介護事業を独立して開業したら儲かるの?



介護事業で働いている方の中には、「これまでの経験を活かして独立・開業してみようかな?」と考えている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、介護事業の将来性と儲かるのかどうか、独立して介護事業を開業するまでの流れなどを解説しています。

収支差率から「介護事業は儲かる可能性が十分にある」と言える!

厚生労働省が行っている介護事業経営実態調査の結果によると、介護事業の全サービス平均の収支差率は『2.6%』(※)となっていることから、

「介護事業は儲かる可能性が十分にある」

と言えます。

※厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果の概要」の税引後収支差率

収支差率とは

収支差率とは、収入額(売上)に対して利益がどれくらい残ったのかを表す経営指標です。

黒字の場合は収支差率はプラスとなり、赤字の場合は収支差率はマイナスになります。

つまり、収支差率が高いほど、収入額に対して利益を多く残せている(経営状況が良い)ということになります。

収支差率の計算式

収支差率は、以下の計算式で計算します。


収支差率(%) =(収入額 - 支出額)/ 収入額

介護サービス種別ごとの収支差率の推移(単位:%)

厚生労働省の介護事業経営実態調査結果の概要(令和2年度、令和5年度)によると各サービス種別の収支差率(税引き後収支差率)は以下のように推移しています。

サービス種類 平成29年度 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度
介護老人福祉施設 1.7 1.8 1.6 1.6 1.3 0.1
介護老人保健施設 3.7 3.4 2.2 2.5 1.3 -0.6
介護医療院 - - 4.7 6.5 5.3 1.2
訪問介護 5.6 4.1 2.3 6.4 5.5 7.7
訪問入浴介護 2.0 1.2 2.7 4.7 2.5 2.2
訪問看護 4.3 4.0 4.2 9.1 7.1 5.8
訪問リハビリテーション 4.0 2.6 1.9 -0.4 0.2 9.9
通所介護 4.9 2.8 2.9 3.5 0.7 1.4
通所リハビリテーション 5.1 2.6 1.4 1.3 0.2 2.5
短期入所生活介護 4.8 3.3 2.3 5.3 3.3 3.2
特定施設入居者生活介護 0.7 1.3 1.9 3.6 3.1 2.2
福祉用具貸与 4.0 3.4 3.5 0.5 2.6 4.8
居宅介護支援 -0.4 -0.4 -1.9 1.8 3.1 4.6
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 6.0 8.5 6.0 7.7 7.8 10.7
夜間対応型訪問介護※ 4.2 5.3 2.0 -8.9 3.3 9.1
地域密着型通所介護 4.0 2.3 1.5 3.7 3.1 3.7
認知症対応型通所介護 5.8 7.2 5.4 9.1 4.3 4.5
小規模多機能型居宅介護 3.0 2.5 2.9 4.1 4.5 3.6
認知症対応型共同生活介護 4.9 4.4 2.7 5.5 4.6 3.6
地域密着型特定施設入居者生活介護 1.6 1.2 0.6 3.2 2.6 1.8
地域密着型介護老人福祉施設 0.5 2.0 1.3 1.1 1.2 -0.4
看護小規模多機能型居宅介護 4.2 5.6 3.1 4.9 4.2 4.2

介護事業の将来性は?

今後の介護事業の将来性についても見ていきましょう。

日本の高齢者人口の推移・予測

厚生労働省のデータでは、2042年に65歳以上の高齢者人口がピークを迎えるといわれています。下記のグラフのように、65歳以上の高齢者人口は右肩あがりになっており、75歳以上の人口(赤いグラフ) が緩やかに増加していることがわかります。

高齢者人口画像

※内閣府「令和5年版高齢社会白書」よりグラフを作成

介護サービスの受給者数の推移

介護サービスの年間累計受給者数と年間実受給者数は、後期高齢者人口の増加に伴い、右肩上がりで増えていることがわかります。

受給者数の推移 画像

※厚生労働省「介護給付費等実態統計」よりグラフを作成

介護事業は将来性がある事業と言える!

75歳以上の後期高齢者人口の増加に伴って介護サービスの受給者数は増加しており、今後も需要は増え続けるため、介護事業は将来性がある事業だと言えます。

独立して介護事業を開業・立ち上げるまでの手順・流れ

ここでは独立して介護事業を開業する流れを解説していきます。

開業までのおおまかな流れは以下のようになっています。

  1. 事業計画書の作成
  2. 法人設立
  3. 資金調達
  4. 物件探し・契約
  5. 従業員の採用
  6. 設備・備品等の調達
  7. 指定申請

1.事業計画書の作成

事業計画書とは、『事業の見通しを立てるために作成する資料』です。

「これからどのような事業を行うのか?」や「その事業で経営は成り立つのか?」といったことを中心に記載します。

2.法人設立

介護保険法に基づく介護事業を行うためには「法人であること」が求められています。

そのため、法人を設立していない場合は、法人の設立登記の手続きを行い、既に法人を設立している場合は、定款の目的の変更等の手続きを行います。

介護事業は、株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人、社会福祉法人などの法人(法人格)が運営できるので、設立要件、設立費用、税制などを把握して、自身に合った法人(法人格)を選びましょう。

訪問介護や通所介護などを開業する場合は、設立費用が少なく、短期間で設立できる株式会社や合同会社が選ばれています。

3.資金調達

介護事業を開業するにあたって資金調達の方法を解説します。

開業時の資金調達方法は、『自己資金』と『金融機関からの融資』を組み合わせるケースが多いです。

自己資金

自己資金とは、自身が所有・集めた資金等のうち、事業に投資できる資金のことです。

金融機関から融資を受ける際は、開業資金の総額の10分の1から3分の1は自己資金として用意する必要があると言われています。

金融機関からの融資

金融機関から融資を受ける場合には、融資制度についての情報を集めて、相談します。

【融資を受けるために必要となる書類の例】

日本政策金融公庫の融資制度

介護事業の開業時には、政府系金融機関である「日本政策金融公庫」が、多くの方から選ばれています。

日本政策金融公庫は、創業時の企業に積極的に融資するための融資制度があるので、融資の条件等を比較する上でも候補のひとつとして考えておくのが良いでしょう。

融資制度の種類 概要
ソーシャルビジネス支援資金 介護や保育など社会的課題の解決を目的とするサービス事業向けの融資制度
新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連) 新たに事業を始める事業主等で女性または35歳未満か55歳以上の方が利用できる融資制度

4.物件探し・契約

介護事業を開業するためには、物件が必要となります。

賃貸物件を契約するには、物件についての情報収集を行い、比較し、契約という流れになります。まずは、インターネットで検索し、気になった物件が見つかったら、現地の見学などを申し込みましょう。

また、物件を探す際には、開業を検討している介護サービスの設備基準を満たしているかどうか確認しなくてはいけません。開業予定の介護サービスの設備基準を忘れずに確認しましょう。

5.従業員の採用

介護事業を開業するためには、従業員が必要になります。

経営者が一人で開業できるのは『居宅介護支援』だけなので、開業するためには採用活動を行うことになります。

介護業界では、人手不足が深刻な問題となっていることから採用活動は難航することが予測されます。

様々な求人媒体を使って採用活動を行うのが良いでしょう。

【求人媒体の例】

6.設備・備品等の調達

介護事業を開業するためには、設備基準に定められる設備や備品などを用意しなくてはいけません。

また、設備基準に具体的に定められる設備・備品の項目以外にも、『適切な介護サービスを提供するために必要となる設備・備品』も必要となります。

ここでは通所介護を開業するために必要となる設備・備品を例としてご紹介します。

【通所介護で必要な設備の例】

※食事および機能訓練を行うためのスペースについては、利用者定員数1人あたり3㎡以上の面積が必要になります。

【通所介護で必要な備品の例】

7.指定申請

介護サービスを開業するためには、指定権者(都道府県または市町村)に指定を受けるための申請を行わなければいけません。

申請書類や期日は指定権者のホームページ等で確認することができます。

指定申請手続きでは、以下のような指定申請書及び添付書類を作成・準備し、提出します。

【指定申請書・添付書類の例】

指定申請書が受理されると、書類審査と実地調査が行われます。

実地調査では、指定申請の提出書類だけでは確認が取れない事項等について、指定権者の担当職員が開設予定の事業所を訪問し、現地での調査を行うことを指しています。

書類審査と実地調査を無事に通過すると、指定権者から指定通知書が発行され届きます。

指定通知書を受領した施設は、通知書に記載の指定年月日から介護サービスを提供することができます。

開業資金はどれくらい必要なの?

介護サービスの種別や事業所の規模によって必要となる開業資金は違いますが、一般的な目安として

ほどの開業資金がかかると言われています。

開業にかかる具体的な費用として以下のような項目が挙げられます。

介護事業の開業資金について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

介護事業を開業する時の資金調達方法

開業時の資金調達方法としては、『自己資金』と『金融機関からの融資』を組み合わせるケースが多いです。

まずは、「全体でいくら資金が必要なのか?」を計算し、「自己資金でいくら用意できるのか?」を確認しましょう。

自己資金を準備する

自己資金とは、自身が所有・集めた資金等のうち、事業に投資できる資金のことです。

金融機関から融資を受ける際は、開業資金の総額の10分の1~3分の1は自己資金として用意する必要があると言われています。

金融機関に融資の相談をする

冒頭でもお伝えした通り、開業時の資金調達方法は、『自己資金』と『金融機関からの融資』を組み合わせるケースが多いです。

金融機関からの融資を受ける場合には、金融機関のホームページ等から融資制度についての情報を集めて、必要な書類を作成し、相談の電話をかけます。

【融資を受けるために必要な書類の例】

資金調達方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

独立して介護事業を開業・立ち上げするメリット・デメリット

開業を考えている場合には、以下のようなメリットとデメリットを把握したうえで開業を決めることが大切です。

メリット

デメリット

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介護事業の開業には、半年から1年ほどの準備期間が必要になります。そして、この開業準備期間に、法人設立や指定申請といった手続き、物件・備品等の手配、職員の採用などを行わなければなりません。

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まとめ

介護事業は将来性があり、儲かる可能性が十分にある事業だと言えます。

その一方で、従業員の確保や利用者の獲得などに苦労する可能性もある事業です。

開業準備では、自己資金の準備、法人設立、物件の契約、設備・備品の手配、採用活動、指定申請などやらなくてはいけないことがたくさんあります。

開業予定日に開業するためには、「いつまでに何をやらなくてはいけないのか?」を明確にして、期限までに準備を着々と進める必要があります。の手

この記事でご紹介した内容が皆様の開業準備のお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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