介護事業の赤字事業所の割合・倒産件数の推移は?赤字・倒産の原因と対策を解説!
東京商工リサーチの「2024年度老人福祉・介護事業の倒産調査」によると、介護事業の倒産件数は過去最多の172件を記録しました。
人材不足や利用者の減少、物価高騰などの要因が重なり、負担が増していることが背景にあるとされています。
介護事業所・介護施設の経営者の方は、「具体的にどのような理由で介護事業所・施設が倒産しているの?」、「倒産しないためにはどのような対策があるの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、介護事業の赤字事業所の割合や倒産件数の推移、赤字・倒産の原因と対策について解説します。
目次
介護事業の赤字事業所の割合
独立行政法人福祉医療機構(WAM)が公表した経営状況の調査結果によると、特別養護老人ホーム、通所介護、訪問介護の赤字事業所・施設の割合は以下のようになっています。
- 特別養護老人ホーム(従来型):42.1%
- 特別養護老人ホーム(ユニット型):31.1%
- 通所介護:43.9%
- 訪問介護:42.8%
出典:独立行政法人福祉医療機構(WAM)
『2023 年度 特別養護老人ホームの経営状況について』
『2023 年度 通所介護の経営状況について』
『2022年度 訪問介護の経営状況について』
介護事業の倒産件数の推移。2024年は過去最多
東京商工リサーチによると、2024年の介護事業の倒産件数は、過去最多の172件となっています。
前年と比較し、2024年は倒産件数が約1.4倍に増えています。
また、2024年に倒産した介護サービスの分類の中で訪問介護事業が最も多く、過去最多の81件が倒産しました。
これは、2024年度の報酬改定で訪問介護の基本報酬がマイナスになったことで、売上不振の事業所が増えたことが影響していると考えられています。
出典:株式会社東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200835_1527.html
介護事業が赤字になる理由と対策
ここでは、介護事業において赤字になりやすい理由と、その対策を解説します。
赤字になる理由
介護事業が赤字になりやすい理由は次の通りです。
介護報酬改定による影響
介護事業が赤字になる理由の一つは、介護報酬改定の影響です。
介護報酬は3年に1度見直し(介護報酬改定)があり、改定内容によっては報酬単価が引き下げられたり、加算の算定要件や単位数が変わったりすることがあります。
その場合、これまでと同様のサービスを提供しても、以前より売上が減ってしまうため赤字につながります。
人員不足
介護事業が赤字になる理由のひとつとして、人員不足も挙げられます。
訪問系サービスにおいては、人員が不足していると稼働率が低下し、サービス提供回数を増やせず収益が伸びにくくなります。
通所系・施設系サービスにおいては、人員不足により利用者や入居者の受け入れができず、稼働率が低下してしまうことがあります。
また、人員不足によりサービスの質の低下が起きると、利用者の満足度が下がり、結果として利用者の減少につながることもあります。
人員不足を解消するために採用を強化しようとすると、求人掲載費用や人材紹介会社への手数料などのコストが発生するため、コストが増加してしまいます。
赤字にならないための対策
赤字にならないためには次のような対策があります。
売上を増やす
赤字を防ぐためには、「売上を増やす取り組み」が重要です。
売上を増やす方法のひとつが、加算を算定できないか見直すことです。
今まで算定していない加算を算定したり、現在算定している加算の上位区分を算定できるように体制や取り組み等を見直すことで、収入を安定的に増やすことができます。
また、売上を増やすためには、稼働率を高める工夫も大切です。
訪問系サービスにおいては、事務業務を効率化したり、スケジュールを調整して移動時間を減らすことで、利用者様に介護サービスを提供する回数・時間数を増やすことにつながります。
通所系サービスにおいては、営業活動を行い新規利用者を獲得したり、利用者様の満足度を向上させ、利用頻度や継続率を改善、またはキャンセル率を減少させることで、稼働率の向上を目指すことができます。
施設系サービスにおいては、待機者のリストの管理・更新方法の変更や営業活動などを行うことで、稼働率の向上を目指すことができます。
人材定着のための環境整備
職員の定着率を高める取り組みを行うことで、人員不足を防ぐことができます。
職場環境を整備し、人材が定着することで、採用にかかるコストや新人教育にかかるコストを抑えることができます。
職場環境を整備するには、直行直帰が可能な体制や柔軟な勤務形態、有給休暇の取得促進、処遇改善加算の適切な活用(賃金アップ)などの取り組みが、効果のある取り組みとされています。
また、研修制度やキャリアアップの仕組みを整えることは、職員の仕事へのモチベーションの向上につながります。
介護事業が倒産する理由と対策
倒産する理由
ここでは、介護事業が倒産する理由を解説します。
売上不振
介護事業が倒産する場合、「売上不振」が理由になることが多いです。
東京商工リサーチによると、2024年に倒産した老人福祉・介護事業175件のうち125件(約71%)が「販売不振(売上不振)」が原因で倒産しているとされています。
つまり、「売上が少ない」「売上が減ってしまった」といった理由で倒産する介護事業所・施設が多いと言うことがわかります。
参考:株式会社東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200835_1527.html
請求から入金までのタイムラグ
介護事業では、サービスを提供してからその対価(介護報酬)が入金されるまでにタイムラグがあります。
介護報酬は、サービスを提供した月の翌々月に支払われるため、サービス提供してすぐに報酬を得られるわけではありません。
そのため、入金されるまでの期間に運転資金が底をついてしまうと、倒産してしまいます。
倒産しないための対策
倒産しないための対策は、資金繰りを把握し、運転資金が不足しそうな時に資金を確保する方法を準備しておくことです。
ファクタリングサービスを活用する
ファクタリングサービスは、介護報酬債権をファクタリング会社が買い取ることで早期に資金化できるサービスです。
つまり、通常であればサービスを提供した月の翌々月に国保連から支払われる介護報酬を早期に受け取ることができます。
入金のタイミングや手数料はファクタリング会社によって異なるので、導入前には確認が必要です。
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金融機関からの借入
運転資金が苦しくなった場合、銀行や日本政策金融公庫の融資、事業用カードローンなど、短期的な資金確保手段を活用する方法もあります。
ただし、返済能力についての審査があるので、「資金が不足している理由」や「改善するための計画」などを説明できるようにしなくてはいけません。
まとめ
ここまで、介護事業の赤字事業所の割合や倒産件数の推移、赤字や倒産になる理由とその対策を解説してきました。
介護事業所・施設では、赤字の割合が高く、最近では倒産件数が増えている傾向にありますので、毎月資金計画書を作成し、自社の資金繰りの状況を把握しておきましょう。
介護ソフトを導入することで業務効率化とコスト削減を実現したい方は、ぜひ介護ソフト『カイポケ』をご検討ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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