【令和3年】2021年度障害福祉サービス報酬改定情報まとめ



2021年度障害福祉サービス報酬改定の概要

2021年(令和3年)度の障害福祉サービス報酬改定では、改定率『+0.56%』のプラス改定となりました。
改定のポイントには、新型コロナウイルス感染症や大規模災害の発生がサービスの提供体制や事業所の経営状況に大きな影響を与えている状況も含めた内容となっています。
ここでは、障害福祉サービス報酬改定の6つの軸について、その概要をお伝えします。

  1. 障害者の重度化・高齢化を踏まえた地域移行・地域生活の支援、質の高い相談支援を提供するための報酬体系の見直し等
  2. 効果的な就労支援や障害児者のニーズを踏まえたきめ細かな対応
  3. 医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進
  4. 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進
  5. 感染症や災害への対応力の強化
  6. 障害福祉サービス等の持続可能性の確保と適切なサービス提供を行うための報酬等の見直し

改定のポイント① 障害者の重度化・高齢化を踏まえた地域移行・地域生活の支援、質の高い相談支援を提供するための報酬体系の見直し等

グループホームにおける重度化・高齢化に対応するための報酬の見直し

地域における生活の場であるグループホームについて、重度化・高齢化に対応するために以下の内容について報酬の見直しが行われました。

  • 強度行動障害を有する人の受入を促進するために、強度行動障害の範囲を拡充した重度障害者支援加算(Ⅱ):180単位/日の新設
  • 医療的ケアの提供に係る看護職員配置を評価する医療的ケア対応支援加算:120単位/日の新設
  • 強度行動障害を有する人の地域移行を促進するために、強度行動障害者体験利用加算:400単位/日の新設
  • 重度障害者の受入にインセンティブが働くように基本報酬の見直し
  • 入居者の状況に応じた手厚い支援体制の確保のために夜間支援等体制加算(Ⅳ)(Ⅴ)(Ⅵ)の区分の新設

自立生活援助の整備を促進するための報酬・人員基準等の見直し

障害者が地域で安心して一人暮らしを継続できるように自立生活援助の整備を促進するために、人員基準、支給決定の運用、報酬について以下の見直しが行われました。

  • サービス管理責任者と地域生活支援員が兼務可へ変更
  • 支給決定について、標準利用期間(1年)を超えて更にサービスが必要な場合、市町村審査会の個別審査を要件として複数回の更新が可に変更
  • 自立生活援助サービス費(Ⅰ)の対象者に、同居家族の死亡等により急遽一人暮らしをすることとなった者を加えた対象者の範囲の変更
  • 同行支援加算について同行支援の回数に応じた単位数の設定
  • 夜間の緊急対応・電話対応の評価として、緊急時支援加算(Ⅰ):711単位/日、緊急時支援加算(Ⅱ):94単位/日の新設
  • 居住支援法人や居住支援協議会との連携体制を評価する居住支援連携体制加算:35単位/月の新設
  • 居住支援体制強化の取り組みを評価する地域居住支援体制強化推進加算:500単位/回の新設

地域生活支援拠点等の整備の促進・機能の充実を図るための加算の創設

地域生活支援拠点等の整備の促進や機能の充実を図るため、市町村が地域生活支援拠点等として位置付けた短期入所や緊急対応を行う訪問系サービス等について、地域生活支援拠点等としての役割を評価する改定が行われました。

  • 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援における緊急時対応加算、緊急時支援加算(Ⅰ)、緊急時支援費(Ⅰ)を算定した場合に、地域生活支援拠点の場合の加算:50単位/回を新設
  • 短期入所において地域生活支援拠点等の場合の加算:100単位/日の新設

生活介護等における重度障害者への支援の評価の見直し

生活介護・施設入所支援における重度障害者への支援について、見直しが行われました。

  • 生活介護・施設入所支援における重度障害者支援加算の「加算の算定を開始した日から起算して90日以内:700単位」について、「加算の算定を開始した日から起算して180日以内:500単位」へ変更
  • 生活介護の重度障害者支援加算(Ⅰ)において、人員配置体制加算(Ⅰ)及び常勤看護職員等配置加算(Ⅲ)を算定し、両加算の要件を超える人員配置をしていることを算定要件として変更

質の高い相談支援を提供するための報酬体系の見直し

計画相談支援・障害児相談支援の経営実態を踏まえて、基本報酬や加算について以下の内容の改定が行われました。

  • 小規模事業所の基本報酬の引き上げと特定事業所加算の基本報酬への組み込み。機能強化(Ⅲ)のサービス利用支援費の場合、現行1,462単位⇒改定後1,672単位。
  • 常勤専従の主任相談支援専門員を1人以上配置することを評価する機能強化(Ⅳ)の区分の新設
  • 常勤専従1名を配置した上で、複数の事業所で24時間の連絡体制が確保することで区分を算定できる要件の変更
  • 利用開始前に、居宅等を訪問し、月2回以上の面接をした場合の初回加算の算定回数(重ねて算定)の変更
  • モニタリング対象月以外の面接、会議開催、会議参加について評価する集中支援加算:300単位/月(面接、会議開催、会議参加それぞれで月1回を限度)の新設
  • サービス終了前後の取り組みの評価として居宅介護支援事業所等連携加算の拡充

改定のポイント② 効果的な就労支援や障害児者のニーズを踏まえたきめ細かな対応

就労移行支援・就労定着支援における支援の質向上に資する報酬等の見直し

就労移行支援・就労定着支援において、障害者の希望や能力、適性に応じた効果的な就労支援に向けて、以下の内容の改定が行われました。

  • 就労移行支援において、一般就労の高い移行実績を実現する事業所について評価する基本報酬の見直し
  • 就労移行支援における基本報酬の区分の決定に係る実績の対象期間の変更
  • 就労移行支援において、本人や他の支援機関等を交えたケース会議等を実施した事業所を評価する支援計画会議実施加算:583単位/回の新設
  • 就労定着支援における基本報酬の区分決定に係る就労定着率の実績範囲の見直しと単位数の見直し
  • 関係機関との連携を強化し、協力関係を構築するため、関係機関とのケース会議等を実施した事業所を評価する定着支援連携促進加算:579単位/回の新設

就労継続支援A型、B型の基本報酬等の見直し

支援効果を高める取り組みの評価や多様な就労支援ニーズへの対応の観点から、以下の内容の改定が行われました。

  • 就労継続支援A型において、現行の「1日の平均労働時間」に応じて算定する基本報酬を、「労働時間・生産活動・多様な働き方・支援力向上・地域連携活動の判定スコア」に応じて算定する方式に変更
  • 就労継続支援B型において、「平均工賃月額」に応じて算定する基本報酬の区分を現行の7区分から8区分への見直しと「利用者の就労や生産活動等への参加等」による基本報酬の区分(Ⅲ)(Ⅳ)の新設
  • 就労継続支援B型において、就労や生産活動の実施にあたり、地域や地域住民と協働した取り組みを実施する事業所を評価する地域協働加算:30単位/日の新設
  • 就労継続支援B型において、ピアサポートによる支援を実施する事業所を評価するピアサポート実施加算:100単位/月の新設

医療型短期入所の受入体制強化

  • 医療型短期入所事業所の整備促進を図る観点から、基本報酬の引き上げが行われました。(医療型短期入所サービス費(Ⅰ):現行2,907単位/日⇒改定後3,010単位/日)
  • 医療型短期入所の対象者の整理
  • 特別重度支援加算の算定要件の変更と単位数の見直し
  • 保育士やリハビリテーションを行う専門職を配置した上で、その専門職が日中活動に係る支援計画を作成し、日中活動を実施していることを評価する日中活動支援加算:200単位/日の新設

改定のポイント③ 医療的ケア児への支援などの障害児支援の推進

地域において必要な支援を受けることができるサービス提供体制を強化する観点や、支援の質を向上させる観点から改定が行われました。

医療的ケアが必要な障害児に対する支援の充実

「動ける医ケア児」にも対応した新たな判定スコアが用いられ、基本報酬・加算について区分・単位数などが見直されました。

  • 児童発達支援、放課後等デイサービスにおける基本報酬の区分の新設
  • 児童発達支援、放課後等デイサービスにおける看護職員加配加算の算定要件の緩和
  • 児童発達支援、放課後等デイサービスにおける看護職員について、現行の機能訓練担当職員の配置要件と同様に、配置基準上必要となる従業者の員数に含めることが可へ変更
  • 福祉型障害児入所施設における看護職員配置加算の算定要件の緩和

放課後等デイサービス・児童発達支援の報酬体系等の見直し

  • 判定スコアやサービス提供時間に応じた基本報酬の区分の見直し
  • ケアニーズの高い児童や虐待等の要保護児童等への支援を評価する個別サポート加算の新設
  • 児童指導員等加配加算の対象資格の見直し(手話通訳士、手話通訳者の追加)と単位数の見直し
  • 専門的支援を必要とする児童のために専門職の配置を評価する専門的支援加算の新設

障害児入所施設における報酬・人員基準等の見直し

  • 障害児入所施設の支援の質の向上を図るため、人員配置基準の見直し
  • 基本報酬の引き上げ
  • 18歳以上の入所者の地域移行を推進するため、ソーシャルワーカーを配置した場合の評価としてソーシャルワーカー配置加算の新設

改定のポイント④精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進

精神障害者等が地域社会の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるように医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加、地域の助け合い、教育が包括的に確保された「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を推進する観点から、地域包括ケアシステムの構築に資する取り組みを推進するための改定が行われました。

  • 自立生活援助事業者が緊急時において、利用者又はその家族等からの要請に基づき、深夜に速やかに利用者の居宅等への訪問等又は電話による相談援助を行った場合を評価
  • 障害者の地域移行を更に促進するため、地域移行支援事業者における地域移行実績や専門職の配置、病院等との緊密な連携を評価した基本報酬の設定
  • 可能な限り早期の地域移行支援を推進するため、入院後1年未満で退院する場合に退院・退所月加算による評価に加え、更なる加算での評価
  • あらかじめ利用者の同意を得て、精神障害者が日常生活を維持する上で必要な情報を、精神科病院等に対して情報提供することを評価する日常生活支援情報提供加算の新設
  • 地域相談支援事業者又は自立生活援助事業者と居住支援法人・居住支援協議会との連携体制を評価する居住支援連携体制加算の新設
  • 住居の確保及び居住支援に係る課題を報告する等の居住支援体制強化の取り組みを評価する地域居住支援体制強化推進加算の新設
  • ピアサポートの専門性について、利用者と同じ目線に立って相談・助言等を行うことにより、本人の自立に向けた意欲の向上や地域生活を続ける上での不安の解消などに効果があることを踏まえ、研修等の一定の要件を設けた上で評価するピアサポート体制加算の新設
  • 改定のポイント⑤ 感染症や災害への対応力の強化

    新型コロナウィルス感染症や大規模災害が発生する中で、感染症や災害への対応力強化を図る観点から、感染症対策や業務継続に向けた取り組み、災害に当たっての地域と連携した取り組みを強化するための改定が行われました。

    日頃からの感染症対策の強化や業務継続に向けた取組の推進

    • 全ての障害福祉サービス等事業者に、感染症の発生及びまん延の防止等に関する取り組みについて、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施の義務づけ(3年の経過措置あり)
    • 全ての障害福祉サービス等事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等の義務づけ(3年の経過措置あり)
    • 施設系、通所系、居住系サービスにおいて、非常災害対策における訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めることの規定

    支援の継続を見据えた障害福祉現場におけるICTの活用

    新型コロナウイルス感染症への対応に係る障害福祉サービス等の臨時的な取扱いについて、感染症や災害の発生時も含めた支援の継続を見据えて、運営基準や報酬算定上必要となる委員会等や、身体的接触を伴わない又は必ずしも対面で提供する必要のない支援について、テレビ電話装置等のICT等を活用した対応が可能になりました。

    委員会等 対象サービス
    感染症・食中毒の予防のための対策検討委員会 全サービス共通
    身体拘束等の適正化のための対策検討委員会 訪問系サービス
    通所系サービス
    入所系サービス
    虐待防止のための対策検討委員会 全サービス共通
    個別支援計画作成等に係る担当者等会議 通所系サービス
    入所系サービス
    サービス担当者会議事例検討会等 計画相談支援
    障害児相談支援
    特定事業所加算(利用者に関する情報若しくはサービスの提供に当たっての留意事項の伝達又は事業所における技術指導を目的とした会議) 訪問系サービス
    リハビリテーション加算(リハビリテーション実施計画の作成や支援終了時に医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、その他の職種の者で行われるリハビリテーションカンファレンス) 生活介護
    日中活動支援加算(日中活動実施計画を作成するに当たって、保育士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士その他の職種の者が共同する場面) 短期入所
    経口移行加算(経口移行計画を作成するに当たって、医師の指示に基づき、医師、管理栄養士、看護師その他の職種の者が共同する場面) 施設入所支援
    経口維持加算(経口維持計画を作成するに当たって、医師又は歯科医師の指示に基づき、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師その他の職種の者が共同して、入所者の栄養管理をするための会議等) 施設入所支援
    支援計画会議実施加算(就労移行支援計画等の作成等に当たって、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター等障害者の就労支援に従事する者により構成される会議) 就労移行支援
    定着支援連携促進加算(地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、医療機関等との連携を図るため、関係機関等を交えた会議) 就労定着支援
    居住支援連携体制加算(精神障害者等の居住先の確保及び居住支援を充実する観点から、居住支援協議会や居住支援法人との情報連携・共有を図る場) 自立生活援助
    地域移行支援
    地域定着支援
    関係機関連携加算(障害児が通う保育所その他関係機関との連携を図るため、あらかじめ通所給付決定保護者の同意を得て、当該障害児に係る児童発達支援計画に関する会議) 児童発達支援
    医療型児童発達支援
    放課後等デイサービス
    雇用に伴う日常生活上の相談等 就労定着支援

    改定のポイント⑥ 障害福祉サービス等の持続可能性の確保と適切なサービス提供を行うための報酬等の見直し

    制度の持続可能性を確保しつつ、施設・事業所が適切なサービス提供、障害福祉サービス等の現場の人材確保を目的とした改定が行われました。

    医療連携体制加算の見直し

    • 医療的ケア等の看護の濃度を考慮した医療的ケアと非医療的ケアの単価の適正化
    • 福祉型短期入所において、高度な医療的ケアを必要とする者の受入を推進するため、8時間以上の区分の新設

    障害者虐待防止の更なる推進、身体拘束等の適正化の推進

    障害者虐待防止、身体拘束等の適正化の更なる推進のため、運営基準の変更が行われました。(令和3年度は努力義務、令和4年度から義務)

    • 従業者への虐待防止研修実施を義務化(現行、努力義務)
    • 虐待防止のための対策を検討する委員会として虐待防止委員会を設置するとともに、委員会での検討結果を従業者に周知徹底することを義務化
    • 虐待の防止等のための責任者の設置(現行、努力義務)
    • 訪問系サービスにおいて、身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録することを規定
    • 身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ることを規定
    • 身体拘束等の適正化のための指針を整備することを規定
    • 従業者に対し、身体拘束等の適正化のための研修を定期的に実施することを規定
    • 身体拘束廃止未実施減算の創設

    福祉・介護職員等特定処遇改善加算等の見直し

    事業者による職場環境改善の取り組みをより実効性が高いものとする観点、事業者がより活用しやすい仕組みとする観点から、以下の内容の改定が行われました。

    • 福祉・介護職員等特定処遇改善加算の平均の賃金改善額の配分ルール(「2倍以上とすること」から「より高くすること」へ)の見直し
    • 福祉・介護職員処遇改善加算や福祉・介護職員等特定処遇改善加算の職場環境等要件について、当該年度における職場環境等要件に基づく取り組みの実施を求め、職場環境改善の取り組みを実効性が高いものが推進されるように見直し
    • 福祉・介護職員処遇改善加算等の加算率の算定方法の見直しとそれに伴う加算率の変更

    最後に

    本記事は、作成時点の最新資料を基に作成しています。今後、厚生労働省より解釈通知、各自治体より詳細な通知・資料などが公開されますので、具体的な解釈や申請等については、その都度、最新情報を基にご判断をいただきますようお願い致します。

    各サービス種別の2021年度障害福祉サービス報酬改定の内容は下記からご覧いただけます

    放課後等デイサービスの2021年度障害福祉サービス報酬改定

    児童発達支援の2021年度障害福祉サービス報酬改定

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