【開業】介護報酬の構造、加算・減算とは?



介護事業で開業・新規事業立ち上げを考えている皆様は、介護事業所の主な収入である介護報酬について、構造や計算方法を理解していますか?
今回の記事では、介護報酬の構造と加算・減算に関して詳しく説明していますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

1.介護報酬の構造、加算・減算とは?
2.加算・減算の例(訪問介護)
3.加算・減算の例(通所介護)
4.加算・減算を適正に算定しないとどうなる?
5.まとめ

介護報酬の構造

介護保険サービスを提供する事業所では、利用者と契約を結び、サービスを提供し、その対価として「介護報酬」を算定し、それが主な事業収入となっています。
介護報酬の構造は、「基本報酬」と「加算・減算」の二つに大きく分けることができます。
基本報酬は、その介護サービス種別において、サービスの内容、サービス提供時間、利用者の要介護度などによって単位数が定められています。
加算は、専門職や有資格者の配置、専門的なサービスの提供、基準に定められる人員よりも多くの職員を配置していること、緊急時の体制構築、中重度者の受入れなど、それぞれの加算に定められる算定要件を満たすことで、基本報酬にプラスして算定できる介護報酬の項目です。
減算は、基本報酬を算定するためのサービスの一部が不足している場合や運営基準・人員基準等に定められる事項を満たせない場合などに、基本報酬をマイナスするために設けられている介護報酬の項目です。

加算減算

加算・減算の例(訪問介護)

訪問介護では、以下のような加算・減算の項目が設けられています。

加算・減算の名称 単位数 概要
2人の訪問介護員等による場合 基本報酬200%を算定。 2人の訪問介護員がサービスを提供する。
夜間又は早朝の場合 基本報酬25%を加算。 夜間・早朝の時間帯にサービスを提供する。
深夜の場合 基本報酬50%を加算。 深夜の時間帯にサービスを提供する。
特定事業所加算 基本報酬3%~20%を加算。 研修や会議の実施、緊急時の対応、有資格者の配置などの要件を満たす。
共生型訪問介護を行う場合(減算) 基本報酬70%~93%を算定。 共生型訪問介護を提供する。
同一建物等減算 基本報酬85%~90%を算定。 事業所と同一の建物・利用者が20人以上居住する建物の利用者にサービスを提供する。
特別地域訪問介護加算 基本報酬15%を加算。 事業所が離島や過疎地域に所在する。
中山間地域等における小規模事業所加算 基本報酬10%を加算。 事業所が中山間地域に所在し、小規模な事業所である。
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 基本報酬5%を加算。 中山間地域に居住する利用者に対してサービスを提供する。
緊急時訪問介護加算 1回につき100単位を加算。 計画にない緊急のサービスを提供する。
初回加算 1月につき200単位を加算。 新規に訪問介護計画を作成した利用者に、サービス提供責任者が同行してサービスを提供する。
生活機能向上連携加算 1月につき100単位~200単位を加算。 外部の理学療法士等の助言に基づき訪問介護計画を作成し、サービスを提供する。
認知症専門ケア加算 1日につき3単位~4単位を加算。 認知症の専門的な研修の修了者等を配置して、認知症の利用者に対してサービスを提供する。
介護職員処遇改善加算 所定単位数5.5%~13.7%を加算。 事業所が、介護職員の賃金改善等を実施している。
介護職員等特定処遇改善加算 所定単位数4.2%~6.3%を加算。 事業所が、介護職員の賃金改善等を実施している。

加算・減算の例(通所介護)

通所介護では、以下のような加算・減算の項目が設けられています。

加算・減算の名称 単位数 概要
定員超過利用(減算) 基本報酬70%を算定。 1日の定員を超えて利用者にサービスを提供する。
人員基準欠如(減算) 基本報酬70%を算定。 看護職員、介護職員が人員基準に満たない人数でサービスを提供する。
感染症等対応加算 基本報酬3%を加算。 感染症等により利用者数が減少している事業所がサービスを提供する。
共生型通所介護を行う場合(減算) 基本報酬90%~95%を算定。 共生型通所介護を提供する。
生活相談員配置等加算 1日につき13単位を加算。 地域貢献を行っている共生型通所介護の事業所で、生活相談員を配置し、サービスを提供する。
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 基本報酬5%を加算。 中山間地域に居住する利用者に対してサービスを提供する。
入浴介助加算 1日につき40単位~55単位を加算。 入浴サービスを提供する。
中重度者ケア体制加算 1日につき45単位を加算。 中重度の利用者を一定の割合以上受け入れ、人員基準以上の職員を配置し、サービスを提供する。
生活機能向上連携加算 1月につき100単位~200単位を加算。 外部の理学療法士等の助言に基づき通所介護計画を作成し、サービスを提供する。
個別機能訓練加算 (Ⅰ)1日につき56単位~85単位、(Ⅱ)1月につき20単位を加算。 専従の機能訓練指導員を配置または加配し、個別の機能訓練を提供する。
ADL維持等加算 1月につき3単位~60単位を加算。 定期的にADLを評価し、ADL値が維持・向上した利用者が一定いる。
認知症加算 1日につき60単位を加算。 認知症の利用者を一定の割合以上受け入れ、認知症の専門的な研修の修了者等と人員基準以上の職員を配置し、認知症の利用者に対してサービスを提供する。
若年性認知症利用者受入加算 1日につき60単位を加算。 若年性認知症の利用者にサービスを提供する。
栄養アセスメント加算 1月につき50単位を加算。 従業者または外部と連携して管理栄養士を配置し、栄養アセスメントを実施する。
栄養改善加算 1回につき200単位を加算。 従業者または外部と連携して管理栄養士を配置し、栄養改善サービスを実施する。
口腔・栄養スクリーニング加算 1回につき5単位~20単位を加算。 口腔スクリーニングまたは栄養スクリーニングを実施する。
口腔機能向上加算 1回につき150単位~160単位を加算。 言語聴覚士等を配置し、口腔機能向上サービスを実施する。
科学的介護推進体制加算 1月につき40単位を加算。 利用者の基本情報をLIFEを用いて提出し、フィードバック情報を活用する。
同一建物等減算 1日につき94単位を減算。 事業所と同一の建物に居住する利用者にサービスを提供する。
送迎減算 片道につき47単位を減算。 送迎を行わない。
サービス提供体制強化加算 1回につき6単位~22単位を加算。 経験のある介護福祉士等の有資格者を一定の割合で配置し、サービスを提供する。
介護職員処遇改善加算 所定単位数2.3%~5.9%を加算。 事業所が、介護職員の賃金改善等を実施している。
介護職員等特定処遇改善加算 所定単位数1.0%~1.2%を加算。 事業所が、介護職員の賃金改善等を実施している。

加算・減算を適正に算定しないとどうなる?

加算は算定要件を満たし、算定することで事業所の収入を増やすことができます。一方、減算は条件に該当することで対象となり、算定することで収入が減ることになります。
「適正に」というのは、「①加算の算定要件を満たしているにも関わらず、加算を算定しないケース」と「②加算の算定要件を満たしていないにも関わらず、加算を算定しているケース」、「③減算の条件に該当するにも関わらず、減算を算定していないケース」があります。
「①加算の算定要件を満たしているにも関わらず、加算を算定しないケース」では、行政指導の視点では問題はありませんが、事業所の経営上、得られるはずの収入が得られないことになりますので、問題があると言えます。加算の要件の理解や事務処理、チェック体制などの見直しが必要でしょう。
「②加算の算定要件を満たしていないにも関わらず、加算を算定しているケース」、「③減算の条件に該当するにも関わらず、減算を算定していないケース」では、行政指導の対象となります。修正が必要な介護報酬は、返還し、正しい金額で再請求する必要があり、事務処理の面だけでなく、資金繰りなどの面でも負担になります。また、利用者負担の金額も変更になるため、事情の説明、請求書の再発行、差額の調整などの業務も発生します。
また、間違ってしまった原因にもよりますが、悪質だと判断された場合には、指定取消などの行政処分になることもあり、その後の事業所運営ができなくなってしまうこともあります。
それ以外にも、減算のうち、定員超過受入や人員基準欠如などの減算は、人員基準や運営基準で定められる最低限のことが守られていないことになり、「減算を算定しているから良い」ということではなく、早急に減算に該当しないように対応することが求められます。

まとめ

介護事業所を開業するためには、指定基準(設備基準・人員基準・運営基準)を満たし、市町村(または都道府県)へ申請し、「指定」を受けることになります。
そして、利用者に介護保険サービスを提供し、その対価として「介護報酬」を得ます。
加算・減算は、その事業所の介護サービスの質の向上の取り組みを評価するために設けられている項目で、事業所の経営方針にも影響する重要な要素となっています。
ここでご紹介した内容が、皆様の介護事業所の開設のお役に立てば幸いです。

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