訪問介護事業計画書の書き方例と様式
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目次
1.訪問介護事業計画書とは
事業計画書を書く理由① 経営者として今後の事業の見通しを考えるため
この先どのように事業を運営、展開していくのかを考えていくことが重要で、訪問介護事業を立ち上げることが目的ではありません。「ご利用者に愛される訪問介護事業を展開したい」と考えていたとしても、計画性がなければ展開は難しいと思われます。
資金面では、介護保険報酬はサービスを提供してからすぐに支払いされるわけではなく、2ヵ月間は支払いを待たなければなりませんし、資金面以外にも、商圏調査や人材の確保等も考えなければなりません。様々な面から事業の運営、展望を考え、事業計画書に書き記すことが大切になります。
事業計画書を書く理由② 事業者指定や融資の際の必要書類として
介護事業所を開設する場合、所轄庁から介護保険事業者の指定を受けなければなりません。事業計画書は指定申請時に必要となる書類です。また、法人として金融機関等から融資を受けるためには、融資担当者との面談に使用し、融資可否の判断材料になります。
事業計画書を書く理由③ 職員のために作成する
事業所の進む方向をスタッフ全員に伝えるためにも、事業計画書は必要です。会社の方向性が理解できれば、スタッフに安心して働いてもらえる環境作りにつながります。
2.訪問介護事業計画書の作成にあたり注意点
①指定基準を満たしているかどうか
指定基準は別紙として提出することになりますが、事業計画書の作成にあたり指定基準の内容を意識し、記載内容を確認しましょう。
②実際に事業を開始した後が想定されているかどうか
事業を始めてみると、予想よりも利用人数が増えない、開始時は人員基準を満たしていたが急な退職等で人員基準を満たせなくなってしまった等、運営状況が予測と違ってしまう可能性があります。予測は無理なく、適切に行うことを心がけましょう。
③業界用語は分かりやすく伝える
金融機関の担当者は事業計画書を元に審査を行ないますが、介護業界のことについて詳しい方は少ないと思われます。そのため、介護業界の専門用語を多用してしまうと伝わらない、誤解を招くなど、融資の審査に影響を及ぼす場合がありますので、できるだけ専門用語は使わず、誰が読んでも分かりやすい文章で記入しましょう。
④客観的に伝える
事業計画書は、取締役等が一人で作成するものと思われがちですが、複数人が作成に関わることで、よりよい内容の計画書になると思います。また、誤字や不備をなくすためにも、作成者以外の方がダブルチェックすることも必要でしょう。
⑤計画書は絶対ではない
事業計画書通りに事業成長することが理想ですが、そうなるとは限りません。あくまで事業計画書は「計画」です。事業計画書作成時と事業運営後では、介護報酬の改定や外部環境の変化などにより、計画と実績に差が出ることがあります。その時はその状況に応じた戦略をとらなければなりません。事業計画書作成時に、予想できる、起こり得るリスクが考えられるのであれば、その対処方法も記載しておくといいでしょう。
3.訪問介護事業計画書の記載例
ここでは、実際の様式を用いて訪問介護計画書の記入例についてご紹介します。同じ訪問介護サービスでも、利用する時間帯や目的によって複数記入する必要があることに注意しましょう。
表紙
宛先、日付と会社名を記入します。企業ロゴがあれば載せましょう。
目次
事業計画書にすべての記載が終わってから、目次との整合性を最後に確認しましょう。
執行体制
代表取締役等、法人の役員以外にも事業所管理者、サービス提供責任者を記載しましょう。
事業内容
提供するサービスの内容を記載しましょう。
例)介護保険法に基づく訪問介護事業
介護保険法に基づく介護予防訪問介護事業又は第1号訪問事業
身体介護 入浴、排泄、食事、体位交換、通院介助等の介助を行います。
生活援助 調理、洗濯、掃除、買い物等、日常生活上の援助を行います。
営業方針
まず、具体的にどのようなサービス内容、何に力を入れているなどセールスポイントなどを簡潔明瞭に記載します。そして、どのようなご利用者を確保していくかを記載しましょう。
財務計画(資金計画)
事業所運営上、重要視される項目となります。前述したとおり介護報酬は2ヵ月後に入金となりますので、利益は黒字だが現金が不足していて支払いができない、このような状況とならないために資金計画を作成する必要があります。また、融資受ける場合は、返済の予定を含め、計画を作成しましょう。
利益計画
法人がどれくらい利益を予定しているかを記載します。
具体的に、創立年度の収支予測、その後の軌道に乗った年度の収支予測を作成しましょう。また、損益分岐点について、どの時点で経営利益が生まれるのか、損益分岐点を超える日がいつを予定しているのかを明確にしましょう。
従業員確保について
採用予定人数
人件費(社会保険料や退職金積み立てなどを含む)や、採用にかかる募集広告費なども予測して、どのくらいの人数を採用するのか採用計画をたてましょう。
採用基準
採用するにあたり、必要な資格、どのくらいの経験年数の方、その他募集条件を明記しましょう。
サービス提供計画
指定申請予定日、事業所開設予定日、開設から提供するサービス、今後展開していく予定のサービス等、サービスの提供に関する計画を記載していきます。
4.まとめ
事業計画作成で最も重要なのは、わかりやすく伝えるために作成するということです。事業所の方針、サービス内容を伝え、ご利用者、ご家族からの信頼を得ることがご利用者の獲得へつながり、事業展開、法人発展へつながると思います。
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