【2024年度改定対応】放課後デイサービスにおける強度行動障害児支援加算とは?
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強度行動障害児支援加算とは、強度行動障害を持っている児童に対し、放課後等デイサービスにて、強度行動障害支援者養成研修(実践研修)や中核的人材養成研修の修了者がサービスを提供した時に算定することができる加算です。
令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定では、強度行動障害を有する児童への支援を充実させる観点から、支援スキルのある職員の配置や支援計画の策定等を求めるなど、強度行動障害児支援加算の単位数と算定要件の見直しが行われました。
この記事では、強度行動障害の基礎知識や強度行動障害児支援加算の単位数、算定要件などを詳しく説明しているので、ぜひご確認ください。
目次
- 強度行動障害とは?
- 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)や中核的人材養成研修とは?
- 強度行動障害児支援加算の単位数
- 強度行動障害児支援加算の算定要件
- 強度行動障害児支援加算の留意点
- 強度行動障害児支援加算に関するQ&A
- 最後に
強度行動障害とは?
強度行動障害とは、「精神科的な診断として定義される群とは異なり、直接的他害(噛み付き、頭突き等)や、間接的他害(睡眠の乱れ、同一性の保持等)、自傷行為等が通常考えられない頻度と形式で出現し、その養育環境では著しく処遇の困難な者であり、行動的に定義される群」、「家庭にあって通常の育て方をし、かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態」と定義されています。
対象となる強度行動障害を有する障害児とは?
『こども家庭長官が定める基準に適合する強度行動障害を有する障害児』が強度行動障害児支援加算の対象となります。
『こども家庭長官が定める基準に適合する』とは、行動障害の区分と行動障害が見られる頻度に応じて、以下の強度行動障害児支援加算確認票によりスコアの合計が『20点以上』であることを市町村が認めた児童を指します。
行動障害の内容 | 1点 | 3点 | 5点 |
---|---|---|---|
ひどく自分の体を叩いたり傷つけたりする等の行為 | 週に1回以上 | 1日に1回以上 | 1日中 |
ひどく叩いたり蹴ったりする等の行為 | 月に1回以上 | 週に1回以上 | 1日に頻回 |
激しいこだわり | 週に1回以上 | 1日に1回以上 | 1日に頻回 |
激しい器物破損 | 月に1回以上 | 週に1回以上 | 1日に頻回 |
睡眠障害 | 月に1回以上 | 週に1回以上 | ほぼ毎日 |
食べられないものを口に入れたり、過食、反すう等の食事に関する行動 | 週に1回以上 | ほぼ毎日 | ほぼ毎食 |
排せつに関する強度の障害 | 月に1回以上 | 週に1回以上 | ほぼ毎日 |
著しい多動 | 月に1回以上 | 週に1回以上 | ほぼ毎日 |
通常と違う声を上げたり、大声を出す等の行動 | ほぼ毎日 | 1日中 | 絶えず |
沈静化が困難なパニック | - | - | あり |
他人に恐怖感を与える程度の粗暴な行為 | - | - | あり |
強度行動障害支援者養成研修(実践研修)や中核的人材養成研修とは?
強度行動障害支援者養成研修(実践研修)とは?
強度行動障害支援者養成研修とは、自傷や他害行為に代表される著しい行動障害がある人に対して、様々な障害福祉サービス事業所において適切に支援が行える人材の育成を目的とした研修です。
強度行動障害支援者養成研修には基礎研修と実施研修の2種類があり、本加算の要件となる「実施研修」では、障害特性についてさらに理解を深め、適切な評価や支援計画の作成ができ、他の従事者に支援方法の正確な伝達ができることを目指しています。
中核的人材養成研修とは?
強度行動障害を有する障害者等の特性の理解に基づき、障害福祉サービス事業を行う事業所又は障害者支援施設における環境調整、コミュニケーションの支援並びに当該障害者等への支援に従事する者に対する適切な助言及び指導を行うための知識及び技術を習得することを目的として行われる研修です。
強度行動障害児支援加算の単位数
強度行動障害児支援加算 | 単位数 | |
---|---|---|
強度行動障害児支援加算(Ⅰ) | 通常 | 1日につき200単位 |
※加算の算定を開始した日から起算して90日以内 | 更に1日につき+500単位 | |
強度行動障害児支援加算(Ⅱ) | 通常 | 1日につき250単位 |
※加算の算定を開始した日から起算して90日以内 | 更に1日につき+500単位 |
強度行動障害児支援加算の算定要件
強度行動障害児支援加算は、強度行動障害を有する児童に対し、放課後等デイサービスにて、実践研修修了者や中核的人材研修修了者がサービスを提供した時に算定することができる加算です。
強度行動障害児支援加算(Ⅰ)と強度行動障害児支援加算(Ⅱ)では算定の要件が異なるので、詳細をみていきましょう。
強度行動障害児支援加算(Ⅰ)の算定要件
- 実践研修修了者が、加算の対象となる児童についての情報の収集、障害特性の理解及び障害特性に応じた環境調整を行った上で支援計画シート等を作成すること。
- 対象の児童が他の障害児通所支援事業所を利用している場合、支援計画シート等や環境調整の内容等について情報交換を行うよう努めること。
- 情報交換を行った場合には、出席者、実施日時、内容の要旨、支援計画シート等に反映させるべき内容を記録すること。
- 実践研修修了者以外の従業者が支援計画シート等に基づく支援を行った場合においても算定することが可能である。ただし、下記2つ取り組みを行うこと。
- 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)の修了者又は実践研修修了者に対して、支援計画シート等に基づく日々の支援内容について確認した上で支援を行うこと。
- 実践研修修了者は、原則として2回のサービス利用ごとに1回以上の頻度で対象となる児童の様子を観察し、支援計画シート等に基づいて支援が行われていることを確認すること。
- 実践研修修了者が、3月に1回程度の頻度で支援計画シート等の見直しを行うこと。
強度行動障害児支援加算(Ⅱ)の算定要件
- 中核的人材研修修了者の助言に基づいて、実践研修修了者が支援計画シート等を作成すること。
- 対象の児童が他の障害児通所支援事業所を利用している場合、支援計画シート等や環境調整の内容等について情報交換を行うよう努めること。
- 情報交換を行った場合には、出席者、実施日時、内容の要旨、支援計画シート等に反映させるべき内容を記録すること。
- 実践研修修了者以外の従業者が支援計画シート等に基づく支援を行った場合においても算定することが可能である。ただし、下記3つの取り組みを行うこと。
- 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)の修了者又は実践研修修了者に対して、支援計画シート等に基づく日々の支援内容について確認した上で支援を行うこと。
- 実践研修修了者は、原則として2回のサービス利用ごとに1回以上の頻度で対象となる児童の様子を観察し、支援計画シート等に基づいて支援が行われていることを確認すること。
- 中核的人材研修修了者が、原則として週に1日以上の頻度で対象となる児童の様子を観察し、支援計画シート等の見直しについて助言を行うこと。
- 実践研修修了者が、3月に1回程度の頻度で支援計画シート等の見直しを行うこと。
支援計画シート等とは?
算定要件における「支援計画シート等」とは「重度訪問介護の対象拡大に伴う支給決定事務等に係る留意事項について」の1の(4)に規定する「支援計画シート」及び「支援手順書兼記録用紙」を指します。
■支援計画シート(例)
■支援手順書兼記録用紙(例)
強度行動障害児支援加算の留意点
- 対象の児童を担当する障害児相談支援事業所とも情報交換を行うことが望ましい。
- 集中的支援加算を算定する期間においても算定が可能。
- 共生型放課後等デイサービス事業所においては、児童発達支援管理責任者を置いている場合に限り算定が可能。
- 主として重症心身障害児を通わせる事業所において重症心身障害児に対しサービスを行い報酬を算定している場合は加算しない。
- 強度行動障害児支援加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定できない。
強度行動障害児支援加算に関するQ&A
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関する Q&A VOL.1 (令和6年3月29日) 問18 |
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Q. 実践研修修了者や中核的人材研修修了者(※放課後等デイサービスのみ)について、常勤や常勤専従ではない単なる配置でも算定が可能か。また、管理者や児童発達支援管理責任者が実践研修修了者である場合に算定は可能か。 |
A.
●いずれも可能である。なお、実践研修修了者が児童発達支援管理責任者である場合、支援計画シート等に基づく強度行動障害を有する児への直接支援は別の者が行うことが必要であることに留意すること。 |
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関する Q&A VOL.2 (令和6年4月12日) 問5 |
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Q. 今回の改定で、要件が、基礎研修修了者による支援から、実践研修修了者の支援計画シート等に基づく支援になるなど、要件や単位数が大きく見直されたが、一定期間、改定前の要件による評価を受けられるなど、経過措置は設定されているか。 また、新たに設けられた加算の開始から90日以内の期間についての500単位の加算について、改定前の強度行動障害児支援加算を算定していた場合、その起算点はいつからとなるか。 |
A.
●令和6年4月1日以降は、改定後の要件・単位数による評価となる(経過措置の設定は行っていない)。なお、支援計画シート等の作成には一定の時間を要することが想定されることから、令和6年4月においては、支援の開始前までに支援計画シート等が作成されていなくても、令和6年4月分の報酬を請求する時点で作成されていれば、本加算の算定を可能としている(「令和6年4月1日以降の各加算の当面の取扱いについて」(令和6年3月29日こども家庭庁支援局障害児支援課事務連絡)。 90日間の500単位の加算については、令和6年4月1日以降、新たな要件の下で本加算の算定を開始した日を90日の起算点とする。 |
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関する Q&A VOL.2 (令和6年4月12日) 問6 |
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Q. 「加算の算定を開始した日から起算して90日以内の期間」の加算について、利用を終了した児童が再度利用開始した場合も、算定可能か。 |
A.
●本加算は、利用の初期段階に当該児童に対して手厚い支援を要するためのものであるため、90日間の期間終了後は、同一事業所において再度当該児童への支援について算定することはできない。 |
令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等(障害児支援)に関する Q&A VOL.2 (令和6年4月5日) 問14 |
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Q. 中核的人材養成研修について、令和9年4月以降の実施方法等はどのようになるのか |
A.
●中核的人材養成研修については、告示上、「強度行動障害を有する障害者等の特性の理解に基づき、障害福祉サービス事業を行う事業所又は障害者支援施設における環境調整、コミュニケーションの支援並びに当該障害者等への支援に従事する者に対する適切な助言及び指導を行うための知識及び技術を習得することを目的として行われる研修であって、別表に定める内容以上のもの」としているが、研修の質を確保する観点から令和9年3月 31 日までの間は、のぞみの園が設置する施設が行う研修その他これに準ずるものとして厚生労働大臣が認める研修に限るとしているところである。 ●令和9年4月以降の研修の実施方法等については、現在の研修の実施状況等を踏まえ引き続き検討し、令和8年度末までに改めて示すこととしている。 |
最後に
この記事は、作成時点の最新資料・情報を基に作成しています。具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報をご確認いただき、自治体等へ申請・お問い合わせいただきますようお願い致します。