放デイ・児発で活用できる助成金・補助金は?申請の種類や条件、開業時に必要な資金についても解説しました!
SMS CO.,LTD
放課後デイサービスの開業のため、原則的に返済不要な助成金、補助金を活用できれば非常に有効な資金調達方法となり、助成金、補助金の活用は健全な事業運営のためにぜひ行いたいものになります。
この記事ではまず「助成金と補助金の違い」と、多くの助成金、補助金のなかで放課後デイサービス開業時に申請できる「助成金、補助金の種類、受給可能な金額、申請に必要な条件」等を解説していきます。
この記事で解説する助成金、補助金のポイントは下記の4つとなっています。
- 助成金と補助金の違いは「受給金が一律に支給されるか、事業に対する費用の一部を支給されるか」である。
- 「助成金」「補助金」は両者とも原則受給金の返済は必要はない。
- 両者とも受給には「指定された要件を満たすことが必要」である。
- 補助金の受給には審査が必要となる。
それでは各項目を解説していきます。
目次
- 助成金と補助金の違いは「受給金が一律に支給されるか、事業に対する費用の一部を支給されるか」
- 放課後デイサービス、児童発達支援にて申請できる4つの「助成金」
- 放課後デイサービス・児童発達支援にて申請できる3つの「補助金」
- 放課後デイサービスの開業に必要な「初期資金」
- 放課後デイサービスの開業に必要な「運転資金」
助成金と補助金の違いは「受給金が一律に支給されるか、事業に対する費用の一部を支給されるか」
放課後デイサービス・児童発達支援を開業し運営していくうえで「助成金」や「補助金」は「原則返済の必要がない資金」となるため、事業運営に大きなメリットとなります。
助成金と補助金の違いは下記になります。
助成金
「管轄」:主に厚生労働省が管轄しています。
「支給目的」:主に雇用確保、労働環境の改善としています。
「財源」:財源は雇用保険料となっているため受給しやすくなっています。
「受給金」:多くの場合受給金額は制度ごとに一律です。
「審査」:審査はなく一定の要件を満たせば受給可能です。
「返済」:返済の必要は原則ありません。
補助金
「管轄」:主に経済産業省が管轄しています。
「支給目的」:主に創業支援、設備投資関連の支援としています。
「財源」:財源が税金であるため、申請数の枠が限られている場合があります。このため助成金と比較すると受給するための難易度は高くなっています。
「受給金」:事業に対する費用の一部が支給されます。
「審査」:要件を満たし、さらに審査に通ることが必要です。
「返済」:返済の必要は原則ありません。
放課後デイサービス、児童発達支援にて申請できる4つの「助成金」
①キャリアアップ助成金
「正社員化コース」を利用可能です。非正規雇用労働者のキャリアアップ促進を目的とし、職員の正社員化実施で助成金が支給されます。
助成金額
「正社員コース」は2023年11月29日に拡充され、助成額は「労働者ひとりにつき12ヶ月で30万円~80万円」となっています。また、満たす要件により「最大40万円」の加算額が助成されます。
申請に必要となる条件
- キャリアアップ計画の作成、提出
- 就業規則の改定(正社員への転換規定がない場合)
- 就業規則等に基づく正社員化
- 正社員化後6ヶ月の賃金の支払い(正社員化前6ヶ月と比較し3%以上賃金の増額が必要)
- 就業規則等に基づく正社員化・正社員化後6ヶ月の賃金の支払い(正社員化前6ヶ月と比較し3%以上賃金の増額が必要)
詳細は厚生労働省「キャリアアップ助成金」よりご確認ください。
キャリアアップ助成金|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
②働き方改革推進支援助成金
「労働時間短縮・年休促進支援コース」を利用可能です。労働環境の整備等を目的としています。生産性向上、労働時間短縮、年休促進等に取り組むことで助成金が支給されます。
助成金額
選択可能な3つの成果目標があり、設定した目標への取り組みにかかった費用の3/4が支給額となります。助成金の上限額は設定した成果目標により異なり、目標達成に応じて「25万円~200万円」の助成金が支給されます。
また、賃金額の引き上げを目標に設定し達成した場合、引き上げ率や引き上げた人数に応じ「15万円~240万円」が加算されます。
申請に必要となる条件
- 労働者災害補償保険(労災保険)の適応事業主であること。
- 交付申請時点で設定した成果目標に向けた条件を満たしていること。
- 全ての対象事業場において、交付申請時点で年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則を整備していること。
詳細は厚生労働省「働き方改革推進支援助成金」よりご確認ください。
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
③人材確保等支援助成金
「雇用管理制度助成コース」が利用可能でしたが現在受付を休止しています。離職率の低下を目的とし、研修制度、諸手当等制度、短時間正社員制度等を導入し雇用管理改善に取り組むことで助成金が支給されます。
助成金額
令和4年4月1日より受け付けを休止中であり、令和5年度も休止は継続されています。定められた目標値以上に離職率を低下させることにより、「57万円」の助成金が支給されます。
申請に必要となる条件
- ・雇用管理制度整備計画を作成、認定を受け、計画に基づき導入、実施すること。
最新の情報、詳細は厚生労働省の「人材確保等助成金(雇用管理制度助成コース)」よりご確認ください。
人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
④特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金では「様々なコース」が利用可能となっています。高齢の方や障害のある方など「就職困難者」を雇用する企業への支援を目的とし、「就職困難者」を雇用保険一般被保険者として継続雇用する企業に助成金が支給されます。
また令和5年12月1日より当分の間対象労働者が拡充され、「補完的対象保護者」も助成対象となっています。(「補完的対象保護者」とはウクライナ避難民の他、アフガニスタン・シリア難民等も対象として想定されています。)
助成金額
対象労働者により助成金額が異なります。
- 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等、父子家庭の父、補完的対象保護者の場合は1年間で「60万円」の助成金が支給されます。
- 身体、知的障害者の場合は2年間で「120万円」の助成金が支給されます。
- 重度障害者の場合は3年間で「240万円」の助成金が支給されます。
また、上記の金額は「中小企業」であり「短期時間労働者以外」の雇用時に支給される助成金額です。「中小企業以外」での「短期労働者」雇用時の助成金額は、上記より低くなります。
申請に必要となる条件
- ハローワーク、または民間の職業訓練事業者の紹介によって雇い入れること。
- 雇用保険一般保険者、または高年齢被保険者として雇い入れ、継続しての雇用が確実であると認められること。
詳細は厚生労働省の「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」よりご確認ください。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
放課後デイサービス・児童発達支援にて申請できる3つの「補助金」
①IT導入補助金
「IT導入補助金」はITツール導入による業務の効率化を目的としています。中小企業、小規模事業者等が補助対象とされ、クラウドサービス、ソフトウエア製品等の導入経費に補助金が支給されます。
補助金額
支給額はITツール導入費用の1/2までの補助とされ、支給額の「下限は5万円」、「上限は450万円」となっています。
申請に必要となる条件
- IT導入補助金への理解
- ITツールの選択等事前準備
- 交付申請
- 補助される事業の実施
- 事業実績報告
- 補助金交付手続き
- 事業実施効果報告
IT補助金は申請の募集期間が設定されています。「事業スケジュール IT導入補助金2023」よりご確認ください。
事業スケジュール | IT導入補助金2023(後期事務局) (smrj.go.jp)また、IT補助金の概要と詳細は「IT導入補助金2023後期事務局」よりご確認ください。
トップページ | IT導入補助金2023(後期事務局) (smrj.go.jp)
②介護職員等ベースアップ等支援加算
「介護職員等ベースアップ等支援加算」は受付を終了した「介護職員処遇改善支援補助金」をベースに、新たに創設された補助金です。介護職員のほか看護師、リハビリ職、事務員等の月次給与ベースアップを目的とし、要件を満たした事業所へ国保連より補助金が支給されます。
補助金額
介護職員一人当たり「月額平均9000円」の賃金引き上げに相当する額となっています。
申請に必要となる条件
以下の要件をすべて満たすことが必要となります。
- 処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得していること。
- 賃上げ効果が継続するよう加算額の2/3は介護職員等のベースアップ等へ使用すること。
処遇改善加算の算定内容等、詳細は厚生労働省の「介護職員の処遇改善」よりご確認ください。
介護職員の処遇改善|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
③事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は新型コロナウィルス感染症で経営にダメージを負った、中小企業の事業再構築を支援する補助金です。「新市場進出、新分野展開、業種転換」等思い切った事業再構築に挑戦する中小企業の支援を目的としています。 また補助される対象経費の種類は、「建築費から広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載等)」と幅広く支援されます。
補助金額
申請する事業者の業種、業態、取り組みに応じた補助枠が設定され、枠により補助上限額は「500万円」から「1億円」となっています。予算規模が非常に大きい補助金ですが、令和5年11月に外部有識者によるとりまとめが行われ、補助金の内容等が変更されることが考えられます。今後の補助内容の変更等は「事業再構築補助金」公式ページにてご確認ください。
トップページ | 事業再構築補助金 (jigyou-saikouchiku.go.jp)
申請に必要となる条件
申請に必須な条件は下記の二つです。
事業計画については認定経営革新等支援機関や金融機関の確認を受けること。
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額に年率平均3~5%(申請枠により異なる)以上の増加の達成。
また、この二つの必須条件を満たしたうえで、各申請枠に応じた要件を満たすことが必要となります。
各申請枠に応じた詳細な要件は経済産業省、中小企業庁公式「事業再構築補助金リーフレット」での一覧をご確認ください。
事業再構築補助金リーフレット (jigyou-saikouchiku.go.jp) また、放課後等デイサービスの開業・立ち上げの流れについては、 こちらの記事で詳しくご紹介しています。
放課後等デイサービスを開業するには?立ち上げ・起業・独立の流れを解説|介護・看護・障害ソフトやシステムならカイポケ|新規導入数No.1 (kaipoke.biz)
放課後デイサービスの開業に必要な「初期資金」
①送迎車購入費用
送迎サービスはほぼ必須となります。事業運営に送迎車は欠かせません。事業所の規模によって異なりますが、開業時に2~3台は必要になるでしょう。
利用児が医療ケア児である場合などは、車椅子ごと乗車が可能な福祉車両が送迎に必要となります。
福祉車両は、費用も割高で注文から購入までに期間を要する場合がありますので、開業する放課後デイサービスをどのような児童が利用するのか考慮し、事業計画に基づく車両の導入が重要となります。高額な車両であるため、中古の福祉車両やリースでの利用も検討すると良いでしょう。
また、24時間テレビや赤い羽根共同募金による、抽選での福祉車両購入補助に応募することも良いでしょう。
車椅子を使用していない利用児ももちろん放課後デイサービスを利用するので、事業所によっては歩行、座位可能な利用児にはワゴンタイプの中古車を送迎に利用していることもあります。
②保険料
万が一の際に事業所や関係者を守るためにも、賠償責任保険への加入も必須と言えます。
利用児のてんかん発作時や、医療ケア児の万が一の際の備えは必要です。
保険整備が整った事業所なら職員も安心して働くことができ、長期的に在籍する理由ともなります。
また、事業所の火災保険や送迎車の自動車保険も必要となります。
③人員採用費用
ハローワークのような無料の求人媒体もありますが、有料の求人媒体等と併せて採用活動を行うのが一般的です。購入した車両に求人情報を貼り、宣伝と求人募集を兼ねることも有効と言えます。
また、SNSやホームページでの求人募集はとても有効です。専門の業者へ依頼する場合費用もかかりますが、求職者はSNSやホームページで事業所の様子が分からないと集まりにくいことが考えられます。
④物件取得・施工費用
事業所の敷金や礼金、リフォーム代、仲介手数料などです。
物件や工事内容により、金額は大きく異なります。
物件選びも非常に重要です。開業する放課後デイサービスをどのような児童が利用するのか想定する必要があります。例えば重症心身障害児対応事業所でしたらアクセスの良い場所、物件を選択すれば、急変時の対応や送迎がスムーズに行えるメリットがあります。
また知的、発達障害児を中心に対応する事業所でしたら、車通りの少ない静かな物件を選択する必要もあるでしょう。急に走り出した自動車と接触しそうになったという事例は多く、危険の多い場所では安全確保のため、人員配置をより強化しなければならなくなることがあります。
開業前は多くの事業所を見学し、情報を収集し、開業する事業所に適した物件を選択することはとても重要なポイントとなります。
⑤備品購入費用
- 机、椅子
- タブレット等音楽再生機器
- 電子ピアノ等(主に保育士が使用します)
- パソコン
- 複合機
- 介護ソフト
- おもちゃなど
- 機能訓練機器
- 医療機器(体温計は必須でしょう。・またてんかん発作時の対応等にパルスオキシメーターを常備している事業所が多いです)
- 冷蔵庫
- 電子レンジ
- オヤツ、食事用物品(お皿、スプーン等)
- テレビ
- トイレ用品
- お昼寝用の布団
- 予備用バギ-
- 予備用チャイルドシート
- 災害時対応物品(懐中電灯や非常食等)
- 制作物作成用文房具等
- その他
購入が必要な備品は多いですが、すべて新品でそろえる必要はありません。リサイクルショップ等を活用し、初期費用を抑えている事業所は多くあります。
放課後デイサービスの開業に必要な「運転資金」
①人件費
人件費は、給与、役員報酬、法定福利費(社会保険料の事業所負担分)、通勤手当などです。
人員数や営業日数などによって異なりますので、綿密な計画が必要です。特に重症心身障害児を対応する事業所の運営には、専門職(看護師・作業療法士・理学療法士言語聴覚士児童発達支援管理責任者等)の雇用にかかる人件費は大きいものとなります。給与支払遅延が決して起きないよう、しっかりと資金を用意しておきましょう。
一般的に人件費は開業時の資金として大きな割合を占めることが多いです。
開業初期での利用児確保は非常に重要ですが、開業スタートから利用児が定員となることを想定するのではなく、事業所に人員確保の体力がどの程度あるのかを把握し運営することが重要です。
②その他費用
その他としては、以下が考えられます。
- 税理士、行政・司法書士報酬
- 家賃
- 駐車場代
- 水道光熱費
- 消耗品費
- 車両管理費
- 研修費
- 借入金返済
放課後等デイサービスの業務を楽にするソフト「カイポケ」
放課後等デイサービス向けの記録・請求ソフトの「カイポケ」は、支援の記録など日々の業務に必要な帳票の作成・管理だけでなく、国保連への請求情報作成・伝送まで一気通貫で行うことが できます。