【2024年度改定対応】放デイ・児発の身体拘束廃止未実施減算とは?
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『身体拘束等』は、原則として『禁止』されることが、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準に定められています。しかし、生命・身体を保護するため緊急やむを得ない場合には、身体拘束等を行うことが認められています。
身体拘束廃止未実施減算は、基準に定められる身体拘束を実施した場合に、その状況や身体拘束等に至った理由等について適切な記録をとっていない事業所が該当する減算です。
令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定では、身体拘束廃止未実施減算の減算額が見直されました。
この記事では、身体拘束廃止未実施減算の単位数や該当になる条件についてまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
- 不適切な身体拘束が許されない理由と減算の根拠となる省令の内容
- やむを得ない場合とは?
- 身体拘束等にあたる具体例
- 放課後デイサービス及び児童発達支援事業所における身体拘束廃止未実施減算の単位数
- 放課後デイサービス及び児童発達支援事業所における身体拘束廃止未実施減算が該当する要件
- 留意点
- 身体拘束廃止未実施減算のQ&A
- 最後に
不適切な身体拘束が許されない理由と減算の根拠となる省令の内容
身体拘束を行うことは人の尊厳を傷付けるもので、許されることではありません。
児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準に、
「指定児童発達支援事業者は、指定児童発達支援の提供に当たっては、障害児又は他の障害児の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他障害児の行動を制限する行為(次項において「身体拘束等」という。)を行ってはならない」
「指定児童発達支援事業者は、やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の障害児の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録しなければならない」
と記載されています。
やむを得ない場合とは?
「やむを得ない場合」とは以下の3要件をすべて満たしている状況となります。
- 切迫性
障害児本人または他の障害児等の生命、身体、権利が危険にさらされる可能性が著しく高いこと - 非代替性
身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する方法がないこと - 一時性
身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること
身体拘束等にあたる具体例
身体的拘束その他障害児の行動を制限する行為とは、以下のようなものを指します。
①一人歩きしないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
➁転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
③自分で降りられないように、ベッドを綱(サイドレール)で囲む。
④点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
⑤点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手装等をつける。
⑥車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。
⑦立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。
⑧脱衣やオムツはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
⑨他人への迷惑行為を防ぐために、ベッド等に体幹や四肢をひも等で縛る。
⑩行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
⑪自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。
※「身体拘束ゼロへの手引き」より引用
放課後デイサービス及び児童発達支援事業所における身体拘束廃止未実施減算の単位数
- 所定単位数×99/100(1%減算)
放課後デイサービス及び児童発達支援事業所における身体拘束廃止未実施減算が該当する要件
- 身体拘束等を行った場合に、必要な事項(その態様、時間、児童の心身の状況、緊急やむを得ない理由等)を記録していない場合
- 緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性、一時性の3つの要件全てを満たし、かつ、組織としてそれらの要件の確認等の手続を行った旨を記録すること
- 身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(身体拘束適正化検討委員会)を定期的に(1年に1回以上)開催していない場合
- 身体拘束等の適正化のための指針を整備していない場合
- 従業者に対し、身体拘束等の適正化のための研修を定期的に(1年に1回以上)実施していない場合
留意点
- 身体拘束廃止未実施減算の適用は、事業所単位で判断します。つまり、減算に該当する場合、その期間に利用した児童全員分の報酬が減算となります。
- 身体拘束適正化検討委員会はテレビ電話装置その他の情報通信機器を活用して行うことが可能です。ただし、障害児が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等を遵守する必要があります。
身体拘束廃止未実施減算のQ&A
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A(Vol.1) 令和3年3月31日 問18 |
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Q. 身体拘束等廃止未実施減算の適用要件である、身体拘束適正化検討委員会の開催及び研修の実施について、「年に1回」とは、年度で考えるのか。または、直近1年で考えるのか。 |
A. ●直近1年で考える。 |
令和3年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A(Vol.1) 令和3年3月31日 問19 |
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Q. 身体拘束等廃止未実施減算については、「事実が生じた場合」に「事実が生じた月の翌月」から減算することとされている。実地指導等において不適切な取扱いが判明した場合の適用はどのようになるか。 |
A. ●「事実が生じた」とは、運営基準を満たしていない状況が確認されたことを指す。 このため、例えば、令和5年5月1日に運営基準を満たしていないと確認できた場合は、令和5年6月サービス提供分から減算を行うこととなる。 |
最後に
この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。
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