのごう福祉会」という理念のもと、0歳から100歳代までの一人ひとりに寄り添った支援を重視。特に高齢者部門では、重度化防止、科学的介護を中心とした自立支援ケアに取り組む。
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開業年月 1979年12月20日(法人)
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熊本県熊本市南区
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特別養護老人ホーム、短期入所生活介護、ケアハウス、通所介護、居宅介護支援、訪問介護、障がい福祉サービス、保育園他
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職員数 167名(2025年7月現在)
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課題
- 居宅介護支援では、紙の様式を使用し、FAX・郵送・手渡ししていたことから、書類作成と情報共有の業務負担が大きいことが課題。
- 訪問介護では、紙の訪問介護記録を使用していたことから、チェック業務の時間と情報共有の遅さが課題。
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導入の
ポイント- 「訪問先でタブレットやスマホから利用者情報の確認や記録の入力ができる」という点を重視。
- 30代から80代までの幅広い年代の職員が抵抗なく使えるよう、「操作のしやすさ」を重視。
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効果
- 通信費・紙代・印刷代を大きく削減。FAXや郵送の手間がなくなり、情報共有にかかる時間も大幅に削減。
- 隙間時間に記録を入力できるため、残業がほぼなくなった。
- ヘルパーからは「時間と気持ちにゆとりができた」という声が多数。
- 記録がリアルタイムで確認できるため、ケアマネジャーや他の事業所、医療機関との連携も迅速化。
保育事業から始まり高齢者福祉、障がい者福祉など多角的な事業展開をされてきた上ノ郷福祉会様。ICT化の必要性を感じ、様々な介護ソフトを比較検討されるなかで「訪問先で記録が入力できる」「操作がしやすい」という点を評価いただき2023年12月にカイポケを導入いただきました。
重度化防止・科学的介護を中心とした自立支援ケアに力を入れており、事例検討会や勉強会などにも積極的に取り組んでいます。 今回は、カイポケの導入前の課題や導入後の効果、今後の展望について、高齢者福祉部門のリーダーである特別養護老人ホームこぼり苑施設長の宮﨑様、科学的介護推進室室長の丸山様、こぼり苑ヘルパーステーション所長の村上様、こぼり苑居宅介護支援事業所所長の魚谷様にお話をお伺いしました。
カイポケ導入前は、提供票はFAX・郵送・持参。訪問介護では手書きの記録を作成
カイポケの導入前は、記録や提供票のやり取りなどの日々の業務はどのように行われていましたか?
居宅介護支援では、記録は別の介護ソフトを使っていました。提供票のやり取りは、FAXや郵送、事業所に持参したりしていました。
訪問介護では、記録は記録用紙に手書きでした。登録ヘルパーさんには数日に一度、事業所に記録を持参してもらい、内容を確認していました。ケアマネさんにお渡しする実績を記入した提供票は、持参またはFAXで送っていました。
カイポケ導入前に感じていた課題は何でしたか?
居宅介護支援では、提供票を事業所ごとに印刷し、分担してFAXしていました。とても時間がかかっていたので、改善したいと思っていました。また、記録は事業所に戻らないと入力できないので、「訪問と訪問の合間の時間がすごくもったいない」と感じていました。 その他にも、書類の仕分けやファイリングにかなり時間がかかっていました。他社の事業所様からの報告書がFAXや紙でドカッと山のように来るんですよ!(笑)
訪問介護では、遅れて提出された記録の確認や1か月のサービス状況報告書の作成でバタバタして、定時には終わらないことが多かったです。 特に月末はやることが多かったので、担当者会議や契約が入ると、書類準備や議事録作成、アセスメント、訪問介護計画書の作成など、「時間がもっとほしい」と感じていました。 また、紙の記録は「あいうえお順」に並べるところから始めなくてはいけないですし、1回1回綴じて確認が必要になるので、これらの業務に時間がかかっていることに課題を感じていました。
カイポケ導入の決め手は「外出先で使えること」と「入力しやすいこと」
カイポケを知ったきっかけを教えてください。
時代の波でICT化の必要性を感じて、居宅と訪問の二事業所に対応していて、訪問先でタブレットやスマホで記録が残せる介護ソフトをネットで検索することから始めました。その際にカイポケを知りました。 当事業所には30代から80代まで幅広い年代のヘルパーがいるので、使いやすいという点も考慮して介護ソフトの情報収集をしました。
併設事業所があるなか、訪問介護と居宅介護支援で別の介護ソフトを導入しようと思ったきっかけや背景をお伺いできますか?
訪問介護は外出することが多いので、外出先でスマホから記録を入力できるようにしたかったんです。今までのソフトでは実現できなかったので、他の併設事業所とは別のソフトにすることにしました。
居宅介護支援でも同じく外出先でタブレットやスマホから情報を確認したり、隙間時間を有効活用して記録などの入力を行いたかったからです。クラウド型の介護ソフトはどこでも使えるので、コロナ禍で事業所に行けない状況でも業務を行える点で非常に魅力でした。
カイポケをお選びいただいた決め手はなんですか?
「外出先で記録が入力できること」と「操作のしやすさ」からカイポケに決めました。もちろん料金やその他の機能も含めて検討した結果として決めていますが、求めていた機能と使いやすさがあったことが決め手になっています。
カイポケの入力に慣れるまで苦労されましたか?
最初はちょっと大変でした。でも、ヘルパー会議で「最近カイポケの操作で困ってることはないですか」と聞いたり、登録ヘルパーさんに「入力が間違ってるのでこういうふうに修正してくださいね」と個別にお伝えしたりして覚えてもらい、皆さんすぐに慣れていただいたので、今はミスなどは減りました。

カイポケ導入後は時間・コストの削減で「気持ちにゆとりができた」
カイポケを導入後、率直に一番良かったと感じられたのはどの部分ですか?
居宅介護支援では、通信費と紙代の削減と隙間時間の有効活用ですね。特に、訪問と訪問の間の5分〜10分の隙間時間に車の中や駐車場で記録などを入力できるので、残業がほぼ発生しないくらいまで効率化を進めることができました。
訪問介護は、導入後1年ぐらいで取ったアンケートでは「時間と気持ちにゆとりができた」という声が多かったですね。「5分あればスマホで記録を入力できる」、「予測変換などがあるので誤字と書き直しが減る」、このようなことからゆとりが生まれたと思います。また、サ責の立場からは、紙がめちゃくちゃ減って記録の整理やチェックする時間を削減できたので、月末の残業がほとんどなくなりました。これは本当に助かっています。
時間が短縮できたのは具体的にどのような業務ですか?
居宅介護支援では、情報共有にかかる時間を大幅に短縮できたと思います。提供票や報告書の紙を印刷して送る手間がなくなり、「紙に追われてる感じ」がなくなったことをうれしく思っています。その他にも、介護保険被保険者証や介護保険負担割合証などの情報共有についても時間が短縮できたと思っています。今までは預かりに行ってコピーして戻して…と手間がすごくかかっていたのですが、写真を取ってすぐに他の事業所に共有できるようになりました。
訪問介護では、記録と確認の時間がすごく短縮できています。訪問したその日のうちに報告してもらって、すぐに確認できるので、ケアマネさんや他の事業所との情報の共有がしやすくなりました。
導入の前後で困ったことなどはありましたか?
導入前に丁寧に説明をしていただいたので本当に助かりました。事業所にも来ていただけましたし、ビデオ通話でパソコン上の画面を見ながら教えてもらえました。 最近は「よくある質問」でほとんど事足りていますので困ったことなどはありませんね。「よくある質問」には本当に色々書いてあるので、いい機能だなと思っています。わからないことがあった場合は、メールを送ればすぐ返ってくるので、メールで問い合わせるだけで済んでいます。

今後の展望について
現在注力されていることについて教えてください
5、6年前から科学的介護を中心とした自立支援に取り組んでいます。法人全体で科学的介護の理論を深く理解するための勉強会を行ったり、事例検討会や研修の場を設けて、啓発に取り組んでいます。当法人の取り組みの理論やポイントなどを他の事業所や利用者様へわかりやすく伝え、地域の方々お一人お一人に理解を広めていく、ということに取り組んでいます。
今後、どのような形で事業所を発展させていきたいと思っていますか?
居宅介護支援事業所では、事業所で担当する件数を増やして、それに合わせてケアマネジャーを増やしていきたいです。また、介護予防支援にも力を入れていきたいと思っています。
訪問介護事業所では、訪問件数を増やして、売上を伸ばしていきたいと思っています。売上を伸ばすことで、処遇改善や事業所の備品等を充実させ、働きやすい職場環境を実現していきたいと思っています。