通所介護および訪問介護におけるサービス実施記録票の書き方・記入例



通所介護や訪問介護などの介護サービス事業所を運営している経営者、管理者の皆様、そして介護現場で実際に介護サービスを提供している介護職員の皆様。介護保険法に基づく介護サービスを提供し、介護報酬を請求するためには、「どのような介護サービスを提供したのか」を記録することが求められています。そのため、サービスの実施記録を作成することは、介護現場における基本的な業務の一つとなっています。
今回は、通所介護と訪問介護の二つの介護サービスについて、記録の様式である「サービス実施記録票」の書き方や記入例、記入における注意点などをご紹介しています。また、様式の無料ダウンロードもできますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

1.サービス実施記録票とは?

サービス実施記録票とは、介護サービスを提供した際に、利用者の健康状態や提供した介護サービスの内容、介護サービスを受けている時の利用者の様子などを記録するための様式です。
介護給付費を算定する根拠として記録を作成することが必要であり、また、それ以外にも介護計画書を更新する時の資料や職員間の情報共有のツールとしての役割などもあるので、様々な場面で活用されています。

2.サービス実施記録票の書き方例

通所介護のサービス実施記録票

サービス実施記録票

送迎時間

送迎の事業所への到着時間と事業所からの出発時間を記入します。
デイサービスでは、送迎を行わない場合、減算を算定することになるため、その記録として車両運行記録と併せて記録を残す必要があります。

バイタル

利用者の健康状態を把握するために体温・脈拍・血圧を記入します。
デイサービスで提供する機能訓練やレクリエーション、入浴などのサービスでは、利用者の健康状態や体調を把握し、適切にサービスを提供する必要があります。体調不良の時はサービスの内容を変更することやサービスの提供自体を中断することもあります。
また、デイサービスにおける感染対策の一環としてバイタルを記録することは有用となっています。

入浴

デイサービスで入浴を行う場合に記入する欄です。
入浴の時間と衣服の貸出等を行った場合はその内容を記入します。備考欄には、入浴前に体調確認で聞き取った内容や皮膚などについて気が付いたことを記入しましょう。
入浴前後、入浴中は、利用者の体調に変化が起こりやすくなりますので、気が付いたことはできるだけ記録として残しておくのが良いでしょう。また、入浴のサービスの提供にあたって留意すべき点などが見つかった場合、サービス実施記録票に記入して、職員間で情報を共有するのが良いでしょう。

食事

食事や滞在中の水分摂取の状況などを記入します。
食事を提供している場合、食事の時間、食形態、摂取量を記入し、滞在中の水分摂取の状況なども記入します。備考欄には、食事や水分を摂取する時に気が付いたことを記入しましょう。
脱水症状の予防の観点から、朝・昼食時・おやつの時間など時間帯を分けて、水分摂取について記入すると職員の意識も高まるので良いでしょう。

排泄

排泄の介助を必要とする利用者について、排泄の状況や回数などを記入します。
リハパンやパッドの使用状況、衣服の貸出等を行った場合はその内容を記入し、排尿・排便があった場合は、その回数を記入します。
備考欄には、排泄に係ることで気が付いたことなどを記入しましょう。また、排泄は利用者の尊厳に係る行為になるため、備考欄に記入する内容は言葉を選び、記入することを心掛けましょう。

活動

デイサービスでは、1日のおおまかなプログラムが組まれ実施されています。活動の欄には、体操、個別機能訓練・集団機能訓練、口腔体操、口腔ケア、レクリエーション、ゲームといったプログラム等への参加状況や、それぞれの利用者の過ごし方などを記入します。
利用者の参加状況を把握することは、職員がレクリエーションの種類や内容を考える時にも役立つ情報となりますので、参加の有無だけではなく、参加している利用者の様子なども記載すると良いでしょう。

訪問介護のサービス実施記録票

サービス実施記録票

実施日、時間、訪問の種別

訪問介護の実施日とサービス提供時間、訪問の種別を記入します。
訪問介護の介護報酬は、サービス提供時間と提供したサービスの内容を基に算定することになるので、サービス提供時間は間違えないように記入しましょう。

サービスの種類

訪問介護事業所によっては、介護保険サービスだけでなく、障害福祉サービス、介護予防・日常生活支援総合事業のサービス、移動支援サービス、保険外サービスなどを実施していることがあります。
提供するサービスが該当する種類にチェックを付け、その詳細を記入します。

事前チェック

サービス提供前に確認する項目を列挙しています。これらの項目について、利用者の顔色などの観察や数値の確認を行い、その内容を記入します。
また、サービスの提供にあたり、必要に応じて実施する換気、室温の調整、ベッドまわりの簡単な整頓等の環境整備、相談援助、情報収集・情報提供などを行った場合は、チェックを付けます。
特に身体介護に係るサービスを提供する上で、利用者の体調等を把握しておくことは、サービス提供中やサービス提供後の体調等の変化に気づくためにも重要です。また、昨今の感染症の流行により、感染症対策を行うことが必要となっていますので、発熱等の確認は必ず実施しましょう。

身体介護

身体介護では、排泄介助、食事介助、清拭・入浴、身体整容、体位変換、移動・移乗介助、起床・就寝介助、服薬介助、自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助といった内容のサービスを提供することになります。
今回提供したサービスが該当する項目にチェックを付けます。また、複数該当する項目がある場合、そのすべてにチェックを付けます。

生活援助

生活援助では、掃除、洗濯、ベッドメイク、衣類の整理・補修、調理・配下膳、買い物・薬の受け取りといった内容のサービスを提供することになります。
今回提供したサービスが該当する項目にチェックを付けます。また、複数該当する項目がある場合、そのすべてにチェックを付けます。
また、調理を行った場合は献立を記入し、買い物を行った場合は、預かった金額と買い物で使用した金額、お釣りの金額を記入します。

総合事業

介護予防・日常生活支援総合事業のサービスを提供した場合、提供したサービスの詳細を記入します。

特記・連絡事項

サービスの提供に対する利用者の意見、要望や、サービス提供中やサービス提供後の利用者の様子などを記入します。

3.まとめ

通所介護と訪問介護のサービス実施記録票について、様式例と書き方などを説明してきました。
介護保険サービスをはじめ、障害福祉サービス、介護予防・日常生活支援総合事業のサービス等を提供した際は、具体的にどのようなサービスを提供したのかを記録として残し、また記録の内容を利用者や事業所の他の職員と共有する必要があります。
サービス実施記録票は記録を作成・保管する書類として、サービス種別に合わせた様々な様式が作成され、利用されています。
現在利用している記録の様式が使いづらいと感じているようでしたら、この記事の無料でダウンロードできる様式を使ってみてください。
また、記録に関する業務時間の短縮、業務効率化のためには、タブレットによる記録の入力がおススメです。介護請求ソフト・介護記録ソフトをまだ導入していない方は、介護記録も入力できる介護請求ソフト『カイポケ』の無料体験をぜひお試しください。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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