【2024年度創設】児童発達支援センターにおける中核機能強化加算とは?
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中核機能強化加算は、専門人材を配置して地域の関係機関と連携した支援の取組を進めるなど、地域の障害児支援の中核的役割を担う児童発達支援センターについて、体制や取組に応じて段階的に評価を行う加算です。
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定において、児童とその家族に対する支援の充実とあわせて、地域全体の障害児支援体制の充実強化を図ることを目的として創設されました。
この記事では、中核機能強化加算の単位数や算定要件についてまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
中核機能強化加算とは?
中核機能強化加算とは、児童とその家族に対する支援の充実と地域全体の支援体制の充実強化を図るため令和6年度報酬改定にて創設されました。
本加算では、市町村が地域の障害児支援の中核拠点として位置付ける児童発達支援センターにおいて、専門人材を配置して、自治体や地域の障害児支援事業所、保育所等を含む関係機関等との連携体制を確保しながら、児童とその家族に対する専門的な支援及び包括的な支援の提供に取り組むことが求められています。
児童発達支援センターにおける中核機能強化加算の単位数
児童発達支援センター | 定員30人以下 | 定員31人以上40人以下 | 定員41人以上50人以下 | 定員51人以上60人以下 | 定員61人以上70人以下 | 定員71人以上80人以下 | 定員81人以上 |
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中核機能強化加算(Ⅰ) | 155単位 | 133単位 | 103単位 | 85単位 | 73単位 | 63単位 | 55単位 |
中核機能強化加算(Ⅱ) | 124単位 | 106単位 | 82単位 | 68単位 | 58単位 | 50単位 | 44単位 |
中核機能強化加算(Ⅲ) | 62単位 | 53単位 | 41単位 | 34単位 | 29単位 | 25単位 | 22単位 |
中核機能強化加算の算定要件
中核機能強化加算を算定する場合、中核機能強化加算(Ⅰ)~(Ⅲ)で共通で満たすべき「基本要件」に加え、それぞれの区分における要件を満たす必要があります。
中核機能強化加算の基本要件((Ⅰ)~(Ⅲ)共通)
- 市町村により中核的な役割を果たす児童発達支援センターとして位置付けられていること。
- 市町村及び地域の関係機関との連携体制を確保し、市町村と定期的に情報共有の機会を設けることや地域の協議会(こどもの専門部会を含む)へ参画する等の取組を行っていること。
- 未就学から学齢期まで、幅広い発達段階及び多様な障害特性に応じた専門的な発達支援及び家族支援を提供する体制を確保していること。
- 地域の障害児通所事業所との連携体制を確保し、定期的に情報共有の機会を設けることや、児童発達支援センターの有する知識・経験に基づき地域の事業所に対して研修会の開催や助言・援助を行う等の取組を行っていること。
- インクルージョンの推進体制を確保していること。
- 発達支援に関する入口としての相談機能を果たす体制を確保していること。
- 地域の児童に対する支援体制の状況と2.~6.の取組の実施状況をインターネット等を活用し、年に1回以上広く公表していること。
- 運営基準に定められる自己評価を実施するに当たり、自治体職員、利用児童や家族の代表、当事者団体、地域の障害児通所支援事業所等の第三者の同席を求め、客観的な意見を踏まえて自己評価を行っていること。
- 児童発達支援センターの従業者に対する年間の研修計画を作成し、年に1回以上研修を実施していること。
基本要件の留意点
- 2.の「関係機関との連携体制」において、中核機能強化加算又は中核機能強化事業所加算を算定する事業所が地域に複数ある場合、市町村及びこれらの事業所間で日常的な相互連携を図ること。
- 3.の「専門的な発達支援」について、具体的には、指定放課後等デイサービスの指定を受け実施することや、保育所等訪問支援等により学齢期の児童への支援を行う等の取組を行っていること。
- 5.の「インクルージョンの推進体制の確保」について、具体的には、指定保育所等訪問支援の指定を有しこれを実施することや、地域の保育所等に対して助言援助等の支援を行う等、児童の併行通園や保育所等への移行等を推進する取組を行っていること。
- 6.の「相談機能を果たす体制」について、具体的には、指定障害児相談支援を有しこれを実施すること、市町村から委託相談支援事業を受託すること、市町村が行う発達支援の入口の相談と日常的な連携を図ること等、地域の多様な児童及び家族に対し早期の相談支援を提供する取組を行っていること。
- 9.の「従業者に対する研修の実施」については、専門機関や専門家等による研修の実施や、外部研修への参加を進めるなど、従業者の専門性の向上に努めること。なお、運営基準に定められている身体拘束等の適正化のための研修及び虐待防止のための研修等のみの実施の場合は本要件を満たさないものとする。
中核機能強化加算(Ⅰ)の算定要件
中核機能強化加算(Ⅰ)を算定する場合は、基本要件及び次の要件を「全て」満たす必要があります。
- 主として児童及びその家族等に対する包括的な支援の推進及び地域支援を行う中核機能強化職員として、児童発達支援給付費の算定に必要とする員数(児童指導員等加配加算又は専門的支援体制加算を算定している場合においては、当該加算の算定に必要となる従業者の員数を含む。)に加え、主として基本要件の2.、4.及び5.の体制確保について取り組む専門人材を常勤専任で1以上配置し、当該取組を行うこと。
- 主として専門的な発達支援及び相談支援を行う上で中心となる中核機能強化職員として、児童発達支援給付費の算定に必要とする員数(児童指導員等加配加算又は専門支援体制加算を算定している場合においては、当該加算の算定に必要となる従業者の員数を含む。また、1.の専門人材を含む)に加え、主として基本要件の3.及び6.の体制確保について取り組む専門人材を常勤専任で1以上配置し、当該取組を行うこと。
- 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、心理担当職員、保育士及び児童指導員を全て配置し、多職種連携が可能な体制の下で、幅広い発達段階や多様な障害特性及び家族支援に対応するための専門的な支援の提供を行うこと。(※保育士及び児童指導員は、3年以上障害児通所支援又は障害児入所支援の業務に従事した経験を有する者であること。)
中核機能強化加算(Ⅰ)の留意点
- 3.における職種の配置について、
- 指定通所基準により配置すべき従業者、児童指導員等加配加算や専門的支援体制加算により加配された者、1.又は2.の中核機能強化職員の配置によることができる。
- 配置は常勤換算による配置を求めるが、当該職種のうち2職種までは、常勤換算でない配置も可能とする。
- 同一の者が複数の職種を有している場合には、常勤換算による配置である場合に限り、2職種までは配置したものと評価することを可能とする。
- 例:同一法人内の他の施設に勤務する専門職の活用や理学療法士及び言語聴覚士を非常勤で自事業所に勤務させる体制を確保する場合は、これらの職種について配置したものと認められる。
中核機能強化加算(Ⅱ)の算定要件
中核機能強化加算(Ⅱ)を算定する場合は、基本要件及び次の要件(中核機能強化加算(Ⅰ)の算定要件1.及び2. )を「全て」満たす必要があります。
- 主として児童及びその家族等に対する包括的な支援の推進及び地域支援を行う中核機能強化職員として、児童発達支援給付費の算定に必要とする員数(児童指導員等加配加算又は専門的支援体制加算を算定している場合においては、当該加算の算定に必要となる従業者の員数を含む。)に加え、主として基本要件の2.、4.及び5.の体制確保について取り組む専門人材を常勤専任で1以上配置し、当該取組を行うこと。
- 主として専門的な発達支援及び相談支援を行う上で中心となる中核機能強化職員として、児童発達支援給付費の算定に必要とする員数(児童指導員等加配加算又は専門支援体制加算を算定している場合においては、当該加算の算定に必要となる従業者の員数を含む。また、1.の専門人材を含む)に加え、主として基本要件の3.及び6.の体制確保について取り組む専門人材を常勤専任で1以上配置し、当該取組を行うこと。
中核機能強化加算(Ⅲ)の算定要件
中核機能強化加算(Ⅲ)を算定する場合は、基本要件及び次の要件(中核機能強化加算(Ⅰ)の算定要件1.及び2. )の「いずれか」を満たす必要があります。
- 主として児童及びその家族等に対する包括的な支援の推進及び地域支援を行う中核機能強化職員として、児童発達支援給付費の算定に必要とする員数(児童指導員等加配加算又は専門的支援体制加算を算定している場合においては、当該加算の算定に必要となる従業者の員数を含む。)に加え、主として基本要件の2.、4.及び5.の体制確保について取り組む専門人材を常勤専任で1以上配置し、当該取組を行うこと。
- 主として専門的な発達支援及び相談支援を行う上で中心となる中核機能強化職員として、児童発達支援給付費の算定に必要とする員数(児童指導員等加配加算又は専門支援体制加算を算定している場合においては、当該加算の算定に必要となる従業者の員数を含む。また、1.の専門人材を含む)に加え、主として基本要件の3.及び6.の体制確保について取り組む専門人材を常勤専任で1以上配置し、当該取組を行うこと。
「中核機能強化職員」とは?
中核機能強化職員として配置する専門人材は、下記の職員を指します。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 看護職員
- 保育士
- 児童指導員又は心理担当職員
※資格取得後(児童指導員又は心理担当職員にあっては当該職務に配置された以後)、障害児通所支援、障害児入所支援又は障害児相談支援の業務に従事した期間が通算して5年以上必要です。
また、中核機能強化職員は、事業所で支援に当たることを基本とし、支援の質を担保する体制を確保した上で、地域支援にあたることができる職員である必要があります。ただし、保育所等訪問支援の訪問支援員との兼務はできません。
中核機能強化職員に関する留意点
- 中核機能強化加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)により、2以上の中核機能強化職員を配置している場合にあっては、中核機能強化加算(Ⅰ)/(Ⅱ)の算定要件1.及び2. に規定する業務の適切な実施の確保に留意した上で、当該2以上の中核機能強化職員が連携して中核機能強化加算(Ⅰ)/(Ⅱ)の算定要件1.及び2. に規定する業務を一体的に実施することとしても差し支えない。
- 中核機能強化加算(Ⅲ)により、中核機能強化加算(Ⅲ)の算定要件1.又は2. のいずれかの業務を主として実施する1の中核機能強化職員を配置している場合にあっては、残りの1.又は2.のいずれかの業務についても、可能な限りあわせて取り組むよう努めること。
中核機能強化加算のQ&A
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.1 (令和6年3月29日) 問8 |
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Q. 加配される中核機能強化職員の要件として、①理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、保育士、児童指導員又は心理担当職員であって、②その資格取得又は任用後、障害児通所支援等の業務に5年以上従事したものであることが求められているが、②の業務の経験は、①の資格や職務に係る業務に限定されない(※)と考えてよいか。(※)例えば、看護師免許を取得後、障害児通所支援事業所に児童指導員として2年間、看護職員として3年間従事した場合も算定可能か。 |
A. ●お見込みの通り。 |
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関するQ&A VOL.1 (令和6年3月29日) 問9 |
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Q. 加配される中核機能強化職員について、「支援を提供する時間帯は事業所で支援に当たることを基本としつつ、支援の質を担保する体制を確保した上で、地域支援にあたることを可能とする」とされているが、支援を提供する時間帯に地域支援に当たるうえで、具体的にどのような体制を確保することが求められるのか。 |
A. ●本加算は、地域全体の障害児支援体制の充実強化を図りながら、当該センター(事業所)における障害児とその家族に対する専門的な支援・包括的な支援の提供を進めることを評価するものであり、加配される中核機能強化職員には、日頃から、その専門性や関係機関との連携構築など地域支援の成果を活かして、当該センター(事業所)における利用者への支援、家族への支援、従業者への支援に係る助言援助などに取り組みながら、地域支援を進めることが期待される。 ●中核機能強化職員が支援を提供する時間帯に地域支援を行うことについて、具体的な制約を設けるものではないが、こうしたセンター(事業所)での取組を基本に置きつつ、積極的に地域支援に取り組まれたい。 |
最後に
この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。