【2024年(令和6年)度】居宅療養管理指導の介護報酬改定情報まとめ
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この記事は、厚生労働省の以下の公表されている資料に基づき、居宅療養管理指導の2024年度介護報酬改定に関する情報をまとめています。
- 「第239回社会保障審議会介護給付費分科会資料」
議論・審議が進み、最新の情報が公表される可能性がありますので、ご了承の上、お読みください。
(作成日:作成日:2024年(令和6年)2月15日)
関連記事:全体の2024年度介護報酬改定に関する情報は、【2024年(令和6年)度】介護報酬改定情報まとめをご覧ください。
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目次
- 2024年度介護報酬改定の施行日
- 介護報酬改定のポイント①基本報酬
- 介護報酬改定のポイント②人員配置基準における両立支援への配慮
- 介護報酬改定のポイント③管理者の責務及び兼務範囲の明確化等
- 介護報酬改定のポイント④いわゆるローカルルールについて
- 介護報酬改定のポイント⑤書面掲示規制の見直し
- 介護報酬改定のポイント⑥患者の状態に応じた在宅薬学管理の推進
- 介護報酬改定のポイント⑦身体的拘束等の適正化の推進
- 介護報酬改定のポイント⑧居宅療養管理指導における管理栄養士及び歯科衛生士等の通所サービス利用者に対する介入の充実
- 介護報酬改定のポイント⑨居宅療養管理指導におけるがん末期の者に対する歯科衛生士等の介入の充実
- 介護報酬改定のポイント⑩管理栄養士による居宅療養管理指導の算定回数の見直し
- 介護報酬改定のポイント⑪薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導の評価の見直し
- 介護報酬改定のポイント⑫特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
- 介護報酬改定のポイント⑬特別地域加算の対象地域の見直し
- 介護報酬改定のポイント⑭居宅療養管理指導における高齢者虐待防止措置及び業務継続計画の策定等に係る経過措置期間の延長
- 最後に
2024年度介護報酬改定の施行日
居宅療養管理指導の介護報酬改定は、『2024年6月1日』に施行される予定となっています。
厚生労働省の実施した「第236回介護給付費分科会」において、介護報酬改定の施行日がサービス種別によって、2024年4月と2024年6月に別れることが示されました。
診療報酬改定の施行に合わせる形で、2024年6月に施行されるのは、「訪問看護」、「訪問リハビリテーション」、「通所リハビリテーション」、「居宅療養管理指導」の4つのサービス種別となり、それ以外のサービス種別は、2024年4月に施行されることになります。
介護報酬改定のポイント①基本報酬
居宅療養管理指導費 | (改定前)単位数 | (改定後)単位数 | 増減 | ||
---|---|---|---|---|---|
医師が行う場合 | 居宅療養管理指導費(Ⅰ) | 単一建物居住者1人に対して行う場合 | 514単位 | 515単位 | +1 |
単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 | 486単位 | 487単位 | +1 | ||
上記以外の場合 | 445単位 | 446単位 | +1 | ||
居宅療養管理指導費(Ⅱ) | 単一建物居住者1人に対して行う場合 | 298単位 | 299単位 | +1 | |
単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 | 286単位 | 287単位 | +1 | ||
上記以外の場合 | 259単位 | 260単位 | +1 | ||
歯科医師が行う場合 | 単一建物居住者1人に対して行う場合 | 516単位 | 517単位 | +1 | |
単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 | 486単位 | 487単位 | +1 | ||
上記以外の場合 | 440単位 | 441単位 | +1 | ||
薬剤師が行う場合 | 病院又は診療所の薬剤師 | 単一建物居住者1人に対して行う場合 | 565単位 | 566単位 | +1 |
単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 | 416単位 | 417単位 | +1 | ||
上記以外の場合 | 379単位 | 380単位 | +1 | ||
薬局の薬剤師 | 単一建物居住者1人に対して行う場合 | 517単位 | 518単位 | +1 | |
単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 | 378単位 | 379単位 | +1 | ||
上記以外の場合 | 341単位 | 342単位 | +1 | ||
情報通信機器を用いて行う場合 | 45単位 | 46単位 | +1 | ||
管理栄養士が行う場合 | 当該指定居宅療養管理指導事業所の管理栄養士 | 単一建物居住者1人に対して行う場合 | 544単位 | 545単位 | +1 |
単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 | 486単位 | 487単位 | +1 | ||
上記以外の場合 | 443単位 | 444単位 | +1 | ||
当該指定居宅療養管理指導事業所以外の管理栄養士 | 単一建物居住者1人に対して行う場合 | 524単位 | 525単位 | +1 | |
単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 | 466単位 | 467単位 | +1 | ||
上記以外の場合 | 423単位 | 424単位 | +1 | ||
歯科衛生士等が行う場合 | 単一建物居住者1人に対して行う場合 | 361単位 | 362単位 | +1 | |
単一建物居住者2人以上9人以下に対して行う場合 | 325単位 | 326単位 | +1 | 上記以外の場合 | 294単位 | 295単位 | +1 |
介護報酬改定のポイント②人員配置基準における両立支援への配慮
介護現場において、治療と仕事の両立が可能となる環境整備を進め、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、各サービスの人員配置基準や報酬算定について、以下の見直しを行う。
- 「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
- 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。
介護報酬改定のポイント③管理者の責務及び兼務範囲の明確化等
提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、管理者の責務について、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化した上で、管理者が兼務できる事業所の範囲について、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化する。
介護報酬改定のポイント④いわゆるローカルルールについて
都道府県及び市町村に対して、人員配置基準に係るいわゆるローカルルールについて、あくまでも厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容とする必要があること、事業者から説明を求められた場合には当該地域における当該ルールの必要性を説明できるようにすること等を求める。
介護報酬改定のポイント⑤書面掲示規制の見直し
運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項等(※)については、原則として事業所内での「書面掲示」を求めている一方、備え付けの書面(紙ファイル等)又は電磁的記録の供覧により、書面による壁面等への掲示を代替できる規定になっているところ、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、介護サービス事業者は、原則として重要事項等の情報をウェブサイト(法人のホームページ等又は情報公表システム上)に掲載・公表しなければならないこととする。
※事業所の運営規程の概要等の重要事項、居室及び食堂の広さ、届出事項、特別な食事の提供に係る情報(内容及び料金等)、移動用リフト使用時の留意事項等
介護報酬改定のポイント⑥患者の状態に応じた在宅薬学管理の推進
医療用麻薬持続注射療法加算 :+250単位
在宅中心静脈栄養法加算:+150単位
薬剤師が行う居宅療養管理指導について、在宅患者に対して適切な薬物療法を提供する観点から、以下の見直しを行う。
- 在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている患者に対して、注入ポンプによる麻薬の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行うことを評価する新たな加算を設ける。
- 在宅中心静脈栄養法が行われている患者に対して、輸液セットを用いた中心静脈栄養法用輸液等の薬剤の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行うことを評価する新たな加算を設ける。
- 心不全や呼吸不全で麻薬注射剤を使用する患者は頻回な訪問が必要となることから、末期の悪性腫瘍の者及び中心静脈栄養を受けている者と同様に、週に2回かつ1月に8回を限度として算定することを可能とする。
介護報酬改定のポイント⑦身体的拘束等の適正化の推進
身体的拘束等の更なる適正化を図る観点から、以下の見直しを行う。
- 短期入所系サービス及び多機能系サービスについて、身体的拘束等の適正化のための措置(委員会の開催等、指針の整備、研修の定期的な実施)を義務付ける。また、身体的拘束等の適正化のための措置が講じられていない場合は、基本報酬を減算する。その際、1年間の経過措置期間を設けることとする。
- 訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与、特定福祉用具販売及び居宅介護支援について、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととし、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録することを義務付ける。
介護報酬改定のポイント⑧居宅療養管理指導における管理栄養士及び歯科衛生士等の通所サービス利用者に対する介入の充実
居宅療養管理指導費について、通所サービス利用者に対する管理栄養士による栄養食事指導及び歯科衛生士等による歯科衛生指導を充実させる観点から、算定対象を通院又は通所が困難な者から通院困難な者に見直す。
介護報酬改定のポイント⑨居宅療養管理指導におけるがん末期の者に対する歯科衛生士等の介入の充実
居宅療養管理指導について、全身状態の悪化とともに口腔衛生管理の頻度が増加する終末期がん患者の歯科衛生士等による歯科衛生指導を充実させる観点から、終末期がん患者の利用者について居宅療養管理指導(歯科衛生士等が行う場合)の算定回数上限を緩和する。
介護報酬改定のポイント⑩管理栄養士による居宅療養管理指導の算定回数の見直し
終末期等における、きめ細かな栄養管理等のニーズに応じる観点から、一時的に頻回な介入が必要と医師が判断した利用者について期間を設定したうえで追加訪問することを可能とする見直しを行う。
介護報酬改定のポイント⑪薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導の評価の見直し
オンライン服薬指導に係る医薬品医療機器等法のルールの見直しを踏まえ、薬剤師による情報通信機器を用いた居宅療養管理指導について、以下の見直しを行う。
- 初回から情報通信機器を用いた居宅療養管理指導の算定を可能とする。
- 訪問診療において交付された処方箋以外の処方箋に係る情報通信機器を用いた居宅療養管理指導についても算定可能とする。
- 居宅療養管理指導の上限である月4回まで算定可能とする。
介護報酬改定のポイント⑫特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法において、「過疎地域」とみなして同法の規定を適用することとされている地域等が、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれることを明確化する。
介護報酬改定のポイント⑬特別地域加算の対象地域の見直し
過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しを行う。
介護報酬改定のポイント⑭居宅療養管理指導における高齢者虐待防止措置及び業務継続計画の策定等に係る経過措置期間の延長
居宅療養管理指導について、事業所のほとんどがみなし指定であることや、体制整備に関する更なる周知の必要性等を踏まえ、令和6年3月31日までとされている以下の義務付けに係る経過措置期間を3年間延長する。
- 虐待の発生又はその再発を防止するための措置
- 業務継続計画の策定等
最後に
本記事は、2024年(令和6年)2月15日時点の最新資料を基に作成しています。
今後、厚生労働省より通知や資料などが公開されますので、詳細につきましては、最新情報をご確認いただきますようにお願い致します。