放デイ・児発における5領域を踏まえた個別支援計画の書き方や流れ、記入例を解説!

放課後等デイサービス・児童発達支援において、個別支援計画は児童一人ひとりに対して、適切な支援を行うために必要不可欠なものです。
また2024年の報酬改定では、5領域の支援を含めた総合的な支援を提供することが基本とされ、個別支援計画においても5領域との関連性を明記することが必要となりました。

今回は、2024年度報酬改定を踏まえた「個別支援計画」の書き方や記入例などについて解説いたします。ぜひ最後までお読みください。

目次

個別支援計画とは?

個別支援計画とは、児童にどのような内容の支援を提供するのかを記載する書類です。
具体的には、児童や保護者からの生活に対する意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、目標及びその達成時期、サービス提供する上での留意事項等を記載します。

個別支援計画の作成は運営基準に定められる事業者の義務

個別支援計画の作成は、『運営基準(児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準)』の第3条に作成しなければならないことが定められています。

(指定障害児通所支援事業者の一般原則)
第三条
『指定障害児通所支援事業者は、通所給付決定保護者及び障害児の意向、障害児の適性、障害の特性その他の事情を踏まえた計画を作成し、これに基づき障害児に対して指定通所支援を提供するとともに、その効果について継続的な評価を実施することその他の措置を講ずることにより障害児に対して適切かつ効果的に指定通所支援を提供しなければならない。』

参考:児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(令和6年内閣府令第5号)第3条・第27条

個別支援計画を適切に作成しないと減算や指定取消のリスクがある

個別支援計画を適切に作成しなかった場合、通所支援計画未作成減算の対象となり、所定単位数を30%〜50%減算しなければいけなくなります。
また、適切に個別支援計画を作成しないことは運営基準に違反することにもなり、指定の効力停止や取り消しとなる可能性もあります。

通所支援計画未作成減算についての詳細はこちらからご覧いただけます。

個別支援計画の作成の流れ

ここでは個別支援計画の作成の流れについて解説します。

①アセスメント

アセスメントとは、児童について行動観察や面談を通して、情報収集を行い分析することです。
主に以下のような情報を収集します。

アセスメントシートについて、こちらより無料でダウンロードいただけますのでぜひご活用ください。

②個別支援計画原案の作成

アセスメントによって得た情報と支援内容の検討結果に基づいて、児童発達支援管理責任者は個別支援計画の原案を作成します。個別支援計画には以下のような内容を記載します。

③サービス担当者会議(ケース会議)

児童発達支援管理責任者は、児童への支援サービスに直接携わる担当者等を招集して会議を開催し、児童発達支援管理責任者が作成した原案について、意見を交換することが義務づけられています。
議論の内容を記録に残すことも忘れないようにしましょう。

サービス担当者会議の議事録について、こちらより無料でダウンロードいただけますのでぜひご活用ください。

④個別支援計画の作成と保護者との同意

児童発達支援管理責任者は、サービス担当者会議での意見も踏まえて、最終的な個別支援計画を作成します。そして、作成した個別支援計画の内容を保護者に説明し、文書で保護者の同意を得たうえで交付します。

令和6年度報酬改定で、保護者だけではなく障害児相談支援事業所にも交付することが義務化されたので注意しましょう。

⑤サービス提供とモニタリング

個別支援計画に基づいて、児童へのサービス提供を開始します。
サービスを提供して終わりではなく、個別支援計画の実施状況や、児童の状態に変化が生じていないかを把握するためにモニタリングが必要です。
モニタリングの結果、必要に応じて計画の見直しを行います。個別支援計画の見直しの検討は少なくとも6か月に1回以上の頻度で行わなければなりません。

モニタリングシートには主に以下の内容を記載します。

モニタリングシートについて、こちらより無料でダウンロードいただけますのでぜひご活用ください。

個別支援計画の書き方と記入例

ここでは個別支援計画書の具体的な書き方と記入例について解説します。
2024年の報酬改定に伴い、こども家庭庁より公表された、下記の個別支援計画の参考記載例をもとに、①〜④の各項目ごとに解説していきます。

出典元:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に伴う児童発達支援及び放課後等デイサービスにおける個別支援計画の取扱いの変更について【別紙3】個別支援計画

①利用児及び保護者の生活に関する意向

児童本人や保護者の意向を聞き、保護者より得た情報や児童の発達段階や特性等を踏まえて、整理して記載します。

記入例

②総合的な支援の方針

1年間を目途に、事業所としての児童等の状況の見立てとどのように支援をしていくのかという方針を記載します。
その際、児童や保護者、関係者が、状況や課題への共通認識を持ち、支援の方針などを理解できるように、以下の観点も踏まえて記載します。

記入例

○○さんは、ことばよりも視覚的な手掛かりの方が理解しやすいと見立てています。
このため、目の前の情報が動きに繋がりやすく、説明の理解が曖昧なまま活動に取り組む様子が見られ、集団での活動等の流れに沿わない行動として捉えられることがあるようです。視覚的な情報処理が優位という特性を活かし、手順や活動の流れを視覚化・スケジュール化(構造化)することで、より確実な理解を促していきます。
また、本人の気持ちをタイムリーに表現できる手段(例:複数の絵カードや具体物の中から指差しをする、該当するカードや具体物を大人に手渡す等)により、まずは大人とのやり取りの中で、「(言われていることが)わかった(言いたいことが相手に)伝わった」経験を楽しみながら丁寧に積み重ねていきます。
こうした取組を中心に保育園とも情報共有を行い、必要に応じて訪問等の方法により連携を図り、保育園での生活の中でも、より多くの「わかった」「できた」に繋がるように支援していきます。

③長期目標・短期目標

【長期目標】

総合的な支援の方針で掲げた内容を踏まえ、1年程度で目指す目標を設定して記載します。

記入例

【短期目標】

長期目標で掲げた内容を踏まえ、6か月程度で目指す目標を設定して記載します。

記入例

④支援目標及び具体的な支援内容等

「本人支援」「家族支援」「移行支援」「地域支援・地域連携」の項目についての支援目標および具体的な支援内容等をそれぞれ記載します。「本人支援」「家族支援」「移行支援」については、必ず記載するようにしましょう。

【項目】

本人支援

アセスメントやモニタリングに基づき、こどもが将来、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにする観点から、本人への発達支援について、5領域との関連性を含めて記載します。

家族支援

こどもの成長・発達の基盤となる親子関係や家庭生活を安定・充実させる観点から、ペアレントトレーニングの実施や困りごとに対する相談援助など家族支援について記載します。

移行支援

インクルージョン(地域社会への参加・包摂)を推進する観点から、支援の中に「移行」という視点を取り入れ、こどもや家族の意向等も踏まえつつ、保育所等の他のこども施策との併行利用や移行に向けた支援、同年代のこどもとの仲間づくり等の「移行支援」について記載します。

地域支援・地域連携

こどもと家族を中心に、包括的な支援を提供する観点から、そのこども・家族の生活や育ちの支援に関わる保健・医療・福祉・教育・労働等の関係機関や障害福祉サービス等事業所等と連携した取組について、記載します。

【支援目標】

支援期間終了の際(モニタリング時)に、到達できているであろう児童本人や保護者の状況を具体的な到達目標として記載します。
児童本人や保護者の意向等だけでなく、アセスメントの結果も踏まえて、必要と考えられる支援ニーズも含めて目標設定を行うようにしましょう。

【支援内容】

支援目標で設定した目標に向けて、事業所がどのような支援、工夫、配慮を行うのかを具体的に記載します。
「本人支援」については、支援内容と5領域との関連性を記載します。支援内容と関連する5領域が複数にまたがる場合には、関連する領域を全て記載します。
「家族支援」「移行支援」「地域支援・地域連携」については、保護者や関係機関への具体的な働きかけや取組等について記載します。

本人支援の支援目標の記入例

支援内容の記入例

運営指導で指摘されないよう気を付けるべき点

作成者が児童発達支援管理責任者(サービス管理責任者)以外である

アセスメントやモニタリングのための面接および個別支援計画の作成を、事業所・施設の指導員等が実施した場合、運営指導の対象となります。必ず児童発達支援管理責任者が作成するようにしましょう。

保護者から同意を得ていない

個別支援計画を作成・更新した場合に、保護者から同意を得ずに交付することは運営指導の対象となります。計画書には、保護者の署名と日付を記載することも忘れないようにしましょう。

作成手順・方法が不十分である

個別支援計画の作成について、下記のように作成手順や方法が不十分である場合、運営指導の対象となりえます。今一度確認するようにしましょう。

加算についての記載内容が不足している

個別支援計画に位置付けなければならない加算について記載がない場合、運営指導の対象となります。
支援内容に設定した取組が、加算の算定を想定している取組である場合には、算定する加算や頻度等について記載しましょう。
(例:子育てサポート加算、家族支援加算、関係機関連携加算等)

また、個別支援計画とは別途計画を作成することが必要な加算についても、個別支援計画との関連性を記載するようにしましょう。
(例:専門的支援実施加算、自立サポート加算等)

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まとめ

ここまで、放課後等デイサービス・児童発達支援における個別支援計画の作成の流れや書き方などについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
本記事にてご紹介した内容が、皆様のお役に立てば幸いです。
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最後までお読みいただきありがとうございました。

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