【2024年(令和6年)度】居宅介護支援の介護報酬改定情報まとめ



この記事は、厚生労働省の以下の公表されている資料に基づき、居宅介護支援の2024年度介護報酬改定に関する情報をまとめています。

  • 「第239回社会保障審議会介護給付費分科会資料」

議論・審議が進み、最新の情報が公表される可能性がありますので、ご了承の上、お読みください。
(作成日:2024年(令和6年)2月15日)

関連記事:全体の2024年度介護報酬改定に関する情報は、 【2024年(令和6年)度】介護報酬改定情報まとめをご覧ください。

目次

2024年度介護報酬改定の施行日

居宅介護支援の介護報酬改定は、従来通り『2024年4月1日』に施行される予定となっています。
厚生労働省の実施した「第236回介護給付費分科会」において、介護報酬改定の施行日がサービス種別によって、2024年4月と2024年6月に別れることが示されました。
診療報酬改定の施行に合わせる形で、2024年6月に施行されるのは、「訪問看護」、「訪問リハビリテーション」、「通所リハビリテーション」、「居宅療養管理指導」の4つのサービス種別となり、それ以外のサービス種別は、2024年4月に施行されることになります。

介護報酬改定のポイント①基本報酬

区分 (改定前)単位数 (改定後)単位数
要介護1~2 要介護3~5 要介護1~2 要介護3~5
居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ) 1,076単位 1,398単位 1,086単位 1,411単位
居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ) 539単位 698単位 544単位 704単位
居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅲ) 323単位 418単位 326単位 422単位
居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅰ) 1,076単位 1,398単位 1,086単位 1,411単位
居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅱ) 522単位 677単位 527単位 683単位
居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅲ) 313単位 406単位 316単位 410単位

介護報酬改定のポイント②人員配置基準における両立支援への配慮

介護現場において、治療と仕事の両立が可能となる環境整備を進め、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、各サービスの人員配置基準や報酬算定について、以下の見直しを行う。

  • 「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法等による育児・介護等の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
  • 「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。

介護報酬改定のポイント③管理者の責務及び兼務範囲の明確化等

提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、管理者の責務について、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化した上で、管理者が兼務できる事業所の範囲について、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化する。

介護報酬改定のポイント④いわゆるローカルルールについて

都道府県及び市町村に対して、人員配置基準に係るいわゆるローカルルールについて、あくまでも厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容とする必要があること、事業者から説明を求められた場合には当該地域における当該ルールの必要性を説明できるようにすること等を求める。

介護報酬改定のポイント⑤書面掲示規制の見直し

運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項等(※)については、原則として事業所内での「書面掲示」を求めている一方、備え付けの書面(紙ファイル等)又は電磁的記録の供覧により、書面による壁面等への掲示を代替できる規定になっているところ、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、介護サービス事業者は、原則として重要事項等の情報をウェブサイト(法人のホームページ等又は情報公表システム上)に掲載・公表しなければならないこととする。
※事業所の運営規程の概要等の重要事項、居室及び食堂の広さ、届出事項、特別な食事の提供に係る情報(内容及び料金等)、移動用リフト使用時の留意事項等

介護報酬改定のポイント⑥特定事業所加算の見直し

居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件について以下の見直しを行う。

  • 多様化・複雑化する課題に対応するための取組を促進する観点から、「ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等、他制度に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること」を要件とするとともに、評価の充実を行う。
  • (主任)介護支援専門員の専任要件について、居宅介護支援事業者が介護予防支援の提供や地域包括支援センターの委託を受けて総合相談支援事業を行う場合は、これらの事業との兼務が可能である旨を明確化する。
  • 事業所における毎月の確認作業等の手間を軽減する観点から、運営基準減算に係る要件を削除する。
  • 介護支援専門員が取り扱う一人当たりの利用者数について、居宅介護支援費の見直しを踏まえた対応を行う。

特定事業所加算の単位数

区分 (改定前)単位数 (改定後)単位数
特定事業所加算(Ⅰ) 505単位/月 519単位/月
特定事業所加算(Ⅱ) 407単位/月 421単位/月
特定事業所加算(Ⅲ) 309単位/月 323単位/月
特定事業所加算(A) 100単位/月 114単位/月

介護報酬改定のポイント⑦介護予防支援を行う場合の取扱い

令和6年4月から居宅介護支援事業者も市町村からの指定を受けて介護予防支援を実施できるようになることから、以下の見直しを行う。

  • 市町村長に対し、介護予防サービス計画の実施状況等に関して情報提供することを運営基準上義務付けることに伴う手間やコストについて評価する新たな区分を設ける。
  • 以下のとおり運営基準の見直しを行う。
     ◦居宅介護支援事業所が現在の体制を維持したまま円滑に指定を受けられるよう、居宅介護支援事業者が指定を受ける場合の人員の配置については、介護支援専門員のみの配置で事業を実施することを可能とする。
     ◦また、管理者を主任介護支援専門員とするとともに、管理者が他の事業所の職務に従事する場合(指定居宅介護支援事業者である指定介護予防支援事業者の場合であって、その管理する指定介護予防支援事業所の管理に支障がないときに限る。)には兼務を可能とする。
  • 居宅介護支援と同様に、特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算及び中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算の対象とする。

介護予防支援の単位数

(改定前)単位数 (改定後)単位数
介護予防支援費 438単位/月 【包括センター】介護予防支援費(Ⅰ) 442単位/月
【居宅介護支援】介護予防支援費(Ⅱ) 472単位/月

介護報酬改定のポイント⑧他のサービス事業所との連携によるモニタリング

人材の有効活用及び指定居宅サービス事業者等との連携促進によるケアマネジメントの質の向上の観点から、以下の要件を設けた上で、テレビ電話装置その他の情報通信機器を活用したモニタリングを可能とする見直しを行う。

  • 利用者の同意を得ること。
  • サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること。
     ◦利用者の状態が安定していること。
     ◦利用者がテレビ電話装置等を介して意思疎通ができること(家族のサポートがある場合も含む)。
     ◦テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは収集できない情報について、他のサービス事業者との連携により情報を収集すること。
  • 少なくとも2月に1回(介護予防支援の場合は6月に1回)は利用者の居宅を訪問すること。

介護報酬改定のポイント⑨入院時情報連携加算の見直し

入院時情報連携加算について、入院時の迅速な情報連携をさらに促進する観点から、現行入院後3日以内又は入院後7日以内に病院等の職員に対して利用者の情報を提供した場合に評価しているところ、入院当日中又は入院後3日以内に情報提供した場合に評価するよう見直しを行う。その際、事業所の休業日等に配慮した要件設定を行う。

入院時情報連携加算の単位数

区分 (改定前)単位数 (改定後)単位数
入院時情報連携加算(Ⅰ) 200単位/月 250単位/月
入院時情報連携加算(Ⅱ) 100単位/月 200単位/月

入院時情報連携加算の算定要件

【入院時情報連携加算(Ⅰ)の算定要件】

利用者が病院又は診療所に入院した日のうちに(従前は入院してから3日以内に)、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。
※入院日以前の情報提供を含む。
※営業時間終了後又は営業日以外の日に入院した場合は、入院日の翌日を含む。

【入院時情報連携加算(Ⅱ)の算定要件】

利用者が病院又は診療所に入院した日の翌日又は翌々日に(従前は入院してから4日以上7日以内に)、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。
※営業時間終了後に入院した場合であって、入院日から起算して3日目が営業日でない場合は、その翌日を含む。

介護報酬改定のポイント⑩通院時情報連携加算の見直し

通院時情報連携加算について、利用者の口腔衛生の状況等を適切に把握し、医療と介護の連携を強化した上でケアマネジメントの質の向上を図る観点から、医師の診察を受ける際の介護支援専門員の同席に加え、利用者が歯科医師の診察を受ける際に介護支援専門員が同席した場合を同加算の対象とする見直しを行う。

介護報酬改定のポイント⑪ターミナルケアマネジメント加算等の見直し

ターミナルケアマネジメント加算について、自宅で最期を迎えたいと考えている利用者の意向を尊重する観点から、人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握することを要件とした上で、当該加算の対象となる疾患を末期の悪性腫瘍に限定しないこととし、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者を対象とする見直しを行う。併せて、特定事業所医療介護連携加算におけるターミナルケアマネジメント加算の算定回数の要件についても見直しを行う。

介護報酬改定のポイント⑫業務継続計画未策定減算の創設

業務継続計画未策定減算:▲(所定単位数×1/100)
感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築するため、業務継続に向けた計画の策定の徹底を求める観点から、感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬を減算する。
その際、一定の経過措置を設ける観点から、令和7年3月31日までの間、感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算を適用しないこととする。
なお、訪問系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援については、令和3年度介護報酬改定において感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備が義務付けられてから間もないこと及び非常災害に関する具体的計画の策定が求められていないことを踏まえ、令和7年3月31日までの間、これらの計画の策定を行っていない場合であっても、減算を適用しないこととする。

介護報酬改定のポイント⑬高齢者虐待防止措置未実施減算の創設

高齢者虐待防止措置未実施減算:▲(所定単位数×1/100)
利用者の人権の擁護、虐待の防止等をより推進する観点から、全ての介護サービス事業者(居宅療養管理指導及び特定福祉用具販売を除く。)について、虐待の発生又はその再発を防止するための措置(虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること)が講じられていない場合に、基本報酬を減算する。その際、福祉用具貸与については、そのサービス提供の態様が他サービスと異なること等を踏まえ、3年間の経過措置期間を設けることとする。
また、施設におけるストレス対策を含む高齢者虐待防止に向けた取組例を収集し、周知を図るほか、国の補助により都道府県が実施している事業において、ハラスメント等のストレス対策に関する研修を実施できることや、同事業による相談窓口について、高齢者本人とその家族だけでなく介護職員等も利用できることを明確化するなど、高齢者虐待防止に向けた施策の充実を図る。

介護報酬改定のポイント⑭身体的拘束等の適正化の推進

身体的拘束等の更なる適正化を図る観点から、以下の見直しを行う。

  • 短期入所系サービス及び多機能系サービスについて、身体的拘束等の適正化のための措置(委員会の開催等、指針の整備、研修の定期的な実施)を義務付ける。また、身体的拘束等の適正化のための措置が講じられていない場合は、基本報酬を減算する。その際、1年間の経過措置期間を設けることとする。
  • 訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与、特定福祉用具販売及び居宅介護支援について、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととし、身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録することを義務付ける。

介護報酬改定のポイント⑮ケアプラン作成に係る主治の医師等の明確化

退院後早期に介護保険のリハビリテーションを開始することを可能とする観点から、介護支援専門員が居宅サービス計画に通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションを位置付ける際に意見を求めることとされている「主治の医師等」に、入院中の医療機関の医師を含むことを明確化する。

介護報酬改定のポイント⑯テレワークの取扱い

人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種のテレワークに関して、個人情報を適切に管理していること、利用者の処遇に支障が生じないこと等を前提に、取扱いの明確化を行い、職種や業務ごとに具体的な考え方を示す。

介護報酬改定のポイント⑰公正中立性の確保のための取組の見直し

事業者の負担軽減を図るため、次に掲げる事項に関して利用者に説明し、理解を得ることを居宅介護支援事業者の努力義務とする。

  • 前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護及び福祉用具貸与の各サービスの割合
  • 前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護及び福祉用具貸与の各サービスにおける、同一事業者によって提供されたものの割合

介護報酬改定のポイント⑱介護支援専門員1人当たりの取扱件数(報酬)

居宅介護支援事業所を取り巻く環境の変化を踏まえ、ケアマネジメントの質を確保しつつ、業務効率化を進め人材を有効活用するため、居宅介護支援費について、以下の見直しを行う。

  • 居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)の取扱件数について、現行の「40未満」を「45未満」に改めるとともに、居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅱ)の取扱件数について、現行の「40以上60未満」を「45以上60未満」に改める。
  • 居宅介護支援費(Ⅱ)の要件について、ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合に改めるとともに、居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅰ)の取扱件数について、現行の「45未満」を「50未満」に改め、居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅱ)の取扱件数について、現行の「45以上60未満」から「50以上60未満」に改める。
  • 居宅介護支援費の算定に当たっての取扱件数の算出に当たり、指定介護予防支援の提供を受ける利用者数については、3分の1を乗じて件数に加えることとする。

介護報酬改定のポイント⑲介護支援専門員1人当たりの取扱件数(基準)

基本報酬における取扱件数との整合性を図る観点から、指定居宅介護支援事業所ごとに1以上の員数の常勤の介護支援専門員を置くことが必要となる人員基準について、以下の見直しを行う。

  • 原則、要介護者の数に要支援者の数に3分の1を乗じた数を加えた数が44又はその端数を増すごとに1とする。
  • 指定居宅介護支援事業者と指定居宅サービス事業者等との間において、居宅サービス計画に係るデータを電子的に送受信するための公益社団法人国民健康保険中央会のシステムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合においては、要介護者の数に要支援者の数に3分の1を乗じた数を加えた数が49又はその端数を増すごとに1とする。

介護報酬改定のポイント⑳同一建物減算の創設

同一建物減算:所定単位数×95/100を算定する(5%の減算)
介護報酬が業務に要する手間・コストを評価するものであることを踏まえ、利用者が居宅介護支援事業所と併設・隣接しているサービス付き高齢者向け住宅等に入居している場合や、複数の利用者が同一の建物に入居している場合には、介護支援専門員の業務の実態を踏まえた評価となるよう見直しを行う。

介護報酬改定のポイント㉑特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化

過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法において、「過疎地域」とみなして同法の規定を適用することとされている地域等が、特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の算定対象地域に含まれることを明確化する。

介護報酬改定のポイント㉒特別地域加算の対象地域の見直し

過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しを行う。

最後に

本記事は、2024年(令和6年)2月15日時点の最新資料を基に作成しています。
今後、厚生労働省より通知や資料などが公開されますので、詳細につきましては、最新情報をご確認いただきますようにお願い致します。

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