介護情報基盤(ポータル)とは?導入の準備と助成金について解説

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介護事業所を経営している皆様は、厚生労働省が2026年4月から運用開始(2028年4月から本格運用開始)の予定で進めている『介護情報基盤ポータル』の導入を検討しているのではないでしょうか?
現在(2025年10月時点)、介護情報基盤を導入するための機器等に対して助成金制度があり、「令和8年度以降の助成金は未定」となっていることから情報収集を行っている方も多いでしょう。
この記事では、介護情報基盤ポータルの目的や活用するメリット、導入の準備、助成金の対象経費や金額などについてご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

介護情報基盤(ポータル)とは?

介護情報基盤(ポータル)とは、これまで分散していた介護に関わる各システムの情報をひとつに集め、市町村(保険者)・介護事業者・医療機関などの関係機関の情報共有等の負担を軽減するためのシステムです。
介護情報基盤の導入によって、「事務作業の効率化」や「情報の集約・サービス間での共有」、「リアルタイムの手続き」などの実現が期待されています。

介護情報基盤に集まる情報

各システム 情報の内容
市町村(保険者)の介護保険システム 介護保険証等情報
要介護認定情報
住宅改修費利用等情報
マイナポータル 利用者
医療機関の文書作成ソフト・電子カルテ 主治医意見書
介護事業所の介護事業所システム LIFE情報
ケアプラン情報
介護レセプト

介護情報基盤の今後のスケジュール

介護情報基盤のスケジュールの画像

※介護情報基盤ポータルより画像引用

介護事業所が介護情報基盤ポータルを活用するメリット

介護事業所が介護情報基盤ポータルを活用する具体的なメリットとして、「いつでも情報を確認」、「やりとりの負担を軽減」、「質の高いケア」の3つが挙げられます。

メリット①いつでも情報を確認

介護事業所職員やケアマネジャーが、要介護認定に必要な情報や、ケアプラン作成に必要な情報などをタイムリーに確認できます。待ち時間なく・ストレス少なく情報を得られ、更新・進捗状況など常に最新の情報を把握することができます。

メリット②やりとりの負担を軽減

給付に必要な情報をデジタル上で確認できるため、利用者・家族に情報を探していただく依頼をしたり、市町村へ問い合わせしたりする負担が減ります。紙・電話ベースの大変なやりとりを削減することができます。

メリット③質の高いケア

介護に関する情報収集が効率化されることで、本来的な業務に集中できるようになり、介護を受ける人にさらに寄り添ったサービスを提供できます。ヒアリング・計画など大切なことに時間を掛けられるようになり、また、ゆとりをもって利用者と向き合えるようになります。

介護情報基盤の導入準備

介護情報基盤の導入準備は以下のように進めます。

  1. 利用する端末の準備
  2. 各種設定
  3. 各市町村(保険者)の対応状況を確認
  4. 最終確認
  5. 活用開始

1.利用する端末の準備

2.各種設定

3.各市町村(保険者)の対応状況を確認

4.最終確認

5.活用開始

介護情報基盤の助成金

令和7年度の助成金申請の期間

令和7年10月17日~令和8年3月13日の予定となっています。
なお、令和8年度以降の助成金については未定となっています。

助成金の対象者

助成金の交付の対象者は、『介護事業所』となっています。
介護サービス種類によって助成対象(区分)が違いますので注意しましょう。
なお、介護予防サービスのみを実施している介護事業所においては、介護予防サービスを介護サービスに読み替えて申請することになります。

助成対象(区分) 介護サービス種類
訪問・通所・短期滞在系 訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリテーション
通所介護
通所リハビリテーション
短期入所生活介護
短期入所療養介護(介護老人保健施設)
短期入所療養介護(病院等)
短期入所療養介護(介護医療院)
居宅介護支援
小規模多機能型居宅介護(短期利用型)
夜間対応型訪問介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護・短期利用型)
居住・入所系 特定施設入居者生活介護(短期利用型)
地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用型)
居宅療養管理指導
認知症対応型共同生活介護
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
認知症対応型共同生活介護(短期利用型)
介護福祉施設サービス
介護保健施設サービス
地域密着型介護福祉施設入所者生活介護
介護医療院サービス
特定入所者介護サービス等
その他 福祉用具貸与
特定福祉用具販売
住宅改修
地域密着型通所介護
市町村特別給付

助成金の対象経費

助成金の対象となる経費は、「カードリーダーの購入経費」と「介護情報基盤との接続サポート等経費」になります。

カードリーダーの購入経費

マイナ資格確認アプリに対応したカードリーダーの購入に係る経費が対象になります。
また、「介護情報基盤の利用に係る業務にのみ使用することを前提とした購入に限る」とされていますので注意しましょう。

介護情報基盤との接続サポート等経費

介護事業所におけるクライアント証明書の搭載等、介護情報基盤との接続に係る経費が対象になります。
具体的には、下記の5つが示されています。

助成金の交付額(限度額)

助成対象(区分) カードリーダーの助成限度台数 助成限度額
訪問・通所・短期滞在系 3台まで 64,000円まで
居住・入所系 2台まで 55,000円まで
その他 1台まで 42,000円まで

助成金の申請・審査・入金の流れ

申請は、期日(令和8年3月13日)までに国保中央会が運用するポータルサイト(介護情報基盤ポータル)から申請することになります。
申請から審査、入金までのおおまかな流れは以下のようになっています。

  1. 書類の準備:通帳(写し)、サービス種類コードが確認できる資料(指定通知書等)、領収書(写し)をPDF等のデータで準備します
  2. 申請:介護情報基盤ポータルにログインし、申請項目を入力し、申請します
  3. 申請日の翌月:審査・決定通知(国保中央会より通知)
  4. 申請日の翌々月:助成金振込(国保中央会より入金)

まとめ

介護情報基盤ポータルの目的や活用するメリット、導入の準備、助成金の対象経費や金額などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
『介護情報基盤ポータル』は、2028年4月から本格運用開始の予定となっています。
本格運用まではまだ期間がありますが、利用を開始するための機器等の助成金等はいつまで継続するのか未定となっていますので、計画的に機器等の導入を進めましょう。

参考情報

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