特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護の2018年度介護報酬改定
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2018年度の介護報酬の改定があり、介護事業所の運営に大きく影響を与える内容です。ここでは、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護(以下特定施設入居者生活介護等)の改定内容を解説します。
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基本単位
特定施設入所者生活介護とは、介護保険の指定を受けた介護付有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など特定施設の入居者に対して、入浴・排せつ・食事等の介護や、その他の必要な日常生活上の支援を行う介護サービスです。今回の改定では、基本報酬がプラス改定となっています。
特定施設入居者生活介護 | 要介護度 | 現行 | 改定後 |
---|---|---|---|
要介護1 | 533単位/日 | 534単位/日 | |
要介護2 | 597単位/日 | 599単位/日 | |
要介護3 | 666単位/日 | 668単位/日 | |
要介護4 | 730単位/日 | 732単位/日 | |
要介護5 | 798単位/日 | 800単位/日 | |
密着型特定施設入居者生活介護 | 要介護1 | 533単位/日 | 534単位/日 |
要介護2 | 597単位/日 | 599単位/日 | |
要介護3 | 666単位/日 | 668単位/日 | |
要介護4 | 730単位/日 | 732単位/日 | |
要介護5 | 798単位/日 | 800単位/日 |
入居者の医療ニーズへの対応
特定施設への入居は、医療機関を退院または介護老人保健施設を退所し入居するケースが多くあります。入居後、きめ細やかなサービスを提供するためには、入居者が入院・入所している医療機関等と連携し、受け入れ調整を行うことが必要不可欠です。特定施設においても、たんの吸引や経管栄養の管理など日常的に医療的ケアを必要とする方が多く入居しています。
このような背景から2018年度の介護報酬改定では、入居者の医療ニーズへの対応として2つの加算が新設されました。
1つは、医療機関等を退院・退所した方を受け入れる場合に、医療機関等との連携を評価する退院・退所連携加算です。医療機関等を退院・退所して特定施設に入居する利用者を受け入れることが算定要件とされています。
もう1つは、たんの吸引などの医療的ケアの体制を評価する入居継続支援加算です。特定施設に勤務する介護福祉士の割合や、たんの吸引などを必要とする入居者の割合が一定以上あることが算定要件となります。
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
退院・退所時連携加算
(1日あたり) |
なし | 30単位 |
入居継続支援加算
(1日あたり) |
なし | 36単位 |
生活機能向上連携加算の創設
ご利用者の自立や重度化を防止する目的で、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医師などが、特定施設入居者生活介護事業所を訪問し、機能訓練指導員と連携を図る取り組みを評価する生活機能向上連携加算が創設されました。
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
生活機能向上連携加算(1月あたり)
(個別機能訓練加算算定なし) |
なし | 200単位 |
生活機能向上連携加算(1月あたり)
(個別機能訓練加算算定あり) |
なし | 100単位 |
機能訓練指導員の確保の促進
今回の改定の柱である「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」の観点から、特定施設入所者生活介護(地域密着型含む)の機能訓練指導員の資格要件に変更がありました。具体的な変更点として、理学療法士等の在籍する介護事業所等において6ヵ月以上の機能訓練指導の実務経験がある、はり師・きゅう師の有資格者が、機能訓練指導員としての要件を満たすことになりました。
若年性認知症入居者受入加算の創設
今回の改定では、特定施設入居者生活介護等における若年性認知症者の受け入れを促進する目的で、若年性認知症入居者受入加算が創設されました。
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
若年性認知症入居者受入加算
(1日あたり) |
なし | 120単位 |
口腔衛生管理の充実
今回の改定で特定施設入居者生活介護等では、口腔衛生についての取り組みを評価する口腔衛生管理体制加算が創設されました。算定には、歯科医師や歯科医師の指示を受けた歯科衛生士によるによる介護職員に対する口腔ケアの技術的助言や指導が月1回以上必要となります。
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
口腔衛生管理体制加算
(1月あたり) |
なし | 30単位 |
栄養改善の取組の推進
今回の改定では、特定施設入居者生活介護等の介護職員が、ご利用者の低栄養状態の改善の取り組みを推進するために栄養スクリーニング加算が創設されました。算定には、ご利用者の栄養状態ついて確認し、その情報を介護支援専門員と共有することが必要となります。
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
栄養スクリーニング加算
(1回あたり) |
なし | 5単位 |
短期利用特定施設入居者生活介護のご利用者数の上限の見直し
現行の短期利用特定施設入居者生活介護のご利用者は、特定施設入居定員の10%以下とされているため、入居定員が10人に満たない事業所ではご利用者の受け入れができないことが問題視されていました。そこで、今回の改定では、短期利用特定施設入居者生活介護のご利用者数の上限が見直され、1または定員の10%までとされました。
身体的拘束等の適正化
身体拘束に関する取り組みが不適切な事業所に対して減算が行われることとなりました。具体的に満たすべき要件は以下の通りです。
- 身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること。
- 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催し、その結果について介護職員等に周知徹底を図ること。
- 身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること。
- 介護職員等に対して身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
現行 | 改定後 | |
---|---|---|
身体拘束廃止未実施減算
(1日あたり) |
なし | 10%(減算) |
運営推進会議の開催方法の緩和(地域密着型特定施設入居者生活介護のみ)
今までは、地域密着型特定施設入居者生活介護における運営推進会議の合同開催は認められていませんでした。しかし今回の改定で、運営推進会議の効率化や事業所間のネットワーク形成の促進等の観点から、下記の条件を満たすことで、運営推進会議の合同開催が認められるようになりました。
- ご利用者及びご利用者家族については匿名とするなど、個人情報・プライバシーを保護すること
- 同一の日常生活圏域内に所在する事業所であること
- 合同して開催する回数が、1年度に開催すべき運営推進会議の開催回数の半数を超えないこと
療養病床等から医療機関併設型の特定施設へ転換する場合の特例
2018年の介護報酬改定では、療養病床等から2024年3月31日までに医療機関併設型の特定施設へ転換する場合の特例として、特定施設入居者生活介護等のサービスが適切に提供されると認められた場合、生活相談員や機能訓練指導員、計画作成担当者の兼任が認められ、また、サービスに支障が認められない場合、浴室、便所、食堂、機能訓練室の兼用が認められることになりました。
まとめ
今回の介護報酬改定では、特定施設入居者生活介護や地域密着型特定施設入居者生活介護を提供する事業所は影響を受けたことでしょう。この記事を今後の事業所運営に活かしていただければ幸いです。
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