介護における指定申請とは



介護における指定申請の際、複数にわたる必要書類を間違いのないように準備し、手順通りに進めるのもなかなか大変です。

介護事業者の方、介護業界に参入予定の方を応援するために、指定申請について、手順や注意事項などの解説記事を作成しました。
指定申請を楽に終わらせたい、または不備などで失敗したくないと考えている方は、ぜひご覧ください。

介護指定申請

目次

介護における指定申請とは

指定申請とは、介護事業を行うにあたり、 都道府県、指定都市、中核市、区市町村などに届け出て介護保険法に基づく介護事業者としての指定を受けること をいいます。

その際には、人員基準、施設基準、運営基準などの要件を満たしているか、過去5年以内に指定の取り消し処分を受けていないかなどをチェックされます。

指定申請はサービスの種類と事業所ごとに行う ことになっているので、例えば同じ法人が複数のデイサービス事業所を開設しようとすると、それぞれの施設について申請を行う必要があります。

また、2006(平成18)年の改正によって、 指定の有効期限が6年間 になり、有効期限が来る前に更新する必要があるので、一度申請が通ればよいというわけではありません。

これは、悪質な介護サービス事業者を淘汰し、介護サービスの質を確保するという理由で設けられました。

自治体は、指定を与えた事業者がその後も指定基準を守っているかを定期的にチェックし、指定事業者として問題がないかを確認します。

指定申請するための準備

介護事業者としての指定を受けるには、まずは担当が都道府県になるのか、指定都市、中核市、区市町村などになるのか、役所のどの部署になるのかを確認します。

これは、事業の種類によって管轄が異なっていることと、一部の市町村には都道府県から権限が委譲されている場合があるからです。

申請書類提出の担当課を確認しておくことで、質問等があった場合にも問い合わせがスムーズにできます。

指定申請のためには様々な書類が必要になるので、これらを準備します。

提供する事業の種類によって、添付書類が多少異なりますが、主だったものを以下に挙げます。

  • 指定(許可)申請書
  • 指定に係る記載事項(付表)
  • 誓約書
  • 有資格者の資格証の写し
  • 就業規則
  • 従事者の勤務体制及び勤務形態一覧表
  • 人員基準確認表
  • 管理者名簿と管理者の経歴書
  • 事業所の平面図、外観と内部の写真
  • 事業計画書
  • 備品一覧

他にも必要とされる書類が複数あるので、申請の準備を始める際には確認が必要ですが、3〜11は添付書類として提出を求められているもので、主にこれらの書類で、人員基準、運営基準、施設基準が満たされているかの確認が行われます。

また、 指定を受けるには法人格が必要 なので、グループ法人などがなく、事業を一から立ち上げる場合には、法人格を取得し、 申請する種類の事業目的が記載された登記簿謄本 も準備します。

登記簿謄本は、多くの地域で発行からの有効な期間を定めています。

現在事項証明書 または履歴事項証明書どちらでも可。3ヶ月以内に発行のもの

指定申請の工程を始める際に発行してもらうとよいです。

一度指定を受けた事業者は、有効期限の日を迎える前には更新を済ませておかなければなりません。
更新時には、申請時よりも添付書類が少なくなり、以下のような書類を準備します。
(一般的なケースである大阪府をここでは例に挙げます。)

  • 更新申請書
  • 指定に係る記載事項
  • 誓約書
  • 役員名簿
  • 事業所一覧

  • 従事者の勤務体制及び勤務形態一覧表(前月分)
  • 人員基準確認表
  • 更新申請手数料

提出書類が少なくなるとはいえ、不備があって期限までに更新できなければ介護報酬が支払われなくなるので、間違いのないようにしなければなりません。

指定申請の手順

指定を受けるには、3カ月前からスケジュールが始まります。

3〜2カ月前:事前相談や、指定前研修の申し込み

新規指定前研修申込書 に必要事項を記入し、提出します。

指定前研修では、申請前にあらかじめ コンプライアンスや介護保険法に沿った適切なサービス提供に関しての指導や、申請書類の記入の仕方などについての説明 がある重要な研修なので、新規指定では必須となっています。

2〜1カ月前:指定前研修の受講、申請

指定前研修は通常、 法人の代表者か、申請する事業所の管理者になる予定の人が受講 します。

研修受講後に必要な書類をすべて作成して、担当窓口に申請の予約を取ります。

申請は研修を受けた月の月末までに行います。

予約できる期間が短いですが、月末ギリギリに予約すると記入漏れや書類の不足や不備があった時に、間に合わなくなることもあります。

そのような場合には、申請を受理してもらえないので、できるだけ早い日にちで予約を取ることをおすすめします。

申請の受理は面談形式で、提出書類に不備がないかを確認しながら行われます。

指定申請の受理後

受理された月の翌月の末日までに、人員基準、設備基準及び運営基準等を満たしているかの審査が行われます。

審査の段階で不明な点や、現地調査が必要と判断された場合には、直接事業所を訪れて確認をされることもあります。

審査に合格すれば、月末までに指定通知書が送付されてきて、翌月1日から6年間指定 を受けられます。

指定申請の注意事項

指定申請には提出書類も多く、注意しておかなければならないこともたくさんあります。
以下にいくつか注意事項を挙げておきます。

  • 要件の一つに、 過去5年以内に指定取り消し処分を受けていない ことがあります。

    以前は、指定取り消しを受けた事業者が他の都道府県で申請し、その事実を知らないがために申請が通ってしまうケースや、法人名を変えてしまえば同じ都道府県内であっても気付かれないといったことが問題になりました。

    そこで、2006(平成18)年より、取り消し処分の対象を事業所自体から法人の役員や管理者に広げ、 新規指定申請の事業所の法人役員や管理者が、過去5年以内に指定の取消の処分を受けた事業者の役員や管理者であった場合には、指定が受けられない ようになりました。

    つまり、悪質な違反があり指定取り消しを受けたホームヘルプの事業所の役員が、5年以内に今度はデイサービスを開設しようとしても、指定が受けられないということです。
  • 算定を満たす基準は厚生労働省の指針に沿ったものになっているので、自治体による差はほとんどありませんが、 東京都のように、独自に条例で定めている自治体もあるので、申請をする事業所の管轄自治体の基準 はどうなっているか、前もって確認しておきます。
  • 指定の申請をした翌々月の1日に 介護事業者としての指定を受けると、その日からサービス提供を行う必要があります。

    つまり、 準備段階の途中で先に指定を受けておき、用意が整ってからサービス提供を開始するということはできません。
  • 指定申請の スケジュールを開始するにあたり、事業内容や管理者、一部スタッフ、施設、設備等の準備は、既に大体整えてある必要があります。

    なぜなら、 指定前研修の申し込みから申請までには2カ月以内の時間しかなく 、申請に必要な書類も多いので、申し込みをしてから準備していては間に合わないからです。

    また、 指定前研修を受けるには、介護サービス事業を行う具体的な予定があることが前提 となっています。
  • 新規の事業所の場合には、よいネーミングが決まるまでの仮称を付けることもあります。

    仮称で指定前研修を受け、正式名称で申請を受けたい場合には、申請時にその旨を申し出る必要があります。

    勝手に変更しておくと申請前研修を受けた確認が取れないので不備になります。
  • 必要書類の中に、指定申請する事業目的が記載された登記簿謄本がありますので、 法人として登記が完了している ことが前提となっています。

    法人設立の手続きの途中段階や、定款及び登記簿変更手続中であれば申請することができません。

    手続きが完了するまで待たなければなりません。
  • 登記の事業目的ですが、 登記簿があっても指定申請する介護事業についての記載がない時には、不備として申請を受け付けてもらえません。

    記載の仕方ですが、ホームヘルプなど訪問介護を行う事業所の場合 には「介護保険法に基づく訪問介護事業 」、ケアマネジャーがケアプランを作成するなど居宅介護支援を行う事業所の場合 には「介護保険法に基づく居宅介護支援事業」などといった書き方をします。
  • 事業所の管理者になる予定だった人を採用できなくなった、事業計画に一部変更がでてしまったなど、申請書類の審査が行われている間に、提出した申請内容と異なる状況になることもあり得ます。

    その場合には 申請書類を差し替える必要があるので、すぐに担当窓口へ連絡 しないといけません。
  • 申請時には、面談形式で書類の確認もしますが、これは形式審査だけなので、 受理されたからといって、確実に指定が受けられる保証はありません。

    この際に 受付証 が交付されますが、これで指定を受けたということにはなりません。

    審査後に指定事業者としての基準を満たすと判断されれば、先に述べた 指定通知書 が都道府県知事の名前で発行されます。(指定権者が市区町村の場合にはその申請先。)

まとめ

以上のように、指定申請時には提出書類、添付書類が多く、記入に際して注意しておかなければならない点も多いです。
また都道府県によって、一部の市などに事業の管轄が移っていたり、申請する介護事業の種類によって担当が異なっていたりと、何かと複雑です。

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無料の開業支援サービスを利用すれば、カイポケの専任スタッフが、準備リスト、必要書類やフォーマットのダウンロード先、事業所が開設される地域の担当の問い合わせ先などの情報を提供します。

また、自分ですべての書類を作成することが難しい場合には、低価格で「書類作成代行」や、「書類作成と申請代行」といったサービスも提供しています。
このサービスでは、介護業界についての知見を豊富に持つ行政書士が、書類作成等を代行します。
指定申請スケジュールは短い期間にやることが多いですが、一部を外部に委託することで、できるだけストレスに追われず、他の準備に時間を使うことができます。

新規に事業所を開設される介護事業所の皆様、また介護事業に新しく参入を考えておられる方は、ぜひカイポケの開業支援サービスについて検討なさってください。

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