介護予防支援・介護予防ケアマネジメントのマニュアル一覧
SMS CO.,LTD
介護予防支援(地域包括支援センター)や居宅介護支援事業所を運営中の皆様は、「介護予防マニュアルや介護予防支援・介護予防ケアマネジメントマニュアルってどんな内容なの?」や「介護予防支援ではどのようなマニュアルが必要になるの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、厚生労働省の介護予防マニュアルや各自治体が用意している介護予防支援・介護予防ケアマネジメントマニュアルの内容、介護予防支援を運営するうえで必要なマニュアルについてご紹介していきます。
介護事業の運営に役立つ情報を
定期的にお届けします。
目次
厚生労働省の介護予防マニュアルとは
厚生労働省令和3年度老人保健健康増進等事業において作成された「
介護予防マニュアル【第4版】(野村総合研究所)」とは、自治体担当者や事業者の専門職がより効果的な介護予防に取り組めるよう、主に生活機能の低下が見られる方向けの短期集中予防サービス等を実施する際の参考となる情報が記載されています。
令和3年度には
- 平成26年介護保険法改正以降の改正の内容に即した見直し
- 運動器の機能向上・栄養改善・口腔機能向上等のプログラムにおける最新の知見による見直し
から10年ぶりにマニュアルの改訂が行われました。
(出典:厚生労働省令和3年度老人保健健康増進等事業 介護予防マニュアル【第4版】(野村総合研究所))
介護予防マニュアル【第4版】は以下の7つの分野で構成されています。
- 複合プログラム実施マニュアル
- 運動器の機能向上マニュアル
- 栄養改善マニュアル
- 口腔機能向上マニュアル
- 閉じこもり予防・支援マニュアル
- 認知機能低下予防・支援マニュアル
- うつ予防・支援マニュアル
ここからは、それぞれの分野についてご紹介していきます。
①複合プログラム実施マニュアル
複合プログラム実施マニュアルには、運動・栄養・口腔は密接な関係にあり、各プログラムを単独で行う場合と比較してより高い効果が期待できることから、運動器の機能向上・栄養改善・口腔機能向上を組み合わせたプログラムの進め方や留意点等が記載されています。
(出典:厚生労働省令和3年度老人保健健康増進等事業 介護予防マニュアル【第4版】(野村総合研究所))
②運動器の機能向上マニュアル
運動器の機能向上マニュアルには、高齢者の運動機能を向上させることは、要介護や要支援状態の発生を抑制し、健康寿命の延伸につながることが期待されることから、短期集中予防サービスにおける中核的な役割を担う運動器の機能向上プログラムの進め方や事前準備等が記載されています。
(出典:厚生労働省令和3年度老人保健健康増進等事業 介護予防マニュアル【第4版】(野村総合研究所))
③栄養改善マニュアル
栄養改善マニュアルには、適切な栄養改善サービスを行うことで、体重の増加や身体機能(骨格筋量、筋力、歩行能力、ADL)の改善、QOLの向上などを目指すためのプログラムの進め方や内容の例等が記載されています。
(出典:厚生労働省令和3年度老人保健健康増進等事業 介護予防マニュアル【第4版】(野村総合研究所))
④口腔機能向上マニュアル
口腔機能向上マニュアルには、口腔機能の低下している高齢者の口腔内環境の向上や摂食・嚥下機能等の口腔機能の改善を行うためのプログラムの進め方やプログラムメニューの例等が記載されています。
(出典:厚生労働省令和3年度老人保健健康増進等事業 介護予防マニュアル【第4版】(野村総合研究所))
⑤閉じこもり予防・支援マニュアル
閉じこもり予防・支援マニュアルには、閉じこもり状態にない高齢者を閉じこもりや閉じこもり予備群にしないという予防対策や、より活動的な生活になるように支援するためのプログラムの進め方や支援の内容等が記載されています。
(出典:厚生労働省令和3年度老人保健健康増進等事業 介護予防マニュアル【第4版】(野村総合研究所))
⑥認知機能低下予防・支援マニュアル
認知機能低下予防・支援マニュアルには、認知機能低下のハイリスク高齢者だけではなく、健常高齢者も含めて地域全体での認知症予防の街づくりを支援するためのプログラムの進め方や留意点等が記載されています。
(出典:厚生労働省令和3年度老人保健健康増進等事業 介護予防マニュアル【第4版】(野村総合研究所))
⑦うつ予防・支援マニュアル
うつ予防・支援マニュアルには、高齢者のうつの予防や早期発見・早期治療を可能にし、うつ状態またはうつ傾向の人を長く支えることができる地域の環境をつくることで住民の心の健康の向上を図るためのプログラムの進め方やアセスメントの方法等が記載されています。
(出典:厚生労働省令和3年度老人保健健康増進等事業 介護予防マニュアル【第4版】(野村総合研究所))
介護予防支援・介護予防ケアマネジメントマニュアルとは
介護予防支援・介護予防ケアマネジメントマニュアルとは、介護予防支援や介護予防ケアマネジメントの業務の全体像や仕事の進め方などが具体的に示された手順書で、以下のように各自治体によって作成されています。
【介護予防支援・介護予防ケアマネジメントマニュアルの例】
- 兵庫県神戸市「 介護予防ケアマネジメントマニュアルvol.6」
- 大分県大分市「 介護予防支援業務マニュアル」
- 愛知県名古屋市「 介護予防支援・介護予防ケアマネジメントマニュアル」
- 大阪府堺市「 介護予防支援・介護予防ケアマネジメント業務マニュアル」
例えば、大阪府堺市の「介護予防支援・介護予防ケアマネジメント業務マニュアル」は以下の7つの章で構成されており、介護予防サービス等の全体的な流れから、各段階で行う具体的な業務や注意点、使用する帳票まで記載されています。
【介護予防支援・介護予防ケアマネジメント業務マニュアルの内容】
- 介護予防サービス等の流れ
- 介護予防サービス・支援計画の作成
- 介護予防サービス・支援計画の評価
- 介護予防サービス・支援計画の変更
- 暫定ケアプラン
- 軽度者福祉用具貸与
- 給付管理
介護予防支援・介護予防ケアマネジメントの流れと注意点
ここからは、介護予防支援・介護予防ケアマネジメントを提供する際の流れを、大分県大分市の「
介護予防支援業務マニュアル」を参考にご紹介していきます。
【介護予防支援業務の流れ】
- インテークにおける説明等
- アセスメント(課題分析)の実施
- ケアプラン原案の作成
- サービス担当者会議
- ケアプランの説明と同意
- ケアプランの交付
- 個別サービス計画の提出依頼
- 個別サービス計画作成の指導及び報告の聴取
- モニタリング
- 評価の実施
(出典:大分県大分市「介護予防支援業務マニュアル」)
介護予防支援業務のうち、注意点が示されているものもありますので、それぞれ見ていきましょう。
介護予防支援のケアプラン作成時の注意点
ケアプランを作成する際の注意点は以下の項目が挙げられています。
- ケアプランには保険給付を受けるサービス全てを記載する。
- 家族、地域住民による自主的な取組等による支援など、給付の対象以外のサービスもケアプランに記載する。
- 利用者様の能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮する。
- 利用者様からケアプランの作成にあたって複数の介護予防サービス事業所等の紹介の求めがあった場合には誠実に対応する。
- ケアプラン原案を利用者様に提示する際には、利用者様が居住する地域のサービス事業者、サービスの内容、利用料等の情報を適正に利用者様またはご家族に対して提供する。
介護予防支援のサービス担当者会議の注意点
サービス担当者会議は、開催時期によってその目的や開催の要否が異なることが示されています。
開催時期 | 開催目的 | 開催の要否 |
---|---|---|
新規にケアプランを作成した時 | 利用者の情報を各サービス担当者等で共有する。 ケアプラン原案の内容について専門的な見地から意見を求める。 |
開催が必須 |
要介護・要支援更新 認定時、要介護等状態区分の変更の認定時 | ケアプランの変更の必要性について専門的な見地から意見を求める。 | |
ケアプラン変更時 (ケアプラン期間 終了時も含む) | 利用者の情報を各サービス担当者等で共有する。 次期のケアプラン原案の内容について専門的な見地から意見を求める。 |
原則、開催が必須 ※利用者に大きな変化が見られない場合は、利用している全ての事業者に照会をかけ、状況の報告を受けるとともに専門的な見地から意見を求め、その内容を記録に残すことでサービス担当者会議の開催に代えることができる。 ただし、この場合であってもサービス担当者会議が長期間開催され ないことがないように、少なくとも1年に1回は開催すること。(介護予防支援のみ) |
(大分県大分市「 介護予防支援業務マニュアル」より作成)
介護予防支援で準備しなくてはならないマニュアル一覧
介護予防支援事業所が作成するマニュアルには、緊急時対応マニュアルなどの運営指導で確認されるものと、請求業務マニュアルなどの作成義務はないが業務を効率化するために作成するものに分けられます。
介護予防支援で準備しなくてはならないマニュアル一覧 | |
---|---|
作成が必要なマニュアル |
|
作成しておいた方が良いマニュアル |
|
介護予防支援で必須のマニュアル
介護予防支援で作成が必要なマニュアルは、運営基準で作成が義務付けられているほか、各指定権者が提供している自己点検シートで示されています。これらのマニュアルの作成状況は運営指導(実地指導)でチェックされ、作成できていないと指摘を受けることになりますので、適切に整備することが大切です。
【運営指導でチェックされるマニュアル・指針の一覧】
- ハラスメント防止マニュアル
- 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
- 苦情対応マニュアル
- 事故対応マニュアル
- 虐待の発生・再発防止のための指針
ここからは、それぞれのマニュアルに記載する項目などについて見ていきます。
①ハラスメント防止マニュアル
ハラスメント防止マニュアルには、職場におけるセクシャルハラスメントやパワーハラスメントを防止するために、ハラスメント対策への基本方針や具体的な取り組みなどについて記載します。
介護予防支援では、ハラスメントの防止について運営基準に以下のように定められています(「勤務体制の確保等」より一部抜粋)。
(勤務体制の確保)
第十八条
4 指定介護予防支援事業者は、適切な指定介護予防支援の提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより担当職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。
(引用:指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準)
厚生労働省老人保健健康増進等事業「
介護現場におけるハラスメント対策マニュアル (株式会社三菱総合研究所)」によると、
ハラスメント防止マニュアルに記載する項目は以下のようになります。
【ハラスメント防止マニュアルに記載する項目】
- ハラスメント防止マニュアルの目的
- ハラスメント防止マニュアルにおける用語の定義と使い方
- ハラスメント対策の基本的な考え方
- 事業所としての日頃からの備え
- 従業員自身によるハラスメント対策への備え
- 契約時の予防
- ハラスメント事案発生時の従業員としての対応
- ハラスメント事案発生時の事業所としての対応
- ハラスメント事案発生後の被害従業員に対する対応
- ハラスメント事案発生後のハラスメント行為者に対する対応
- ハラスメント事案発生後の事業所内における組織的対応
- ハラスメントを受けた時の連絡・相談先
など
②感染症の予防及びまん延の防止のための指針
感染症の予防及びまん延の防止のための指針には、介護予防支援事業所において感染症が発生・まん延しないために、事業所が行う対策について記載します。
介護予防支援では、感染症の予防及びまん延の防止について、運営基準に以下のように定められています。
※2024年3月31日までは努力義務。2024年4月1日より適用。
(感染症の予防及びまん延の防止のための措置)
第二十条の二 指定介護予防支援事業者は、当該指定介護予防支援事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 当該指定介護予防支援事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。)をおおむね六月に一回以上開催するとともに、その結果について、担当職員に周知徹底を図ること。
二 当該指定介護予防支援事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための指針を整備すること。
三 当該指定介護予防支援事業所において、担当職員に対し、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施すること。
(引用:指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準)
厚生労働省の「
介護現場における感染対策の手引き」によると、感染症の予防及びまん延の防止のための指針に記載する項目は以下のようになります。「介護現場における感染対策の手引き」にはそれぞれの項目の記載内容の例も示されていますので、マニュアルを作成する際に参考にしましょう。
【感染症の予防及びまん延の防止のための指針に記載する項目】
- 感染症対策についての基本的な考え方
- 感染管理体制
- 日頃の対策(事業所内の衛生管理、手洗い等のケアにかかる感染対策)
- 感染発生時の対応(発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村等との連携、行政等への報告)
- 新型コロナウイルス感染者が発生した場合の対応
など
③苦情対応マニュアル
苦情対応マニュアルには、利用者様やご家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、事業所における苦情処理の体制や手順を記載します。
介護予防支援の運営基準には、苦情への対応について以下のように定められています。
(苦情処理)
第二十五条 指定介護予防支援事業者は、自ら提供した指定介護予防支援又は自らが介護予防サービス計画に位置付けた指定介護予防サービス等(第六項において「指定介護予防支援等」という。)に対する利用者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応しなければならない。
2 指定介護予防支援事業者は、前項の苦情を受け付けた場合は、当該苦情の内容等を記録しなければならない。
3 指定介護予防支援事業者は、自ら提供した指定介護予防支援に関し、法第二十三条の規定により市町村が行う文書その他の物件の提出若しくは提示の求め又は当該市町村の職員からの質問若しくは照会に応じ、及び利用者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力するとともに、市町村から指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
4 指定介護予防支援事業者は、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。
5 指定介護予防支援事業者は、自らが介護予防サービス計画に位置付けた法第五十三条第一項に規定する指定介護予防サービス又は法第五十四条の二第一項に規定する指定地域密着型介護予防サービスに対する苦情の国民健康保険団体連合会への申立てに関して、利用者に対し必要な援助を行わなければならない。
6 指定介護予防支援事業者は、指定介護予防支援等に対する利用者からの苦情に関して国民健康保険団体連合会が行う法第百七十六条第一項第三号の調査に協力するとともに、自ら提供した指定介護予防支援に関して国民健康保険団体連合会から同号の指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
7 指定介護予防支援事業者は、国民健康保険団体連合会からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を国民健康保険団体連合会に報告しなければならない。
(引用:指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準)
苦情対応マニュアルには、以下の項目を分かりやすく記載します。
【苦情対応マニュアルに記載する項目】
- 苦情対応マニュアルの目的
- 苦情対応の基本(話し方、話を理解してもらえない場合の対応方法など)
- 苦情対応の体制(相談窓口や担当者)
- 苦情対応の流れ(記録、市町村や国保連等への調査の協力、改善報告、家族や主治医への報告など)
- 苦情対応関係の帳票
など
④事故対応マニュアル
事故対応マニュアルには、事故が発生した場合に地域包括支援センター等の事業者や現場の職員が取る措置や対応、その手順等を記載します。
介護予防支援の運営基準には、「事故発生時の対応」について以下のように定められていますから、万が一、事故が発生した場合に適切な対応をとれるよう、マニュアルを整備しておく必要があります。
(事故発生時の対応)
第二十六条 指定介護予防支援事業者は、利用者に対する指定介護予防支援の提供により事故が発生した場合には速やかに市町村、利用者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。
2 指定介護予防支援事業者は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならない。
3 指定介護予防支援事業者は、利用者に対する指定介護予防支援の提供により賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行わなければならない。
(引用:指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準)
事故対応マニュアルには、以下の項目を記載します。
【事故対応マニュアルに記載する項目】
- 事故対応マニュアルの目的
- 事故対応の全体像と流れ
- 利用者様の身体の保護と安全確保の方法(事故状況の把握、傷害の程度を判断、救急車の手配、止血や人工呼吸等等の対応)
- 関係者への連絡(行政、医師、救急車等)
- ご家族への連絡
- 被害拡大防止のための対応
- 事故の記録の作成方法
など
⑤虐待の発生・再発防止のための指針
虐待の発生・再発防止のための指針には、虐待の未然防止や早期発見、虐待等への迅速かつ適切な対応をするために、事業所が行う対策について記載します。
介護予防支援の運営基準には、「虐待の防止」について以下のように定められています。
※2024年3月31日までは努力義務。2024年4月1日より適用。
(虐待の防止)
第二十六条の二 指定介護予防支援事業者は、虐待の発生又はその再発を防止するため、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 当該指定介護予防支援事業所における虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、担当職員に周知徹底を図ること。
二 当該指定介護予防支援事業所における虐待の防止のための指針を整備すること。
三 当該指定介護予防支援事業所において、担当職員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。
四 前三号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置くこと。
(引用:指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準)
介護予防支援の運営基準の解釈通知には、虐待の発生・再発防止のための指針として以下の項目を記載しなければならないことが定められています。
【虐待の発生・再発防止のための指針に記載する項目】
- 事業所における虐待の防止に関する基本的考え方
- 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
- 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
- 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
- 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
- 成年後見制度の利用支援に関する事項
- 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
- 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
- その他虐待の防止の推進のために必要な事項
介護予防支援・介護予防ケアマネジメントで作成した方が良いマニュアル
介護予防支援事業所では、運営基準で作成が義務付けられているマニュアル以外にも、業務マニュアルや新人研修マニュアルなどのマニュアルを作成すると良いでしょう。
これらのマニュアルを作成することで、
- 新しく職員が入ってきた時に教育コストを削減
- サービスの質を一定水準に保持
- 業務の属人化を防止
などといったメリットがあります。介護予防支援事業所で作成しておいた方が良いマニュアルには、以下のようなものが挙げられます。
【介護予防支援で作成しておいた方が良いマニュアル】
- 業務(ケアプラン作成、モニタリング、給付管理等)マニュアル
- 困難事例への対応マニュアル
- 新人研修マニュアル
- マナー・接遇マニュアル
- プライバシー保護の取組みに関するマニュアル
- 災害時の対応マニュアル
- 利用者様への事前説明の手順マニュアル
- 請求業務・介護ソフトのマニュアル
など
介護予防支援・介護予防ケアマネジメントのマニュアルを作成する方法・手順
ここでは、介護予防支援事業所で誰が見ても理解できるようなマニュアルを作成するための手順についてご紹介していきます。
マニュアル作成の方法①目的を明記する
マニュアルを作成する際は、マニュアルの目的を明確にすることが大切です。
マニュアルは、いつ、誰が、どのような目的で使用するためのマニュアルなのかを具体的に考え、マニュアルの冒頭に記載しましょう。
マニュアル作成の方法②業務の全体像・流れを説明する
次に、マニュアルで説明したい業務の全体像・流れを説明します。
マニュアルは、いきなり細かい説明を行うよりも、業務の大まかな流れを先に説明した方が、業務の手順を理解しやすくなります。
その際に、文章だけで記載するのではなく、フローチャートなどを用いて説明するとより伝わりやすいマニュアルになるでしょう。
【フローチャートを利用したマニュアルの例】
(出典:徳島県・徳島県国民健康保険団体連合会「苦情・相談の対応マニュアル」)
マニュアル作成の方法③それぞれの段階における手順を細かく説明する
業務の流れを説明したら、それぞれの段階で行うことについて、手順を細かく説明します。
その際に、チェックリストや画像、表、よくある質問(F&Q)などを用いることで、マニュアルを見た人がマニュアルに沿った適切な行動をとりやすくなります。
介護予防支援・介護予防ケアマネジメントのマニュアルの管理方法
せっかく労力をかけて作成したマニュアルが活用されないということにならないためにも、あらかじめマニュアルの管理体制を整えておくことが大切です。
具体的には、
- マニュアルを管理する担当者を決める
- マニュアルを保管する場所を決める
- 必要なマニュアルを探しやすい仕組みを整える(マニュアルの電子化、ファイリングの工夫)
- マニュアルをアップデートするタイミングを決める
- マニュアルをアップデートする担当者を決める
などの対応が考えられます。
まとめ
ここまで、厚生労働省の介護予防マニュアルや各自治体が用意している介護予防支援・介護予防ケアマネジメントマニュアルの内容、介護予防支援で介護予防支援で必要なマニュアルについてご紹介してきましたが、いかがでしたか。
ルールを遵守して介護予防支援・介護予防ケアマネジメントを行うために、厚生労働省の介護予防マニュアルや各自治体が用意している介護予防支援・介護予防ケアマネジメントマニュアルをよく理解して、事業を行っていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。