介護現場の生成AI活用例、導入のメリット・デメリット、注意点を解説【生成AI比較表つき】
「記録や書類作成に追われて、利用者様に向き合う時間が取れない」
介護現場でよくある課題に、事務業務の負担の大きさが挙げられます。
こうした状況の中、業務効率化の手段として注目されているのが「生成AI」の活用です。
この記事では、介護現場の生成AI活用でできることや活用例、メリット、注意点、導入手順までわかりやすくご紹介します。
目次
- 介護現場で注目されている「生成AI」とは?
- 介護現場で生成AIを使うとできること
- 介護現場における生成AIの活用例
- 介護現場に生成AIを導入するメリット
- 介護現場に生成AIを導入するデメリット
- 生成AIを利用する際の注意点
- 主要な生成AIの比較表
- 介護現場での生成AIの導入手順
- まとめ
介護現場で注目されている「生成AI」とは?
AI(人工知能)は、介護現場でも多くの場面で取り入れられています。
例えば、事故防止やケア負担の軽減を目的として、見守りセンサーや介護ロボットが導入されています。
近年では、記録や書類作成といった「事務業務の負担」を軽減するツールとして「生成AI」が注目されています。
「生成AI」は、学習した大量のデータをもとにテキストや画像などのコンテンツを新たに生成するAIのことで、文章の作成や長文の要約などの情報処理に長けています。
代表的なものにChatGPT(チャットジーピーティー)、Gemini(ジェミニ)などが挙げられます。
介護現場で生成AIを使うとできること
生成AIは、記録・文書・議事録・マニュアルの作成や情報収集など、幅広い業務に活用できます。
まずは「どんな業務に使えるのか」を、業務のカテゴリ別にご紹介します。
記録・文書の作成
- 箇条書きのメモから記録用の文章を作成
- テンプレートや過去のデータをもとにした文書作成の支援
- ご家族への連絡文を作成
- 問い合わせ対応用のメール案を作成
会議・情報共有
- オンライン会議(Google MeetやMicrosoft Teamsなど)の議事録を作成
- 申し送り事項の要点をまとめ、文章を作成
マニュアル・研修
- 業務マニュアルを作成
- 研修の企画・資料を作成
情報収集・調査
- 法改正の情報を要約・整理
- 特定の資料(マニュアルなど)を参照した回答を作成
- 記録等から利用者様の経過や傾向をまとめる
介護現場における生成AIの活用例
ここからはサービス種別ごとの活用例をご紹介します。
| サービス種別 | 活用例 |
|---|---|
| 居宅介護支援 |
|
| 通所系サービス |
|
| 訪問系サービス |
|
| 施設系サービス |
|
なかでも生成AIと特に相性の良い、次の2つの業務について詳しくご紹介します。
ケアプランの作成支援
ケアプランは、利用者様の状況やアセスメントの内容など様々な状況を考慮して作成する必要があるので、ケアマネジャーにとって負担の大きい業務の一つです。
生成AIを活用すると、入力した情報をもとにケアプランの原案を自動で作成できるので、ケアプラン作成にかかる時間を大幅に短縮することができます。
※「ケアプランのAI活用」について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
https://ads.kaipoke.biz/home-helper-service/operation/careplan-ai.html
介護記録(日々の記録)の作成
介護記録(日々の記録)の作成は、介護現場の職員にとって負担の大きい業務です。
生成AIを活用すると、音声入力から記録を作成したり、1日分の記録から業務日誌や連絡帳、申し送りを作成できるので、日々の記録業務の負担を軽減することができます。
※「介護記録のAI活用」について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
https://ads.kaipoke.biz/column/operation/kaigokiroku-ai.html
介護現場に生成AIを導入するメリット
介護現場で生成AIを導入するメリットとして、以下のような点が挙げられます。
現場の業務効率化にとどまらず、ケアの質の向上や職員の定着といった、事業所経営全体への効果が期待できます。
記録業務の時間短縮
箇条書きのメモ程度の内容でも、生成AIが要約・整理して下書きを作成してくれるので、記録やケアプラン、報告書などの書類作成時間を大幅に削減できます。
また、音声入力を活用すれば、話すだけで記録の下書きが作成されるので、さらに時間短縮につながるでしょう。
記録業務にかかる時間を削減できると、空いた時間を利用者様と向き合うための時間に充てることができます。
情報共有の円滑化
生成AIを使って文章を作成すると、文章の書き方や表現などのばらつきが少なくなります。
文章の標準化ができるので、情報に対しての共通認識を持ちやすくなります。
働き方改革と離職の防止
ここまで挙げたメリットは、職員の働きやすさにも繋がります。
記録・事務業務が効率化することで残業時間が減り、職員のワークライフバランスが改善されます。
職員の働き方改革は離職防止に繋がり、経営の安定化にも寄与します。
介護現場に生成AIを導入するデメリット
介護現場に生成AIを導入する大きなメリットがある一方で、以下のようなデメリットにも注意が必要です。
費用負担が発生する場合がある
無料で使える汎用的な生成AIは、使える機能や利用回数に制限がある場合があります。
そのため、使用頻度が高い場合や業務利用が本格化した場合は有料契約が必要になり、月額費用などの負担が発生します。
契約前に料金体系を確認し、費用に見合う効果があるかを検証するとよいでしょう。
運用ルールの設定が大変
生成AIを事業所全体で使いこなすためには、利用範囲・入力禁止情報・確認フローなどを定めた運用ルールを整備し、職員全員への周知が必要です。
そのため、導入初期はルールを整備して定着させるという手間がどうしても発生します。
ルールが曖昧なまま導入すると、個人情報の漏えいのリスクが高まるだけでなく、職員ごとの使い方のばらつきによって、かえって混乱を招く可能性があります。
大変ですが、導入前に必ずルールを設定しましょう。
生成AIを利用する際の注意点
介護現場で生成AIを活用する際、特に以下の点に注意する必要があります。
個人情報・プライバシーの保護
ChatGPTやGeminiなどの一般的な生成AIは、入力した内容が学習に利用される場合があります。
そのため、氏名、年齢、住所、電話番号などの個人情報をそのまま入力することは、情報漏えいにつながるリスクがあり、注意が必要です。
利用する際は、個人を特定できる情報を匿名化・仮名化したうえで入力するか、学習禁止(オプトアウト)を設定しましょう。
なお、法人向けプランでは入力内容が学習に利用されない契約形態が一般的なので、業務利用が本格化したら法人プランを検討するのもおすすめです。
※個人情報の取り扱いについては、個人情報保護委員会の「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」や、個人情報保護委員会・厚生労働省による「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」などの資料を参考にするとよいでしょう。
回答は必ず確認する
生成AIが作成した文章や提案は、ハルシネーション(誤情報・不正確な内容)を含む場合があります。
また、生成AIは学習した時点までの情報しか持っていないため、最新の制度改正の情報が回答に反映されないことがあります。
介護記録や計画書として使用する際は、必ず担当者が確認したうえで運用しましょう。
主要な生成AIの比較表
「生成AI」には様々なツールがあります。
ここでは、代表的な生成AIを紹介します。
※生成AIに対する評価は当編集部の主観によるものです。あらかじめご了承ください。
ChatGPT(チャットジーピーティー)
OpenAI(オープンエーアイ)が開発した、最も広く使われているAIです。
日本語での会話・文章作成・要約・翻訳など、幅広い用途に対応しています。
無料版でも十分な機能があり、生成AIを試す方にも始めやすいツールです。
介護現場では、思考の整理や文章・資料の作成、他のITツールとの連携などに活用できます。
Gemini(ジェミニ)
Googleが開発した、テキスト・画像・音声・動画をまとめて処理できるAIです。
GmailやGoogleドキュメントなど、Googleのビジネスツールと連携できるため、Google機能を利用している事業所におすすめのAIです。
Google検索と直結しており、最新情報の検索にも対応しています。
介護現場では、文章・資料の作成や会議の議事録作成、Googleドライブ内の書類整理、情報収集・調査などに活用できます。
Claude(クロード)
Anthropic(アンソロピック)が開発した、複雑な長文読解や文章作成を得意とするAIです。
安全性を重視した設計で、信頼性の高い回答を提供しています。
複雑な質問への回答や長文の要約・分析も可能です。
介護現場では、思考の整理や文章・資料の作成、法改正情報の要約・整理の補助などに活用できます。
Copilot(コパイロット)
Microsoftが開発した、Microsoft Office製品との連携を得意とするAIです。
Word・Excel・PowerPoint・Teams・OutlookといったMicrosoft 365のアプリと連携でき、ユーザーの代わりに複雑なタスクをこなす「エージェント機能(Agent Mode)」も搭載しています。
介護現場では、文章・資料の作成や会議の議事録作成、Excelファイルの改善などに活用できます。
主要な生成AIの比較表
各ツールの特徴を簡単にまとめると、以下のようになります。
※2026年7月時点の情報です。料金は個人向けプランの月額目安です。
| ChatGPT | Gemini | Claude | Copilot | |
|---|---|---|---|---|
| 開発元 | OpenAI | Anthropic | Microsoft | |
| 無料版 | あり | あり | あり | あり(Office連携は有償) |
| 有償版(月額) | 約1,500円〜(標準約3,000円) | 725円〜(標準2,900円) | 約3,000円〜 | 3,200円〜 |
| 日本語対応 | あり | あり | あり | あり |
| 得意な用途 | 会話・文章作成 | Google連携 | 長文の処理 | Office連携 |
| 向いている事業所 | はじめて生成AIを試す | Gmail・Googleドキュメントを利用している | 長文の書類や制度資料を扱うことが多い | Word・Excel・Teamsを利用している |
| 難易度 | 簡単 | 簡単 | 簡単 | 普通 |
いずれのツールも無料で試すことができるので、まずは個人情報を含まない業務から使い勝手を比較してみるのがおすすめです。
介護現場での生成AIの導入手順
ステップ1.導入する生成AIを選定する
まずは自社の課題を整理し、どの業務を効率化したいのかを決めておきます。
その業務を効率化するのに適したツールはどれか、上記の【主要な生成AIの比較表】を参考に比較検討しましょう。
ステップ2.運用ルールを設定する
生成AIを現場で使う前に、事業所内での運用ルールを設定し、周知します。
利用範囲・入力禁止情報・確認フローなどを定めておくとよいでしょう。
ステップ3.一部の職員・業務で導入を始める
まずは一部の職員や業務で試験的に導入を始めます。
運用してみて、ステップ1で整理した課題を実際に解決できるか、また、どれくらい業務時間を削減できるかを検証します。
ステップ4.運用ルールを改善する
実際に生成AIを導入してみると、ルールの修正や追加が必要な場面が発生します。
入力ルールや使用範囲を見直し、運用ルールをブラッシュアップさせます。
ステップ5.本格導入し定着させる
運用ルールの改善や効果の確認ができたら、生成AIを活用する職員・業務の範囲を広げていきます。
運用ルールとチェック体制を明文化して、継続的に活用できる仕組みを整えましょう。
まとめ
介護現場で生成AIを活用すると、記録や文書、議事録、マニュアルの作成など、様々な事務業務を効率化できます。
一方で、介護・医療現場では個人情報の取り扱いに特に注意が必要です。
まずは無料プランで、個人情報を含まない業務から気軽に試してみるのがおすすめです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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