価格で決める?介護ソフトの選び方
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2000年に介護保険制度が始まってから25年以上が経ち、介護業界は日々進歩すると同時に、業務内容も大きく様変わりしました。以前は手書きが主流だった書類もデータ化が進む一方で、度重なる制度改正により業務は複雑化しています。書類作成業務の負担と介護職員の不足が重なり、多くの介護事業所で業務過多の状態が見られます。
このような状況の中で業務を効率化し、少しでも現場の負担を減らしてくれるのが「介護ソフト」の導入です。
介護業界は他業界と比べて電子化が遅れているといわれてきましたが、現在では国保連への請求はもちろん、行政への指定申請や届出を行う「電子申請・届出システム」や、居宅介護支援事業所とサービス事業所の間でケアプランをやり取りする「ケアプランデータ連携システム」など、さまざまな業務の電子化が進んでいます。
この記事を読まれている方は、さまざまな事情から介護ソフトの導入をお考えのことと思います。ぜひ今後のご参考にしていただき、ご自身や事業所の業務改善に役立ててください。
ここでは、事業内容や規模、価格などの観点から、今の業務に適した介護ソフトを導入するための情報をお伝えします。
介護ソフトって?
そもそも、介護ソフトは事業所に何をもたらしてくれるのでしょうか。
すでにお使いの方はよくご存じでしょうが、まだ導入されていない事業所では、各種書類を自作の書式や手書きで作成し、すべてファイリングして管理しているかと思います。これは非常に大変な作業であるうえ、紛失の危険性や、必要なデータがすぐに見つからないなど、多くの支障が生じます。介護ソフトを導入すれば、情報やデータを安全に一括管理でき、データの提出や紛失などの不測の事態にも即座に対応できるようになります。
介護サービスの種類によって必要な機能はさまざまですが、一般的な介護ソフトには、大きく分けて以下のような機能が備わっています。
- 業務内文書作成
アセスメントシート、記録シート、ケアプランなどの文書作成 - 請求関係
利用者情報の管理や一覧作成、利用予定・実績の作成、利用者への請求、国保連への請求など - 経理・労務関係
日々の経費のまとめ、勤怠管理や職員の給与計算など(会計ソフトや給与ソフトと連携できるものもあります)
このほかにも、オプションでホームページ制作や各種手続きの代行などができる場合もあります。
困った時に電話で無料相談ができるなど、保守サービスが充実しているソフトも多くあります。
介護ソフトの種類と特徴
介護ソフトには、ソフトを購入してパソコンにインストールして使用するパッケージ型と、個々のパソコンにインストールせず、インターネット回線を通じてWeb上の介護ソフトにアクセスして使用するASP型があります。インターネットのクラウドを利用したクラウド型も、ASP型と同様のものです。
パッケージ型
- さまざまな介護サービスの種類に対応しているものが多い
- 必要に応じて、対応するサービスを自由に組み合わせることができる
- インターネット回線がなくても使用でき、動作が安定している
- 複数のライセンスを購入すれば、複数台のパソコンで使用できる
- パソコンの故障等によるデータ紛失を防ぐため、データのバックアップが必要
ASP型/クラウド型
- インターネットさえ利用できれば、パソコンやタブレット、スマートフォンなどさまざまな端末で、どこからでもアクセスできる
- 月単位の契約を採用している会社が多く、比較的安価に使用できる
- 情報の保管やソフトの更新・メンテナンスはソフト会社が行うので安心
- インターネット経由で利用するため、パスワード管理などのセキュリティ対策が重要
介護ソフトにかかる費用の特徴
では、導入にあたってどのような費用が発生するのかを見てみましょう。
一般的には、導入時の初期費用と、毎月の月額費用があります。
また、介護報酬の改定などにより単位数(サービスの金額)が変わったり、加算が追加されたりすると、介護ソフトもこれに対応するためにアップデートされます。このアップデートの際に、更新追加料金がかかることもあります。制度改正のたびに料金がかかるかどうかで、トータルの費用には大きな差が出ます。
そのほか、事業所の規模に応じた介護ソフトを導入するパソコンの台数や、介護ソフトが対応する介護サービスの種類や数によっても価格は変わります。
どの業務を介護ソフトで対応するのかを検討したうえで、介護ソフトの内容と価格を決めていくことになります。
介護ソフトの価格の相場
上記のような導入環境の違いによって、価格はさまざまです。また、契約年数によっても価格は変動します。
最低限の機能であれば無料のソフトなどでも対応できますが、より効率的で安全な運用を希望する場合は、価格と業務のバランスを考えながら数年後までのトータルの運用コストを算出し、検討することが望ましいでしょう。
また、介護ソフトの導入には、各都道府県が実施する「介護テクノロジー導入支援事業」などの補助金を活用できる場合があります。事業名称や補助内容、募集時期は都道府県によって異なるため、事業所のある都道府県の最新情報を確認してみましょう。
以上を踏まえ、導入形式ごとの料金の特徴を確認していきましょう。
パッケージ型
- 導入時に、契約期間分の利用料を含んだ額を一括で支払う場合が多い
- 小規模な事業所では数十万円程度からが多い
- 大規模な事業所では数百万円から
- 大規模な事業所で独自にカスタマイズを行う場合、数千万円を超えることもある
- ソフトのアップデートなどの際に費用がかかる場合がある
ASP型/クラウド型
- 初期費用は無料の場合が多く、月額費用は数千円~数万円程度
- 制度改正によるソフトの更新料は無料の場合が多い
介護ソフトの選び方
これまでご説明したとおり、事業内容、規模、使用用途によって選び方はさまざまです。
ここでは、事業所の規模に絞って選び方の例をご紹介します。
大規模事業所
- 1つのソフトで複数の業務に対応できるようカスタマイズできるパッケージ型にメリットが多い。
- パッケージ型を提供する会社には長年の実績を持つ会社も多く、安定したサービスが期待できる。
- 事業所や職員の数が多いと、介護ソフトを使用する職員も多くなるため、事業所内でのセキュリティ対策を怠ると情報漏えいにつながるおそれがある。
- パッケージ型は、事業所と本部の連携機能がやや弱い傾向にある。
(例)
特別養護老人ホーム、居宅介護支援事業所、訪問介護、通所介護、有料老人ホームなど多くの事業所を持つ法人。情報を一括管理し、業務を合理化したい。
→ パッケージ型の導入には多額の費用がかかったが、事業所ごとに重複していた職員と利用者の管理を一元化でき、事務負担が軽減。費用対効果は十分に得られた。
小規模事業所
- 導入時の初期費用を抑えられるASP型/クラウド型にメリットが多い。
- パッケージ型の場合、ソフトを導入した少数のパソコンが故障すると、業務全体がストップしてしまうおそれがある。
(例)
2つのサービスを併設している事業所。さまざまな介護ソフトを試したいが、コストはかけたくない。
→ 2つのサービスに対応したASP型の介護ソフトを導入し、利用者情報や利用状況の管理、国保連への請求などに活用している。
このような特徴から、大規模事業所では安定したパッケージ型、小規模事業所では導入費用の少ないASP型/クラウド型が選ばれる傾向がありました。
しかし最近では、カスタマイズはできないものの、多くのサービスに対応し、複数事業所の一括管理機能を備えたASP型/クラウド型のソフトが増えており、大規模な法人でもASP型/クラウド型を採用するケースが増えています。
また、価格で比較する場合は、次のような点を比較することも重要です。
- 導入するパソコンの台数によって価格が変わるか、追加料金が発生するか。
→ パッケージ型は、パソコンの台数が増えると追加料金がかかる場合が多いです。 - 導入初期は操作に戸惑うことが多いため、操作の相談などの保守サービスが整っているか。
→ 介護ソフト導入の目的は、あくまで事務の負担とコストを抑えることです。 - サービスの拡大を視野に入れている場合、そのサービスにも対応しているか。
→ 対応していない場合、他社のソフトを別途導入する必要が出てしまいます。 - 導入実績は十分か。
→ 導入実績が多い介護ソフトは、一定水準以上の顧客満足度を備えている証拠であり、なによりソフト会社の事業撤退リスクが低いといえます。
まとめ
いくつかの視点から、介護ソフトの価格について説明しました。
介護サービスはサービスの種類ごとに異なる点も多く、ソフトの導入には大変頭を悩ませますが、導入後は業務効率が格段に上がり、ほかの業務にも良い影響が出ます。
現在の業務の中で支障がある部分や時間を取られている部分をソフトで解消する「効率化のための導入」と、業務改善を進めて新しいサービスに力を入れる「積極化のための導入」を同時に考えることも、ソフト選びに役立つかもしれません。
必要以上の機能は必要ありません。最も解決したい点を重視し、自事業所の現状に合った介護ソフトを選ぶことが、長く使い続けるためには大切です。
新しく介護ソフトの導入をお考えの方はもちろん、すでに導入している方も、一度介護ソフトの価格や特徴を見直してみるとよいでしょう。
株式会社エス・エム・エス
カイポケメディア編集部
カイポケメディア編集部には、看護師や社会福祉士をはじめ、介護事業所の運営経験者、介護ソフトの導入サポート経験者など、幅広い知見を持つメンバーが在籍しています。
制度と現場の実務に精通した視点から、介護事業所の開業、日々の業務効率化、経営改善に役立つ情報を発信しています。
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