介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の2018年度介護報酬改定



2018年度介護報酬改定では、団塊世代が75歳以上となる2025年度に向けて、国民一人ひとりが適切な介護サービスを受けられるように、効率的に質が高い介護サービスの提供する体制の整備を推進することが狙いとされています。
この記事では、高齢者にとって「終の棲家」とされる介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護(以下、特別養護老人ホーム)において、具体的にどのような改定内容となったのか確認します。

基本報酬

介護報酬とは、特別養護老人ホームなどの介護事業所が行った介護サービスの対価として、支払われる報酬のことです。介護報酬は、大きく分けて「基本報酬」と「加算(減算)」に分類されます。基本報酬は、介護事業所種別ごとに決められている基本的な報酬であり、加算は基本報酬に上乗せされる項目、減算は基本報酬から控除される項目となります。
特別養護老人ホームにおける2018年度介護報酬改定の基本報酬改定内容は、下記のように基本報酬が変更となりました。

基本報酬 (単位/日)

広域型:介護福祉施設サービス

要介護度 従来型個室 多床室
改定前 改定後 改定前 改定後
要介護1 547 557 547 557
要介護2 614 625 614 625
要介護3 682 695 682 695
要介護4 749 763 749 763
要介護5 814 829 814 829

広域型:ユニット型介護福祉施設サービス費

要介護度 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室
改定前 改定後 改定前 改定後
要介護1 625 636 625 636
要介護2 691 703 691 703
要介護3 762 776 762 776
要介護4 828 843 828 843
要介護5 894 910 894 910

地域密着型:地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費

要介護度 従来型個室 多床室
改定前 改定後 改定前 改定後
要介護1 547 565 547 565
要介護2 614 634 614 634
要介護3 682 704 682 704
要介護4 749 774 749 774
要介護5 814 841 814 841

地域密着型:ユニット型地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費

要介護度 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室
改定前 改定後 改定前 改定後
要介護1 625 644 625 644
要介護2 691 712 691 712
要介護3 762 785 762 785
要介護4 828 854 828 854
要介護5 894 922 894 922

入所者の医療ニーズへの対応

特別養護老人ホームへの入所基準が、原則要介護3以上となったことで、入所者の重度化が進み、医療ニーズへの対応を強化することが求められています。そのため、医療ニーズに対応する体制の推進、評価のため、加算の創設、算定要件、算定単位の変更がありました。

配置医師緊急時対応加算の創設

配置医師が施設の求めに応じて、早朝・夜間または深夜に施設を訪問して、入所者を診察することを評価する加算です。早朝・夜間の時間帯と深夜の時間帯で算定単位が異なります。

【配置医師緊急時対応加算】

改定前 改定後
早朝・夜間の場合 なし 650単位/回
深夜の場合 なし 1,300単位/回

夜勤職員配置加算の見直し

医療ニーズの対応の推進のため、看護職員または喀痰吸引等を実施できる介護職員を夜勤に配置する体制を評価する夜勤職員配置加算(Ⅲ)(Ⅳ)が創設されました。

【夜勤職員配置加算:地域密着型】

改定前 改定後
夜勤職員配置加算(Ⅰ)イ 41単位/日 41単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅰ)ロ 13単位/日 13単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅱ)イ 46単位/日 46単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅱ)ロ 18単位/日 18単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅲ)イ なし 56単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅲ)ロ なし 16単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅳ)イ なし 61単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅳ)ロ なし 21単位/日



【夜勤職員配置加算:広域型】

改定前 改定後
夜勤職員配置加算(Ⅰ)イ 22単位/日 22単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅰ)ロ 13単位/日 13単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅱ)イ 27単位/日 27単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅱ)ロ 18単位/日 18単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅲ)イ なし 28単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅲ)ロ なし 16単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅳ)イ なし 61単位/日
夜勤職員配置加算(Ⅳ)ロ なし 21単位/日

「看取り介護加算」算定額の見直し

施設における看取りを推進するため、看取りに対する更なる体制を整備し、看取りを行うことを評価する看取り介護加算(Ⅱ)が創設されました。

【看取り介護加算】

改定前 改定後
看取り介護加算(Ⅰ)死亡日30日前~4日前 144単位/日 144単位/日
看取り介護加算(Ⅰ)死亡日前々日、前日 680単位/日 680単位/日
看取り介護加算(Ⅰ)死亡日 1,280単位/日 1,280単位/日
看取り介護加算(Ⅱ)死亡日30日前~4日前 なし 144単位/日
看取り介護加算(Ⅱ)死亡日前々日、前日 なし 780単位/日
看取り介護加算(Ⅱ)死亡日 なし 1,580単位/日

生活機能向上連携加算の創設

高齢者の自立支援・重度化防止には、機能訓練の質を上げることが重要となります。そのため、訪問・通所リハビリテーション事業所や、リハビリテーションを実施している医療提供施設のリハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)や医師が施設を訪問し、機能訓練指導員等と共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成するなど、より質の高い機能訓練を実施するための取り組みを評価する生活機能向上連携加算が創設されました。

【生活機能向上連携加算】

改定前 改定後
個別機能訓練加算を算定していない場合 なし 200単位/月
個別機能訓練加算を算定している場合 なし 100単位/月

機能訓練指導員の確保の促進

人材の確保が困難とされている機能訓練指導員の資格要件が以下の通り見直されました。人員基準に定める機能訓練指導員だけでなく、個別機能訓練加算の要件となる機能訓練指導員の資格要件も共通して変更となっています。

[改定前]
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師
[改定後]
上記に加え、一定の実務経験を有する、はり師、きゅう師が追加

※一定の経験とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験となります。

排泄に介護を要するご利用者への支援に対する評価の創設

厚生労働省が取りまとめた調査によると、「排せつに介助を要する状態は、自立した生活への大きな阻害要因」であることが明らかになりました。入所者の重度化が進んでいる特別養護老人ホームにおいても、重度化を予防し、常に自立支援を意識したケアを行う必要があることから、排せつの自立について、取り組みを行った施設を評価するために排せつ支援加算が創設されました。

【排せつ支援加算】

改定前 改定後
排せつ支援加算 なし 100単位/月

褥瘡の発生予防のための管理に対する評価

厚生労働省が定める介護老人福祉施設の運営基準には「褥瘡が発生しないよう適切な介護を行うとともに、その発生を予防するための体制を整備しなければならない。」とされてます。しかしながら、厚生労働省の調査によると、特別養護老人ホームでの褥瘡発生率は、50%を超えているという結果になりました。このような背景から、褥瘡発生予防へ向けて、適切な取り組みを行った施設を評価する褥瘡マネジメント加算が創設されました。

【褥瘡マネジメント加算】

改定前 改定後
褥瘡マネジメント加算 なし 10単位/月

外泊時に在宅サービスを利用した時の費用の取扱い

特別養護老人ホームの入所者は、居宅等へ外泊することが可能です。しかし、外泊中に居宅サービス(訪問介護や訪問看護など)を受けることができなため、ご家族が介護に不安を感じ、外泊を躊躇するケースが少なからずありました。このようなケースの解決案として、特別養護老人ホームの職員が外泊中に入所者の居宅等を訪問し、適切な在宅サービスを提供した場合に算定できる項目として、外泊時在宅サービス利用の費用が創設されました。
この費用は入院・外泊したときの費用を算定している場合は算定できません。

【外泊時在宅サービス利用の費用】

改定前 改定後
外泊時在宅サービス利用の費用 なし 560単位/日

障害者の生活支援について

高齢化に伴い、身体障害、知的障害、精神障害を抱える高齢者が年々増加しています。特別養護老人ホームは、このような高齢者の受け入れを求められており、従来より障害者生活支援体制加算として、障害を持つ入所者を15名以上受け入れていることを評価する加算が設けられていました。
2018年度の改定では、定員数が少ないため15名という算定要件を満たすことができない、障害を抱えた要介護者の多く受け入れている小規模施設を評価する為、従来の要件に加え、入所障害者数が入所者総数の30%以上の施設も対象となるように算定要件が変更されました。また、障害者が入所者の50%以上を占めるなど、より多くの障害要介護者を受け入れること、常勤の障害者生活支援員を手厚く配置し、適切な生活支援を行う環境を整えていることで、算定できる障害者生活支援体制加算(Ⅱ)が創設されました。

【障害者生活支援体制加算】

改定前 改定後
障害者生活支援体制加算(Ⅰ) 26単位/日 26単位/日
障害者生活支援体制加算(Ⅱ) なし 41単位/日

口腔衛生管理の充実

適切な口腔衛生を保つことは、高齢者の誤嚥性肺炎を減少させるなど、様々な効果が認められています。しかし、口腔衛生管理のニーズに対して、歯科医師や歯科衛生士が不足しており、入所者に対する歯科専門職による口腔ケアを提供することが困難な状況です。
2018年度の改定では、月4回以上行う必要があった歯科衛生士による口腔ケアを、月2回以上と変更しました。回数要件を緩和することで、より多くの特別養護老人ホームの口腔衛生管理体制の充実を図ることができると期待されています。

【口腔衛生管理加算】

改定前 改定後
口腔衛生管理加算 110単位/月 90単位/月

栄養マネジメント加算の要件緩

適切な栄養管理の必要性から、栄養マネジメント加算の算定要件にある管理栄養士の配置について、変更がありました。

[改定前]
他施設兼務の場合は、栄養マネジメント加算の算定は不可

[改定後]
同一敷地内の他の介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院、地域密着型介護老人福祉施設になかで1施設に限る)での兼務で、適切な栄養マネジメントが実施されている場合は、栄養マネジメント加算の算定が可能 

栄養改善の取組の推進

原則「要介護3以上」の方が入所対象となる特別養護老人ホームでは、低栄養リスクが高い入所者が多い傾向があるようです。低栄養リスクが高い人は低栄養リスクが低い人と比べると、入院や死亡リスクが高いことが統計上、明らかとなっています。
このような背景から、低栄養リスクが高い入所者へ重点的な栄養管理を実施することを評価する低栄養リスク改善加算が創設されました。

【低栄養リスク改善加算】

改定前 改定後
低栄養リスク改善加算 なし 300単位/月

入院先医療機関との間の栄養管理に関する連携

特別養護老人ホーム入所者が何らかの理由で入院し、退院後、特別養護老人ホームへ再入所する場合、入院前に比べて、高度な栄養管理が必要となる再入所者の数は、全再入所者数の22%であると報告されています。
(介護保険施設における栄養食事情報の連携に係る全国調査:公益社団法人日本栄養士会:平成29年)
入院前と状態が変化している再入所者の栄養管理に対応する為には、入院先医療施設と特別養護老人ホーム側の管理栄養士の間での情報交換等の連携が必要となります。
2018年度の改定では、入院先医療施設の管理栄養士と連携し、再入所後の栄養ケア計画を作成することを評価する再入所時栄養連携加算が創設されました。

【再入所時栄養連携加算】

改定前 改定後
再入所時栄養連携加算 なし 400単位/回

介護ロボットの活用の推進

介護職員の不足を感じている介護事業所が多くあります。特別養護老人ホームでは、特に夜勤を行うことが出来る職員の確保に苦慮している状況です。そこで、効果的に業務を行うための手段として介護ロボット(見守り機器)を有効活用し、入所者の安全を確保しながら職員の負担を減らすことを推奨するため、夜勤職員配置加算の算定要件が変更となりました。

[改定前]

  • 夜勤職員の基準人数に加え、1名以上多く夜勤職員を配置していること

[改定後]

  • 夜勤職員の基準人数に加え、1名以上多く配置していること

※ただし、以下のいずれかに該当する場合は、夜勤職員の基準人数に加え、0.9名以上多く夜勤職員を配置していること
①入所者の動向を検知できる見守り機器を入所者数の15%以上設置していること
②見守り機器を安全かつ有効に活用するための委員会を設置し、必要な検討等が行われていること

身体的拘束等の適正化

特別養護老人ホームの入所者に対して身体拘束など行動制限を行うことは、本人あるいはほかの入所者の生命または身体を保護するために、緊急的かつやむを得ない場合を除いては禁止されています。また、やむを得ず身体拘束等を行った場合には、必ず、拘束に至った背景、理由の詳細などの記録を義務づけられています。
今回の改定では、その趣旨についての変更はありませんでしたが、身体拘束廃止未実施減算の対象となる要件と単位数に変更がありました。

[改定後の具体的取り組み]

  • 身体拘束を行う場合の各種記録整備すること
  • 身体的拘束等適正化の為の対策を検討する委員会を3月に1回以上開催すること
  • 身体的拘束等適正化の為の指針を整備すること
  • 職員に対して身体的拘束等適正化の為の研修会を定期的に開催すること

【身体拘束廃止未実施減算】

改定前 改定後
身体拘束廃止未実施減算 5単位/日 所定単位の10%/日

運営推進会議の開催方法の緩和(地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護のみ)

運営推進会議は、地域との連携を確保し、地域に開かれた事業所を実現するために開催します。
これまでは、合同開催は認めらていませんでしたが、2018年度の改定より、以下の要件を全て満たした場合には、効率化や事業所間のネットワーク形成の促進のため合同開催が認められることとなりました。

  • ご利用者およびご家族の個人情報・プライバシ―を保護する(匿名利用など)
  • 合同開催は、同一の日常生活圏内に所在する事業所であること
  • 合同開催回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこと

小規模介護福祉施設等の基本報酬の見直し

小規模介護福祉施設とは、入所者数が定員30名の特別養護老人ホームです。小規模の特別養護老人ホームは、これまで通常の特別養護老人ホームよりも基本報酬が高く設定されていました。
しかし、2017年度の介護事業経営実態調査では、特別養護老人ホームの収支差率が1.6%であったのに対し、その中で小規模特別養護老人ホームでは4.2%と高い収支差率であったことから、他のサービスとの調整を図るため、基本報酬が見直されました。

基本報酬 (単位/日)

経過的小規模介護福祉施設サービス費

要介護度 従来型個室 多床室
改定前 改定後 改定前 改定後
要介護1 700 659 700 659
要介護2 763 724 763 724
要介護3 830 794 830 794
要介護4 893 859 893 859
要介護5 955 923 955 923

ユニット型経過的小規模介護福祉施設サービス費

要介護度 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室
改定前 改定後 改定前 改定後
要介護1 766 730 766 730
要介護2 829 795 829 795
要介護3 897 866 897 866
要介護4 960 931 960 931
要介護5 1022 995 1022 995

療養食加算の見直し

療養食加算の報酬体系が見直されました。これまで1日単位で評価する方式から、1日3食を限度に、実際に提供された食数を1回として算定できることになりました。

【療養食加算】

改定前 改定後
療養食加算 18単位/日 6単位/回

居室とケア

これまで特別養護老人ホームには「ユニット型準個室」と呼ばれる居住種類がありましたが、呼称では「個室」となっているものの、実際には天井や壁に隙間があり、完全な個室とは言えませんでした。
そこで、今回の改定では、ご利用者の誤認を防ぐため「ユニット型個室的多床室」へと名称変更されました。

まとめ

2018年度の介護報酬改定の4つの柱である「地域包括ケアシステムの推進」「自立支援・重度化防止」「多用な人材の確保と生産性の向上」「介護サービスの適正化」。今回ご紹介した特別養護老人ホームの改定内容には、これらの方針が取り入れられています。2025年度に向けて、今後も継続的に制度の見直し・改善が図られ、更なる介護サービスの質の向上を目指しつつ、国民一人ひとりが地域社会で安心して暮らせる制度設計が行われていくことでしょう。

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