基本チェックリストとは?書き方と様式の無料ダウンロード



介護予防・日常生活支援総合事業では、地域で支え合う体制づくりや要支援者等に対する適切な支援等を目的として、市町村を中心として住民・NPO法人・民間企業等の多様な主体が参画し、多様なサービスを実施しています。
介護予防・日常生活支援総合事業は、『要支援の方』と『基本チェックリストにおいて一定の基準に該当した方』を対象としています。そのため、基本チェックリストは、介護予防・日常生活支援総合事業の利用を希望する方や要支援認定を更新する方に対して、現在の生活機能や運動機能等の状況を確認するために使用されています。
この記事では、基本チェックリストについて詳しく説明していますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

1.基本チェックリストとは?

基本チェックリストとは、高齢者の加齢や生活の状況による心身の衰え等のリスクを早期に発見して、介護予防や健康づくりに活かすための様式です。
チェックリストの25個の質問に応えることで、『生活機能』、『運動機能』、『栄養状態』、『口腔機能』、『閉じこもり』、『認知症』、『うつ』についてのリスクがわかるように作成されています。
基本チェックリストのリスクに該当した場合、『基本チェックリスト事業該当者』として、介護予防ケアマネジメントを経て、介護予防・日常生活支援総合事業の利用に繋がります。

基本チェックリストの対象者とは?

市町村の窓口で、65歳以上の高齢者から生活支援や介護予防、介護についての相談を受けると、担当者が基本チェックリストの説明や要介護認定の申請の説明などを行います。
明らかに、介護サービスが必要なケースでは、基本チェックリストの説明は省略され、要介護認定の申請についての説明が行われることになっています。
そのため、基本チェックリストは、65歳以上の高齢者であり、明らかに介護サービスが必要だと判断される方ではない、以下のような方が対象者となっています。

基本チェックリストを実施するのは?

基本チェックリストの記入は、やむをえない事情がある場合を除き、高齢者本人が行うことになります。そして、基本チェックリストの記載内容の確認は、主に地域包括支援センターの職員が、実施者からの聞き取りなどにより実施します。また、地域包括支援センターから業務を委託されている居宅介護支援事業所の職員が実施することもあります。

基本チェックリストの実施にあたっての注意点

基本チェックリストの確認の実施にあたって注意しておきたい点は、『質問の内容が理解され、的確に回答されているか』と『普段の状態について記載されているか』という点です。
回答が、『はい・いいえ』の2択になっているため、質問の内容を間違って理解されていると、反対の回答に丸がついていることがあります。
また、高齢者の心身の状況は、日々変化するため、『普段』ではなく、『記入した日』の状態について回答していることもあります。

2.基本チェックリストの7分類の内容と書き方

基本チェックリストはチェックする項目をリスクに応じて7つに分類し、合計25項目の質問が設定されています。ここではその内容と書き方を説明しています。

生活機能全般

生活機能全般に関する質問は、No.1〜5となっています。
ただし、生活機能全般にリスクがあるかどうかは、「生活機能全般」、「運動器の機能」、「栄養状態」、「口腔機能」、「閉じこもりの傾向」、「認知機能」のNo.1~20までのうち、『選択肢1に該当する項目が10個以上(10点以上)であること』を判定基準としています。

No. 質問項目 書き方のポイント
1 バスや電車で1人で外出していますか
  • バスや電車のないところでは、それに準じた公共交通機関(タクシーも含む)に置き換えます。
  • 自分で自動車を運転して外出している場合も含まれます。
2 日用品の買い物をしていますか
  • 電話等での注文のみの場合は、「いいえ」となります。
3 預貯金の出し入れをしていますか
  • 銀行等の窓口での手続きも含め、本人の判断により金銭管理を行っている場合は「はい」、家族等に依頼して、預貯金の出し入れをしている場合は「いいえ」となります。
4 友人の家を訪ねていますか
  • 電話による交流や家族・親戚宅への訪問は含みません。
5 家族や友人の相談にのっていますか
  • 面談せずに電話のみで相談にのっている場合も「はい」となります。

運動器の機能

運動器の機能に関する質問は、No.6〜10となっています。
運動器の機能に関する質問は、主に筋力や持久力をチェックする項目が設定され、リスクがあるかどうかは、No.6~10までのうち、『選択肢1に該当する項目が3個以上(3点以上)であること』を判定基準としています。

No. 質問項目 書き方のポイント
6 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
  • 時々、手すり等を使用する程度の場合は「はい」となります。
  • 手すり等を使わずに昇る能力があっても、習慣的に手すり等を使っている場合は「いいえ」となります。
7 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がってますか
  • 時々、掴まっている程度であれば「はい」となります。
  • 掴まらずに立ち上がる能力があっても、習慣的に手すり等に摑まる場合は「いいえ」となります。
8 15分間位続けて歩いていますか
  • 屋内、屋外の場所は問いません。
  • 杖の使用の有無は問いません。
9 この1年間に転んだことがありますか
  • 頻度は問わず、転倒した事実の有無を確認しています。
10 転倒に対する不安は大きいですか
  • 不安が大きいと感じる場合「はい」となります。

栄養状態

栄養状態に関する質問は、No.11〜12となっています。
栄養状態に関するリスクがあるかどうかは、No.11~12の『両方が選択肢1に該当する(2点である)こと』を判定基準としています。

No. 質問項目 書き方のポイント
11 6ヵ月間で2~3kg以上の体重減少はありましたか
  • 6ヵ月以上かかって減少している場合は「いいえ」となります。
12 BMI(体格指数)が18.5未満ですか
  • 体重は1ヵ月以内の値を、身長は過去の測定値を記載して差し支えありません。

※BMIは、体重(kg)身長(m)身長(m)で計算します。

口腔機能

口腔機能に関する質問は、No.13〜15となっています。
口腔機能に関するリスクがあるかどうかは、No.13~15までのうち、『選択肢1に該当する項目が2個以上(2点以上)であること』を判定基準としています。

No. 質問項目 書き方のポイント
13 半年前に比べて堅いものが食べにくくなりましたか
  • 半年以上前から固いものが食べにくく、その状態に変化が生じていない場合は「いいえ」となります。
14 お茶や汁物等でむせることがありますか
  • 本人の主観に基づき、むせることがあるかを確認します。
15 口の渇きが気になりますか
  • 本人の主観に基づき、口の中の渇きが気になるかを確認します。

閉じこもりの傾向

閉じこもりの傾向に関する質問は、No.16〜17となっています。
閉じこもりの傾向に関するリスクがあるかどうかは、『No.16の項目で「いいえ」に該当すること』を判定基準としています。

No. 質問項目 書き方のポイント
16 週に1回以上は外出していますか
  • 週により外出頻度が異なる場合は、過去1ヵ月の外出回数を平均して週1回以上の場合は「はい」となります。
17 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
  • 本人の主観に基づき、今年の外出回数が減少傾向にある場合は「はい」となります。

認知機能

認知機能に関する質問は、項目No.18〜20となっています。
認知機能に関するリスクがあるかどうかは、No.18~20までのうち、『選択肢1に該当する項目が1個以上(1点以上)であること』を判定基準としています。

No. 質問項目 書き方のポイント
18 周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか
  • 本人がもの忘れがあると思っていても、周りの人からの指摘がなければ「いいえ」となります。
19 自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
  • 誰かに電話番号を調べてもらったり、聞いたりしている場合は「いいえ」となります。
  • 誰かにダイヤルしてもらって会話するだけの場合は「いいえ」となります。
20 今日が何月何日かわからない時がありますか
  • 月と日の一方しかわからない場合があるときは「はい」となります。

こころの健康状態

こころの健康状態に関する質問は、No.21〜25となっています。
こころの健康状態、うつ病などのリスクがあるかどうかは、No.21~25までのうち、『選択肢1に該当する項目が2個以上(2点以上)であること』を判定基準としています。

No. 質問項目 書き方のポイント
21 (ここ2週間)毎日の生活に充実感がない
  • 「憂鬱だ」、「悲しい」、「何の希望もない」、「落ち込んでいる」という気持ちが続いている場合は「はい」となります。
22 (ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
  • 「何をしても面白くない。」、「友達と会って話すのが好きだったのに、会っても楽しくなく、かえってうっとおしい。」、「テレビでスポーツやドラマを見ても面白くない。」、「音楽が好きだったのに、好きな音楽を聴いても全く感動しない。」などの場合は「はい」となります。
23 (ここ2週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる
  • 着替えや入浴、食事といった日常的なことにさえやる気が起きず、時間がかかるようになった場合は「はい」となります。
24 (ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない
  • 「ひとつのことをくよくよ考え込んで、何回も他の人に確認してしまう。」、「悪いことが起こると自分のせいだと感じる。」などの場合は「はい」となります。
25 (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
  • 疲れを感じる明確な理由がある場合(体調不良、加齢のためなど)は「いいえ」となります。

3.まとめ

以上、基本チェックリストの内容や項目について説明してきました。
介護予防・日常生活支援総合事業や一般介護予防事業のサービスを実施している事業所の場合は、基本チェックリストを受けた事業対象者であるかを確認し、受けていない場合は受けてみることを勧めることもあるでしょう。
そのような時に備えて、基本チェックリストの内容などを把握しておくと役に立つのではないでしょうか。
ここでご紹介した内容が、皆様の業務のお役に立てば幸いです。

4.基本チェックリストの様式の無料ダウンロード

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