児童発達支援とは?事業の目的や開設するための条件、開業までの流れを解説!

児童発達支援の開業を検討されてる方の中には、「児童発達支援はどんな事業なの?」「児童発達支援を開業するためにはどうすればいいの?」と悩まれてる方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、児童発達支援の目的やサービス内容といった基礎知識、児童発達支援の市場の動向や開業までの流れなどを解説します。

保育園で保育士と子どもが遊んでいる写真

目次

児童発達支援とは?

それでは、児童発達支援のサービスの概要や利用対象者、目的などをみていきましょう。

児童発達支援の事業・サービスの概要

児童発達支援とは、0歳〜6歳の障害のある児童に対して、療育(発達支援サービス)を提供する事業です。
障害のある児童が、日常生活に必要な動作の習得や集団生活に適応できるよう、一人ひとりに合わせた療育を提供します。
児童発達支援は、2012年の児童福祉法の改正によって創設されたサービス種別です。療育を必要とする児童の増加に伴い、事業所数が急増している事業となっています。

児童発達支援の利用対象者

児童発達支援の利用対象者は、原則として、0歳〜6歳までの障害や発達の特性がある未就学児になります。
医師等から療育の必要があると判断され、自治体で手続きを行い、「障害児通所受給者証」を発行された児童が対象となります。

児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違い

児童発達支援は『児童発達支援センター』と『児童発達支援事業所』の2種類に大別されます。
どちらも共通して「障害のある児童や家族へ支援」が役割となっていますが、『児童発達支援センター』ではこれに加え、障害のある児童や家族の相談、障害のある児童を預かる施設への援助や助言を行う「地域の中核的療育施設」としての役割を担っていることが大きな違いです。

児童発達支援事業の目的・役割

厚生労働省の『児童発達支援ガイドライン』では児童発達支援の役割として、以下の5つを挙げています。


(1)児童発達支援は、児童福祉法第6条の2の2第2項の規定に基づき、障害のある子どもに対し、児童発達支援センター等において、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他の便宜を提供するものである。

(2)児童発達支援センター等は、児童福祉法等の理念に基づき、障害のある子どもの最善の利益を考慮して、児童発達支援を提供しなければならない。

(3)児童発達支援センター等は、主に未就学の障害のある子ども又はその可能性のある子どもに対し、個々の障害の状態及び発達の過程・特性等に応じた発達上の課題を達成させていくための本人への発達支援を行うほか、子どもの発達の基盤となる家族への支援に努めなければならない。また、地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進するため、保育所、認定こども園、幼稚園、小学校、特別支援学校(主に幼稚部及び小学部)等(以下「保育所等」という。)と連携を図りながら支援を行うとともに、専門的な知識・経験に基づき、保育所等の後方支援に努めなければならない。

(4)特に、児童発達支援センターは、地域における中核的な支援機関として、保育所等訪問支援や障害児相談支援、地域生活支援事業における巡回支援専門員整備や障害児等療育支援事業等を実施することにより、地域の保育所等に対し、専門的な知識・技術に基づく支援を行うよう努めなければならない。

(5)児童発達支援の目的を達成するため、専門性を有する職員が、保護者や地域の様々な社会資源との緊密な連携のもとで、障害のある子どもの状態等を踏まえて支援を行わなければならない。

児童発達支援と放課後等デイサービスの違い

放課後等デイサービスとは、小学校、中学校、高校に就学している6歳〜18歳までの障害や発達の特性がある児童に対して、療育(発達支援サービス)を提供する事業です。
児童発達支援と放課後等デイサービスとの違いは、利用対象となる児童の年齢です。児童発達支援の対象は0歳〜6歳までの未就学児なのに対し、放課後等デイサービスの対象は6歳〜18歳までの就学児となります。

児童発達支援の市場の動向

近年、児童発達支援の需要は非常に高まっています。

児童発達支援の事業所数は増加傾向にあり、2012年と比較すると「約3.6倍」となっています。

児童発達支援の事業所の推移

(厚生労働省社会福祉施設等調査より作成)


児童発達支援の利用者の数は、2012年と比較すると「約3.2倍」に増加しています。

児童発達支援の利用者数の推移

(厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 第39回資料より作成)


以上のことから、事業所数・利用者数が年々増加している児童発達支援は、成長市場と言えるでしょう。

児童発達支援で提供するサービスの例

児童発達支援で提供するサービスや具体的なプログラムをご紹介します。

児童発達支援で提供するサービス・支援内容

厚生労働省の『児童発達支援ガイドライン』では児童発達支援の支援は、「発達支援(本人支援および移行支援)」、「家族支援」、「地域支援」があるとし、以下のように説明しています。


【本人支援(発達支援)】

「本人支援」は、障害のある子どもの発達の側面から、心身の健康や生活に関する領域「健康・生活」、運動や感覚に関する領域「運動・感覚」、認知と行動に関する領域「認知・行動」、言語・コミュニケーションの獲得に関する領域「言語・コミュニケーション」、人との関わりに関する領域「人間関係・社会性」の5領域にまとめられるが、これらの領域の支援内容は、お互いに関連して成り立っており、重なる部分もある。
また、この「本人支援」の大きな目標は、障害のある子どもが、将来、日常生活や社会生活を円滑に営めるようにするものである。また、児童発達支援センター等で行われる本人支援は、家庭や地域社会での生活に活かされるために行われるものであり、保育所等に引き継がれていくものである。


【移行支援(発達支援)】

地域社会で生活する平等の権利の享受と、地域社会への参加・包容(インクルージョン)の考え方に立ち、障害の有無にかかわらず、全ての子どもが共に成長できるよう、障害のある子どもに対する「移行支援」を行うことで、可能な限り、地域の保育、教育等の支援を受けられるようしていくとともに、同年代の子どもとの仲間作りを図っていくことが必要である。
また、児童発達支援においては、障害のある子どもの発達の状況や家族の意向をアセスメントし、地域において保育・教育等を受けられるように保育所等への支援を行う「後方支援」の役割が求められている。


【家族支援】

障害のある子どもを育てる家族に対して、障害の特性に配慮し、子どもの「育ち」や「暮らし」を安定させることを基本に、丁寧な「家族支援」を行うことが必要である。
特に、保護者が子どもの発達を心配する気持ちを出発点とし、障害があっても子どもの育ちを支えていける気持ちが持てるようになるまでの過程においては、関係者が十分な配慮を行い、日々子どもを育てている保護者の思いを尊重し、保護者に寄り添いながら、子どもの発達支援に沿った支援が必要である。


【地域支援】

障害のある子どもの地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進するため、児童発達支援センター等は、保育所等の子育て支援機関等の関係機関との連携を進め、地域の子育て環境や支援体制の構築を図るための「地域支援」を行うことが必要である。

児童発達支援における療育プログラムの例

児童発達支援では、事業所の理念や方針に基づいて様々な療育が提供されています。

ここでは、療育について「療育の方針・アプローチ法」、「療育プログラムの実施方法」、「療育プログラムの例」をご紹介します。

療育の方針・アプローチ法

療育について、5つの代表的な方針・アプローチ方法をご紹介します。

療育プログラムの実施方法

療育には「個別療育」「小集団療育」「集団療育」と3つの実施方法があります。

種類 内容
個別療育 1人の指導員が、1人の児童に対して療育プログラムを実施する。
小集団療育 1人〜複数の指導員が、2人〜5人程度の児童に対して療育プログラムを実施する。
集団療育 1人〜複数の指導員が、5人〜10人程度の児童に対して療育プログラムを実施する。

療育プログラムの例

具体的な療育プログラムの例を「運動」「音楽」「学習」「コミュニケーション」「生活」の5つのテーマに分けてご紹介します。

児童発達支援のスケジュール

児童発達支援のサービスは、提供時間によって 「短時間の個別療育」と「中・長時間の預かり」の2つのパターンに分けられます。
ここでは「短時間の個別療育」と「中・長時間の預かり」それぞれのスケジュールの例をご紹介いたします。

「短時間の個別療育」のスケジュール例

「短時間の個別療育」は、児童一人ひとりに合わせた個別の療育に力を入れ、短時間で特定のプログラムを実施しています。

【短時間の個別療育のスケジュール】
09:55~ 到着、健康チェック
10:00~ 個別療育
11:00~ 帰宅

「中・長時間の預かり」のスケジュール例

「中・長時間の預かり」は、児童を長い時間預かり、様々なプログラムを提供できることを強みとしています。

【中・長期の預かりスケジュール】
09:30~ 児童の送迎、到着時の健康チェック
10:00~ 自由遊び、個別・集団療育
12:00~ 昼食・歯磨き
13:00~ 自由遊び
15:00~ おやつ
16:00~ 送迎、帰宅

児童発達支援を開設するための条件

児童発達支援を開設するためには以下の4つの条件を満たす必要があります。

1.法人格を有していること

児童発達支援を運営するためには、法人格が必要になります。
法人格は、株式会社や合同会社といった「営利法人」、一般社団法人、社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人などの「非営利法人」がありますが、いずれの法人格でも児童発達支援を運営をすることができます。

2.人員基準を満たしていること

児童発達支援の事業所を運営するためには、人員基準を満たす必要があります。
『児童発達支援事業所』と『児童発達支援センター』では人員基準が異なるので、それぞれご紹介いたします。

児童発達支援事業所の人員基準

『児童発達支援事業所』の人員基準は以下の通りです。

要件 補足
管理者 1名以上
  • 業務に支障がない場合は他の職務との兼務可
児童発達支援管理責任者 1名以上
  • 専任かつ常勤でなければならない
児童指導員または保育士 児童が10名まで:2名以上

児童が10名超:2名に児童の数が10を超えて5またはその端数を増すごとに1を加えて得た数以上

  • 児童指導員、保育士のうち1名以上は常勤でなければならない
  • 機能訓練担当職員等の数を含める場合は、合計数の半数以上は児童指導員または保育士でなければならない
看護職員 必要な場合にのみ配置
  • 保健師、助産師、看護師又は准看護師
  • 保育士または児童指導員の数に含むことができる
機能訓練担当職員 必要な場合にのみ配置
  • 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理指導担当職員(臨床心理士、公認心理士等)
  • 保育士または児童指導員の数に含むことができる

児童発達支援センターの人員基準

『児童発達支援センター』の人員基準は以下の通りです。

要件 補足
管理者 1名以上
  • 業務に支障がない場合は他の職務との兼務可
児童発達支援管理責任者 1名以上
  • 常勤1名以上
  • 資格要件あり
児童指導員および保育士
  • 児童指導員1名以上
  • 保育士1名以上
  • 児童指導員および保育士の総数がおおむね児童の数を4で除して得た数以上
  • 機能訓練担当職員等の数を含める場合は、合計数の半数以上は児童指導員または保育士でなければならない
嘱託医 1名以上 -
看護職員 必要な場合にのみ配置
  • 保健師、助産師、看護師又は准看護師
  • 保育士または児童指導員の数に含むことができる
機能訓練担当職員 必要な場合にのみ配置
  • 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理指導担当職員(臨床心理士、公認心理士等)
  • 保育士または児童指導員の数に含むことができる
栄養士 1名以上
  • 併設する他の社会福祉施設の職務との兼務可
  • 児童が40名以下の場合は配置不要
調理師 1名以上
  • 併設する他の社会福祉施設の職務との兼務可
  • 調理業務を全て委託する場合は配置不要

3.設備基準を満たしていること

児童発達支援を運営するためには、設備基準に定められる「発達支援室」、「相談室」、「便所」、「サービス提供に必要な設備・備品」等を設置する必要があります。また、児童発達支援センターの場合は、これに加えて「遊戯室」や「屋外遊技場」、「医務室」、「調理室」なども設置する必要があります。

4.運営基準を満たしていること

児童発達支援を運営するためには、運営基準に定められる「適切な定員の設定」や「運営規程の作成」、「緊急時対応マニュアルの作成、体制の整備」などの項目を満たす必要があります。

児童発達支援を開業するまでの流れ

児童発達支援を開業するまでの大まかな流れは次の通りです。

①法人設立
②事業計画書の作成
③資金調達
④物件探し
⑤職員の採用
⑥物件のリフォーム
⑦備品等の調達
⑧指定申請(行政から許認可を受けるための手続き)
⑨開業

児童発達支援事業の開業までには多くのステップがあり、一般的には半年から1年ほどの準備期間が必要になります。

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まとめ

児童発達支援の概要や市場の動向、開業の流れなどをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
児童発達支援を開業する場合、法人設立や人材採用、物件探しなどやらなければならないことはたくさんあります。
開業準備をスムーズに進めたい、開業の手続きに不安がある、という方は、ぜひカイポケの開業支援サービスにお問い合わせください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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