介護保険請求の返戻とは?返戻事由・エラーコードと再請求の方法を解説
介護事業所の請求業務をはじめて担当することになった方は、『返戻ってなんだろう?』、『返戻にならないためにはどうすればいいの?』といった疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、介護保険請求における返戻について、概要と返戻事由・エラーコード、返戻になった場合の対処法などを説明しています。
目次
介護保険請求における返戻とは?
介護保険請求における返戻とは、事業所が請求した内容や金額に不備が見つかり、国民健康保険団体連合会(以下、国保連)から事業所へ介護給付費明細書が戻されることを言います。
介護保険に基づくサービスを提供する事業所は、介護サービスを提供した対価である介護給付費を、国保連に請求します。
介護保険請求は、事業者が国保連に『介護給付費請求書』と『介護給付費明細書』を送信し、国保連がその内容を審査し、不備がなかった請求内容について支払いが行われます。
介護保険請求における保留とは?
介護保険請求における保留とは、介護給付費明細書に対して、居宅介護支援事業所等から給付管理票の提出がなかった場合や提出された給付管理票が返戻となった場合などに、国保連から支払いが行われずに請求データを国保連にて保留することを言います。
介護保険請求における過誤とは?
介護保険請求における過誤とは、事業所が国保連に対して請求し、支払いを受けた金額について誤りがあることを言います。
誤りがあった場合は、保険者(市町村)へ過誤申立を行い、介護給付費明細書を取り下げる手続きを行い、正しい金額で再請求する必要があります。
請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表とは?
請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表とは、国保連の審査の結果、返戻(または保留)があった場合に、該当となる利用者の氏名やサービス提供月、請求単位数、返戻事由などが記載された書類です。
それぞれの国保連によって到着日に違いがありますが、月末から月初の期間に国保連から事業所に送信されています。
返戻事由・エラーコード
返戻事由
介護給付費明細書が返戻となった事由は、請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表の『事由』の欄にアルファベット1文字で記載されます。
事由記号 | 内容 |
---|---|
A | 請求明細書等の基本的な項目に対する入力(記入)誤り、入力(記入)漏れ等で、審査処理で一次チェックエラーとなったもの。 |
B | 本会の審査システムに保険者が登録する“受給者台帳”や県が登録する“事業所台帳”と請求明細書等を突合し、不一致としてエラーとなったもの。また、当月以前に請求又は登録のあった請求明細書や給付管理票に対して、再請求または登録しようとしてエラーとなったもの。登録の無い給付管理票に対して修正をしようとしてエラーとなったもの等、審査処理で資格チェックエラーとなったもの。 |
C | 請求明細書に対する給付管理票との突合不一致のもの。
この場合、一覧表の備考欄は「保留」のものと「返戻」となるものがあります。 |
D | サービス計画費に対する給付管理票が未提出のもの。
この場合、一覧表の備考欄は「返戻」となります。 |
E | 介護給付費等審査委員会で返戻となったもの。 |
エラーコード(カテゴリ)
カテゴリ | 内容 |
---|---|
AA | 形式誤り |
AB | 項目属性誤り |
AC | 二重登録(一次) |
AD | 台帳突合誤り |
AE | サービス提供年月誤り |
AG | 緊急時情報関連 |
AH | 特定情報関連 |
AN | 二重登録(資格) |
AR | 償還系誤り |
AS | 計算誤り |
AT | 数値不正(一次) |
AU | 数値不正(資格) |
Y | 医療 |
ZZ | その他 |
10 | 事業所基本台帳又はサービス台帳 |
12 | 受給者台帳 |
13 | 法別管理台帳/公費負担者台帳 |
14 | 介護給付費単位数表/サービスコード管理/給付単価表/特定診療・特別療養・特別診察表 |
15 | 種類別市町村固有台帳 |
16 | 市町村特別給付台帳/地域密着型サービスコード台帳 |
20 | 介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード |
※参考:大阪府国民健康保険団体連合会 エラーコード一覧(令和6年5月以降審査分)
返戻になった場合の対処法、再請求の方法とは?
返戻になった場合は、請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表の『事由』の種類、『内容』のコメント、『備考』の4文字のコードを確認して、「なぜ返戻になったのか?」を確認します。
そして、正しい情報を確認し、間違っている情報を修正した介護給付費明細書を作成し、国保連へ送信することになります。
返戻になるリスクを軽減するためには?
返戻になった場合、当初予定していた日付に支払いがされず、正しい金額や情報で再請求した後に再度審査を受けて入金されることになります。
そのため、事業所としては、請求業務の手間が増え、入金が遅れるというデメリットがあります。
このようなリスクを軽減するためには、「請求業務におけるチェック体制を整備する」と「使いやすい介護請求ソフトを導入する」といった方法が挙げられます。
請求業務におけるチェック体制を整備する
請求業務の一連の流れの中で、『だれが』、『いつ(いつまでに)』、『何を』、『どうする(作成する・チェックする・送信する)』のかを明確にしましょう。
自事業所で使用している介護請求ソフトや書類名などを具体的に記載したマニュアルやフロー図を作成することで、各担当者の業務内容がわかりやすく明確化できます。
介護請求ソフトを導入する
返戻のリスクを軽減するためには、介護請求ソフトを導入することをおススメします。
介護給付費明細書を作成するための基となるデータを一元的に管理することで、転記によるミスを減らし、入力とチェックの負担を減らすことができます。
また、介護請求ソフトの機能のひとつとして、請求データの整合性が取れていない場合にアラートが表示される機能がありますので、ミスを減らすことができるでしょう。
まとめ
介護保険請求において返戻は、予定日に入金がされず、再請求のための業務負担が増えることから避けたい事象です。
返戻のリスクを減らすためには、請求業務のチェック体制を整備し、すべての書類等をチェックすることが必要になりますが、そうすると業務負担がとても大きくなります。
正しい請求データの作成とチェック業務を効率化するためにも、『介護請求ソフト』を導入し、業務負担を減らしたチェック体制を構築しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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