介護事業の重要事項説明書・契約書とは?ひな形や記入例を掲載!

介護事業所の開業を検討されてる方の中には「契約で使用する重要事項説明書・契約書のひな型はどこでダウンロードできるの?」や「重要事項説明書や契約書に記載しなくてはいけない項目って何?」、「実際に契約する際はどのような流れで進めればいいの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、介護事業所の開業を検討されてる方向けに、介護事業における重要事項説明書・契約書の項目や記入例、利用者との契約までの流れ、重要事項説明書・契約書に関する注意点などについてご紹介していきます。
無料でダウンロードできるひな型も掲載してますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

介護事業の重要事項説明書・契約書とは?

契約書とは

介護事業における契約書とは、介護サービスを提供するにあたって、事業者と利用者の間で交わす法的拘束力をもつ書面です。
介護サービスの運営基準における「内容及び手続の説明及び同意」の項目には、サービス提供の開始前に、必ず契約書の内容を説明し、利用者からの同意を得なければならないことが定められています。

重要事項説明書の役割

重要事項説明書は契約を取り交わす上で説明しなければならない重要な情報を記載している書類です。
こちらも運営基準における「内容及び手続の説明及び同意」の項目に、契約時に、重要事項説明書を用いて契約の詳細を説明し、利用者からの同意を得なければならないことが定められています。

契約書と重要事項説明書の違い

契約書はサービスを利用するにあたって、サービス事業者と利用者の間で交わされる法的な書面です。
重要事項説明書は、契約の際、利用者が適切な判断ができるように重要な事項を記載した書類です。
どちらも契約時に作成し、その内容を利用者へ説明し、同意を得てお渡しすることになりますが、記載している内容が違います。

介護事業の重要事項説明書の項目と記入例

ここでは、介護サービスの中でも「居宅介護支援」「訪問介護」「通所介護」の3サービスにおける重要事項説明書の項目と記入例について解説いたします。

重要事項説明書の項目

「居宅介護支援」「訪問介護」「通所介護」の重要事項説明書の項目は次の通りです。
※参考:茨木市 重要事項説明書モデル様式

サービス種別 記載項目
居宅介護支援 ●指定居宅介護支援を提供する事業者について
●利用者に対しての指定居宅介護支援を実施する事業所について
 〇事業所の所在地等
 〇事業の目的及び運営の方針
 〇事業所窓口の営業日及び営業時間
 〇事業所の職員体制
 〇居宅介護支援の内容、利用料及びその他の費用について
●その他の費用について
 〇交通費
●利用者の居宅への訪問頻度の目安
●利用料、その他の費用の請求及び支払い方法について
●居宅介護支援の提供にあたって
●居宅サービス計画について
●虐待の防止について
●秘密の保持と個人情報の保護について
 〇利用者及びその家族に関する秘密の保持について
 〇個人情報の保護について
●事故発生時の対応方法について
●身分証携行義務
●指定居宅介護支援内容の見積もりについて
●サービス提供に関する相談、苦情について
 〇苦情処理の体制及び手順
 〇苦情申立の窓口
●重要事項説明の年月日
訪問介護 ●指定訪問介護サービスを提供する事業者について
●利用者に対してのサービス提供を実施する事業所について
 〇事業所の所在地等
 〇事業の目的及び運営の方針
 〇事業所窓口の営業日及び営業時間
 〇サービス提供可能な日と時間帯
 〇事業所の職員体制
●提供するサービスの内容及び費用について
 〇提供するサービスの内容について
 〇訪問介護員の禁止行為
 〇提供するサービスの利用料、利用者負担額(介護保険(1割負担)を適用する場合)について
 〇保険給付として不適切な事例への対応について
●その他の費用について
 〇交通費
 〇キャンセル料
 〇サービス提供に当たり必要となる利用者の居宅で使用する電気、ガス、水道の費用
 〇通院・外出介助における訪問介護員等の公共交通機関等の交通費
●利用料、利用者負担額(介護保険を適用する場合)、その他の費用の請求及び支払い方法について
●担当する訪問介護員等の変更をご希望される場合の相談窓口について
●サービスの提供に当たって
●虐待の防止について
●秘密の保持と個人情報の保護について
●緊急時の対応について
●事故発生時の対応方法について
●身分証携行義務
●心身の状況の把握
●居宅介護支援事業者等との連携
●サービス提供の記録
●衛生管理等
●指定訪問介護サービス内容の見積もりについて
●サービス提供に関する相談、苦情について
 〇苦情処理の体制及び手順
 〇苦情申立の窓口
●提供するサービスの第三者評価の実施状況について
●重要事項説明の年月日
通所介護 ●指定通所介護サービスを提供する事業者について
●利用者に対してのサービス提供を実施する事業所について
 〇事業所の所在地等
 〇事業の目的及び運営の方針
 〇事業所窓口の営業日及び営業時間
 〇サービス提供時間
 〇事業所の職員体制
●提供するサービスの内容及び費用について
 〇提供するサービスの内容について
 〇通所介護従業者の禁止行為
 〇提供するサービスの利用料、利用者負担額(介護保険(1割負担)を適用する場合)について
●その他の費用について
 〇送迎費
 〇キャンセル料
 〇食事の提供に要する費用
 〇おむつ代
 〇日常生活費
●利用料、利用者負担額(介護保険を適用する場合)その他の費用の請求及び支払い方法について
●サービスの提供にあたって
●虐待の防止について
●身体拘束について
●秘密の保持と個人情報の保護について
 〇利用者及びその家族に関する秘密の保持について
 〇個人情報の保護について
●緊急時の対応方法について
●事故発生時の対応方法について
●心身の状況の把握
●居宅介護支援事業者等との連携
●サービス提供の記録
●非常災害対策
●衛生管理等
●指定通所介護サービス内容の見積もりについて
●サービス提供に関する相談、苦情について
 〇苦情処理の体制及び手順
 〇苦情申立の窓口
●提供するサービスの第三者評価の実施状況について
●重要事項説明の年月日

重要事項説明書の記入例

「居宅介護支援」「訪問介護」「通所介護」の重要事項説明書の項目を抜粋して記入例をご紹介いたします。

「事業所の職員体制」の記入例

居宅介護支援:事業所の職員体制
職務内容 人員数
管理者 1 従業者の管理及び利用申込に係る調整、業務の実施状況の把握、その他の管理を一元的に行います。
2 従業者に、法令等の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行います。
常勤 〇名
介護支援専門員 居宅介護支援業務を行います。 常勤 〇名  
非常勤 〇名
事務職員 介護給付費等の請求事務及び通信連絡事務等を行います。 常勤 〇名
非常勤 〇名
訪問介護:事業所の職員体制
職務内容 人員数
管理者 1 従業者及び業務の管理を、一元的に行います。
2 従業者に、法令等の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行います。
常勤 〇名
サービス提供責任者 1 指定訪問介護の利用の申込みに係る調整を行います。
2 訪問介護計画の作成並びに利用者等への説明を行い同意を得ます。利用者へ訪問介護計画を交付します。
3 指定訪問介護の実施状況の把握及び訪問介護計画の変更を行います。
4 利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握します。
5 居宅介護支援事業者等に対し、指定訪問介護の提供に当たり把握した利用者の服薬状況、口腔機能その他の利用者の心身の状況及び生活の状況に係る必要な情報の提供を行います。
6 サービス担当者会議への出席等により、居宅介護支援事業者と連携を図ります。
7 訪問介護員等に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達します。
8 訪問介護員等の業務の実施状況を把握します。
9 訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理を実施します。
10 訪問介護員等に対する研修、技術指導等を実施します。
11 その他サービス内容の管理について必要な業務を実施します。
常勤 〇名
非常勤 〇名
訪問介護員 1 訪問介護計画に基づき、日常生活を営むのに必要な指定訪問介護のサービスを提供します。
2 サービス提供責任者が行う研修、技術指導等を受けることで介護技術の進歩に対応し、適切な介護技術をもってサービス提供します。
3 サービス提供後、利用者の心身の状況等について、サービス提供責任者に報告を行います。
4 サービス提供責任者から、利用者の状況についての情報伝達を受けます。
常勤 〇名
非常勤 〇名
事務職員 介護給付費等の請求事務及び通信連絡事務等を行います。 常勤 〇名
非常勤 〇名
通所介護:事業所の職員体制
職務内容 人員数
管理者 1 従業者の管理及び利用申込に係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行います。
2 従業者に、法令等の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行います。
3 利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成するとともに利用者等への説明を行い、同意を得ます。
4 利用者へ通所介護計画を交付します。
5 指定通所介護の実施状況の把握及び通所介護計画の変更を行います。
常勤 〇名
生活相談員 1 利用者がその有する能力に応じた自立した日常生活を営むことができるよう、生活指導及び入浴、排せつ、食事等の介護に関する相談及び援助などを行います。
2 それぞれの利用者について、通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録を行います。
常勤 〇名
看護師・准看護師(看護職員) 1 サービス提供の前後及び提供中の利用者の心身の状況等の把握を行います。
2 利用者の静養のための必要な措置を行います。
3 利用者の病状が急変した場合等に、利用者の主治医等の指示を受けて、必要な看護を行います。
常勤 〇名
非常勤 〇名
介護職員 通所介護計画に基づき、必要な日常生活上の世話及び介護を行います。 常勤 〇名
非常勤 〇名
機能訓練指導員 通所介護計画に基づき、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、機能訓練を行います 常勤 〇名
非常勤 〇名
管理栄養士 栄養改善サービスを行います。 常勤 〇名
非常勤 〇名
歯科衛生士 口腔機能向上サービスを行います。 常勤 〇名
非常勤 〇名
事務職員 介護給付費等の請求事務及び通信連絡事務等を行います。 常勤 〇名
非常勤 〇名

「提供するサービスの内容について」の記入例

居宅介護支援:居宅介護支援の内容
  1. 居宅サービス計画の作成
  2. 居宅サービス事業者との連絡調整
  3. サービス実施状況把握、評価
  4. 利用者状況の把握
  5. 給付管理
  6. 要介護認定申請に対する協力、援助
  7. 相談業務
  8. 地域ケア会議への協力
訪問介護:提供するサービスの内容について
サービス区分と種類 サービスの内容
訪問介護計画の作成 利用者に係る居宅介護支援事業者が作成した居宅サービス計画(ケアプラン)に基づき、利用者の意向や心身の状況等のアセスメントを行い、援助の目標に応じて具体的なサービス内容を定めた訪問介護計画を作成します。
身体介護 食事介助 食事の介助を行います。
入浴介助 入浴(全身浴・部分浴)の介助や清拭(身体を拭く)、洗髪などを行います。
排泄介助 排泄の介助、おむつ交換を行います。
特段の専門的配慮をもって行う調理 医師の指示に基づき、適切な栄養量及び内容を有する特別食(腎臓病食、肝臓病食、糖尿病食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓病食、脂質異常症食、痛風食、嚥下困難者のための流動食等)の調理を行います。
更衣介助 上着、下着の更衣の介助を行います。
身体整容 日常的な行為としての身体整容を行います。
体位変換 床ずれ予防のための、体位変換を行います。
移動・移乗介助 室内の移動、車いす等へ移乗の介助を行います。
服薬介助 配剤された薬の確認、服薬のお手伝い、服薬の確認を行います。
起床・就寝介助 ベッドへの誘導、ベッドからの起き上がりの介助を行います。
自立生活支援のための見守り的援助
  • 入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)
  • 移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)
  • ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)
  • 利用者と一緒に手助けや声かけ及び見守りしながら行う調理、配膳、後片付け(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
  • 車イス等での移動介助を行って店に行き、利用者が自ら品物を選べるよう援助
  • 洗濯物を一緒に干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけ等を行います。
生活援助 買物 利用者の日常生活に必要な物品の買い物を行います。
調理 利用者の食事の用意を行います。
掃除 利用者の居室の掃除や整理整頓を行います。
洗濯 利用者の衣類等の洗濯を行います。
通院等のための乗車又は降車の介助  通院等に際して、訪問介護員等が運転する自動車への移動・移乗の介助を行います。(移送に係る運賃は別途必要になります。)
通所介護:提供するサービスの内容について
サービス区分と種類 サービスの内容
通所介護計画の作成 1 利用者に係る居宅介護支援事業者が作成した居宅サービス計画(ケアプラン)に基づき、利用者の意向や心身の状況等のアセスメントを行い、援助の目標に応じて具体的なサービス内容を定めた通所介護計画を作成します。
2 通所介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得ます。
3 通所介護計画の内容について、利用者の同意を得たときは、通所介護計画書を利用者に交付します。
4 それぞれの利用者について、通所介護計画に従ったサービスの実施状況及び目標の達成状況の記録を行います。
利用者居宅への送迎 事業者が保有する自動車により、利用者の居宅と事業所までの間の送迎を行います。
ただし、道路が狭いなどの事情により、自動車による送迎が困難な場合は、車いす又は歩行介助により送迎を行うことがあります。
日常生活上の世話 食事の提供及び介助 食事の提供及び介助が必要な利用者に対して、介助を行います。
また嚥下困難者のためのきざみ食、流動食等の提供を行います。
入浴の提供及び介助 入浴の提供及び介助が必要な利用者に対して、入浴(全身浴・部分浴)の介助や清拭(身体を拭く)、洗髪などを行います。
排せつ介助 介助が必要な利用者に対して、排泄の介助、おむつ交換を行います。
更衣介助 介助が必要な利用者に対して、上着、下着の更衣の介助を行います。
移動・移乗介助 介助が必要な利用者に対して、室内の移動、車いすへ移乗の介助を行います。
服薬介助 介助が必要な利用者に対して、配剤された薬の確認、服薬のお手伝い、服薬の確認を行います。
機能訓練 日常生活動作を通じた訓練 利用者の能力に応じて、食事、入浴、排せつ、更衣などの日常生活動作を通じた訓練を行います。
レクリエーションを通じた訓練 利用者の能力に応じて、集団的に行うレクリエーションや歌唱、体操などを通じた訓練を行います。
器具等を使用した訓練 利用者の能力に応じて、機能訓練指導員が専門的知識に基づき、器械・器具等を使用した訓練を行います。
その他 創作活動など 利用者の選択に基づき、趣味・趣向に応じた創作活動等の場を提供します。

「その他の費用について」の記入例

居宅介護支援:その他の費用について
① 交通費 利用者の居宅が、通常の事業の実施地域以外の場合、運営規程の定めに基づき、交通費の実費を請求いたします。
なお、自動車を使用した場合は(運営規程に記載されている内容を記載する)により請求いたします。
訪問介護:その他の費用について
① 交通費 利用者の居宅が、通常の事業の実施地域以外の場合、運営規程の定めに基づき、交通費の実費を請求いたします。
なお、自動車を使用した場合は(運営規程に記載されている内容を記載する)により請求いたします。
② キャンセル料 サービスの利用をキャンセルされる場合、キャンセルの連絡をいただいた時間に応じて、下記によりキャンセル料を請求いたします。  
 ※ただし、利用者の病状の急変や急な入院等の場合には、キャンセル料は請求いたしません。
24時間前までのご連絡の場合 キャンセル料は不要です
12時間前までにご連絡の場合 1提供当たりの料金の
〇〇%を請求いたします。
12時間前までにご連絡のない場合 1提供当たりの料金の
〇〇%を請求いたします。
③ サービス提供に当たり必要となる利用者の居宅で使用する電気、ガス、水道の費用 利用者の別途負担となります。
④ 通院・外出介助における訪問介護員等の公共交通機関等の交通費 実費相当を請求いたします。
通所介護:その他の費用について
① 送迎費 利用者の居宅が、通常の事業の実施地域以外の場合、運営規程の定めに基づき、送迎に要する費用の実費を請求いたします。
② キャンセル料 サービスの利用をキャンセルされる場合、キャンセルの連絡をいただいた時間に応じて、下記によりキャンセル料を請求させていただきます。
※ただし、利用者の病状の急変や急な入院等の場合には、キャンセル料は請求いたしません。
24時間前までのご連絡の場合 キャンセル料は不要です。
12時間前までにご連絡の場合 食費相当額 〇〇円
を請求いたします。
12時間前までにご連絡のない場合
③ 食事の提供に要する費用 ○○円(1食当り 食材料費及び調理コスト)
運営規程の定めに基づくもの
④ おむつ代 ○○円(1枚当り)運営規程の定めに基づくもの

介護事業の契約書の項目と記入例

契約書の項目

※参考:北九州市 契約書ひな形

サービス種別 記載項目
居宅介護支援 ● 契約の目的
● 契約期間と更新
● 居宅介護(介護予防) 支援の担当者
● ケアプランの作成・変更
● 居宅介護(介護予防) 支援の提供と内容の記録及び保管
● 施設入所への支援
● 緊急時の対応
● 秘密保持
● 個人情報の取り扱い
● 中立義務
● 賠償責任
● 利用者負担金及びその変更
● 契約の終了
● 利用者の解約権
● 支援事業者の解約権
● 契約終了時の援助
● 苦情処理
● 利用者代理人
● 裁判管轄
● 契約外事項
● 協議事項
● 署名欄
訪問介護 ● 契約の目的
● 契約期間と更新
● サービス計画の作成・変更
● サービス提供と内容の記録及び保管
● 緊急時の対応
● 居宅介護支援事業者との連携
● 秘密保持
● 個人情報の取り扱い
● 賠償責任
● 利用者負担金及びその変更
● 利用者負担金の滞納
● 契約の終了
● 利用者の解約権
● 事業者の解約権
● 契約終了時の援助
● 苦情処理
● 利用者代理人
● 裁判管轄
● 契約外事項
● 協議事項
● 署名欄
通所支援 ● 契約期間と更新
● サービス計画の作成・変更
● サービス提供と内容の記録及び保管
● 緊急時の対応
● 居宅介護支援事業者等との連携
● 秘密保持
● 個人情報の取り扱い
● 賠償責任
● 利用者負担金及びその変更
● 利用者負担金の滞納
● 契約の終了
● 利用者の解約権
● 事業者の解約権
● 契約終了時の援助
● 苦情処理
● 利用者代理人
● 裁判管轄
● 契約外事項
● 協議事項
● 署名欄

契約書の記入例

「居宅介護支援」「訪問介護」「通所介護」における契約書の項目を抜粋して記入例をご紹介いたします。

「サービス提供と内容の記録及び保管」に関する記入例

サービス種別 記入例
居宅介護支援 (居宅介護(介護予防)支援の提供と内容の記録及び保管)
第5条 利用者が提供を受ける居宅介護(介護予防)支援(ケアマネジメント)の内容は、「重要事項説明書」(以下「説明書」という。)に定めたとおりです。
2 支援事業者は、作成した「ケアプラン」及び記録等の書面を、この契約終了後2年間保管し、利用者の求めに応じて閲覧させ、又は複写物を交付します。ただし、複写に際しては、支援事業者は利用者に対して、実費相当額を請求できるものとします。
訪問介護 (サービス提供と内容の記録及び保管)
第4条 事業者は、サービス従業員を利用者の居宅に派遣し、「重要事項説明書」(以下「説明書」という。)に記載した事業者が提供するサービスのうち、「サービス計画」に基づいた内容のサービスを提供します。
2 サービス従業員は、常に身分証を携行し、初回訪問時及び利用者又は利用者の家族から提示を求められたときは、いつでも身分証を提示します。
3 事業者は、サービスの実施ごとに、その内容等を記録表に記入し、サービス終了時に利用者の確認を受けることとします。 利用者の確認を受けた後、その控えを利用者に交付します。
4 事業者は、サービスの提供記録を、この契約終了後2年間保管し、利用者の求めに応じて閲覧させ、又は複写物を交付します。 ただし、複写に際しては、事業者は利用者に対して、実費相当額を請求できるものとします。
通所介護 (サービス提供と内容の記録及び保管)
第4条 事業者は、「重要事項説明書」(以下「説明書」という。)に記載した事業者が提供するサービスのうち、「サービス計画」に基づいた内容のサービスを提供します。
2 事業者は、サービスの実施ごとに、その内容等を記録表に記入し、サービス終了時に利用者の確認を受けることとします。利用者の確認を受けた後、その控えを利用者に交付します。
3 事業者は、サービスの提供記録を、この契約終了後2年間保管し、利用者の求めに応じて閲覧させ、又は複写物を交付します。ただし、複写に際しては、事業者は利用者に対して、実費相当額を請求できるものとします。

「利用者負担金及びその変更」に関する記入例

サービス種別 記入例
居宅介護支援 (利用者負担金及びその変更)
第12条 居宅介護(介護予防)支援(ケアマネジメント)については、支援事業者に対して、介護保険制度から給付が行われるので、利用者は利用者負担金を負担する必要はありません。 ただし、保険料の滞納などがある場合はこの限りではありません。
2 利用者負担金のうち関係法令に基づいて定められたものが、契約期間中に変更になった場合は、関係法令に従って改定後の利用者負担金が適用されます。 その際には、支援事業者は利用者に説明します。
訪問介護 (利用者負担金及びその変更)
第10条 利用者は、サービスの対価として「説明書」の記載に従い、利用者負担金を支払います。
2 利用者負担金のうち関係法令に基づいて定められたものが、契約期間中に変更になった場合、関係法令に従って改定後の利用者負担金が適用されます。その際には、事業者は利用者に説明します。
3 事業者は、提供するサービスのうち、介護保険の適用を受けないものがある場合には、特にそのサービスの内容及び利用者負担金を説明し、利用者の同意を得ます。
4 事業者が前項の利用者負担金の変更(増額又は減額)を行う場合には、利用者に対して変更予定日の1か月前までに文書により説明し、利用者の同意を得ます。
通所介護 (利用者負担金及びその変更)
第10条 利用者は、サービスの対価として「説明書」の記載に従い、利用者負担金を支払います。
2 利用者負担金のうち関係法令に基づいて定められたものが、契約期間中に変更になった場合、関係法令に従って改定後の利用者負担金が適用されます。その際には、事業者は利用者に説明します。
3 事業者は、提供するサービスのうち、介護保険の適用を受けないものがある場合には、特にそのサービスの内容及び利用者負担金を説明し、利用者の同意を得ます。
4 事業者が前項の利用者負担金の変更(増額又は減額)を行う場合には、利用者に対して変更予定日の1か月前までに文書により説明し、利用者の同意を得ます。

「居宅介護支援事業者等との連携」に関する記入例

「居宅介護支援事業者等との連携」に関する項目は「訪問介護」「通所介護」の契約書で記載すべき項目です。「居宅介護支援」の契約書には記載する必要はありません。

サービス種別 記入例
訪問介護 (居宅介護支援事業者との連携)
第6条 事業者は、サービスの提供にあたり、居宅介護支援事業者及び保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との緊密な連携に努めます。
2 事業者は、利用者が「ケアプラン」の変更を希望する場合は、速やかに居宅介護支援事業者への連絡調整等の援助を行います。
通所介護 (居宅介護支援事業者等との連携)
第6条 事業者は、サービスの提供にあたり、「居宅介護(介護予防)支援事業者もしくは地域包括支援センター」(以下「居宅介護支援事業者等」という。)及び保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との緊密な連携に努めます。
2 事業者は、利用者が「ケアプラン」の変更を希望する場合は、速やかに「居宅介護支援事業者等」への連絡調整等の援助を行います。

「居宅介護(介護予防)支援の担当者」に関する記入例

「居宅介護(介護予防)支援の担当者」は「居宅介護支援」の契約書の場合、記載が必要な項目です。

サービス種別 記入例
居宅介護支援 (居宅介護(介護予防)支援の担当者)
第3条 支援事業者は、利用者のために、居宅介護(介護予防)支援の担当者(以下「担当者」という。)として介護支援専門員である職員を選任し、担当者がその職務を誠実に遂行するよう責任をもって指導監督し、適切な居宅介護(介護予防)支援に努めます。
2 支援事業者は、担当者を選任し、又は変更する場合は、利用者の状況とその意向に配慮して行うとともに、支援事業者側の事情により変更する場合にはあらかじめ利用者と協議します。
3 支援事業者は、担当者に対し、専門職として常に利用者の立場に立ち、誠意をもってその職務を遂行するよう指導するとともに、必要な対応を講じます。
4 担当者は、常に身分証を携行し、初回訪問時及び利用者や利用者の家族から提示を求められた時は、いつでも身分証を提示します。

「中立義務」に関する記入例

「中立義務」は「居宅介護支援」の契約書の場合、記載が必要な項目です。

サービス種別 記入例
居宅介護支援 (中立義務)
第10条 支援事業者は、利用者より委託された業務を行うにあたっては、利用者に提供される居宅サービス等が特定の種類に偏することのないよう、又は特定の居宅サービス事業者等による居宅サービスを利用するよう利用者を誘導し、又は、利用者に指示すること等により、特定の居宅サービス事業者を有利に扱うことのないよう公正中立に行います。

介護事業における重要事項説明書を使った契約手続きの流れ

事業所が利用者やご家族と契約を結ぶまでの流れは次の通りです。

  1. 契約に必要な書類のフォーマットを作成
  2. 利用者またはご家族と面談
  3. 契約書と重要事項説明書を印刷・準備
  4. 説明・契約

それでは、段階ごとに詳しくみていきましょう。

①契約に必要な書類のフォーマットを作成

まずは、提供するサービスに合わせて重要事項説明書や契約書のフォーマットを作成します。
作成したフォーマットの内容について不安な場合は、所轄官庁に相談しましょう。
また、契約時には事業所のパンフレットを活用して説明できると利用者・ご家族の理解がスムーズになるので、事前に準備しておくとよいでしょう。

②利用者またはご家族と面談

次に、利用者ご本人またはご家族との面談を行います。
面談の際には次のような情報をヒアリングします。

そして、事業所が提供するサービスの内容や提供範囲などについて説明を行い、利用申込の意思を確認します。

③契約書と重要事項説明書を印刷・準備

面談後は、ヒアリング内容をもとに重要事項説明書と契約書を準備します。
印刷をする前に、誤字脱字や記載漏れがないか丁寧に確認しましょう。
重要事項説明書と契約書は二部ずつ作成します。

④説明・契約

最後に、準備した書類をもとに重要事項の説明と契約の締結を行います。
契約時は、重要事項説明書と契約書、パンフレット等を用いて契約の内容を説明し、利用者またはご家族の同意を得て、契約を取り交わすことになります。
同意を得られたら、重要事項説明書と契約書に、利用者の署名・捺印をいただきます。
署名や捺印をいただいた重要事項説明書・契約書の二部のうち、一部は事業所で保管し、もう一部は利用者またはご家族へ渡しましょう。

介護事業の重要事項説明書・契約書に関する注意点

ここでは、介護事業の重要事項説明書・契約書に関する注意点をご紹介します。

数値の間違いがないようにする

重要事項説明書や契約書には電話番号・住所などの事業所情報や利用料金など数値を用いた内容を多く記入することになります。
入力にミスがないか、最新の情報になっているかなど数値の内容に間違いがないよう契約前にしっかり確認しましょう。

利用者・ご家族が分かりやすいように記載

重要事項説明書や契約書を作成する際には、利用者やそのご家族が書類の内容を理解しやすいように次のことに気を付けましょう。

不備があると運営指導で指摘を受ける可能性も

重要事項説明書や契約書に不備がある場合、運営指導で指摘を受ける可能性があります。
数年に一度実施される運営指導では「利用者やその家族へ説明を行い、同意を得ているか」「重要事項説明書の内容に不備等はないか」などを重要事項説明書や契約書と照らし合わせながら確認されることがあります。
日頃から不備がないように適切な書類作成と契約手続きを心掛けましょう。

介護事業で使える重要事項説明書・契約書のひな形を無料ダウンロード

介護事業で利用できる重要事項説明書・契約書のひな形をご用意しました。
無料でダウンロードできますのでぜひご活用ください。

重要事項説明書・契約書のひな型をダウンロードする

※こちらのひな形ファイルに関しては、ユーザー様の責任にてご利用ください。また、ご利用の際には、行政からの通知、事業所の最新の状況等に応じて、項目や内容を編集してください。

まとめ

この記事では、介護事業を開業する上で不可欠な重要事項説明書と契約書について、具体的な記載項目と記入例、利用者との契約までの流れ、注意点まで詳しく解説しました。
重要事項説明書と契約書は利用者にサービス提供を開始するために必要となりますので、開業日までには準備しておきましょう。
こちらからダウンロードできるひな形もぜひご活用ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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