介護老人保健施設の2018年度介護報酬改定



介護老人保健施設の経営者、管理者の皆さまは、2018年度の介護報酬改定の情報は既に収集されていますか?介護報酬は3年に1度改定されることとなっており、2018年度は介護報酬改定の年でした。
この記事では、介護老人保健施設の改定内容についてご説明しますので、ぜひご一読ください。

在宅復帰・在宅療養支援機能に対する評価

介護老人保健施設とは、病気や障害などが原因で、日常生活に介護が必要となり、自宅での生活が困難になってしまった方に対して、在宅での自立した生活への復帰を目標に、日常の介護や健康管理、リハビリテーションを行う施設です。

基本報酬について

在宅復帰・在宅療養の機能を推進するため、2018年度の改定では、用いる指標を更新し、基本報酬の分類を従前の2分類から3分類に変更し、在宅復帰・在宅療養を実施している介護老人保健施設は評価が上がり、実施していない介護老人保健施設は評価が下がりました。


【基本報酬:多床室(単位/日)】

改定前 改定後
在宅強化型 従来型 在宅強化型 基本型 その他
要介護1 812 768 818 771 756
要介護2 886 816 892 819 803
要介護3 948 877 954 880 862
要介護4 1,004 928 1,010 931 912
要介護5 1,059 981 1,065 984 964

【基本報酬:従来型個室(単位/日)】

改定前 改定後
在宅強化型 従来型 在宅強化型 基本型 その他
要介護1 733 695 739 698 684
要介護2 804 740 810 743 728
要介護3 866 801 872 804 788
要介護4 922 853 928 856 839
要介護5 977 904 983 907 889

【基本報酬:ユニット型個室(単位/日)】

改定前 改定後
在宅強化型 従来型 在宅強化型 基本型 その他
要介護1 816 774 822 777 761
要介護2 890 819 896 822 806
要介護3 952 881 958 884 866
要介護4 1,008 934 1,014 937 918
要介護5 1,063 985 1,069 988 968

【基本報酬:ユニット型個室的多床室(単位/日)】

改定前 改定後
在宅強化型 従来型 在宅強化型 基本型 その他
要介護1 816 774 822 777 761
要介護2 890 819 896 822 806
要介護3 952 881 958 884 866
要介護4 1,008 934 1,014 937 918
要介護5 1,063 985 1,069 988 968

基本報酬への包括について

介護老人保健施設では、退所時に行う指導等により退所前訪問指導加算、退所後訪問指導加算、退所時指導加算が算定できましたが、退所時に必要な取り組みとして加算が廃止され、基本報酬に包括されることとなりました。


改定前 改定後
退所前訪問指導加算 460単位/日 なし
退所後訪問指導加算 460単位/日 なし
退所時指導加算 400単位/日 なし

在宅復帰・在宅療養支援機能加算について

また、在宅復帰・在宅療養支援機能加算の取り組みを評価する在宅復帰・在宅療養支援機能加算の算定要件が、指標を用いた要件に変更となり、算定する単位数にも変更がありました。


改定前 改定後
在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅰ) 27単位/日 34単位/日
在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅱ) 27単位/日 46単位/日

在宅復帰・在宅療養支援等指標

基本報酬の分類、各種加算の算定に使用する指標は以下のように計算します。

1)在宅復帰率 = ① (② - ③) 100
①前6月間の居宅への退所者の延数
②前6月間の退所者の延数
③前6月間の死亡した者の総数

2)ベッド回転率 = 30.4 ① (② + ③) 2
①前3月間の延入所者数
②前3月間の新規入所者の延数
③前3月間の新規退所者数

3)入所前後訪問指導割合 = ① ② 100
①前3月間の入所者のうち、入所前後訪問時指導を行った者の延数
②前3月間の新規入所者の延数

4)退所前後訪問指導割合 = ① ② 100
①前3月間における新規退所者のうち、退所前後訪問指導を行った者の延数
②前3月間における居宅への新規退所者の延数

5)居宅サービスの実施数 
前3月間に提供実績がある居宅サービスの数

6)リハ専門職の配置割合 = ① ② ③ ④ 100
①前3月間における理学療法士等の介護保健施設サービスの提供に従事する勤務延時間数
②前3月間に理学療法士等が勤務すべき時間
③前3月間における延入所者数
④前3月間の延日数

7)支援相談員の配置割合 = ① ② ③ ④ 100
①前3月間の支援相談員が介護保健施設サービスの提供に従事する勤務延時間数
②前3月間に支援相談員が勤務すべき時間
③前3月間における延入所者数
④前3月間の延日数

8)要介護4又は5の割合 = ① ② 100
①前3月間の要介護4又は要介護5に該当する入所者の延日数
②前3月間の入所者延日数

9)喀痰吸引の実施割合 = ① ② 100
①前3月間の入所者ごとの喀痰吸引を実施した延入所者数
②前3月間の延入所者数

10)経管栄養の実施割合 = ① ② 100
①前3月間の入所者ごとの経管栄養を実施した延入所者数
②前3月間の延入所者数

 介護療養型老人保健施設の基本報酬等

基本報酬について

介護療養型老人保健施設の基本報酬は、従前まで療養型・療養強化型の2分類でしたが、改定後は療養強化型の1種類となりました。

【療養型基本報酬(看護職員を配置):多床室(単位/日)】

改定前 改定後
療養強化型 療養型 療養型
要介護1 800 800 800
要介護2 882 882 882
要介護3 1,063 996 996
要介護4 1,138 1,071 1,071
要介護5 1,213 1,145 1,145

 【療養型基本報酬(看護職員を配置):従来型個室(単位/日)】

改定前 改定後
療養強化型 療養型 療養型
要介護1 723 723 723
要介護2 804 804 804
要介護3 986 917 917
要介護4 1,060 993 993
要介護5 1,135 1,067 1,067

 【療養型基本報酬(看護職員を配置):ユニット型個室(単位/日)】

改定前 改定後
療養強化型 療養型 療養型
要介護1 885 885 885
要介護2 966 966 966
要介護3 1,148 1,079 1,079
要介護4 1,222 1,155 1,155
要介護5 1,297 1,229 1,229

 【療養型基本報酬(看護職員を配置):ユニット型個室的多床室(単位/日)】

改定前 改定後
療養強化型 療養型 療養型
要介護1 885 885 885
要介護2 966 966 966
要介護3 1,148 1,079 1,079
要介護4 1,222 1,155 1,155
要介護5 1,297 1,229 1,229

療養体制維持特別加算について

療養体制維持特別加算とは、介護療養型医療施設等から介護老人保健施設に転換した施設おいて、転換前の療養体制を維持しつつ、質の高いケアを提供する施設を評価する加算です。
改定において、療養が必要な入所者、専門医療が必要な認知症高齢者に対しての取り組みを評価する療養体制維持特別加算(Ⅱ)が創設されました。

加算名 改定前 改定後
療養体制維持特別加算(Ⅰ) 27単位/日 27単位/日
療養体制維持特別加算(Ⅱ) なし 57単位/日

 かかりつけ医との連携

多剤投薬の処方方針を入所者のかかりつけ医と介護老人保健施設の医師が連携し、できるだけ服用する薬剤を減らす取り組みを行うことを評価するかかりつけ医連携薬剤調整加算が設けられました。

加算名 改定前 改定後
かかりつけ医連携薬剤調整加算 なし 125単位/日

 入所者への医療の提供

所定疾患施設療養費とは、肺炎等により治療が必要な入所者に、治療管理として投薬、検査、注射等の診断プロセスを評価する項目です。改定により、従前の所定疾患施設療養費は単位数が変更となり、更なる取り組みを評価する所定疾患施設療養費(Ⅱ)が創設されました。

加算名 改定前 改定後
所定疾患施設療養費(Ⅰ) 305単位/日 235単位/日
所定疾患施設療養費(Ⅱ) なし 475単位/日

 排泄に介護を要する入所者への支援に対する評価の創設

排泄に介護を必要とする入所者に適切な排泄ケアを提供することにより、要介護状態の軽減が見込まれると医師等が判断した方に対して、様々な職種が連携し、原因分析、支援計画の作成、支援の実施を評価する加算が創設されました。

加算名 改定前 改定後
排せつ支援加算 なし 100単位/月

 褥瘡の発生予防のための管理に対する評価

褥瘡とは「床ずれ」とも呼ばれ、寝たきりなどによる圧迫で血行が悪くなり、皮膚が赤くなったり、ただれたりすることです。
入所者の褥瘡の発生を予防するため、褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、入所時及び定期的な評価を実施し、その結果に基づく褥瘡ケア計画の作成、褥瘡ケアの実施を評価する褥瘡マネジメント加算が創設されました。

加算名 改定前 改定後
褥瘡マネジメント加算 なし 10単位/月

 外泊時に在宅サービスを利用した時の費用

改定前は、外泊を行った場合に算定できる入所者が外泊したときの費用が設定されていました。改定により、介護老人保健施設の在宅復帰機能を強化するため、退所が見込まれる方が試行的に退所させ、外泊している期間に在宅サービスを必要とする方へ、介護老人保健施設が在宅サービスを提供することを評価する項目が創設されました。

加算名 改定前 改定後
入所者が外泊したときの費用
(在宅サービスを利用する場合)
なし 800単位/日

 口腔衛生管理の充実

従来の口腔衛管理加算は、算定要件を満たすことが難しく、加算の算定率が低いことが調査でわかりました。口腔ケアは、栄養改善、誤嚥性肺炎の予防等につながるとして、充足の必要性があり、算定要件と単位数に変更がありました。
具体的に、変更となった算定要件及び単位数は以下のようになっています。

  • 算定要件(改定前)
    口腔ケアを月4回以上実施すること
  • 算定要件(改定後)
    歯科衛生士が口腔ケアを月2回以上実施すること
    歯科衛生士が口腔ケアについて、介護職員に対し、技術的助言、指導を行うこと
    歯科衛生士が口腔に関する介護職員からの相談等に対応すること
加算名 改定前 改定後
口腔衛生管理加算 110単位/日 90単位/日

 栄養マネジメント加算の要件緩和

栄養マネジメント加算の算定要件が緩和されました。改定前は「常勤の管理栄養士を1名以上配置すること」とされていましたが、改定後は「常勤の管理栄養士を1名以上配置すること。ただし、同一敷地内に介護老人福祉施設等を併設している場合、双方の施設で適切な栄養ケアマネジメントが実施される時は、双方の施設で加算を算定できる」とされています。なお、算定単位数に変更はありません。

 栄養改善の取組の推進

低栄養リスクの高い入所者に対して、多職種が共同して入所者の栄養管理をするための会議を開催した上で作成された栄養ケア計画に基づき、医師等の指示を受けた栄養士等が行う低栄養リスクの改善に対する取り組みを評価する低栄養リスク改善加算が創設されました。

加算名 改定前 改定後
低栄養リスク改善加算 なし 300単位/月

 入院先医療機関との間の栄養管理に関する連

1度入所した方が退所し、病院などの医療機関に入院、退院し、その後再度介護老人保健施設に入所する方が対象となります。1度目の入所期間の栄養管理と違った栄養管理が必要となるため、施設の管理栄養士と医療機関の管理栄養士が連携し、介護老人保健施設へ再入所した時に、適切な栄養管理を行えるよう栄養ケア計画を作成することを評価する加算が創設されました。

加算名 改定前 改定後
再入所時栄養連携加算 なし 400単位/回

 身体的拘束等の適正化

介護老人保健施設の入所者に対して身体拘束など行動制限を行うことは、本人あるいは他の入所者の生命または身体を保護するために、緊急的かつやむを得ない場合を除いては禁止されています。また、やむを得ず身体拘束等を行った場合には、必ず、拘束に至った背景、理由の詳細などの記録を義務づけられています。
今回の改定では、その趣旨についての変更はありませんでしたが、身体拘束廃止未実施減算の対象となる取り組みが明示され、減算となる単位数に変更がありました。

[身体拘束廃止の具体的取り組み]

  • 身体拘束を行う場合の各種記録整備すること
  • 身体的拘束等適正化の為の対策を検討する委員会を3月に1回以上開催すること
  • 身体的拘束等適正化の為の指針を整備すること
  • 職員に対して身体的拘束等適正化の為の研修会を定期的に開催すること
減算名 改定前 改定後
身体拘束廃止未実施減算 5単位/日 所定単位数の10%/日

 介護療養型老人保健施設から介護医療院への転換の取扱い

医療の必要な要介護高齢者の長期療養・生活施設として、介護医療院という介護事業所種別が創設されました。現行の介護療養型老人保健施設から介護医療院に転換を推進する目的で、施設基準の緩和や移行定着支援加算が創設されています。

【施設基準の緩和】例

内容 基準 緩和
療養室の床面積 8.0㎡/人 以上 6.4㎡/人 以上
廊下幅(中廊下) 1.8(2.7)m以上 1.2(1.6)m以上
直通階段、エレベーター設置基準 屋内の直通階段及びエレベーターをそれぞれ1以上 屋内の直通階段を2以上
加算名 改定前 改定後
移行定着支援加算 なし 93単位/日

 療養食加算の見直し

療養食加算とは、介護老人保健施設において、医師の食事箋に基づき、管理栄養士が療養食を提供することを評価する加算として設けられています。改定により、算定の方法に変更があり、従来までの1日あたりの算定から、食事の提供回数での算定となりました。

加算名 改定前 改定後
療養食加算 18単位/日 6単位/回

 居室とケアの取扱い

もともと「ユニット型準個室」と呼ばれていた居室種別が、「ユニット型個室的多床室」という名称に変更されました。
ユニット型準個室と呼ばれていたものは、天井と壁に隙間がある、隣の会話が聞こえるなど、個室としての名称に問題があると考えられました。

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